おぉ夜桜よ、お主はどうしてそんなに打たれ弱いのか。この紙メンタルめ!
………あれ、何これ
ではではどうぞ。
「に、新郷………?」
「はい、お久し振りですね」
「どうして……?」
震える声で名を呼ぶとそれに答えた。
「どうしてと言われましても………」
「新郷…………何でこんなところに……」
「東雲さん………それは後でお話しします。とりあえず…………これまでのことを話していただけますか?」
「……………………あ、……あぁ」
▼
「………私のいない幻想郷はどうですか?」
不意に隣に座っている神奈がそんなことを聞いてきた。
「……………つまらねぇよ」
「………そうですか」
「……あぁ、大して他の連中は気にしていないがな」
「……そうですか。……別にいいです」
「別にいい?どういうことだ」
すると神奈は前方に向けていた視線を橙矢に向けて微笑んだ。
「東雲さんがそれほど私を思っていてくれてる。そう感じるからです」
「………ッ」
「確かに皆から気にしてもらえない。それは悲しいことかもしれません。けれどそれは東雲さんも同じことでした。そうでしょう?そう考えれば何ともないです。それに複数の人にあやふやに記憶に残るくらいなら一人でもいいから私のことを大切に思ってくれる、そちらの方が私としては嬉しいです」
「………………立派な考え方だな」
「誰か一人の為に世界を敵に回す人に比べたら……」
「俺のことを言ってるんだったらやめておけ。俺はただ単に私利私欲の為にやってるだけだ。そんな人聞きのいいもんじゃねぇよ。それよりもそろそろ答えてくれよ。ここは何処なのか。それとどうして新郷がここにいるのか」
「……………そうですね」
少し神奈は考えた後口を開いた。
「………ここは死後の世界なんですよ」
「………………」
「あぁいや、少し違いました。ここは死と生の狭間です。東雲さんは今死と直面しているのですよ。覚えてないですか?風見さんと天人さんの攻撃を直接、しかも至近距離でまともに喰らってのです。仕方のないことではありますが……」
「…………ッ」
驚愕して目を見開いた。死と生の狭間。つまり新郷はまだ―――――
しかし新郷は首を横に小さく振った。
「残念ですけど私はもうすでにあの時の亡き者です。ここにいられるのはある人が情けをかけてくれたおかげです」
「――――――」
神奈の言葉に目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちた。
「ッ!東雲さん!」
神奈が駆け寄ってきて腕を掴んだ。
「………………」
「………………東雲さん」
「………………何なんだよ。……何なんだよ一体………俺は君を護りたくて今まで戦ってきたのに……何で君が死ななくちゃいけないんだよ!!普通なら……俺が……。もう…俺は戻らない……ようやくお前に会えたんだ………」
橙矢が神奈の手を握る。
「もう……この手を放しはしない。ずっと……ずっと一緒だ……」
しかし神奈はその手を優しく解いた。
「新郷……?何を………」
「……………駄目ですよ東雲さん。貴方はまだやるべきことが残ってます」
「……馬鹿言えよ。俺が戻ったところでどのみち幻想郷は壊れるんだ………」
「その原因を作ったのは他でもない、東雲さん。貴方なんです」
「…………!」
「……ですから貴方にはこの幻想郷を救う義務があります。自分の失態くらい自分で拭ってください」
「………………」
「……東雲さんなら出来ますよ。必ず。私が保障しますよ」
「……けどどうやってあれを止めれば……」
すると神奈が橙矢の手を両手で包んだ。
「私には出来ませんが……東雲さんなら出来ますよ。……ひとつだけあるでしょう?幻想郷を救う方法が」
その時橙矢の中に何かが流れ込んできた。
「え…………」
「私の中にある神力を全て橙矢さんに送ります。………スペルカード。東雲さんなら分かるでしょう?この世界になくてはならないもの。そして不可能を可能に変えることが出来るもの。……貴方にはすでにそのスペルカードを宣言することが出来る」
「…スペルカードを使えと?」
