東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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月の兎「ついに私達のでば――――」
「と思っていたのか?」
月の兎「な、ナンダッテーΣ(´□`;)」


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ではではどうぞ。




永遠の罪 ~Not Defile The Lunar Rabbit~

 

 

スキマを抜けるとそこには幻想郷では見られることのなかった浜辺と海が見れた。

「…………ここが月?」

「そうよ、ただし裏側の、ね」

「紫さんの能力を使えばすぐだったな」

「前はそれを裏手にやられちゃったけど……今回は大丈夫だったようね」

「……たまたましてなかったのか、もしくは嵌められたか」

「だとしたら最悪ね」

「あー、やられたー」

「やめなさいそういうの」

「………にしても」

海とは反対側を見ると木が生えていた。それには桃がなっていた。

「桃なんかあるんだな」

「そうらしいわね。どんな味がするのかしら」

「そうだな……。じゃあそこにいる奴等に聞くか」

そう橙矢が言うと広がる森の中から小さな悲鳴が聞こえた。

すぐさま橙矢は足を強化させると近くの木を蹴り倒し、投げ付けた。

「餞別だ受け取りなァ!!」

「………東雲さん……」

紫が呆れたように額に手を置く。

木が地に突き刺さり、衝撃波が生まれる。

「これで終わりだろ。大半は今ので墜ちたはずだ」

すると急に先程橙矢が投げ飛ばした木が吹き飛んだ。

「…………?」

「何者だ!」

木々の間から複数の影が橙矢目掛けて疾走してくる。

銃剣を手にして四方八方から橙矢目掛けて突き出す。

「ッ!紫さん遠くに離れてろ!俺がやる!だから刀を早く用意しろ!」

腕を硬化させて剣を受け止め、距離を離す。しかしそれを相手は許さない。

「お前ら……」

相手の容姿を見て橙矢は少し納得した。兎の耳を生やし、鈴仙・優曇華院・イナバと同じ制服を着ていた。

「…………玉兎か。俺に何のようだ」

「貴様、穢れた地上の人間が何しにここに来た!」

「あぁ?何しにここに来た、だぁ?んなことお前らが一番分かってるだろ」

「……何を言って」

「幻想郷の森を浄化させたのは誰だ」

兎達の言葉を遮って足を振り上げ、叩き付ける。するとすり鉢状に地が窪む。

『な………!?』

さすがの兎も驚愕して落ちていく。

橙矢も落ちていくが地に着くと同時に跳んで外へ出る。

「紫さんまだなのか……!?」

チラと紫がいた方を見るがすでに姿を消していた。

その瞬間穴の中から一斉に兎達が出でて銃剣の先を橙矢へと向ける。

「ヤベ……さすがにこれは……!」

森の中へと逃げ込むと銃声が鳴り響いて木々に銃弾が当たる。

(いや当たるなんてもんじゃねぇ!あれは間違いなく貫通してる。……地上のものとは比べもんにならねぇ!)

上手く躱しながら方向転換すると接近する。

(大体の威力は分かった。………俺の硬化を限界まで高めれば耐えられる)

腕を硬化させて銃弾をあしらう。

「一気にケリをつけてやるよこの駄兎――――!」

足を一瞬だけ強化させて跳び、兎に迫る。

しかしそれを待っていたかのように橙矢を囲むように兎達が跳ねる。

「何……?」

橙矢を囲んで銃剣を構える。

「串刺しにでもするつもりか……!」

「東雲さん!」

「ッ!」

真上から紫の声がする。その手には鞘に収まっている刀が。

「貴方の刀よ」

「やっとか……!遅いんだよ。まぁいい。ありがとう」

橙矢の横の空間にスキマが開いて刀が出る。

「さ、こっからは俺のやり方でやらせてもらうぞ」

銃剣のナイフが橙矢に迫り、突き刺さる。

……瞬間兎達が一斉に吹き飛んだ。

「―――――!!」

一匹の兎が顔を上げると刀を抜いていた橙矢は無傷だった。

「嘘……さっき確かに刺さったはずじゃ」

「馬鹿かお前ら。ナイフが刺される寸前に回転して全て受け流した。それだけだろ」

腕を強化させて刀を振り抜くと兎達に斬撃が飛んでいって上空に撃ち上げた。

「……こんなもんでいいだろ。………にしても」

抜き身の刀を見ると一言。

「反りが凄いなこの刀」

「ふふ、驚いた?」

いつの間にか橙矢の隣に紫がいた。

「紫さん、この刀は?」

「造り込みは鎬造、庵棟。刃文は小乱れ。足よく入り、砂流し、金筋入り、匂口深く小沸つく。帽子は小丸ごころに返り、掃き掛ける。茎は生ぶ。先は栗尻。鑢目は切。目釘孔ひとつ。佩表に『安綱』二字銘を切る。天下五剣のひとつ。その刀の銘は

 

 

 

 

 

――――――童子切」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること数十分前

 

 

月の都にある城の中で豊姫が取ってきた桃を食べながら依姫と豊姫が談笑していた。しかしそこに慌てた様子で一匹の兎が飛び込んできた。一時は地上に下りて八意永琳と接触したレイセンだ。レイセン、という名は元々綿月姉妹のペットであった者の名らしい。今は地上のいるとかいないとか。

