東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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今日は県の端から県の端まで行ってきました。
電車の中でずっと立ってました。足が………。


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ではではどうぞ。


第百十八話 甦る歴史

 

妖怪の賢者は語る。

空雲へと消えた少年の歴史を――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思い出せないのも仕方無いわ。彼は忘れられるのが使命みたいなものだもの」

「使命?」

「そ………哀れよね。死んでから皆に忘れられるのは」

 

 

 

 

幻想郷全てを敵に回した。

それでも神奈を護ることを止めなかった彼はさすがというべきだろう。

一度自身の家に戻った少年は先程のシヴァとの戦闘時に折れた刀の代わりを探しに香霖堂へ。天叢雲剣を手に入れる。その刀を手に入れたことにより少年の力が飛躍的に上がる。

そして再び博麗神社へ向かう。道中では神奈の狙う者達が襲ってくるが蹴散らす。そして博麗神社までもうすぐというところで上空から飛来したシヴァによって神奈が連れ去らた。追おうとするが文と魔理沙に妨害され、命蓮寺にまで吹き飛ばされたが、幸い的に村紗だけが残っていて村紗は少年に協力し、聖輦船でシヴァが向かった天界へ向かうことに。

だが途中で星、ナズーリン、一輪に見付かる。ぬえ、椛が援護に来ると少年は強制的に聖輦船から下ろされるが幽香に救出され、天界に投げ飛ばされた。

天界に着くとシヴァと神奈がいた。

少年とシヴァは激突して一進一退の攻防を繰り広げるがその均衡は徐々に崩れていく。

シヴァの持つカリブルヌスが彼の心臓を貫く、寸前神奈が彼を庇って犠牲となった。しかしシヴァは倒れず。それは何故か。それは彼が戦闘の時にかけた魔方陣の効果によりシヴァと神奈の命の繋がりを無くしたからである。怒り狂った二人は再び激突。天界は破壊される。

一瞬足りとも気の抜けない戦いで何とか辛くも勝利する。するとシヴァは少年の中にある妖力を破壊した。

 

 

 

 

 

椛の頭に痛みがはしる。それは段々と激しくなる一方だ。

「チワワちゃん?どうかしたの?」

「い、いえ……………」

「……………………そう」

紫は目を細めると続きを話し始めた。

 

 

 

 

 

 

シヴァを殺害した少年は幻想郷に絶望して幻想郷への復讐を誓う。

自身を殺しに来た少年を返り討ちにし、その後里へ。里長を狙いにいくものの妹紅が出てきて戦闘となる。

が、そこで神々のトリックスター、ロキが二人を無理矢理止めた。そのまま妹紅は放置、少年だけを連れて行った。

目を覚ました少年に接触を試み、手を組む。

翌日少年が目を覚ますと里が火の海に飲まれている。すぐ里へ向かうとある豪邸を見付けてその中で息を切らした少女がいたので助けた。助けたあと妹紅と再会。そして再戦。さらに紫の式である藍とロキが乱入。ロキ一人で藍と妹紅を圧倒し、少年を連れて逃走。幻想郷に復讐するためにロキにさらの協力を要求、しかしロキは神の持つ力、神力を少年に送り込んだ。それが禁忌と知りながらも。

神力を取り込んだ少年は紅魔館、地霊殿、命蓮寺、神霊廟の面々、さらに幽香、魔理沙にアリスを討った。その際に少年が放った攻撃により結界が崩れはじめる。

最後の砦として残っていた妖怪の山へ侵入する。それを狙っていたのか各地の勢力の一部が集束。少年の止めにかかる。一時的に瀕死状態まで追い詰められるものの復活。さらにスペルカードをゼロから生成。しかしスペルカード宣言中に妨害され彼の中にある神力が暴走。椛を殺しかけるが寸前で紫がそれを阻止。さらに少年に痛手を負わせる。あと一歩のところでそれまで少年と戦っていた者達が紫を止めて自分達に任せろと紫に要求。猶予十分としてこれを了承。

激戦の後に犬走椛が少年の心臓を貫いた。

少年はそのまま亡くなってしまうが彼が残したスペルカードにより崩れかけていた結界が修復。異変が解決。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫は話し終えると広げていた扇子を閉じる。

「これが貴方達が忘れている人の歴史よ」

「…………私達が聞きたいのはそんなんじゃない。私達が忘れている人の名前よ」

「……………思い出さないのね」

ふと紫が目を伏せると口を開く。

「残念だけど大切な人を自分達で思い出せないような愚か者には教える義務はないわ」

「何だと……!言わせておけば!」

妹紅が立ち上がるが紫の鋭い眼光に身を竦めた。

「それはこっちの台詞よ。忘れるなんて………彼が聞いたら悲しむでしょうね」

「…………ッ!」

言い返そうとするが紫が言うことは事実だ。

「所詮貴方達にとって彼はその程度の人だったってことよ。…諦めて―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――橙矢。東雲橙矢……ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

