ラブライブ! ~お嬢様と一つ屋根の下~   作:軍曹ニキ

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真姫ちゃんお誕生日おめでとう!

そんなわけで誕生日回を投稿させて頂きます!
時系列的には4月19日に合わせてのお話ですので、最も序盤の部分になります!
よってお互いの呼び名が最近の話とでは違ってたりするのですが、あしからず。
それでは読んでいただければ幸いです。


key.22.5 Let's Smile, Let's Smile!

 

人は誰しも1年に1度だけ特別な日がある。

 

その1つが誕生日だ。

 

正直、俺の誕生日は毎回テスト期間と被って誰にも悟ってもらえず、後になって「おめでとう」という言葉がもらえるくらい。

8月生まれの人なんかは特にそうだろう。夏休みに入っているから学校の友人に祝ってもらえずに、学校のある時期の友達が羨ましく思ったりだとか。

まあ、そのようなお祝いの言葉がもらえる立場なだけでもありがたいものと思うべきなのだろう。

 

しかし、世の中にはそのような言葉がもらえずにただただ物寂しい思いをしている者も居るのかもしれない。

 

友人付き合いが苦手で、自分の誕生日を言う機会がなかっただとか。

家族も忙しくてケーキだけが買って置いてあったり、ご馳走を一人で食べる誕生日になったりだとか。

 

そんなことなんて滅多にあるわけない、そう思っていた。

 

 

今回は、誕生日に少し孤独を感じてしまっていた、女の子のお話。

 

 

――――――――――

 

 

ふと思い出す。

 

今となっては、俺も真姫もμ'sというスクールアイドルグループに関わるようになってから沢山の仲間が出来た。

欲を言えばもっと早く仲間、友人と呼べる存在と出会っていれば良かったなと。

 

あれはいつだったか…

穂乃果、海未、ことり、この3人としてのμ'sのステージ発表すらまだだった頃のはず。

丁度、真姫が先輩たちの為に曲を作り終わったくらいの時期だったかな。まだお互いに名前で呼んでなかった頃だ。

 

今更ながらその時の話を語ることにしよう。

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

「竜也様、今日のご予定は既に決まっていますでしょうか?」

 

「いえ、まだ部活にも入ってないので特に予定はないですよ」

 

和木さんが予定のことを聞いてくるとは珍しいな。

外食する時はなるべく前もって連絡するようにとは言われているが、当日にこういうことを聞かれたことは今までになかった。

 

「そうですか、実は今日の4月19日なのですが、真姫お嬢様の誕生日なのですよ。

家族揃ってパーティを開くということですので、竜也様にも是非ともその場にいらっしゃって欲しいとお父様が言われておりましたので、宜しければ真姫お嬢様を祝って差し上げて下さいませ」

 

「なるほどです、わかりました。今日は早く帰ってくることにしますね。わざわざありがとうございます。」

 

和木さんに深々と頭を下げてその場を後にした。

 

しっかし、真姫ちゃんの誕生日が今日ねえ。割と急だな。和木さんならもっと早く言いそうなものだけれど、何か理由でもあったのだろうか気になる。

それにしてもプレゼントなんかは用意すべきなんだろうか。俺はまだあの子のことをそこまで深く知らないし参った。

 

何より家族水入らずのところに、俺なんかが介入していいのだろうか?

真姫ちゃんの父親さんが言っていたのだから気にする必要はないのか、俺も一応は家族の一員の扱いをされているんだ。それなりに俺も恩を返さないとだな。

 

ここ最近お互いにタメ口を聞き始めた時期なだけに、急に祝い事をするのはちょっと癪な気もしてきたが、さすがに誕生日くらいは祝わないとだ。

 

 

 

と、思ったはいいものの。

 

 

 

 

「なあ、女の子が誕生日に喜ぶプレゼントって何だろう?」

 

「急にどうしたのかにゃ?」

 

 

 

 

生まれてこの方誕生日に女の子に対してプレゼントなど買ったことなどなかった。

もっと言えば女の子どころか男友人や親族にすらプレゼントを買ったかどうかですら怪しい。

 

そこで、しばらく仲良くさせてもらってる女の子である凛ちゃんとかよちんに意見を求めた。

 

「誰か好きな女の子にあげたいとか…?」

 

「別に特別好きというわけでもないのだが、真姫ちゃんにだな。今日が誕生日らしくてね」

 

