東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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今回は村紗を描かせて頂きました。


【挿絵表示】


ではではどうぞ。



第百七話 残りの勢力

―――命蓮寺

 

命蓮寺の面々はいつも以上に気を張っていた。

その理由はあの東雲橙矢が幻想郷の実力者を潰して回っている。と文々。新聞に書いてあった。

普段はかなりの確率でガセを書いていると思うのだが橙矢の事に関してはこの際ガセだろうが真実だろうが関係ないのだ。

―――村紗水蜜は命蓮寺の屋根に座わり込みながら辺りを警戒していた。

「……………特に変わったところは無しと……」

少し休憩を入れるか、と立ち上がって伸びた。

「…………ん」

不意に命蓮寺の門の外に何者かの気配がした。

「……誰?」

屋根から下りて門へ近付く。すると仙人と尸解仙、亡霊がいた。

「あれ、あんた達は………」

「どうも、船長さん、聖さんはいますか?」

「………何の用?」

「件の退治屋のことでね」

「退治屋?…………橙矢のこと?」

村紗が問うと仙人、豊聡耳神子は頷いた。

「あぁそうさ。彼との接触がある君達なら少なからず彼の情報が入ってると踏んでいたのだが………」

「残念ながら東雲さんの情報は一切ありませんよ」

寺の中から寺の僧侶が出てきた。

「おっと、これはどうも聖さん。わざわざ迎えに来てくださるとは」

「それはこっちの台詞ですよ豊聡耳神子さん。修行してなくてもよろしいので?」

「それは私ではなく布都と屠自古に言うべきじゃないのか?」

そう言って後ろに控える二人を一瞥する。

「他人の事よりまずは自らの事を」

「おあいにく様、私は他人を気にする猶予があるからね」

「さいですか。して神子さん、貴方はシヴァ神に重傷を浴びせられたと聞いてますが」

「あー…………恥ずかしながら本当の事ですよ」

苦笑いしながら視線を逸らすあたりどうやら本当のようだ。

「あの時は本当に焦りました。布都共々成仏するところでしたよ」

本人は笑顔を崩さず話しているが話している内容はなかなか洒落にならない。

「屠自古が助けに入ってくれなければ危ないところでした」

「蘇我さんが?」

「えぇ。追っかけてきた屠自古が間一髪のところで」

「そうですか。………いい部下を持ちましたね」

「えぇ、とても誇らしいですよ」

「………それで、話を戻しますが貴方が求める情報はここにはありませんよ」

「んー、困った。他の勢力は潰されてて話を聞くどころじゃないんですよ」

「それで私達のところへ、ですか」

「左様、そこの船長なら知ってると思ったんだけど」

「………まぁ確かに命蓮寺の中で東雲さんと一番面識があるのは村紗だけです」

「その彼女が知らないとなると……弱りますよ」

いかにも困った顔をしながら苦笑いする。前々から思っていたが神子は中々テンションの上がり下がりが激しい。

「……しかし妙ですよね、何故今東雲さんが幻想郷の勢力を潰して回っているのって。……村紗、何か知りませんか?」

白蓮がふと真剣な表情になって顎に手をあてて村紗に視線を向けるが俯いていた。

「………………」

「村紗?どうしたのです?」

「…………………」

それどころかまだ冷や汗が滝のように流れていた。

「村紗、しっかりしなさい村紗!」

白蓮が村紗の肩を掴んで揺すると口から僅かに声が漏れた。

「……………んな……よ」

「何を言ってるのです……!?」

「……新郷神奈が……原因だよ。……間違いなく」

「?何故そこで新郷神奈が出てくる?」

神子が首を傾げると村紗は恐る恐る続きを言う。

「新郷が……死んだのは幻想郷の殆どがあの子の敵になったから、とかじゃ……」

「……まさか。橙矢もそこまで愚かでは……」

「いや、今までの退治屋からすると一番あり得そうな理由だ。彼はかなり新郷神奈に執着していたそうじゃないか」

「………言われてみればそうですね」

「だとすれば合点がいく。…………だがそんな事をした後あいつはどうするつもりだ?幻想郷全土以前に妖怪の賢者が黙って見逃すわけないが」

「そうですよね……とっくに動き出していても不思議ではないのに」

「………ここに来るまで布都と屠自古に幻想郷の勢力の偵察へ行かせたのですが……どうやら残っているのは私達と妖怪の山だけらしいですよ」

「ッ!?紅魔館や霊界も!?」

あり得ない事だ。パワーバランスの一角を担っている勢力が呆気なくやられ過ぎている。

「………あまりに早すぎませんか?」

「……えぇ早いですね。……恐らくここも貴方のところにも近い内に来ますよ」

「別に来たって返り討ちにするだけです」

「おぉ怖い怖い。……さて、そろそろ私はこれでおいとまさせて頂きますよ。すみませんね急に」

「構いませんよ。お互い様です」

「あ、私ひとつ提案があるのだが―――」

 