「し、失礼します依姫様に豊姫様!」

「………何ですか」

不機嫌そうに依姫がレイセンを見る。それだけで小さくなった。

「まぁまぁ、それよりレイセン。どうかしたのかしら?」

依姫を豊姫が宥めてレイセンを慰める。

「は、はい。実は海近くの森林に地上の者が現れまして……」

「地上の者が?この前の輩ではないの?」

「一人は豊姫様が捕縛した者でして……もう一人は初めて見る者です。どうやら偵察に行っていたチームが接触しまして」

「私が捕縛した………あぁ八雲紫ね。あいつも懲りないわねぇ。何のようかしら。この前の仕返しかしら?」

「お姉様………。貴方が行ってきて下さいね。貴方の尻拭いは嫌ですから。それに今回ばかりは貴方が仕掛けたことですから」

「分かってるわ。それじゃあ行ってくるわね」

ゆっくりと立ち上がって扉へと向かう。

「さて、どんな方なのか非常に楽しみだわ」

「わ、私もお供します!」

「待ちなさいレイセン」

豊姫を追おうとするレイセンを止める。

「依姫様………?」

「お姉様だけで充分です。貴方が行く必要はない。だから貴方は都の警護を固めなさい」

「警護ですか?」

「まずないと思いますが万が一、ということがあります」

「……………分かりました」

頷くと部屋を出て駆け出した。

「……依姫」

依姫一人しかいなくなった部屋に依姫とは別の声が響く。

「……貴方は一人で行動していてください」

「………………」

何も言わず気配が消えた。

「………まったく、相変わらずの素っ気なさですね。………サグメ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「童子切?聞いたことないな」

「あら、かなりの博学な貴方でも分からないの?」

「それはあれだ、神話とか歴史系ならいけるんだけど」

「ふぅん?」

何か言いたげに嘲笑する。

「な、何だよ………」

「いいこと教えてあげるわ。実は童子切はね……………」

「…………………………」

「……―――――」

すると急に橙矢を掴んでスキマへと引きずり込む。

「え、ちょっ―――」

次に視界に映ったのは抉られた浜辺だった。

「……何だこれ」

 

 

 

 

 

「―――思ったより早かったわね。八雲紫」

 

 

 

 

 

森林の中から一人の女性が歩いてくる。

「……………あら、貴方はあのときの。その節はお世話になりましたわ。して貴方は……誰だったかしら」

紫が優雅にお辞儀をすると女性は笑顔で返す。

「私は綿月豊姫。あのときはよくも超々古酒を盗ってくれたわね」

「おい、んなことどうだっていいんだよ」

シビレを切らしたのか橙矢が前に出る。

「聞きたいのはただひとつ。幻想郷のある深林を浄化させたのはお前か?」

「えぇそうよ」

「………どうしてだ?」

「どうして……変な質問するわね。地上は穢れまみれの場所。そうさせたのは他でもない貴方達穢れた生物。それを元の姿に戻してあげているだけなのよ」

あっけらかんに言う豊姫に童子切を向ける。

「……何の真似かしら」

「悪いね。あいにくと俺は穢れた混沌とした世界が好きなんでね。これ以上させてたまるかッ!」

駆け出すと豊姫は手にしていた扇子を広げると一振りする。

すると暴風というには生易しいほどの風が橙矢へと向かってくる。

「何…………!?」

腕を強化させて童子切を叩き付ける。簡単に切り裂くかと思えば、しかし弾かれた。

「しま―――――」

風はひとつの武器となり橙矢を身体を軽々と吹き飛ばした。

地を転がりながらも立ち上がり、再び跳んで豊姫に突撃する。

「馬鹿のひとつ覚えね」

大きく振り上げて風を巻き起こして橙矢を撃ち上げようとする。だがそれは橙矢も分かっていた。

「しゃらくせぇ!!」

腕を強化させて下から全力で振り上げる。斬撃が飛んでいって風に穴を開ける。橙矢が走り抜けれるだけの穴に飛び込み、やり過ごす。

「あら、避けられちゃった」

「随分と余裕だなァ!」

童子切の先を向けて突き出す。それを扇子で受け止めるが勢いは殺せず大きく後退する。

「………………貴方、名は何て言うの?」

「……は?何だよ急に」

「貴方、中々面白いから、少し気に入っちゃったわ」

「あんたみたいな美人さんに言われるとは嬉しいが今の状況ではなにも嬉しくねぇよ」

「あらそう?残念ね」

「俺が護った幻想郷に手をかけたこと、末代まで後悔しな―――――!!」

刀を再び構えて突撃する。

すると豊姫は扇子をゆっくりと頭上に上げる。

「それは効かねぇよ!」

腕を強化させて斬撃を放とうとする。

「確かに効かなかったわね。あんなそよ風程度」

「そ――――」

「少し強めに行くわ。……死なないでね」

先程よりも素早く扇子を薙ぐ。瞬間風の塊が橙矢に激突する。

「ぐ……!?」

慌てて斬撃を放つがかき消される。

「何だと……!?」

「消えなさい。穢れた者よ」

さらに風の塊が打ち付けられ、橙矢は吹っ飛んで海の中へ落ちた。

 

 

 




橙矢君風になる。

感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです。
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