俺が真姫ちゃんのことを好きとかないない、いくら医者の娘で金持ちで将来有望でもあんな性格のキツイ女の子はちょっと…な。

 

「西木野さんか~。でも私たちも西木野さんのことはあまり知らないよ…?」

 

「確か竜也君は一緒に暮らしてる…というか居候してるんだよね?だったらあの子の趣味とかよくわかってるんじゃないのかな」

 

「趣味…で言うならたぶんピアノだな」

 

果たして趣味と言い切っていいのかわからないが。

 

「じゃあピアノを弾く人だったら、それこそピアノに関するものだとかをあげればいいと思うにゃ!」

 

「ピアノに関するもの…?」

 

それが分かれば苦労しないよ、とは言えなかった。仮にも相談してもらってる立場だし。

 

「選ぶのが難しかったら普通にお菓子とかでもいいと思うよ。私だったらそういうのが逆に嬉しいかも。あまり高価なものをもらって恐縮しちゃうから」

 

「かよちんはお菓子よりもおにぎりを作ってあげる方が喜びそうだけどにゃ」

 

「お菓子よりもお米を選ぶ女の子ってあまり聞いたことないぞ…」

 

「凛ちゃんは余計なこと言わないでっ!」

 

少し難しい顔をしてしまったのが伝わったのか、かよちんが別の提案をしてくれた。

気が利く子だなあ。真姫ちゃんにも見習って欲しいくらいだ。

 

「2人ともありがとう。参考にさせてもらうよ、今日の放課後にでも買いに行ってくる」

 

「どういたしまして、また事後報告でも聞かせてね」

 

「どういたしましてだにゃ」

 

「あ、言い忘れてた。かよちんの誕生日はおにぎりを握ってくるようにするよ」

 

「それ賛成だにゃ、かよちんの誕生日は1月17日だよ~。あ、ついでに凛の誕生日は11月1日だから覚えておいてね!」

 

「やめてよぉおおおおおお…」

 

サラッと自分の誕生日を宣伝したぞこの子…。

こういう厚かましさも凛ちゃんらしさに溢れてるな。

 

 

 

そして放課後。真姫ちゃんはいつものように音楽室へとさっさと向かっていったようだ。

…いや、もしかすると穂乃果先輩達の練習をこっそり覗きに行ったのかもしれないな。

まあいずれにせよ、俺の行き先とバッタリ会うことは…ないか。これまで一緒に帰ることはほぼなかったし。一緒に住んでる身同士なのにそれはそれでどうかと思うが。

 

さて、放課後になったとはいえプレゼントが未だに決められていなかった。

ピアノに関するものはいくつか浮かんできた。お菓子もいくつか浮かんできた。

 

しかし、だからと言って俺のチョイスで喜ぶものなのだろうか?

相手はその気になれば何でも手に入れられる程の財力を持っている。

少し見栄を張ったところで意味がないのは丸わかり…。だったら俺は何をプレゼントするのが正解だろうか。

 

かよちんはあまり高価なものをもらっても恐縮しちゃうと言っていた。

だからといってあまりにもチープなものは…。

 

だとすれば俺が選ぶべきなのは、"真姫ちゃんが知らないであろうもの"なのだろう。

安価か高価か、そこは関係ない。大事なのは新鮮さ。

 

そういう結論を出した俺はある店へと足を向けた。

 

最近少しは距離が縮んできたんだ。

なんやかんやで喜んでくれるといいんだが。

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

家に戻ると、食卓では和木さんがせっせと支度していた。俺も和木さんを手伝うべきなんだろうが、あれほどテキパキとされているのを見ては逆に手を出さない方がいいような気がしてきた。

真姫ちゃんも既に家へ帰っていたようだ。

 

「あら帰って来るの少し遅かったじゃない、今日のこと聞いてないの?」

 

「ちょっと野暮用でね。勿論聞いてる、先に言っとくよ、おめでとう」

 

「思ってたより素直に言うじゃない。好意的に受け取っておくわ」

 

相変わらずそっけねえ…。

人がせっかくプレゼントを用意してやってるというのに…。

そんなドヤ顔であげられる代物ではないが。

 

 

食卓の時間になると俺も真姫ちゃんも和木さんに作って頂いた料理を眺めながら、真姫の両親が仕事から帰って来るのを待っていた――

 

