ヒーローは世界を超えてもヒーローだった。   作:門太郎

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どうも~一年ぶりくらいの投稿ですかね
気長に待っててくれた読者様には申し訳ない。
では、第五話 どうぞお頼みしください!


第五話「力と責任と自己満足」

世界の崩壊を防ぐため様々な世界を旅することとなった上条、カズマ、霊夢、オティヌスの四人。

最初の世界で出会ったのはシンフォギアなる武器を纏い、ノイズなるバケモノ達と戦う少女たちと彼女らが属する組織「S.O.N.G」。

一時的に彼女らと協力関係を結ぶこととなった上条たちであるが、世界を救う手掛かりを掴めぬまま数日が過ぎようとしていた。

 

                   ⓵

 

「もうそろそろ進展が欲しいところね」

 

リビングのソファーで寝転がりながら霊夢がつぶやく。

ノイズは発生すれども自分たちの目標はしっぽすらつかめない。

つまりはノイズ退治以外の時は霊夢は暇を持て余しているのである。

 

「そうはいっても敵の情報がこっちにはほとんど無いんだからしょうがないでしょ~。ダラダラしてんなら夕飯の支度手伝ってくださいよ」

 

「2課のデータベースもあさってみたが、ここ最近でノイズ以外の異変は見受けられなかった」

 

オティヌスの方も有力な情報は手に入れられていないようだった。

そんな時、霊夢があることに気付く。

 

「なんか静かだと思ったら・・カズマは?」

 

「あいつならまたパトロールに行ってますよ。最近のバイトのない日はずっとです。どういう風の吹き回しなんでしょうかねぇ」

 

 

                   ②

 

 

市街地。

そこにはピョンピョンと建物の屋上を飛び回る。カズマの姿があった。

 

「ここにも何もなしか・・・」

 

当麻の話した通り、カズマは柄にもなく町中をパトロールしていた。

響と未来の約束が妙に気がかりだったのである。

もし、二人の約束の時間にノイズが現れたら・・・。

 

「やっぱり、柄じゃねぇよなああああ!」

 

と、呟きつつもパトロールをやめようとはしなかった。

現在は夕方5時。あと数時間で約束の時間がやってくる。

 

 

                    ③

 

 

ここは、海岸沿いにある潰れた教会。

夕焼けが辺りを照らし出す頃、教会内の闇の中に蠢く影が3つ・・・。

黒いドレスを身にまとったロングヘアの女性、当麻が出会った黒マント、そしてスーツにサングラスをかけた白髪の男。

 

「あなた達の協力を受ければ私の計画は格段に進むということだけど・・・。それが真実という保証がないわね。それにお前たちは私の世界も破壊するつもりなのだろう?」

 

「協力者の世界を破壊したりはしないさ。保証については行動で示そうと思う。お近づきのしるしも持ってきた」

 

黒マントが懐から尖った真っ黒の鉄の塊のようなものを取り出し、女性に渡す。

 

「これは・・聖遺物か!」

 

「ああ、まぁ、完全じゃないし『外もの』だけどな。それを使えばあんたの持つ『鎧』をさらに強化できるはずだ」

 

女性は少し考えると、男に一つ問うた。

 

「もし協力するとしたら・・・次はどうするつもりだ?」

 

「上条当麻を消そうと思う」

 

「あいつか・・」

 

「あんたの計画を進めるにあたって最も警戒すべきは奴だ。あいつの右手はその気になれば計画そのものをご破算にしちまう代物だ」

 

「で、どうする?」

 

「『こいつ等』を使う」

 

黒マントの取り出したのは2枚の紙きれ。

そこには魔法陣が書き込まれていた。

 

「え~と、『顕現せよ!ランサー/ディルムッド・オディナ、バーサーカー/ランスロット!』」

魔法陣から光がはなたれその中から二人の人間が出現する。

 

「一体なにを!?こいつらは?」

 

「ああ、こいつらは別世界から拾ってきた・・・まぁ・・・使い魔さ」

 

「外見は人間ではあるが中身は別物にかんじるな」

 

「戦闘能力だけならシンフォギア奏者以上だぜ。こいつを当麻とカズマに差し向ける。倒せやしねぇだろうが情報収集くらいにはなるだろ」

 

