とにかく短いです。うん、とにかく短い。呆れるくらいに。
ではではどうぞ。
天人くずれの頁
刀と剣が交差して二人は大きく後退する。すぐに駆け出して再び激突した。
「…………ッ!久々にしてはやるな天子!」
「アンタこそ、腕は落ちてないようね東雲!!」
天界の外れにあるポツンと浮かんでいる浮島で幻想郷の最大の異変を起こし、さらにその異変を解決した少年、東雲橙矢と天人くずれの比那名居天子が互いに剣術を競っていた。
宴会の後、橙矢は妖怪の賢者、八雲紫に頼んで天界へと来て天子に会いに来ていた。
「ならこれは……どうだッ!」
手にした反りの深い童子切を回転させて足を払う。それを緋想の剣を地に突き刺して受け止めると足を振り上げて横から蹴り抜く。素早く反応した橙矢が腕を強化してそれを止めた。
「勝負ありだ天子」
足を掴んで地に叩き付ける。
「まさか、これでまだ抵抗するとは言わないよな?」
「……………言わないわよ。参ったわ、私の負け」
降参の意味を込めてか両手を上げた。そんな天子に手を伸ばした。
「立てるか?」
「え、えぇありがとう東雲」
手を取って立ち上がらせる。
「俺はただ単にお前に会いに来たのに急に鈍ってないか確かめてやる、なんて言われてさ。驚愕だ」
「まぁまぁ固いことは言わなくていいじゃないの。私と東雲の仲なんだから」
「俺と天子の仲?………どんな仲なんだよ」
「んー?友人、はなんか足りないような……じゃあ戦友?……東雲と共同戦線なんかした覚えないし……」
「友人で足りないんだったら親友ってか?」
「あー、まぁそうなるわね……親友、か。うん、何となくだけど響きがいいわね」
「そうか?ま、俺としちゃ何でもいいけどなこの際は」
あっけらかんに言う橙矢の顔を急に天子が覗き込んできた。
「…………………………………何だよ」
「いや、あの………東雲は、さ。他の子達のところに行かなくていいの?」
「…………………良いんだよ」
浮島の端まで歩いていくと下に広がる幻想郷を見下ろす。
「俺がいなくても……じゃないな。元々幻想郷は俺がいなかった所だ。だったらその元の姿に戻すのが常識ってもんだ。……確かにあいつらには会いたい。けど一番はお前だったからな天子」
振り返って笑む。
「それに俺はこの世界を護るためにこの世界を見通せる所にいる必要がある。それがこの天界だ。………俺は空からこの幻想郷を護っていきたいと思っている」
「東雲…………」
次いでニヤッと悪戯を思い付いた少年みたいに笑う。
「どうだ、面白そうだろ?」
「…………………ふん、何よそれ。まるで自分に得がないじゃない。それに一人で護るですって?自意識過剰もほどほどにしておきなさい。アンタ一人じゃ無理よ無理無理。さらに天界に住まうなら天人にならなくちゃいけないのよ?それを分かっての発言なの?もしそんなこと知りませんでした、っていうなら心底呆れるわ」
「おいおい、酷い言われようだな………」
天子は呆れ顔のまま橙矢に近付くと胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「アンタ一人だけじゃ無理よ。だから私も手伝ってあげるわ」
「…………は?」
「この最強で可憐な天子様がいれば百人力でしょ?だからやってやるって言ってるのよ」
天子は橙矢を放すと手を握った。そして先程の橙矢みたく笑う。
「そんな面白いこと、どうして私に黙っていたのかしら?」
「え、いや別に隠していた訳じゃ………」
「私に黙っていた罰よ。今日一日私の奴隷として働くこと!」
「ハァ!?なに滅茶苦茶なこと言ってやがるこの野郎!」
「教えないアンタが悪いんでしょ!ついてきなさい!」
「おい…………」
何を言っても無駄だと諦めて引っ張られる。それに気が付いたのか天子は満足そうに微笑む。
「それじゃあ東雲。行きましょうか」
「……しょうがないな。えぇ分かりましたよ天子様」
「~~~♪」
その日、一人の人間を連れていた天子くずれは今までにないほどご機嫌だった、と竜宮の使いが言っていた。
その後、東雲橙矢並びに比那名居天子が異変が起こるたびに巫女より早く解決してしまって白黒の魔法使いよりも困らせたとか。
人間の身で天界に住まうという前代未聞の馬鹿をする唯我独尊の橙矢君。そしてその橙矢君を奴隷とするてんこ。
この二人は中々似ているような気がします。
ですから中々書きやすかったです。
次回は霊夢ルートを投稿していこうと考えています。
感想、評価お待ちしております。
では次回までバイバイです。