――のだが、帰って来ると伝えられていた時間よりもやや遅かった。

何もせずに真姫ちゃんと2人きりでの空間ってのは相変わらず落ち着かない。お互いに大体同じ時間に食事を取ってるとはいえ、食事を取るだけで会話はほぼない。和木さんも極力プライベートには触れないように配慮していると話を聞いたことがあるのだが、こういう場合は居てくれる方がありがたい。

 

目の前に料理があるのに無言も辛いので話題を降ることにした。

 

「ご両親、遅いな」

 

「どうせ仕事が忙しいんでしょ、まったく…」

 

せっかくの誕生日なのにと、不機嫌そうだ。

まあ家族で祝ってくれる予定なのに、その家族が居ないのでは仕方ないか。

 

両親が忙しい家庭だとこういうことがあるから、気持ち的に辛いところはあるのかもしれない。

俺自身も両親がよく仕事で出かけていて1日の起きてる間に会うことがない、ということもしばしば会った。

今でもこうやって真姫ちゃんの家に居候しているわけだし、両親が居ない生活にもすっかり慣れてしまった。

 

俺の場合はあまり寂しさを感じないのだが、真姫ちゃんは仮にも一人の女の子だ。俺はともかく、和木さんが居るとはいえ、家族が居ない誕生日なんて物寂しいことだろう。

真姫ちゃんの両親も、1年に1度の娘の誕生日だし、今日はさすがに日程を合わせてくれるだろうと思っているのだが…。

 

 

現実はそう甘くなかった。

 

 

携帯に電話がかかってきたのか、和木さんの声が聞こえてくる。

 

 

「お父様、しかし…」

 

 

何やら不穏な会話が聞こえてくる…。

すると和木さんが真姫ちゃんを手招きして電話口へと呼ぶ。

 

「何よそれ…! パパは私のことどうでもいいってことなの!?もういい!!」

 

そう言って真姫が受話器を置いた。

まあ、大体の想像はついた。父親さんが仕事が忙しくてなかなか帰ることが出来ないのだろう。おそらく母親さんも同様に。

 

俺が困った顔をしていたからだろうか、和木さんがとても申し訳なさそうにしていた。和木さん本人は何も悪くないのに。

とはいえこりゃ参ったな、家族水入らずのところに俺が居ていいのだろうかと心配してる場合じゃなかった。

 

「…何よ、パパもママも…私のことなんかどうでもいいってことなの!?」

 

「お父様もお母様も決してそういうわけではないと思います…」

 

「でもせっかくの日なのに!」

 

親が働いてばかりで自分に構ってもらえない。

真姫ちゃんは昔からこういうことばかりだったんだろう。

 

真姫ちゃんが和木さんに八つ当たりたくなる気持ちもわかる。

しかしこれでは和木さんが気の毒だ。かといって俺が言っても慰めにはならない、か…。

 

何か声をかけて、なだめてあげるのがいいんだろうが…。

 

「…仕事なら仕方ない。医者って職業柄は大変なんだよ」

「…何よそれ、アンタに何がわかるっていうのよ」

 

苦し紛れに出てきた言葉は、少しばかり語弊がある言い方になってしまった。

 

「別にわからないってわけでもないさ。現に俺だって親の都合でこの家に居候させてもらってるわけだから。ただ、ちゃんと電話を入れて直接真姫に何か言ったんだろう? だったら父親さんが真姫ちゃんのことをどうでもいいだなんては思ってないはず」

 

親が唯一の娘の誕生日をどうでもいいと思うだなんて、そんなの悲しすぎる。

電話をかけて直接詫びたのだろう、そんな人は子のことを大事に思っているに決まってる。

 

「今までの誕生日がどうだったのかは知らない。ちょっと失礼なことを言ってしまったら悪かった。ただ、親が自分のことをどうでもいいと思っていることはない、それだけは言っておきたかっただけだよ」

 

「…なんでそう言い切れるの?」

 

「なんとなく、と言ったらアレだな。物心ついて10年近く生きてると親がどういうことを考えてるのかってわかるものだって。というか、真姫ちゃんも頭が良いならそれくらい想像はつくんじゃない?」

 

「何よそれ、褒めてるのか煽ってるのかどっちよ?」

 

「どっちもだな。人間、自分のことになると案外わからなくなるものだからね。ま、御託はいいから用意された食事でも食べようか」

 

「何をわかりきったようなことを…」

 

真姫ちゃんが一つ溜息を置いてから言った。

 