黒マントは出現した使い魔二人に写真と地図を見せた。

 

「こっちがカズマでこっちが当麻だ。地図のマークしてある場所にいる。カズマはランスロット、当麻はディルムッドだ。じゃあ行ってこい」

 

ランスロットと呼ばれた鎧兜の人物は唸り声をあげてその場から姿を消した。しかし、ディルムッドと呼ばれた美形の青年はその場を動こうとしなかった。

 

「また、子供を殺せというのですか・・・」

 

「ま~だ前の世界でやらせたことを根に持ってんの?しょうがないだろ?ヒーローに出てきてもらうには関係ない一般人、特に子供を多くの人間の前でぶっ殺すのが一番早いんだから。今回は『首領』の命令だからこんな回りくどいことしてるけどな。ホントならもっとサクッとやりたいんだよおれはぁ」

 

「っ!!」

 

「お前の望みは忠義を貫くことだろうが!主人である俺の命令がきけないのか?」

 

「・・・・わかりました」

 

歯を食いしばりながらディルムッドはその場を立ち去った。

 

「お前、ほかの世界とやらでは随分と強引な方法をとっているのね。本当にヒーローになりたいのかしら?」

 

嘲るような笑みとともにそんな言葉が黒マントに投げかけられた。

 

「ハッ!俺は俺が成りたいヒーローになるんだよ!大体、組織の他の連中は甘いんだよ。一般人は極力巻き込むなとか、ヒーローになりたいならヒーローらしくしろとかさぁ!!どーせ世界を一から創るんだからどんなやり方だろうが関係ねぇだろうに」

 

「まぁ、確かにそうかもしれないわね。でも過程を蔑ろにする人間が大成できるとは私は思えないけどね。ふふっ」

 

「ふん・・・。おい!ムジョウ!!」

 

彼女の言葉にイラつきつつ黒マントはムジョウという男を呼び寄せた。

 

「何か御用ですか?」

 

ムジョウと呼ばれた男は白髪で黒のスーツにサングラスをした格好であった。

 

「ディルムッドをつけろ。余計なことしそうだったらこの魔法陣にまた戻しちまえ」

 

ムジョウに先ほどディルムッドを召還した魔法陣が書いてある紙を渡す。

 

「『取り込んでも』よろしいですか?」

 

「あぁ、そうか。そうだな。従わないってなら食っていいぞ」

 

「くくく、了解しました。サーヴァントというのはいいですね。あれほどのエネルギーの塊を取り込めばどれほど力を得られることか!」

 

不気味な笑みを浮かべながらムジョウはディルムッドの消えた方角へと走り出した。

 

「ハナッから喰う気まんまんじゃねぇか!さ、て、ここからだぜ~異世界のヒ~ロ~さんたちよぉ!!」

 

ギャハハハハと嫌な笑い声が教会に響いていた。

 

 

                   ④

 

 

夕方も過ぎ、夜になった。辺りはとっぷりと闇に包まれている。カズマはそんな闇の中をピョンピョンと飛び回る。柄にもなく誰かの約束のために働いている。響と未来の約束、守ってやりたいと彼が思うのは彼の過去の境遇からだろうか。

当麻と霊夢もパトロールへと引きずり出されていた。

 

「な~んでアタシまでこんなことしなくちゃいけないのよ!」

 

ダラダラと町中を歩く霊夢。ぶつくさぶつくさ文句を垂れ、隣にいる当麻がそれにフォローを入れている。

 

「カズマが珍しく頼んできたんですから。やってあげましょうよ霊夢さん」

 

「あんな上からの言い方は頼んでるとは言わないわよ!」

 

「まぁ、言い方はアレでしたけど。にしても、ずいぶんと響のこと気に入ってるんだなあいつ」

 

「確かに。もしかして・・LOVEだったり?」

 

「あいつに限ってそれはないですよ」

 

「だよね~」

ハハハとふたりで笑っていた時。

 

<ヴ~~~~~>

 

「あ!来た!」

 

「カズマの勘が当たったみたいね」

 

すぐに携帯に出る当麻。しかし!