橙矢の言葉に神奈が頷く。
「えぇそうです。貴方には他の人に持ってない力があるでしょう?」
「………………」
「お願いします東雲さん。……幻想郷へ迷い込んだ私を保護して下さったのは東雲さんです。……右も左も分からない世界で唯一居心地が良かったのは貴方の隣でした。……その時から私は幻想郷のことを理解出来るようになりました。………ですから東雲さん。私と貴方が過ごした日々を……幻想郷で過ごした日々を壊さないでください………!」
「…………………ッ」
神奈の言葉に奥歯を噛み締める。
「…………お前は恨んでないのか?自分をあれだけ殺そうとしてきたんだぞ」
「……恨むどころかむしろ感謝してますよ」
「……?」
「分からないですか?東雲さんと会えたじゃないですか。それだけで私は幸せですよ」
橙矢から離れて少し歩き出し、首だけ橙矢を向く。
「さて、そろそろお時間です」
そう言うやいなや地が揺れる。
「ッ!何が………」
「あの人が啖呵を切らしたのでしょう。…東雲さん」
「何だよこんな時に……ッ!」
「東雲さんともう一度会えて本当に幸せでした。ありがとうございます」
ふと神奈の頬を涙が伝った。
「あれ?……おかしいですね」
「新郷………」
「最後は笑って……さよならしようと思ったのに………」
そう言って拭うが涙はとどまるところを知らず、流れ出る。
「…………」
「ごめんなさい………東雲さん」
神奈の身体が光り始めると粒子となっていく。
「……嫌です……このまま消えてしまうなんて………このまま消えてしまったら東雲さんのことを……幻想郷のことを忘れそうで……」
「新郷…………」
「………東雲さん。お願いが………」
「……………」
何も言わずに抱き締める。
「…………ありがとうございます」
「……大丈夫だ。君が…………消えるまでずっとそばにいてやる」
「………はい」
「……幻想郷のことは任せろ。俺が幻想郷を救う。………ごめんな、何も出来なくて。俺がもっとしっかりしておけば君を死なせることはなかったのに………」
「………東雲さん」
「どうした?」
「………少ししたら私はこの世界から消えます。………そしたら貴方の意識は幻想郷へ戻るでしょう」
「……だろうな」
「………頑張って下さい」
「分かってるよそんなこと……。君と過ごしたところを壊させるわけにはいかないからな」
「………その言葉が聞けて嬉しいです」
段々と崩れていく神奈の身体をより一層強く抱き締める。
「…………ハッ…俺も新郷と会えて嬉しいよ」
「………ふふ、東雲さんからそういう言葉が聞けるなんて……明日は雨でしょうか」
「そうだな…………きっとな」
「東雲さん………」
「……………あぁ」
――――――さようなら。
その一言と共に神奈の身体が粒子となり、虚空へと消えていった。
それを見送りながら橙矢は微笑んだ。
「さようなら。……新郷神奈。また、何処かでな」
▼
ピクリとも動かなかった橙矢の手が不意に動き出した。
椛と村紗は目を見開いて橙矢の身体を揺する。
「橙矢さん!?」
「橙矢!」
しかし突如橙矢を中心に暴風が吹き荒れ、二人を吹き飛ばした。
「………!何なの……」
橙矢の腕が立ち、身体が持ち上がる。
「橙矢……。貴方………」
フラつきながら、血を大量に流しながらも二本の足で立つ。
「………………」
顔を上げると橙矢の顔に刻印が刻まれる。
それは人間が神に等しい力を得た証拠。
「……橙矢それは」
橙矢は手を前に向けると神力を指先に込める。
「悪いな……邪魔するなよ」
揺れがさらに激しくなる。
「橙矢!貴方何して……」
「………言ったろ?この異変を終わらせるって」
急速に力が橙矢の指先に集束していき、見覚えのある形状を型どる。
「スペルカード………」
「あぁそうだ。これが俺が死の淵で手に入れた力だ」
そこから能力でスペルカードを強化させる。
「行くぞ幻想郷……これが、これが俺の……
東雲橙矢のスペルカードだ―――――――――!!」
やっぱりこういうのを書くのは苦手です(;´д`)
感想、評価お待ちしております。
では次回までバイバイです!