「でも、まあ… アンタに必要以上に慰められるくらいならこれでいいのかもね…」

 

ちょっと説教じみたことになってしまったが、皮肉を言ういつもの真姫ちゃんに戻ったようだ。

ただ、口ではこんなことを言っている俺だが親が考えていることなんてわからないことも多い。

今通っている音ノ木坂学院、それも元女子高を勧めた理由。

他にも選択肢はあったはずなのに、真姫ちゃんの家に居候させてもらった理由。

 

わからないことばかりの中で一つだけ言い切れることがある。

 

どれも"俺のことを想って"勧めてくれたのだろうということだ。

 

最初に真姫ちゃんの家に居候するという話は断っていた。

当たり前だ、いきなり会ったこともない同級生の女の子が居る豪邸に急に住むだなんて話が飛躍し過ぎる。

そもそも俺自身は家に1人暮らしという形でもよかった。

 

それでも、真姫ちゃんの両親と話をしっかりつけてきて、俺が受け入れてくれる体制を用意してもう一度話を持ってくるのだから困ったものだ。お節介にも程がある。

 

高校生の子供1人置いて地方へ赴任だなんて、世間体がどうだとか考えたのかもしれない。

それでも、俺がしっかり生活が出来るように色々なことを手配したのは俺の両親であることは間違いない。

それは、俺のことを大事にしてくれているからだろう。

 

あんな言葉でしっかりと伝わったのかは定かではないが、両親と少し溝が出来ていた真姫ちゃんにそういうことを教えてあげたかった。

 

「あー、そうそう。メシを食う前に先に俺から真姫ちゃんにプレゼントを渡すよ」

「あら買ってくれてたの? 別に用意してくれなくても良かったのに」

「せっかく居候させてもらってるわけだからな。ほら、誕生日おめでとう」

 

そう言ってビニール袋に入ったブツを渡す。

 

「ありがとう。…で、これは何?」

 

「ほー、日頃からイイモノばっかり食べてそうなお嬢様はやっぱり知らなかったか。だったらこれで正解だったな」

 

俺が真姫ちゃんにあげたプレゼント。

凛ちゃんやかよちんに言われたアドバイスの通り、俺はお菓子を選択することにした。

 

お金持ちのお嬢様が口にしたことがなくて、なるべく安価なもの。

思考回路を張り巡らせたが、結局この解答に行きついた。今度、凛ちゃんとかよちんにはお菓子でも買ってあげよう。

 

「一応これはお菓子…なのよね? 今まで見たこともなかったわ」

 

俺がプレゼントお菓子は、お菓子と言ってもただのお菓子ではない。

いわゆる「駄菓子」だ。

元々が安いために割と沢山の種類と量が変えたので見栄えもバッチリだろう、きっと。

 

「食事前だけど食ってみるか?」

「そうね、ありがたく頂戴するわ」

「まあ真姫ちゃんみたいな女の子にはこいつがいいだろうな…ほら、この小さいドーナツのやつ」

 

そう言って、中に4つほど小さなドーナツが入ってる袋を取り出した。袋から開けると砂糖の甘い匂いが漂う。

早速口へと入れた真姫ちゃんの反応は…。

 

「へえ…美味しいじゃない」

「甘くて分かりやすい味付けだからな、子供や女の子には持って来いなもんよ」

「他にもあるの? あ、これ4つもあるしアンタも食べる?」

「勿論。それならもらおうかな」

 

あまり甘いものは好きじゃないけど…これくらいならいいか。せっかく真姫ちゃんが楽しそうに駄菓子を頬張っているのだから。

 

笛のように音が出るガムだとか、色んな種類の味がある棒状のスナック菓子だとか、どれもこれも安価。色んな駄菓子を紹介し、その場で一緒に食べた。

本当にこういうことに触れたことはなかったんだろうな。小学校の遠足とかはどうしていたのだろうと気になるけど、まあいいか。

何より、今この瞬間に真姫ちゃんは新鮮そうにして喜んでいる。父親に怒っていたことなんて忘れてることだろう。

 

「そういえば、色んな菓子がある中で買えなかったものがあるんだ」

 

「こんなにいっぱいあるのに? どんなお菓子かしら?」

 

「いやー、トマト味のお菓子が見つけられなくてさ。そこだけはすまなかったってところ。たぶんだけど、真姫ちゃんってトマト好きだろう?」

 