 

「ッ!!当麻!よけなさい!」

 

いきなりゲシっと霊夢に蹴飛ばされる当麻。その直後

 

ザンッ!

 

当麻の真上から何かか降ってきた!

それは『槍』。全てが真紅に染まった『槍』であった。

 

「ゲホッ!?なん・・・!」

 

体制を整えつつ槍の降ってきた方向を見渡す。

すると槍を泣けたであろう人物も降ってきたではないか。

一言で言うなら眉目秀麗。なんとも美しい顔立ちの男であった。

 

「誰よ。このイケメン。当麻の知り合い?」

 

「俺の知り合いにはここまでのイケメンは・・・いるっちゃいますけど。トールはもっと中性的っていうか。まぁ、知らない人ですね。ハイ」

 

「我が名はディルムッド・オディナ、君たちに恨みはない。しかしマスターの命なのだ!」

 

地面に刺さった槍を引き抜き、当麻達に向き直るディルムッド。

そして三人の周囲に大量のノイズがわき出す!

 

「なんだ!こいつの周りからノイズがわきやがった!?」

 

「ノイズの発生源。もしくはノイズを操るすべを知ってるってことかしらね」

 

(あのムジョウという男の仕業か!余計なことを!)

 

ムジョウはディルムッドと当麻達の様子をビルの上から眺めていた。

 

(保険ですよ。貴方には注意しろと言われていたのでね。ノイズをお借りしてきたのです。これであなたも奴らも逃げ場はなし。まぁ私一人いれば事足りるとも思うんですがね)

 

前門には槍男、後門にはノイズ。どうにももう一方のノイズの撃退には迎えそうにない状況。

 

(くそ!ワリィカズマ!)

 

 

                    ⑤

 

 

カズマはSONGからの連絡を受けていた。

聞かされたのは当麻達の現状。新たな敵の出現であった。

 

「邪魔しやがって!俺だけでも早く向かって!!」

 

ビルの上をアルターで殴って跳躍するカズマ。向かうはノイズが発生した地下鉄の駅。

玄十郎からは響を呼び出すまでの猶予は1分だと告げられた。全力で跳べば間に合う距離だ!

 

「あいつ等の邪魔だけはさせねぇぞ!」

 

だがカズマのその願いを・・・『電柱』が・・・阻んだのである!

 

「なっ!?」

 

正確に言うと、電柱らしき黒色の柱がカズマに向かって突っ込んできたのだ!

間一髪体をひねってかわすカズマ!

 

「なんだテメェは!!」

 

視線の先にいたのは漆黒の鎧をまとった騎士であった。

黒騎士はガードレール、標識、バイク、コンクリ、その辺にあるものをひっつかむと次々とカズマへと投擲する!

 

「Wooo・・・・・」

 

「上等だ!俺を邪魔するってんなら覚悟しろよ!」

 

カズマも体を敵へと向け拳を構える!

 

「衝撃の・・ファーストブリッド!」

 

投擲されたものを薙ぎ払い、一直線に黒騎士へと突っ込む!

黒騎士も投擲が無駄だとわかると腰に下げていた剣を引き抜きカズマの拳へと突き立てた!

 

ガオオオオオオオンッ!!

 

町中にすさまじい轟音と衝撃波が起こる!

 

 

                   ⑥

 

 

S.O.N.Gでは玄十郎が難しい顔をして座していた。

 

「司令、もう時間です。カズマ君と響ちゃんには悪いですが・・・」

 

「・・ああ、そうだな。避難警報!そして立花くんと翼を呼び出してくれ。当麻君たちの方には翼を行かせる。地下鉄の方には立花くんを」

 

「はい・・・」

 

「あ~あ、カズマ君多分キレるわよ。あたし知らないから」

 

「これが俺の仕事・・・いや使命だ」

 

「そうね・・・」

 

                   ⑦

 

 

霊夢と当麻は大量のノイズたちを撃滅しつつ槍男と戦っていた。

霊夢は弾幕でノイズを蹴散らし、当麻は槍男とタイマンを張っている

ヒュンヒュンと当麻の周りに槍の刃が襲い来る!しかし当麻はそれを皮一枚で避け続けていた。

 

