ラブライブ! ~お嬢様と一つ屋根の下~   作:軍曹ニキ

16 / 24
key.16 いつかは戦うべき相手

いざラブライブに出場しようとなると1つの問題が浮かび出た。

ごく当たり前のことではあるのだが、学校の許可を取らないといけないということだ。

 

生徒会を通じて学校の許可を取ればいいだけの話。そんなこと気にする必要もないと思っていたのだが、どうやらそう簡単な話ではないらしい。

 

「つまり、生徒会長の目の敵にされてる…ってことですか?」

 

「目の敵にされてる、って程でもないんけど…どうにもスクールアイドルを認めてくれなくて…」

 

今に思い返してみれば、講堂での最初のライブ。

活動を続けるか否かを、生徒会長が直接あの場で聞いてたあたり、スクールアイドルに対してあまり寛容ではなかったことが伺える。

新しく部を設立させずに、にこ先輩の居るアイドル研究部と無理やりくっつけさせようとさせられてたことにも合点がいく。

 

生徒会長の立場からすれば、廃校寸前の学校でいきなりスクールアイドルをやってみたら失敗して、笑い者になってしまう。ということは避けたいだろうからな。

 

 

…本当にそれだけだろうか?

 

実際に生徒会長と話をしたことがないから何とも言えないし、聞いた話だけで判断するのもよくない気がする。

 

「生徒会を通したくないなら、直接理事長に頼んでみたらいいんじゃない?」

 

「え!そんなことできるの?」

 

「確かに、《部の要望は原則生徒会を通じて》とはありますが、理事長のところへ直接行くことが禁止されているわけでは…」

 

「でしょう?なんとかなるわよ。親族も居ることだし」

 

「最終的にコネで解決か、金持ちらしい発想だな」

 

「人聞きの悪いこと言わないでよ!」

 

 

とはいえ真姫の案は割と名案な気もしたので理事長室へ行くことに。

 

穂乃果先輩が決心し、いざ入室しようしたのも束の間。

中から副会長、更に会長が出てきた。なんというバッドタイミング。

 

「何の用ですか?」

 

開口一番、生徒会長が俺達に聞いてきた。その言い方は冷たく、威圧的なものを感じた。

なるほど、こりゃ先輩達も生徒会を通すのを避けたいわけだ。

早々に怯んでしまう穂乃果先輩、講堂で堂々としていた姿はどこへやら。

 

「理事長にお話があって来ました」

 

思わず怯む穂乃果先輩たちの前に立って、真姫が先頭に出た。

 

「各部の理事長への申請は、生徒会を通す決まりよ」

「申請とは言ってないわ!ただ話があるの」

「…真姫ちゃん、上級生だよ」

 

思わず熱くなりかけたところへ穂乃果先輩が真姫を諭した。

…まあ、この状況で熱くなるなと言う方が難しいか。

 

こういう場合だと俺が前面に出るべきか。こういうことこそ俺の役目みたいなもんだ。

 

「すみません、理事長への申請の前に生徒会を通すという決まりは今初めて知りました。また出直してくるんで、その際には生徒会にお時間を頂くことになりますが、よろしいでしょうか?」

 

とってつけたような嘘でもいいからこの場を乗り切るのが先決だ。

生徒会長が何かを言いかけた途端、ドアのノックが中から聞こえてきた。

 

「どうしたの?」

 

外の会話が聞こえたのか、助け船がやってきた。

 

「何か話があるのかしら?それだったらこちらへいらっしゃいな」

「待ってください理事長!」

「まあまあ」

 

理事長が生徒会長を一言で制した。さすがの生徒会長も理事長相手には何も言えずか。

それにしてもこの理事長、頭が柔らかい、または察しがいいとでも言えばいいのだろうか。

生徒同士のケンカが勃発しそうだと思って仲介に入ってきたのだとしたら、とても鋭いお方だ。

 

中には部長であるにこ先輩、部の立ち上げに関わった2年生3人、そして一応マネージャーということで俺が入室することに。真姫、凛ちゃん、かよちんはドアの外だ。きっと会話を聞くためにドアに張り付いてるだろうけど。

 