そう言うと真姫ちゃんが驚いた顔をしていた。

 

「…なんで私がトマトが好きって知ってるの?」

 

「たぶんそうだろうなって思ってた。あれだけ食卓に何度もトマトが並んでいたら気づくよ」

 

「…アンタ、前にも思ってたけど結構鋭いところあるわよね」

 

「褒められてるのかわからないが、そりゃどーも」

 

ここまで和木さんに料理を作ってもらって、真姫ちゃんと同じメニューを食べていたがやたらとミートソースだとかの味付けが多い気がしたし、野菜サラダにはキッチリとスライスされたトマトが入っていた。

遅く帰ってくることの多い両親のことを思えば、和木さんが真姫ちゃんのために料理を作っていたのが容易に想像できる。となれば、和木さんは真姫ちゃんの好物をよく料理することが予想される。で、やたらとよく目にするトマト。そりゃ勘が良くなかったとしてもわかるさ。

 

「そんなにトマトが好きならトマト投げ祭りにでも行ってくればいいのに」

「"トマティーナ"ね。私は投げるより食べる方が好みなの」

「じゃあ来年の誕生日は真姫ちゃんの口を目がけてトマトを投げてみるか」

 

そんな他愛もない話をしていたら家のドアがガチャリと開く音がした。

しばらくすると仕事帰りの真姫ちゃんの両親がリビングに現れた。

思ったより早かったんだな。

 

「いやー…すまん真姫。今日はさすがに早く帰る予定だったんだが…」

 

「遅い…!!…ううん、いいの。竜也君と喋りながら待ってたから。ほらこれ、美味しいお菓子、駄菓子って言うのかしら。プレゼントにもらったのよ」

 

「そうなのか、わざわざ真姫のためにありがとう、竜也君」

 

「い、いえ…」

 

さすがに父親に頭を下げられると恐縮する。

なんだかんだで娘のことを想ってくれてるんだよな。難しい年ごろだからお互いに伝わらないこともあるのだろうけど。

 

 

「さて、今ママが予約してくれていたケーキを取りに行ってくれているから、帰ってきたらみんなでご飯を食べようか」

 

和木さんにすっかりと冷めてしまった料理を暖めるようにと父親さんが頼んだ。

まあ、何はともあれ一件落着だ。真姫ちゃんがあれだけピリピリしていたが、どうやら俺のプレゼントで少しは和らいでくれただろう。

居候は居候で大変だ。

 

 

・・・・・・・・・・

 

真姫ちゃんの母親が帰ってきて、一通り料理も食べ終わってケーキを食べて一服していたところ(因みに生クリームの苦手な俺は頑張って美味しそうに食べた)。

父親さんが真姫ちゃんを呼んでプレゼントを渡していた。

 

なるほどな、ああいうセンスか。さすがの一言だ。真姫もとても喜んでいる。

 

「…パパ。ありがとう」

 

そう言って真姫ちゃんが父親さんの頬に軽くキスをした。

 

あまり見慣れないものを見て少し驚いてしまい、飲んでいた水でむせてしまった。

いわゆる「ビズ」という文化は分かるのだが…日本ではあまり見かけないものだ。お嬢様の居る家庭ともなると色々と勝手が違うのだろうな。俺には少しついていけない話だ。

 

むせて咳き込んでいた俺を見て真姫ちゃんが「あら、アンタもこういうことやりたかったの?」と言ってきたのには少しばかりムッとしたが。俺にはそんなことに興味などない、断じて。

とりあえず、そんな減らず口を言う暇があるならお菓子返せと言っておいた。うーん、どう考えても返しとしては弱い。負けた気分だ。

 

色々とあったが、なんだかんだで親子仲は悪くはないようだ。

果たして同い年の俺が言っていいのかわからないが、難しい年ごろだし両親とのすれ違いがあるのも仕方ないのかもしれない。

その"種"がいつ爆発するのか、もしくはしないのかわからないけれども。

でもまあ… 最終的には当人たちでなんとかなりそうな気もする。だってビズをするくらいの仲の良い親子たちなんだから。

 

 

…さーて、俺は真姫ちゃんに何をプレゼントしてもらおうかな?

 

 









以上になります。なんやかんやで久しぶりの投稿になってしまいました…。
これからも細々と投稿していくのでたまに読んでいただければ嬉しい限りです。

それではまた次回にお会いしましょう!
次回からはまた本編の方に戻ります!
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