今回の登場人物のだいたいの戦力差。ただしるーちゃん指数。
ぞんこ Lv19
りーだー Lv18
めぐみ Lv23
くるみ Lv48
もひかん 平均Lv20
おうさま Lv137
るーちゃん Lv255
駅へ向かって移動中のるーちゃん。一応持ってきた生存者さんが死なないように自重した速度(ただしるーちゃん基準)で道なき道を走っていきます。バランス感覚255のるーちゃんにとっては壁でも電線でも道みたいなものです、全く影響なくどんどん進んでいきます。
速度出しすぎたり振り回したりしないようにとちゃんと配慮していたつもりですが、るーちゃんの疾走に耐えられなかったらしく生存者さんは泡吹いて気絶してしまっていました。どうりで抗議も悲鳴も聞こえないわけです。あとで謝っておくかは悩みどころです。
このくらいなら大丈夫だと思ったんだけど、なんて考えながらちょっとずつ加速していくるーちゃんなのでした。
一方駅前のくるみさんだぞ。あたし達の目の前に殺意全開で降ってきたレインコートの人物。話が通じる人物でないことはわかったが、逃げようにもあまりの重圧に足が動かない。まして立ち向かおうなんて気になれるわけが―
「グオオオオオオオッ!!」
「何の躊躇も無くいったー!?」
奴めがけて突っこんでいくゾン子。正直ほんとに味方なのかよくわからない奴だが、こういう場面では頼りになる奴なのかもしれない。生きている人間に対してあいつらであるゾン子をけしかけることに若干の罪悪感がないでもないが、こいつだってモヒカン共のお仲間なんだろうし、あたし達を殺そうとしてきたんだからお互い様だ。やっちゃえゾン子さん。
「ギィィィィッ!」
奴の首筋目掛けてその歯を突きたてんとするゾン子。あいつは迎撃せんと身構えるそぶりもなく、避けようと動く気配もない。どうにかなったか?
なんて思っていたら、レインコートの姿が一瞬ぶれ・・・一瞬にしてゾン子の背後に回っている!?
「どこを見ている、私はここだ」
背後からゾン子の首を掴むと、そのまま思い切り投擲。とんでもない勢いで投げ飛ばされたゾン子は機能停止していためぐねえの車のフロントガラスをぶち破ると、そのまま動かなくなった。どんな膂力してんだあいつ、ホントに人間か?
「ゾン子さんがやられたっ!」
「私の車~っ! ・・・ちがった、南さんっ!!」
ゾン子も心配だが、めぐねえも大丈夫なんだろうか。ちがったって何だよちがったって。『私の車~』は反射で出てんのか。
「・・・なら、これならどうだ。以前スーパーで没収しておいたお手製ミサイルだっ!」
「ちょっと待て、どこから出したそんなもん!?」
そんなものがあるなら先に言ってほしい。カーチェイス中に使えればここまで来なくてよかったじゃないか。
まあ、出所とかどこに隠し持ってたとか色々気にはなるが、これならあいつもどうにかなるかもしれない。
「緊急事態だから使い込んでも怒られないはず、なので発射ー!」
スイッチ一つで飛び出す手作り感溢れる鉄の塊。火を噴きながらレインコートに迫っていくが、どうなる・・・。
「お、お頭ー!」
「人間相手にミサイルとか、やることが汚ねーぞ!!」
「王様逃げろー!」
駅の中からモヒカン共がわめいている。子供相手に重機持ち出してくるこいつらにだけは言われたくない。
と、迫るミサイルに対してレインコート(モヒカン達の口ぶりからするに、どうやらこいつがここの首領らしい)は一振りの剣を取り出して見せた。あれでミサイルを切断するつもりか?アクション映画じゃあるまいし・・・。
なんて甘い考えでいたからか、現実はそんな予想の遥かに斜め上をいった。
奴はミサイルが近づく前に剣を一閃。剣圧を飛ばしてミサイルを見当違いの瓦礫の彼方まで吹き飛ばし、ついでのように余波でリーダーをめぐねえの車に叩きつけた。
「無茶苦茶だ・・・」
「私の車~! じゃなくて・・・リーダーさん、大丈夫ですかっ!」
やっぱり反射で出てるらしい。愛着のあった車を廃車にされたことがよほどショックだったのだろう。リーダーは一応動いてるから死んではいないだろ。しかし・・・