「貴公はすさまじい眼を持っているな。ただの人にここまで槍を避けられたのは初めてだ」

 

「ちょっと当麻!ノイズはあたしが引き受けてやってんだからとっとと終わらせなさいよ!」

 

「無茶言わないでください!こちとら体力はパンピーなんですよ!この人めっちゃ達人じゃん!バケモノじゃん!避けるので精いっぱい!」

 

一般人がその達人の攻撃をかわし続けているのも異常だということには気づいていない。

 

「目を見ればわかる。君はそのままで幾つもの修羅場をくぐって生き残ってきたのだろう。強いわけではない。しかし、その「力」は敬意を払うに値する」

 

ディルムッドはさらに強く槍を握りしめる。

当麻はそれを見て冷汗が流れた。

当麻は避け続けるうちに気付いていたのだ、ディルムッドの戦う意思が揺らいでいることに。理由は知らないが戦いたがってはいなかった・・・今までは。

 

(相手を強敵と認めて本気出すパターンですかこれ?勘弁してくれよ・・・!!)

 

当麻が身構えようとした時、いきなり当麻の眼前に槍の刃先が現れた。

 

(は?)

 

思考が追い付かない。避けられない。ただ一つ解ることは、これがディルムッドの本来の速さだということ、先ほどまでまさに彼は当麻との真剣勝負よりも子供を殺すという罪悪感の方が勝っていたのだろう。しかし当麻の力を認めた今の彼には揺らぎ、油断は微塵もありはしない!

 

(死ん・・)

 

当麻の眉間に槍の先端が突き刺さった!

瞬間!

 

ギャッ!!

 

槍が宙へと弾き飛ばされた!

 

「なに!?」

 

当麻を救ったのは青い刀身の刀。それがディルムッドの槍を下からすくい上げるように弾いたのだ!

だが、ちょっととはいえ槍が刺さっていたので当麻の額が鮮血を吹き出す。

 

「いってぇえ!?つ・・翼!ありがとう!」

 

「まったく、余計な手間を増やさないでほしいな!役に立たないなら、司令部に戻れ!」

 

「ははは。反論できねぇや・・」

 

翼は当麻の前に立ち、ディルムッドに向き直る。

 

「彼女は・・・・」

 

翼の登場にディルムッドは動揺していた。マスターの命で戦うべき相手は当麻であるが、彼女が邪魔をするのは必至。相手はシンフォギア奏者、全力で戦わねばやられるのはこちら・・。

その様子を見ていたムジョウは携帯を取り出し、黒フードに連絡を取った。

 

『あんだよ!?終わったのか!』

 

「いえ、シンフォギア奏者の邪魔が入りました。風鳴翼です」

 

『あ~、そいつに関しては殺ってもいいってアイツが言ってたぜ。今はもう立花響がいるからいいんだって。殺しちまえ。あ、もし殺すなら聖遺物は回収しろとさ』

 

「了解しました」

 

携帯をしまうとすこしムジョウは不服そうな表情であった。

 

「ざんねん、シンフォギアとやらも吸ってみたかったのですが・・さて」

 

ムジョウはディルムッドの召喚サークルを取り出し、念話を行う。

 

(ディルムッドさんお許しが出ましたよ。彼女、殺してもいいそうです)

 

(お前はムジョウ!だが、しかし・・・!!)

 

(聞き分けがありませんね~。『マスターとして命ずる。眼前にいる敵をすべて殺せ!』)

 

(っ!?貴様がなぜ!?・・・ぐっ!?)

 

頭痛が走る。頭の中からこみあげてくるのは大量の殺意。

殺意に理性が縛られていく。

 

(今あなたへの命令権は私に譲渡されているのですよ。さぁ早くやってしまいなさい!)

 

不敵な笑みを浮かべながらディルムッドに容赦なく下された命令。

彼の忠義は心なき者によって踏みつけにされていく・・・。

 

(わたしは・・・私の・・・忠義は・・・!!)

 

 

                     ⑧

 

 

当麻と翼、そしてディルムッドの夕闇に染まる公園での死闘は最終局面を迎えようとしていた!