俺もドアの外に居る予定だったが、穂乃果先輩が『生徒会長と理事長相手では緊張するから、居るだけでもいいし入って欲しい』と頼まれたので入ることに。穂乃果先輩に頼まれては仕方ない。

それにしても穂乃果先輩、俺のことを過大評価し過ぎてないか心配だ。穂乃果先輩に対してイエスマンになりかけてる俺が言えた話ではないのだが。

 

理事長にスクールアイドルの話を持ち掛けてみると、感触としては非常に良かった。

ここでもやはり生徒会長が反対していたようだが、理事長の前では歯が立たない。自分の思い通りにならなかったからなのか、怒ったまま退室してしまった。

 

しかし、生徒会長が会話の中で、

 

『生徒会も学校存続のために活動させてください!』

 

と言っていたのが引っかかる。

この話を聞く限りでは、生徒会長も学校の廃校を阻止したいとは考えているのだろう。しかし、名を売れる絶好のチャンスにもかかわらずスクールアイドルには批判的。

その理由は何か。

 

自分の手柄が取られるのがイヤだから?

それともただ単にスクールアイドルはお遊戯だと思うから?

 

謎は深まるばかりである。生徒会長と話が出来る機会があればいいのだが…。

女の子達が生徒会長と話をしたがらないなら、俺がすればいいだけのこと。別に俺は生徒会長に嫌われてるわけではない…よな?

ともあれ別に上級生に対して怯むこともないし、いつも通りに会話すればいいだけのことだ。

 

生徒会長が退室した後に、理事長は但し、と付け加えた。その内容は、

 

『今度の期末試験で、1人でも赤点を取るようなことがあれば、"ラブライブ"へのエントリーは認めませんよ』

 

とのこと。

 

なんだ、そんなくらいか。楽勝だな――――

 

 

 

――と思っていたのだが…。

 

穂乃果先輩、にこ先輩、凛ちゃん。この3人がその場で肩を落としているのを見て全てを察した。

 

 

ああ、この人たちは―― 

 

 

バカだったな、と。

 

 

・・・・・・・・・・

 

九九が出来ない穂乃果先輩。

小学校からやり直してください。

 

日本人だから英語は必要ないと言い張る凛ちゃん。

凛ちゃんはそもそも日本語力にも乏しい気がしないでもないんだが。

 

震えた声で赤点なんて取るわけないと言うにこ先輩。

先輩、持ってる教科書が上下逆です。

 

 

ダメだこの人たち…早くなんとかしないと。

 

 

「これでテストが悪くてエントリー出来なかったら恥ずかしすぎるわよ!」

 

「全くもって同感だ」

 

とりあえず凛は俺と真姫とかよちんで。

穂乃果先輩は海未先輩とことり先輩で。

にこ先輩は急遽助っ人として現れてくれた副会長が担当することになった。

 

副会長さんの行動には非常に助かるのだが、生徒会長の想いに反する行動を取って大丈夫なのだろうか?

色々事情があるわけだし、余計なことを言ってにこ先輩をなんとかするのを辞退されても困るし、ここは静観することにした。

 

「いつかスクールアイドルでインタビューを受けた時に、英語が出来ないのに英語歌詞を歌ってることがバレる時の方が恥ずかしいんだぞ?」

 

「いつかインタビューって… 今それを考える竜也君の方が「何か言ったか?」何でもないにゃ…」

 

鋭い眼光で威圧したら一発KOした。まったくもって失礼なこった。

 

「アンタ、英語には自信を持ってるみたいだけどどうしたのよ」

 

「英検とか持ってたりするのかな?」

 

「一応ガキの頃から英会話教室に行ったりはしてた。親に連れられて海外旅行にも行ったしそれなりに英語は喋れるんだよ」

 

「なんだ、海外旅行って竜也も人のことブルジョアって言えないじゃない」

 

「ブルジョアの旅行と庶民の旅行では重みが違うんだよ」

 

まあ、俺の家系も医者だし、そこの部分とは真姫の家系とは何も変わらない。

親父は金を貯めるのが趣味であり、家を豪邸にする趣味がないだけで資産はそう変わらないだろう。

 