「次はお前か?」
飛ぶ斬撃とか使ってくるバケモノじみたこいつを、あたしはシャベル一本で倒さなければならないってわけか。正直無理だとは思う、だがみくだって重機相手に勝利をもぎ取ってみせたんだ・・・あたしだって何かやれることはあるかもしれない。あたしがやられたらめぐねえもやられる。そんなのはダメだ!あいつらを相手するとき同様・・・いや、それ以上に集中して、恐怖を押し殺してシャベルを構える。
だが、奴はこちらではなくあたしたちがぶっ壊したバリケードの方を見ている。どうやら騒ぎを聞きつけたあいつらが入ってきたらしい。
「我が君、化け物共が入ってきておりますぞ」
「ヒャッハー、またボスの戦いが見れるぜ!」
「さあ、やっちまってください、我らが王よ!」
向こうの連中は騒いでるだけらしい、よほどこいつを戦力として信用しているらしい。
「はぁ・・・誰の許しを得てここに入ってくる、畜生めが・・・せめて散り様で馬鹿共を興じさせるがいいッ!」
奴はそう言うと瓦礫の山へと飛び上がり、その一角を占めていたコンテナを開け放った。
「本来はモール攻略用に溜め込んだものだが、最早不要故存分に呉れてやるッ!!」
叫びと共に盛大にコンテナを叩くと、中にあったらし鋼材や鉄パイプ、丸太に、ゴルフクラブ、ハンマー、鉈から斧から、すさまじい量の武器がゲリラ豪雨のような量と勢いでもってあいつらめがけて降り注いでいく。絨毯爆撃のように降り注いだ武器の嵐があいつらどころか近辺を何もかも裂き、砕き、破壊の限りを尽くした後にうごいているものなど何一つとしてなかった。普段は存在すら煩わしいあいつらだが、今回ばかりは来てくれてよかった。あの攻撃をこっちに放たれていたら、間違いなく全員死んでただろう。
続けて破壊音の終わりを見計らい、モヒカン共の大歓声。
「「「「「「「「王様!ボス!親分!長!我が君!王!お頭!キング!」」」」」」」」
・・・楽しそうだなぁ、こいつら。こう、何も考えないで生きてそうな感じが。
「待たせたな、さあ決着の時だ」
・・・あ、ぼうっと見ていて何も対策を考えていなかった。しまった。あたしの番じゃないか・・・どうしよう。
るーちゃん接近中。るーちゃん接近中。
というわけでそろそろ駅に到着するるーちゃん。もはやピクリともしなくなった生存者さんとラ・ネージュを掴んだまま元気に駅まで疾走します。
あ、駅が見えてきました。駅前にくるみさんが突っ立っています。るーちゃんはちょっと勢いをつけてくるみさんの手前に着地して驚かせようと目論見ます。るーちゃんはどんな状況下でも加速減速思いのままです。
そのまま飛び出したるーちゃんですが、着弾地点に黒いレインコートの人が立っているのに気がつきます。しかしるーちゃんは急には止まれません(止まらないだけともいいますが)。猛ダッシュしてきた勢いそのままるーちゃんきっくが炸裂です。理不尽極まりない完璧な奇襲を受けたレインコートさんはとんでもないスピードで蹴り飛ばされ、瓦礫の山へと突っ込んで見えなくなりました。普通に惨劇です。瓦礫の音が止んだら周囲を嫌な静寂が包み込みました。
とりあえず誤魔化すためにくるりとくるみさんへと向き直り、るーちゃんですよーとご挨拶。瓦礫に埋もれたレインコートさんは無かったことにしていく方針のようです。
「・・・・・・あぁ、そういえばうちにも理不尽はいたんだったな」
なんでくるみさんが遠い目をしているのかわかりませんが、こんなに可愛いるーちゃんを理不尽呼ばわりとは罰当たりな話です。るーちゃんの頬も順調に膨らみますよ。手に持ってる鳥とか生存者とかも投擲できちゃうんですよ。
両手の荷物(どちらも意識は無かった)の投擲によりくるみさんとめぐみを車に放り込んだあたりで何やら後ろの瓦礫が崩れてきました。振り向いてみるとレインコートさんが瓦礫の山から出てくるところでした。まだ健在だったようです、中々の耐久性です。