 

「この男の相手は私がする。お前は早く立花のところに迎え!」

 

「了解!」

 

当麻は躊躇なく翼に背を向け走り出す。

自分が足手まといにしかならないことが分かっている以上ここに残るメリットは一切ないのだ。

だが、それをディルムッドが許すわけもない!

 

「ガァアアア!!」

 

唸るような雄たけびとともに当麻の背に飛び掛かるディルムッド。

 

「お前の相手は私だろう!」

 

『蒼ノ一閃』!

 

放たれた蒼い斬撃がディルムッドを襲う!

ディルムッドは素早く身をかわし、標的を翼へと変更。

瞬間、翼の視界からディルムッドが消える。

 

「どこにっ!?」

 

周囲の木々からザザザッと騒がしく音が鳴る。

どうやら木の上を高速で跳びまわっているようだ。

 

(落ち着け、木の音を追えば居場所は・・・!)

 

翼が跳び回る音に集中しようとした時、それを見計らったかのように何かが翼へと投擲された!

 

ガギンッ!

 

とっさにそれを剣で払う。

 

「槍!?」

 

それはディルムッドが持っていた槍の一本。しかしディルムッドの姿はない。

 

「奴は・・・ン゛ッ!?」

 

いきなり、翼の腹部で熱が弾けた。視線を落とすと、そこには自分の腹を貫いた金色の槍の先端が見えていた。

 

(痛ぅッ・・・!!背後からの奇襲!そんな古典的な手に・・・私が気づきもしないほど殺気と気配を殺して・・・。しかも、シンフォギアを貫通する武器だと・・・!?)

 

血を吹き出し、崩れ落ちる翼。頭上からはすでにもう一本の槍を拾ったディルムッドの追撃が迫る!

 

(私は・・・まだ・・・奏・・)

 

目の前が闇にのまれかけたその時。

 

『やっぱりこうなるのかああああ!!』

 

当麻が掛け声とともに翼に迫るディルムッドを蹴り飛ばしたのである。

ディルムッドは翼に突き刺さっていた方の槍を手放し、体制を整え直す。

 

「お・・・なぜッ・・・・ぐ・・・」

 

「はいはい、なんで戻ってきたかって言いたいんですよね!なんとなくです!ハイ!どうにも不幸な予感はしてたんですがやっぱりこれもヒーローの性ってやつなのかと悲しくなってきてるところですよ!」

 

「カミジョウ・・・・トウ・・マアアアアアア!!」

 

「なんだ?さっきと様子が・・・」

 

当麻がディルムッドの豹変に怪訝な表情をしていた一瞬。

ディルムッドはまたも高速の挙動で当麻の懐に入り込んでいた!

 

(げ・・・また死んっ!?)

 

ドヒュッ! 槍が当麻の顔面に向かって突き立てられる!

だが、槍の刃先が空を切った。そう、当麻の頭部がその場から消えていた。

当麻が「ディルムッドの槍筋を完璧に見切って躱した」のである・

 

「ッ!?」

 

マスターの命令で縛られていたディルムッドであっても驚きを隠せなかった。

だが、その驚きが命取りであった。

当麻はすぐさま反撃に転じ右手をディルムッドへ振り回した!

殴るではなく触るのを優先したのだ。

 

ディルムッドもそれに気づき、バックステップを取るが少し遅かった。

振り回された当麻の右の指先がディルムッドの右ひざを捕らえたのだ。

 

ビキィッッ!!

 

「ぐぅッ!!」

 

ただ、掠めただけで右膝が砕き割れる!

 

「やっぱお前ただの人じゃなかったってか。右手が直接体に効くなら俺にも勝算ありそうだな!」

 

「オ・・・オオオオノオオオレェエエエエエ!!」

 

怒りに苛まれたディルムッドがさらに鋭く、速く槍を振るう。

しかし、それすら当麻は見切りきっていた。

当たらない。先ほどまで素人同然であった上条当麻に一体何が起こったのか!?

