東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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はい、今回はおぜりあ様と橙矢君を描かせて頂きました。
やっぱり後ろ姿は難しい……いやはや苦手です。


【挿絵表示】


ではではどうぞ。



第百五話 誰が為に

刀を床に刺して杖代わりにしながら立ち上がる。

「………詰み、ねぇ。……まだ決めるのは早いんじゃないか?」

「まだ抵抗する気かい?諦めの悪い人だね」

「おあいにく様、俺は諦めが悪い方でね」

「見てみれば否が応でも分かる」

「ハッ、猫耳ゴスロリが言ってくれる……!」

「話してても埒があかない。即刻で終わらさせてもらうよ」

燐がそう言うと隣の空が右腕の制御棒を橙矢に真っ直ぐに向けてきた。

「……………あぁさっさと終わらせてくれ」

「お望みならばね!」

「爆符〈ギガフレア〉!」

「…………!」

先程放たれた弾幕よりもさらに巨大な弾が橙矢の四肢に叩きつけられる。

「カハ………ッ!」

壁に激突して突き破る。

転がりながら立ち上がって刀を構える。

「ハァ……ハァ…………」

肩で息をしながらも不屈の瞳で八人を睨み付ける。だが橙矢には勝機は万にひとつも無い。

(いや、逆にある方が凄いだろ)

脳内でそんな呑気に考えているとグングニルが翔んできた。

「うぉ……!」

横に跳んでなんとか避ける。続けてレーヴァテインを振りかざしたフランが目の前に。

「いっくよぉお兄さ……まァ!!」

刀で受け止めるが吹っ飛ばされて背が壁につく。

「しま――――」

「火水木金土符〈賢者の石〉」

「くそったれが……!」

フランを押し返して刀で迎え撃とうとしたがフランをパチュリーのスペルを放った方へ飛ばしてしまったことに気付いた。

「馬鹿野郎!」

足を強化して駆け出すとレーヴァテインの上から刀を叩き付けて吹き飛ばした。

「…………ッ!」

スペルが橙矢に直撃して大量に吐血する。

立ち上がることもままならなくなり無様にも地を這いつくばる。

そんな橙矢をさとりが冷ややかな目で見下ろす。

「………解せないわね。……今貴方フランさんを庇いに行ったでしょう?」

「……馬鹿言うなや小五ロリ……。俺がフランドールを庇う理由なんざねぇだろ。偶々だ」

「それにしては偶然も偶然ですね」

「そういう時だって稀にある。……それとも何だよ。俺が意図的に起こした行動とでも言いたいのか?」

「極端に言うとそうですね」

「口を慎めよ悟り妖怪が……!」

「……………救いようがないほど素直じゃありませんね」

「………悪いな。けど今に始まった事じゃない」

「そろそろこの異変も閉めましょう。……レミリアさん。最後は貴方に譲りますよ」

さとりがやれやれと首を振ってレミリアに視線を寄越す。

「…………分かったわ」

「…………お嬢様ですか。………残念ですが貴方程度に殺される俺じゃありませんよ」

「それは私に対する挑発と受け取ってもいいのかしら」

「それはお嬢様の勝手ですよ」

「そう、それが貴方の答えなのね」

手を翳すとその手にグングニルが収まる。

「……ひとつだけ聞いておくわ橙矢。……貴方どれだけ無謀な事をしでかそうとしてるか分かってるの?………新郷神奈が関係しているのでしょう?……この幻想郷が彼女を殺した?馬鹿言いなさい。彼女を殺したのはシヴァよ。貴方が一番それを分かっているでしょう?……失礼な事を言うのだけれど……シヴァほどの強者がいながら負傷者は多くいたけれど犠牲者は……一人だけ。これ以上にないほどの最少の犠牲じゃないの。それなのに……こんな自殺未遂な事をして…そこまで私達が憎いかしら」

「……………最小限の犠牲?……ふざけるな」

「…………………そう。それでも貴方はやるというのなら……」

レミリアの瞳が一気に開かれるとグングニルを振りかぶる。吸血鬼の豪腕から放たれる紅い槍。

もはや逃げるという手段は無い。瞬きすれば橙矢の身体をいとも簡単に貫くだろう。

「………」

橙矢は視線だけを上げて―――――

「終わりよ橙矢!!」

 

 

 

ガギィィィン!と甲高い音を立てて受け止められていた。

 

 