不意に今まで俯いていた椛が声を発した。

「………チワワちゃん。今、なんて?」

「い、いえですから……。彼は東雲橙矢さんではないかと……」

椛がその名を出すと溢れ出るように記憶が呼び覚まされる。

「そうだ……橙矢さん、橙矢さんですよ!」

急に立ち上がる。

「東雲、橙矢………。……ッ!」

次いで他の者達の記憶も戻ってくる。

「…………どうやら全員思い出したようね」

先程とはうってかわって紫は微笑むとスキマを開いてその中へ入っていく。

「……………私が話せることは以上よ」

閉じようとすると紫の目の前を何者かが通って玄関へ向かった。それは犬走椛だった。

「チワワちゃん?どうかしたの?」

何かに操られるように危なっかしい足取りで戸を開けた。

「………呼ばれてる。……私が、魔法の森の方から……」

それだけ言うと戸を閉めて駆けていった。

「チワワちゃん……?それに呼ばれてるって………まさか………東雲さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すでに雨はあがっていた。

 

 

魔法の森を抜けた椛は彼岸花が咲き誇る道を歩いていた。

「ここは………」

再思の道。

魔法の森にある普段は人が近付かない場所。根に大量の毒を持つ彼岸花が一面に咲くこの道は亡くなった者の魂が通る場所だと言われている。

そこも越えると桜が生えている場所に辿り着く。

現世と縁を切ったものが集まる、無縁塚。その先に先が見えない川に出た。

「……………ここが……三途の川」

「ご名答」

いつの間にか首に歪な形をした鎌が背後から突き付けられていた。

「………………ッ、死神……」

「およ、分かっちったかい」

鎌を離すと小野塚小町は岸に座り込む。

「して、死んでいないあんたが何でこんなとこにいるんだい?」

鎌で川の中を漁る。何も出てこないが。

「それは……………」

「用が無いのならお引き取り願おうかな。それかあたいに殺されてすぐさま彼岸に渡すか」

「……………お断りします」

すると小町は手を額に置く。

「おぉう、強情だねぇ」

ただまぁ、と鎌を構えた。

「そういうのは嫌いじゃないよ」

「……ッ!」

刀身が大きな剣に手をかける。

「…………………」

「……………………………冗談だよ」

鎌を下ろして手から放した。

「実は上司からからあんたを連れてこいって言われててね」

「彼岸へ?」

「まさか。少し違うところだよ」

さ、行こうか。

小町は椛の腕を掴むと宙へ飛ぶ。

「せいぜい後悔しないようにしなよ。……終わりは唐突に来るもんだ」

近くに寄ってきた魂を撫でる。

「…………未練はいくらでも作れる。けれどそれを拭うのはほんのひとつやふたつくらいだよ。……ひとつでも少なくして安心させてやりな」

誰に、とは言わなかった。

「………えぇ」

「そう深く考え込むことじゃない。誰かを大切に思ってれば自然と拭えるさ」

とそこで二人の前に三途の川の中にポツリと浮いている小さな小さな陸があった。そこには綺麗すぎる桜の木が一本、咲いていた。

そこには一人の椛より伸長は少し下、くらいだろうかそのくらいの少女の背が見れた。

「映姫様。連れてきました」

着地すると椛の手を離した。

「ご苦労様です小町」

少女が振り返ると椛の気が引き締まる。

「………お待ちしておりましたよ。犬走椛」

「………貴方は?」

「私は四季映姫。幻想郷の閻魔を勤めている者です」

「ッ!え、閻魔様!?」

椛が目を見開くと小町が苦笑いする。

「いやーそりゃあ驚くだろうね。こんな小さい人が魂を裁く閻魔様だなんて」

「…………………小町、こっちに来なさい」

「へ?あぁはい」

駆け足で映姫の前に来ると映姫が手に持っている尺を振り上げると、思いっきり小町に叩き付けた。

「きゃん!」

「貴方は些か上司を嘗めすぎてます!まったくこれだから貴方は――――――」

説教をしようとしたところで椛の存在に気付いたのか咳払いして椛に向き直る。

「………犬走椛。貴方がここへ来た理由は何ですか?」

「………誰かに呼ばれた。そんな感じがしたんです」

「……でしょうね。まぁ、呼んだのは私じゃないですけど」

「…………橙矢さんですか?」

「…………えぇ、そうですよ」

その言葉に椛は目を見開く。

「ッ!何処だ!橙矢さんは何処にいる!!」

「………………落ち着きなさい。それにまだ気付きませんか?そんな近くにいるのに」

「え………?」

近くの木から何かが落ちて着地した。

「…………まったく、前置きが長いですよ映姫さん」

「仕方無いですよ。彼女が色々と説明を求めてきますから」

「まぁいいや。………それよりも久し振りだな椛。一ヶ月ぶりか?」

ゆっくりと視線を上げると自分の目を疑った。

「橙矢…………さん………」

半透明な東雲橙矢が椛の前にいた。

 




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では次回までバイバイです!
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