誤字脱字とかヘンなとこ、ご意見、ご要望などあったらおねがいします!
⓵
「紫の奴、まだ待たせるのかしら?」
霊夢が紫に言われて隙間に入ってからすでに三十分が経過していた。
いい加減に旅のお供とやらを連れてきてほしいものである。
「ごめんごめん~待った~?」
「旅のお供とやらは?」
「いやはや二人とも頑固でね~連れてくるの苦労したのよ」
スキマ空間の中、霊夢たちの頭上に一際大きな隙間が開かれる。
「さぁご対面!」
ドササッ!っとすかまから落ちてきたのは二人の少年だった。
「「んん~~~っ!?」」っとうめき声をあげてじたばたしている。
それもそのはず。この二人、紫に縄で体と口を縛りあげられて連れてこられたのである。
「なんか、状況がよくわかってないみたいね。紫、アンタちゃんと説明したの?」
「霊夢は私がそんなめんどくさい事すると思う?」
ハァ、とため息をついて霊夢は転げまわる二人に近づいていく。
「アンタ達、ちょっと静かにしなさい。説明してあげ・・・」
「「ンンン゛~~~っ!?」」
「だから静かに・・・・・」
「「ンンンンンンン゛~~~~~!!??」」
「だから・・・・」
「「ンンンンンンンンンンン゛~~~~~~~~~~ッ!?!?!?」」
ガシッ(霊夢が二人の頭をつかむ音)ゴッ!!(そのまま二人の頭を頭突き合せる音)
「黙りなさい・・!!説明するって言ってんでしょ・・!!!」
((コクコク))
ようやく静かになった二人に霊夢は今起こってる異変と二人が連れてこられた理由について説明した。
片や不機嫌、片ややれやれといった諦め顔だった。
「じゃあ、二人には自己紹介してもらいましょうか」
紫が促すとまずは学ランにツンツン頭で黒髪の少年が自己紹介を始めた。
「俺は上条当麻。16歳。学園都市に住んでる高校生だ」
「学園都市ってのは?」
「俺の世界の東京にある超能力の研究をしてる幾つもの学校が集まってる都市だ」
「へぇ」
「え~と、俺が持ってる能力は・・・『幻想殺し(イマジンブレイカー)』。異能の力なら神様の奇跡だって打ち消せる代物だ」
「そんな能力が・・・ってあれ?紫、アンタどうやってこいつスキマに入れたのよ」
「大変だったのよ~。右手がスキマに引っかかっちゃて。どうにか引き摺り込んだんだけどね~」
「右手がチョンパされるかと思った・・」
「そりゃ災難だったわね。じゃ、次はアンタね」
霊夢は不機嫌面のパンクファッションの少年に自己紹介を促す。
「・・・カズマ。シェル・ブリッドのカズマだ」
「それだけ?」
「おう。ってか早く俺を戻せ!まだ俺は本土のアルター使いをぶっ飛ばさなきゃならねぇんだ!」
「わかってないわね。カズマ、あなたが頑張ってる戦いも世界全てが壊れちゃったらおじゃんなのよ。大事なカナミちゃんや君島くんとの思い出も全部パーに成っちゃうのよ?」
「てぇめ!?どこまで・・・」
「知ってるかって?んふふ、ゼ・ン・ブ 」
「ムカつくなぁ・・・そういう態度!俺はな!ムカつく奴は全部ぶっ飛ばしてきた!だからテメェをぶっ飛ばして俺は帰る!」
カズマは右拳を紫の方へと突き出す。しかし、何も起こらない。
「なんだ!?どうした」
何度も何度も拳を突き出す。だが、何も起こらない。
「ここは世界と世界の狭間、私だけのスキマ。ここじゃ私以外の力は何の意味も持たないの。あなたのアルターという能力の概念すらこの空間には存在しないの」
「テメェッ!!」
「大体、立場が分かってない。私のいう事を聞かないと元の世界に帰れないのよ~?つまり、貴方に拒否権はない」
「チィっ・・・!」
そんな二人のやり取りを遠目から見守る当麻と霊夢。
「アンタは反論とかしないわけ?」
「まぁ、慣れてるんで。こういう状況。心配なのは大食らいの同居人と出席日数くらいだ」
「学生って大変なのね」
『そうだ、奴には反論するだけ命の無駄だ』
どこからともなく声がした。
声の主はナンと上条の服の襟元から出てきた。
外見はまるで少女が遊ぶ小さな人形。だが、立って歩いて話している。
「オティヌス!?お前も付いて来てたのか!」
「人間よ。奴、八雲紫は魔神という言葉も霞むほどのバケモノだ。というか奴の住む幻想郷には魔人の域すら軽く超える奴らがうじゃうじゃいる。したがっておけ」
「あらあら。オティちゃんじゃないの。おひさ~」
「知り合いなのか・・・」
「・・・」
「言いたくないなら私から言っちゃうぞ~」
「まだ私が魔人の力を手に入れたばかりの頃に少しな…」
なんだか訊いちゃダメな気がしたのでトウマはそれ以上尋ねなかった。
②
こうして、なんだかんだでカズマを説得することに成功。
これから始まる旅の具体的な目標について紫は説明し始めた。
「星の数ほどある世界。その一つ一つには支柱となることを運命づけられた存在がいるの」
「支柱?」
