東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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はい、毎日四時間近く勉強していて早くも三日目で頭の中が腐ってきている犬走夜桜です。……今の時期赤点だけは避けたいです………。

本編百話を突破した、ということでお祝いになんと主人公である東雲橙矢君を描いて頂いてくださいました!
本当にありがとうございます!このイラストを頂いた時嬉しすぎて発狂していたのはここだけの話……。

ミサティさん作

【挿絵表示】



ではではどうぞ。


第百二話 二人の魔法使い

 

紅魔館で門番をしている美鈴は珍しく起きていた。

「なんでしょうか……眠れません」

あぁいやいつも寝たくて寝てるわけじゃないのだが。

何故か今日は寝てしまってはいけない気がしていつもより気を張っている。

フランドールが紅魔館を襲ってきた時に半壊していたところも完璧に直されていた。さらに地霊殿も直ったのか古明地姉妹もつい先日帰っていった。

「ようやく落ち着いてきましたね。……いえ、ひとつ足りないピースがありましたね」

いつかの執事の事を思い出して少し目を伏せる。

「……………橙矢さん」

すると前方からひとつの人影が現れた。

「ん、あれは………」

目を凝らすと件の少年がこちらに歩いてきていた。

「と、とうやさ―――――」

しかし少年の姿が消えた。

「あれ、何処に………」

次の瞬間下から強すぎる衝撃が美鈴を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――遡ること三十分前

 