 

「さぁ~て・・・お前は何なのかな?」

 

『大星覇祭で一回見たとも思うが?』

 

「御坂が暴走したときか?あの時の記憶あいまいなんだけど」

 

『私の名は竜王の邪眼(ドラゴンアイ)。はっきり言って出たくはなかったが。緊急事態だ、しょうがない』

 

当麻の右手首から手先にかけて重なるように出現していたのは巨大な竜のヴィジョンだった。

一体、当麻に何が起きたのだろうか?

 

 

                   ⑨

 

 

カズマに襲い掛かってきた黒騎士との対決は一足早くに決着がついていた。

周囲は惨状。先ほどまで人が暮らしていたとは思えないほどの破壊っぷりであった。

その惨状の中心で満身創痍のカズマがシェルブリッドで黒騎士の体を貫いていた。

 

「背骨・・・もらったぞ!」

 

ズブリっとカズマが拳を引き抜くと、黒騎士は力なくその場に倒れ、消滅した。

 

「何だったんだよこいつはよぉ!・・・はやく・・ノイズを倒しに・・」

 

ブブブブブブブブ。

携帯に着信が入った。玄十郎からである。

 

「なんだ!今からノイズのところへ向かうところだ!ちんたら話す暇は!」

 

『立花君を向かわせた。まだノイズの反応があるので彼女と合流してノイズをせん滅しろ』

 

「・・・テメェッ・・・!!」

 

『話は終わりだ』

 

一方的な命令だけを告げて、通話は終了した。

 

「・・・クソッ!!」

 

歯をかみしめて、現場へと急ぐカズマ。

目的の駅に到着したときそこにはまだノイズの姿があった。

 

「テメェらぁあああ!」

 

怒りに任せてシェルブリッドを放つ。

爆発とともにノイズたちが吹き飛んでいく。

そして、ノイズが全ていなくなったその場に響が立ち尽くしていた。

 

「響!」

 

「・・・カズマ、さん」

 

「お前・・・ダチとの約束は!?」

 

カズマが響に駆け寄った時、ぎゅっとカズマの胸に響が飛び込んできた

 

「・・・カズマさん。私にも守りたいものがあるんです。・・・守りたかったんです」

 

親友との約束を守れなかった自分への罪悪感で響は圧し潰されそうになっていた。

そんな響の頭をカズマはぐりぐりと優しく撫でた。

 

「っ・・!!カズマさん・・」

 

「泣いていい」

 

「え・・・」

 

「お前は、泣いていいんだ」

 

「っ・・・う、うっくぅ・・・・」

 

いきなりシンフォギアの力を手に入れた響だったがその力は責任となり、響の心を圧迫していたのだ。親友との大切な時間すら殺してしまう責任に響はいっぱいいっぱいになっていたのだろう。響は声を押し殺すようにカズマの胸で泣き崩れた。

 

(・・・・許せねぇ!!)

 

カズマの中の玄十郎への怒りは沸々と燃え広がっていた。

 

 

                   ⑩

 

 

ここはカズマたちが居た場所から少し離れたビルの屋上。妙な格好をした少女がそこからカズマたちを眺めていた。

 

「アンナのがホントに役にたつのかよ?」

 

そこにムジョウも現れる。

 

「あんたは・・・」

 

「いやいやありがとうございます。こちらのノイズの手配までしてくださって」

 

「ついでだよ。あんたの方はどうなったの?黒い騎士みたいなやつやられちまったみたいだけど」

 

「ランスロットの方は想定内ですよ。あの程度の力では奴を殺せはしません。ディルムッドの方はもうだめそうだったので捨ててきました。想定外なことも起こりましたしね」

 

「想定外・・・」

 

「上条当麻。やはり貴方たちの目的に一番邪魔になる人間でしょうねぇ。こちらも急ぐ必要がありそうです」

 

上条当麻に覚醒した想定外の力・・・・その正体とは?

 

                               To be continued…

 




司令と喧嘩してSONGに顔を出さなくなってしまったカズマ!しかし、響の強くなりたいという思いに巻き込まれ二人で玄十郎に鍛えられることに!?

当麻はノイズとの戦いに悪戦苦闘する中で新たなシンフォギア奏者に襲われる!?

霊夢はあいも変わらず家でごろ寝していた!

次回!第六話「家事スキルは女子の嗜みだというのは前時代的だろうか?」

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