普段からは質素な生活をし、必要な時に必要なだけ金を使う。それが我が家のモットーだ。

…最近では凛ちゃんをパフェを食べに行ったりと奮発することも多いが…まあ、必要なことだとしておこう。

 

「ま、そんなことはどうでもいいんだ。しばらく練習は休み。今日からでも勉強を始めよう。それでいいですよね、海未先輩」

 

「ええ、そうでもしないと穂乃果は勉強しないですし。今日からはミッチリ勉強を叩きこみますからね!」

 

「うぅ… 海未ちゃんも竜也君も鬼だよ…」

 

「え、俺も鬼に含まれるんですか」

 

「サラッと私が鬼だということを肯定しないで下さい」

 

いやだって…怒ったら修羅のような顔をしますし怖いですから。

 

今後のスケジュールを話し合うために海未先輩と一旦学校へ残って計画を立てることに。

他の人達は穂乃果先輩の家で勉強会だ。

 

ことり先輩ならうまく穂乃果先輩を勉強をやる気にさせてくれるだろう。

凛ちゃんにはかよちん…だとキツイこと言えないだろうなあ。そういう意味では真姫が居るから安心か。アイツに頼ることになるのは少し複雑だが。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

海未先輩と今後のスケジュールの話し合いも終わり、下校しようというところで、ある1人の女の子が視界に入ってきた。

どこかで聞いたことのあるような曲を口ずさんでいた。

 

――いや、どこかで聞いたというかこれはそもそもμ'sの曲だ。

 

一緒に歩いてた海未先輩と顔を見合わせて、お互いに確信した。

 

「他の人達は先に行っちゃいましたし、もしかしたら海未先輩を待ってるファンかもしれませんよ」

 

「い、いえ… 必ずしもそういうわけではないと思いますが…」

 

海未先輩はやけに謙虚だった。そういう性格だもんな。自分からは話しかけに行くタイプでもないだろうし。

それとなく女の子の見ているスマホ画面をのぞき込もうとして近づくと変な人に思われるし、ここはスルーするのがいいんだろうか。本当に出待ちの子だったらゴメンナサイだ。

 

スルーを決め込んで彼女達の目の前を歩いた瞬間、後ろから足音が聞こえてきた。

おいおい、音楽を聞いてて映像も見てたのに普通気づくか?

 

「あ、あの!園田海未さんですよね!?μ'sの!」

「え"っ… いえ、人違いです…」

「ちょっと先輩!」

 

せっかく勇気を持って話しかけにきてくれただろうに、この女の子の表情が曇ってしまっていた。

 

「いえ… 本物です」

「ですよね!」

 

海未先輩も観念して素性を明かした。なんで一手間かかるんだ…。

 

「それより、その映像は…?」

「はい!ライブの映像です!亜里沙は行けなかったんですけど、お姉ちゃんが撮影してきてくれて!」

 

「お姉…ちゃん?」

 

 

ということは、この亜里沙って子はこの音ノ木坂学院の生徒である姉を待っていた方か。

 

いや、それよりも気になることがある。

 

 

ライブの映像?

 

お姉ちゃん?

 

 

そこへ、妹であるこの子を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「――亜里沙!」

 

「お姉ちゃん!」

 

 

そうか―― やはりこの人だったか。

 

おかしいとは思っていた。

最初のライブ映像は穂乃果先輩たちが撮っていなかったにもかかわらず、サイトに動画がアップされていた。

それは必然的にあのライブの時に講堂に居た人がビデオを回していないと撮れないということになる。

 

あの時講堂に居たのは誰か。

 

ライブをしていた穂乃果先輩たち3人。

そのライブの手伝いをしていた穂乃果先輩たちの友人3人。

ライブを観に来た俺、真姫、凛ちゃん、かよちん。

あとは、希先輩。後から聞いた話だがにこ先輩も影に隠れながらそこに居たそうだ。

 

 

そして残る人はあの人しか居ない。

 

 

 

 

俺達の目の前に現れた人は――  生徒会長だった。

 

 




次回からは生徒会長ことエリチとの一件です。
アニメだともう7~8話くらいですね。


最近はサンシャインのアニメも面白いですしラブライブ充してます(


余談ですが、ちょこっとこれまでの一部のサブタイを変更、と共に章を追加しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。