「まぁ、世界の基準点みたいなものかな。基本は特定の人間であることが多いけどね。それが世界の定めた筋書き通りに動かなくなってしまった時、世界は自戒する。もしくは安定を求めて他の世界を支柱ごと飲み込もうとするの」
「筋書き通りに動かなくなるってのは・・つまり」
「そう、支柱である物もしくは人、生き物がその世界外の者の手によって破壊、殺害されるってこと」
霊夢一行がやるべきこと。
⓵幾つもの世界を巡り、世界を破壊しようとする犯人を見つけること。
②その犯人たちから世界の支柱を守ること。
③犯人を始末すること
「大体やることはこの三つか」
「つまり、敵を見つけてぶっ殺せばいいんだろ」
「うわぁ、俄然わかりやすくなった」
「あ、でももう一つ探してほしいものがあるのよ」
そう言って紫は何かのイラストボードをそこらのスキマから取り出した。
「なんだそりゃ?」
「世界の配置図か」
「そうそう。世界ってふわふわ自由にあるように見えて密接なバランスでそんざいしてるのよ。その中でもこの世界が崩壊したら全てのバランスが崩れちゃうっていう大黒柱があるのよね。どこに在るかはわからないんだけど。それを探して保護しちゃってね」
④世界の大黒柱の保護がクエストに追加された。
「さて、まずはどの世界にいってもらおうかな~っと!」
紫はまたもやそこら辺のスキマから何かを取り出した。
それは祭の出店にあるようなくじの箱であった。
紫はその中に手を突っ込むと紙切れを一枚引き当てた。
「ここか」
「随分とテキトーだな」
「一応この中の紙には大黒柱があるであろう世界をピックアップしてるからテキトーではないのよ。ではいってらっしゃい!!」
紫の叫びと共に霊夢たちの真下に巨大なスキマが出現する。
「ちょっ!?いきなり!?」
「さて、いきますか」
「終わったらぜってぇ帰らせてもらうからな!」
「さて、どんな世界があるか楽しみだ」
四人がそれぞれの気持ちを吐露しながらスキマへと落ちていく・・・が。
「あ!やべぇ!右手がまた引っかかって・・・」
当麻がまたスキマにつっかえていた。
「はぁ、ホントに規格外ね。あなたの右手は」
「早く助けてください!」
「まぁだからこそあなただけは『本物』なんでしょうけど」
「本物!?」
「貴方さえいればすべてが救われる。私がそうだったように」
「?」
「いってらっしゃい。『私のヒーロー』」
そう言って紫はトウマの右手を無理矢理スキマへと押し込んだ。
③
スキマへと無理やり押し込まれた当麻はスキマから出る時も引っかかってしまい、結構な勢いで飛び出さないと出られなかった。
その結果仰向けにどべぇっとほおりだされる形となった。
落ちたのはどこともわからぬビルの屋上。
「いってぇ・・・」
ゆっくりと起き上がりあたりを見渡す。
自分以外誰もいない、オティヌスさえいない。
どうやらスキマに入るタイミングが遅すぎて逸れてしまったようだ。
周りあるのは普通の街の風景だった。
「学園都市ほどハイテクじゃない。まさに普通の街って感じ・・・」
だが、その普通の街に。爆音が響いた。
「んな!?」
当麻はすぐに音の発信源を探した。
屋上の端へと向かい、鉄柵から身を乗り出した。
どうやらここからそれほど遠くないビルの密集地帯から爆発があったらしい。
「何かわからんが。まずはあそこに行ってみよう!騒ぎがあればあいつらもそこに来るかもしれない!」
行動方針を決めた当麻は体を戻し、ビルを降りようと振り向いた
が、振り向いた先には大量の『オレンジ色でカブト虫のような角を生やしたナニカ』がトウマを囲んでいた!
「は?」
思考がフリーズする。そして何?こいつらは何だ?なんで俺を囲んでるの?そんな疑問を浮かべる。答えは出なかった。
一つだけわかるのは、おそらくだが、たぶん。
「コイツら・・・敵だな」
そうつぶやいた瞬間。オレンジ色のナニカは体を弾丸のように細くして一斉に当麻にとびかかった!
「カブト虫じゃなくてスライムかコイツら!?」
当麻が身構える!
右手を前に出し、飛びかかって来るオレンジ色をどれを壊すのが最適かを経験則からはじき出す!
「こいつだ!」
無数のオレンジ色の弾丸の内の一つに右手で触れようとした・・・その時!
『Imyuteus amenohabakiri tron(エミュテウス アメノハバキリ トローン)』
「歌・・・?」
それは当麻が聞こえた声を歌だと認識すると同時だった。
ズギャンッ!!っと。
当麻の眼前に巨大な剣が降ってきたのである!
その剣は当麻の眼前に迫っていたオレンジ色の弾丸を全て打ち消した!
「こんなところにまだ一般人がいたとはな」
バカでかい剣の上から女の声が聞こえた。
見上げるとそこには蒼いロングヘアの少女が立っていた。
「どちらさん?」
『ヒーローは世界を超えてもヒーローだった。 シンフォギア篇』 開幕
つづく