東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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久々に風邪をもらってしまいまして頭がガンガンします。……まぁどうでもいいですけど。

ではではどうぞ。



第百八話 人を越えた存在

 

 

白蓮に斬撃を放つと同時に飛び掛かる。

神子が再び間に割って斬撃を受け止める。それと同時に神子を横から蹴り飛ばした。

「神子さん!」

「私は心配無い!それよりも気を抜くなよ!」

「ッ!」

視線を戻すと橙矢が刀を振り上げていた。

「超人〈聖白蓮〉」

スペルカードを抜いて宣言すると白蓮を中心に衝撃波が広がって橙矢を吹き飛ばす。

「ぐ…ッ!」

(自身の名をスペルに……!?橙の式神〈橙〉と同じ原理か!)

妖怪の賢者、八雲紫の式である八雲藍の式の橙が橙矢と対峙したときに使っていたスペルと同じものだ。彼女は自身の名をスペルとして宣言することで自らの抑えている力の一部を引き出す事が出来る。

一瞬でスペルを見抜くと白蓮に駆け出す。

「強化の類いのスペルはもう二度目だな!」

刀を下から振り上げる、と見せかけて反対側から鞘を叩き付けた。

しかしそれを白蓮は身体を捻りながら刀を避けて鞘を掴む。

「しま……!」

捻った身体を戻す勢いで橙矢を地に叩き付けた。

「甘いですね東雲さん。私がどれほど永く生きてるとお思いですか?」

「…………あぁそうか………その事を忘れてたわ」

叩き付けられた状態から白蓮を蹴りつけて距離を取る。

「………東雲さん、私には理解出来ません」

「……何故俺がこんなことするか、か?」

「えぇそうです。確かに新郷さんを追い詰めていたのは私達かもしれません。復讐したい気持ちも分かります。ですが貴方は今、今まで護ってきたものを全て壊そうとしているのですよ?」

「………残念ですが俺が護れたものは何一つとしてありませんよ。ドラキュラやフランドールの時は妖精メイドを、ルーミアの時は妹紅が俺を庇って、青娥の時は椛が傷付いて……シヴァは…………」