とはいえその身体は既にボロボロであり、全身傷だらけでレインコートは裂けて崩壊状態、見るからに満身創痍といった状態で瓦礫を蹴散らして緋色と鈍色を撒き散らしています。これではレインコートさん改めハーフアップおでこさんだな、なんて余裕綽々で観察を続けるるーちゃんを射殺さんばかりに睨みつける紅い瞳が殺意でぎらぎら光っています。
「私は・・・死なない・・・まだ、やらなきゃいけないことがあるんだからッ!」
瓦礫山を脱したおでこさんはかなりのスピードでるーちゃんに迫ってきます。これはるーちゃん以外には追いきれないんじゃないかというレベルの速度、モヒカン達から見たらほぼ瞬間移動でしょう。歓声が上がってます。そのまま速度を生かした分身でるーちゃんを取り囲み、全方位から切りかかってきます。雪崩が取り囲んでくるかのような勢いで迫ってくる斬撃の壁がるーちゃんを切り刻まんとしてきます。
常人では何が起こったのかもわからないまま挽肉になってしまうほどの攻撃に曝されるるーちゃん。しかしるーちゃんにとってはこの程度の斬撃など指一本で全て逸らしきるなど造作もありません。どれだけおでこさんが強かろうが、るーちゃんの白兵戦技能はとっくの昔に255、カンスト状態なのです。たった一本。人差し指だけで周囲を囲む結界のごとき斬撃を一つ残さず往なしきってしまいます。かすり傷ひとつ負いません。
あまりに見事な完封ぶりに驚愕するおでこさん。その隙は一瞬だけですが、るーちゃん相手にその一瞬は致命的です。るーちゃんきっくで生き残ったことも考慮したるーちゃんは適当な攻撃はしません、連続るーちゃんパンチを叩き込み、トドメの一撃で遥か彼方へ吹き飛ばします。その飛距離はるーちゃんきっくの比ではありません。途中に障害物がなければ十分県外まで飛べる威力のラッシュを受けたおでこさんは、こんどこそ駅から退場です。断末魔すら上げずにぶっ飛んでいきました。しかし連続るーちゃんパンチを受けて特に欠損無く原型を保っていたあたり、やっぱりただものではなかったようでした。
「ああっ、我が君!?」
「王様がやられたっ!!」
「なんなんだあいつ、幼女は倒したんじゃなかったのか!?」
おでこさん(王様だったらしい)を撃破したらモヒカン達が騒がしくなってきました。聞き捨てならないことも聞こえてきますが、るーちゃんは健在です。倒されてません。生きてますよアピールをかねてるーちゃんですよーといつものご挨拶です。多分なにも伝わっていませんが。
「おいっ、今の騒ぎで逆側からあいつらが来る!突破されるぞ!!」
「もうだめだ、おしまいだぁ!」
「に、逃げろォッ!」
「そ、そうだ、退却だ・・・我が君を回収しなければ」
「急げ、もう破られるぞ!」
モヒカン達は王様が飛んでいった方角に逃げ去っていくようです。あいつらが迫っているようなのでるーちゃん達も長居は無用です。とりあえずみんな車に乗っているっぽいので、るーちゃんはボロボロになっためぐみカーを担いでモールに戻っていくのでした。
「・・・・・・んぅ、あれ?」
目が覚めたら地べたに転がっている、そんな状態って中々ないと思う。
私なんでこんなところで寝てるんだろう?何やってたんだっけ?
身体を起こすと、懐かしい顔が立っていた。
「・・・あ、カミヤマ。しばらくぶりだね」
とっくの昔に死んだものと思っていたけど、こうして駅前まで彷徨い出てきたらしい。
「正直再会できるとは思ってなかったから、ちょっと嬉しいかも」
立ち上がり、並んで歩き出す。お互い無事でなによりだねって笑いあって。
「どこ行こっかなぁ・・・もう、のど渇いたし、お腹空いたよ」
カミヤマもお腹が空いてるらしい、腹ペココンビだねってまた笑う。
「じゃあ、いこっか!」
美紀と圭、残念ながら合流ならず。ここまで強化しても再会できませんでした。
まあ、人類(とその変異体)相手に無双してる程度でるーちゃんに勝てるわけないですよね。
そのころのがっこう 二階の窓際にて。 ※別次元民注意
「・・・あの・・・響さん、ここは?」
「ここが訓練場だよ。校庭で動いてるやつは全部射撃の的だから、はい撃ち方始め」
「怖いわ!なんだあれ!?」