何度目になるのかマスタースパークが飛んできて橙矢に迫る。

「……………………」

腕を地に叩き付けると衝撃波が生まれて相殺させた。

「恋符〈ノンディレクショナルレーザー〉!」

霧雨魔理沙は無差別に放つレーザーを三百六十度全体に撃った。

腕を強化させると振り上げる。レーザーを斬り裂くと振り上げた勢いで斬撃を放って妨害する。

「くそ……!」

「……………………吹っ飛べ」

一瞬で接近すると腹を蹴りあげた。

「ゴフッ………!?」

嘔吐いて上空に打ち上げられる。慌てて箒に跨がってその場から離れる。

瞬間下からデカすぎる斬撃が飛んできて魔理沙が元いた場所を通り過ぎた。

「………!」

冷や汗が頬を伝った。

「魔理沙援護するわ!〈グランギニョル座の怪人〉」

二人の間に割り込んできた七色の魔法使い、アリス・マーガトロイドがスペルカードを掲げる。

「チッ……」

追撃を諦めて後ろに跳ぶ。

「逃がすか!!アリス!」

「分かってるわよ」

アリスが指を動かすと橙矢の動きがピタリと止まる。否、止められた。

橙矢の身体には無数の糸が絡まっており、身動きが取れない状態だった。

糸の先を見ると四方に人形が木に張りついて固定していた。

「小癪な………!」

力任せに引っ張り、引き千切ろうとする。

「マズいわ……!魔理沙早く決めなさい!」

「分かってるぜ!魔砲〈ファイナルスパーク〉!!」

「……………ッ!」

橙矢が糸を引き千切る寸前に魔理沙の放った光の奔流が橙矢に直撃する。

「決まった……!」

「――――――決まってねぇよ」

「え?」

橙矢の声がすると同時に糸が切れた音が聞こえた。

「……………邪魔くさい」

次いで魔理沙とアリスの足下に何かが転がってきた。

焼け焦げた人形だった。

「あれ、何で人形が………」

その時地を踏みしめながら傷ひとつついていない橙矢が歩いてきた。

「俺がそれでお前のスペルを防いだ。それだけだ」

「橙矢………!」

「遅い」

気が付いた時には目の前に橙矢の掌が広がっていた。

「な―――――」

頭を掴まれるとアリス目掛けて投げ付けられる。アリスと激突すると鈍い痛みが二人に走る。

「………ッ!」

「ったいわね魔理沙!」

「わ、悪い……」

「いいからどきなさい!」

のし掛かる形となっていた魔理沙を蹴り上げてアリスは橙矢に弾幕を放つ。

しかしそこに橙矢はいなかった。

「ッ!何処に……!」

「後ろだ」

斬、という音が響いて血が舞う。

「グゥ………!」

振り向かずに糸を操って橙矢の動きを止める。その隙に距離を取る。

しかし橙矢は魔力で生成されている糸をいともかんたんに引き千切った。

「糸が………!」

「アリス!」

「邪魔だ」

庇うように飛び出た魔理沙を横から蹴り飛ばしてアリスに迫る。

「残念だったな人形遣い。お前程度じゃ俺を拘束するまでにもいかない」

下から斬り上げるとその勢いで魔理沙に向き直る。

足を強化させて上空に跳ぶと落下の勢いを使って刀を振り下ろす。

「甘いぜ!」

対して魔理沙はミニ八卦炉で刀を受け止めた。

とそこで橙矢少し目を見開いた。

「油断したな橙矢。恋符〈マスタースパーク〉!!」

刀を受け止めたままミニ八卦炉の先端部分に光が集中すると至近距離で魔理沙が持つ最大火力のスペルを放った。

「――――――ッ!」

避ける暇を与えず直撃して橙矢を吹き飛ばした。

「これでどうだ……!」

魔理沙も同様にマスタースパークを放った勢いで後ろに吹き飛んだ。

「魔理沙!貴方無事なの!?」

「あ、あぁ何とか無事だぜ……」

四肢に力を入れて立ち上がる。

「それより橙矢は………」

魔理沙の視線の遥か先に平然と橙矢が立っていた。

「……………魔理沙のマスタースパークを喰らって立ってるって……化け物ね」

「……………………」

橙矢は屈むと一瞬で二人の目の前に現れた。

「嘘だろ……!?」

振り上げていた刀を轟音をあげて真横に振り抜く。

魔理沙はアリスの手を掴んで真下に軽めのマスタースパークを放つ。その勢いで自身とアリスを上空へ上げる。

直後魔理沙の真下を刀が通り過ぎた。

すると魔理沙達の後ろにある木々が吹き飛んで焦土化した。

「「な……………………!?」」

唖然とする魔法使い二人に接近して魔理沙を蹴り飛ばしてアリスの腕を掴むと地に組伏せる。

「……………マウントポジション、諦めな」

「……!放しなさい……!」

「……それは無理な話だ」

「だったら無理にでも放してもらうだけだぜ!!」

魔理沙がミニ八卦炉を構えて光の奔流を撃ってきた。

舌打ちするとアリスを持ち上げて横に蹴り飛ばすと刀を下から振り上げて弾いた。

「くそ……!」

「残念だがお前のスペルは俺に届かない」

次々と放ってくる光の奔流を刀で裂いて後ろへそのまま受け流す。

「なら……これでどうだ!恋心〈ダブルスパーク〉!!」

左右へマスタースパークを放ち、それが曲線を描きながら左右から挟撃するように橙矢に迫ってきた。

「…………」

橙矢は右から来る光の奔流に対して刀を振り上げた。つまりそれは左のものを喰らうと同然。

―――――が、その光の奔流は橙矢の背に直撃する寸前に見えない壁に阻まれて爆発した。

「な……!」

驚愕している魔理沙に一歩で接近すると額に頭突きをかました。

「ッ!」

吹っ飛んで地を勢いよく転がっていく。

「な……何なんだぜそれ………」

「……………………」

無言で刀を鞘に納めると興が逸れたのか踵を返して歩いて行く。

「ま、待て……!」

だが橙矢の歩みは止められない。

「……待てって……行ってるだろうがッ!!」

未だに手に握っているミニ八卦炉を構えると残り少ない魔力を込める。

「恋符〈ファイナルスパ――――」

「――――遅い」

いつの間にか懐に橙矢が潜り込んでいて下から拳を振り上げてミニ八卦炉の弾くと魔理沙の首を掴む。

「ガ……!?」

「……………言っただろ。お前のスペルは届かないって」

掴む力を強めると目を細める。

「……ァ…………!」

「…………お前等程度じゃ俺を殺せない」

不意に手を放すと魔理沙を落とした。

「……………………興が逸れた」

再び踵を返して魔理沙から離れていく。しかし魔理沙はそれを追う気にはならなかった。

橙矢と自身の間に大きな壁を感じたからだ。

「橙矢………お前は……一体……」

薄れゆく意識の中で手を伸ばすがいつかそれは途切れた。

 

 




感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです!
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