 

 

 

 

「―――中々面白そうな話をしてるじゃないか。俺も混ぜろよ」

 

 

 

 

 

不意に門の上から声が落ちてきた。

「何奴!?」

飛び退いて声の主を確認する。

いや、確認するまでない。声だけで誰か分かった。

幻想郷の勢力を潰して回っている―――

「……橙矢………ッ!」

「……久し振りだな村紗。……白蓮さんも」

「おやおや、私達には微塵も興味を示してくれないのか?退治屋」

「…………あぁ物部と蘇我もいたのか」

「……………………」

「……けど同じところに集まってくれて助かるよ。……おかげで手間が省けた……ロキ」

「はいはい」

橙矢の横にロキが現れる。

「……村紗を抑えてろ。その間に終わらせる………だけど殺しはするな」

「優しいねぇ東雲クンは」

苦笑しながらロキは了承する。

「ならいい、それじゃ手早く済ませる」

「手早く、ね」

降り立つと橙矢は足を強化させると白蓮目掛けて駆け出した。

「村紗、貴方は下がりなさい!」

振り下ろされる刀を腕で受け止め――る寸前に何者かが横から受け止めた。

「………私を無視するとはいい度胸してるな退治屋」

神子が鞘に収まったままの剣を抜いて受け止めていた。

「………………邪魔だ」

「刃には刃を、まずは私の相手から頼まれてくれないか?」

「…………………」

橙矢は舌打ちすると刀を振り上げて剣をカチあげて腹を蹴り飛ばす。

しかしその前に神子は後ろに飛んである程度威力を抑えた。

「……ッ」

それでも数メートル吹き飛ばされた。

「………順番制とかどうでもいいんだよ。俺を本気で止めたいのなら始めから全員でかかってこい」

「随分と安い挑発してくれますね東雲さん」

「白蓮さん………挑発ではありませんよ。事実を言ってるんです。貴方一人程度には遅れを取りませんよ」

「言ってくれますね。……いずれその言葉に後悔しますよ」

「ハッ、ほざきやがれ―――!!」

再び強化させて跳ぶと真上へ移動する。

「させないよ橙矢!」

村紗がスペルカードを宣言する。

「転覆〈撃沈アンカ―――」

「キミの相手はボクだよ」

目の前にロキが現れて錨をレーヴァテイン・レプリカで受け止めて力任せに押して橙矢との距離を離した。

「く……ッ!」

「悪いね。キミを足止めさせてもらうよ」

「ふざ……けるなァ!!」

錨を振り回すが全ていなされる。

「くそ……!橙矢ァ!」

「無駄だって。今の橙矢クンはキミが一人行ったところでキミ達に負けるほど弱くない」

「橙矢に何をした!」

「ただ望む力を与えただけだよ」

「橙矢がそんな事するはず……」

急に村紗の腕をロキが止めた。

「全てホントの事だよ」

「…………ッ!」

「キミ達地上の生き物はホントに罪深いな。………救いの手を差し伸べてあげないなんて」

「そんな事――――」

「してたんだよ」

「―――――――」

「いくらでも現実逃避をしてくれたって構わない。……けどそんな事したって現実は変わらない。それに東雲クンがああなったのは大半がキミ達の所為なんだよ」

「違う!」

「違わないさ」

「お前が……橙矢を誑かすからだ!」

「人聞きの悪いこと言わないでくれよ。ボクはただ力を与えただけなんだから」

「それが橙矢を………!」

「……もういいかな」

不意に目の前に燃え盛る剣が顕現する。

「―――――!」

「キミがそんなにボクの所為にしたいのなら口だけでは駄目だよね?」

村紗との距離を離すとレーヴァテイン・レプリカを一薙ぎする。

「だったらキミのすることはひとつ。ボクを殺すことだね」

「…………ッ」

あまりの雰囲気の変わりように息を飲む。

「さて、キミはいつかの少年みたく神を殺すことが出来るかな?」

 




Pixivを始めてみました。そちらの方はイラストを中心に投稿をしていこうと思ってます。

感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです!
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