そこまで言うと橙矢は白蓮を睨み付ける。

「だったら俺の出来ることはひとつ。貴方達幻想郷への復讐だ」

「…………仮に貴方が悲願を叶えたとしましょう。その後貴方はどうするおつもりで?」

「………これほどの事をしたんだ。妖怪の賢者やらが俺を殺しに来るだろ」

滑るように口から言葉が出る。だが話している事は全て事実だ。

「貴方まさか始めからそのつもりで……!」

「ハッ、馬鹿言わないでください。俺は始めから死ににいくような自殺志願者ではありません。………死ぬときは為すことを為してから死にますよ」

上体を低くするとその場から消えた。

「え………」

「遅い」

橙矢はすでに懐に潜り込んでいた。

刀を振り上げると脇腹から肩口にかけて裂いた。

「―――――――」

「甘いのはどっちだ」

崩れ落ちる白蓮を一瞥すると神子の方へ視線を送る。

「…………」

「まさかホントにやるなんてね。以前の君には到底考えられないことだな」

笏を前に出すと目の前にまで迫っていた刀を弾いた。

「チィ!」

舌打ちすると笏を蹴りあげて無防備になった神子に刀を振り下ろす。寸前に横から布都と屠自古が弾幕を放って牽制する。

「…………ッ!」

さらに反対側からは光の奔流が橙矢を巻き込む。

「グォ………!」

吹き飛んで寺を囲う囲いに激突するが鬱陶しげに壁に肘打ちすると囲いが崩れ落ちた。

「……………アンタらもいたんだったな」

橙矢の視線の先には命蓮寺の面々。

「橙矢さん!」

「寅丸さん………」

「橙矢!君聖を……!」

「おいおい、いかにも俺が通り魔みたいな感じに言ってくれるがナズーリン。お前だったらすぐに分かると思うが?」

「嘘はやめときなよ橙矢。分かるんだよ。君が幻想郷に復讐しようとしているのは」

「……………勝手に言ってろ―――!」

斬撃を放って布都と屠自古に接近する。

「こっちに来るか……!」

「構えなさい布都、屠自古。来ますよ!」

神子が檄を飛ばすと剣を構える。

しかし橙矢はとうに布都と屠自古の背後を取っていた。

「な……ッ!」

「――――」

「あばよ尸解仙と亡霊」

真横に振り抜いて二人まとめて裂いた。

「寅符〈ハングリータイガー〉!!」

「視符〈ナズーリンペンデュラム〉」

「鉄拳〈問答無用の妖怪拳〉!」

星とナズーリン、一輪が同時にスペルを発動する。

虎を模した弾幕を受け流し、飛んでくるペンデュラムを殴り付けて砕いて雲山の拳を斬り裂いた。

「化物め……!」

ナズーリンが大きく後退する。それを好機に一瞬で一輪の目の前に迫ると腕を掴んでナズーリンに投げ飛ばした。

「うわ……!」

「きゃ…!」

激突した二人に斬撃を放つと星に迫る。

「シッ――――!」

左手に持った槍を橙矢目掛けて鋭く突き出す。それを刀ではたき落とす。

瞬間星が手を地に着けて足を地と平行に振り上げて横から蹴り飛ばす。

「光符〈正義の威光〉」

さらに右手に持つ宝塔から光が放たれる、と同時にいつの間に移動していたのか橙矢が真横から蹴りつけてくる。何とか腕で受け止めるが重い一撃に吹き飛ばされる。

(いつの間に………ッ!?)

立ち上がりながら何が起きたか思い出す。

と、橙矢が地から刀を抜くのを視界に入れる。

「…………………」

(なるほど吹き飛ばされそうになったとき刀を刺して耐えると同時に吹き飛ばされそうになった勢いを使って私を………)

やはりこの少年ただ者ではない。

「………中々やりますね橙矢さん」

「………寅丸さん、俺は話しているほど暇じゃないんだ。とっとと殺られてくれないか?」

半ば本気でそんな事を言うと星の瞳が細くなる。

「…………………それは無理ですね」

「でしょうね。初めから分かってましたよ」

「その代わりに貴方が殺られなさい」

「――――――ッ!!」

不意に背後から首を掴まれると地に叩き付けられた。

「……聖さん、不意討ちですか。卑怯な事をしますね」

「不意討ちではありませんよ。実際さっきまでは意識が朦朧としてましたから」

「そのまま寝ていたら良かったものの……」

「おっと私も忘れちゃ困るよ」

 

眼光〈十七条のレーザー〉

 

神子が尾を引く弾幕を橙矢に撃つ。

橙矢は手を翳すと可視の壁を生成すると防ぐ。

「ッ!?それは……」

翳した手を握り締めると壁が崩れて神子へと飛んでいく。

「弾幕…!?」

三人は後ろへ飛んで逃れる。

「逃げてんじゃねぇよ」

霊力、妖力、神力を刀に込めると斬撃を放つ。

しかしその斬撃は今までにないほどの威力が込められていた。

「マズい……避けてください!」

白蓮が二人を掴んで何とか斬撃を避ける。

斬撃の威力は衰えるところを知らず、空へ翔ると幻想郷を覆う博麗大結界に直撃する。

それと同時に幻想郷が大きく震動し始める。

「………ッ!」

「何なんですかこれは……」

「人間辞めてるんじゃないか?」

三人が斬撃が直撃したところを確認すると目を見開いた。

何しろ斬撃が直撃したところを中心に結界に皹が入っていたからだ。

「……ッ結界を…ッ!」

「…………本格的にマズいですよ。このままじゃ幻想郷が壊れる!」

愕然としている三人に一瞬で迫ると刀に三つの力を込める

「散れ」

冷酷な一言と共に斬撃が放たれる。

「「「――――――ッ!」」」

斬撃は三人を吹き飛ばすと近隣の森林を根刮ぎ抉り取った。

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

村紗の攻撃をいなしながらロキは皹が入った結界を見上げた。

「いやはー爽快爽快」

「この……ッ!」

振り下ろされる錨を片手で受け止めるとへし折る。

「さて、そろそろ時間だ。切り上げるとしよう。東雲クン、ボクは少しやることがあるから先に戻ってるよ」

村紗の腕を掴んで投げ飛ばす。

「ぐ………!」

地を転がるがすぐに立ち上がる。

「橙矢!!」

ロキが姿を消して橙矢は興味を失ったかのように命蓮寺から出ていこうとする。

「橙矢、待って!」

駆け出して橙矢の肩を掴む。寸前可視出来る半透明の壁が阻む。

「…………………」

橙矢が振り返って村紗を瞳に映す。

「え………」

村紗が驚愕して一歩、また一歩と下がる。

橙矢の瞳にシヴァに刻まれていた刻印と似て非なる刻印が刻まれていた。

「橙矢………」

「………………」

何も言わず踵を返す。

「橙矢!駄目!それ以上その力を使えば人間に戻れなくなる!!」

手を伸ばすがやはり壁に阻まれる。

「う………アァァ!」

錨を手に壁を殴り付ける。

「壊れろ!壊れろ壊れろ壊れろ!」

「…………見苦しい」

村紗を一瞥すると壁が崩れて弾幕と成り、村紗を飲み込んだ。

「ぐ……!!」

必死に抗うが藻掻く度に橙矢の姿が離れていく。

「嫌……行かないで………」

自分の知っている橙矢が橙矢でなくなりそうで恐怖を感じた。

「橙矢!橙矢ァァァァァ!!」

 





うーん、話が急すぎますよね……。すみません。

感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです!
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