「何……なの……!?」

橙矢の目の前に可視出来るほどの強力な壁がグングニルを防いでいた。

「………………」

「橙矢!何よこの力は!?」

「…………………」

橙矢はゆっくりと立ち上がり顔をあげる。

「…………正直お嬢様の事は少しだけ勘違いしてました」

低く、凄味のある声だった。

「屑の俺でも信じれる方だって。………ですけど俺の勘違いだったようですね。………もう貴方は信じられません」

「橙矢!貴方いい加減にしないとほんとに殺しにかかるわよ!」

レミリアがグングニルを構えるが橙矢はそれを冷ややかな目で見詰める。

「…………くどい。何度言わせれば気が済むんだ……!テメェの勝手だって言っただろうが……!」

「何よその言い草は。ほんと………救いようのない馬鹿ね橙矢!」

再びグングニルを振りかぶって―――

「待ちなさいレミィ!」

パチュリーが声をあげた。

「………何よパチェ」

「止めを刺そうとしてるところ悪いのだけれど……恐らく貴方のグングニルは東雲に通じないわ」

「……どういう事かしら」

「さっきのレミィのグングニルを防いだ時に現れた壁。あれが何で出来ているか解析していたの」

「…………で?」

「………………普通ではありえない結果よ」

「何よ勿体ぶらないで頂戴」

その時橙矢がレミリア目掛けて駆け出してくる。

「少しだけ待ってなさいよ……!」

フランが二人の間に割り込んでレーヴァテインで弾く。

「ちょっとお姉様何惚けているの!?」

「………フラン、それに皆。少し橙矢を止めておいてくれる?」

「?どうして?」

「あの馬鹿を止めるためよ。そのために少しだけ時間が必要だわ」

「ふーん、……分かった。ま、それよりも早くお兄様を壊しちゃうかもね」

双眸を細めてかつての破壊衝動を沸き上がらせる。そこには狂気のフランドール・スカーレットがいた。

「せっかくの戦いだもの。簡単には終わらせはしないわ」

レーヴァテインの出力がより一層増す。

「フラン、やり過ぎて紅魔館を壊すんじゃないわよ」

「分かっているわお姉様。程々に、でしょう?」

「………そうよ」

「それじゃあ、殺り合いましょうお兄様!」

フランが翼を大きく広げて橙矢へと迫る。

「フランさんだけじゃ無理です。お燐、お空。貴方達はフランさんの援護に!」

さとりが弾幕を放ちながらペットの二匹に指示をする。

「「御意」」

空が制御棒を橙矢に向けると威力を凝縮させた弾を放った。

「しゃらくせぇ!!」

橙矢が檄を飛ばして強化させた腕を床に叩き付けるとその衝撃でフランを吹き飛ばして抉り取った床で空が放った弾を防ぐ。

「お前らみてぇなのが撃つ弾なんざいくら撃ったって俺には届かねぇよ!!」

「なら物理攻撃だね」

「ッ!?」

背後から声がすると橙矢の肩口から巨大な針の先が貫いた。

「グゥ……!?」

「甘いよお兄さん!」

怯んだところに足を叩き付けられて床を転がる。

「チィ……!」

「幻世〈ザ・ワールド〉!」

咲夜がスペルを宣誓すると橙矢は眉を吊り上げた。

「ザ・ワールド?まさかディ―――――」

「色々と危ないからやめなさい!!」

橙矢の言葉はさとりが弾幕を放って遮られる。

「ッ…………アァッ!?」

弾幕を避けると同時にナイフが突き刺さる。

「くそ………邪魔するなアアァァァ!!」

拳を限界まで強化すると思いっきり床目掛けて振り下ろす。すると轟音が響いて橙矢を中心に蜘蛛の巣状に皹が入って床が沈下する。

「何なのよこの力は………!」

咲夜が歯軋りをしながらさらに橙矢を睨み付けた。

―――――その時

グングニルが飛翔して橙矢の胸を貫いた。

「グングニル…!?お嬢様!」

「悪いわね咲夜に皆。……橙矢、貴方が何故そこまで強くなってしまったのか。その呪われた力の正体を教えてあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでパチェ、あの力は何なのよ!」

レミリアとパチュリーは橙矢に見付からないように戦闘から一時脱線していた。

「………まずひとつ。人間が必ずしも持っている力と言えば?」

「何よ。……霊力でしょ」

「そう、霊力よ。けれどそれを使える人間は神に仕える者、つまり巫女などだけよ。それは東雲も例外ではない」

「……じゃあ橙矢は霊力を使ってない…?」

「そうよ……と言いたいところだけれどあの壁には霊力と他の二つの力が混ざっていたわ」

「………………え?」

「………まずは彼が妖怪だったころにあった妖力がひとつ。……………………そして最後のひとつは…………」

とそこでひとつパチュリーは息をのんだ。

そしてそのまま続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――神の力よ」

 

 

 

 

 

 




橙矢君どこまで進化する気ですか。


感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです!
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