東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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最近思ったんですけど……話を色々と飛ばしすぎな所が多々あると思うんですよ(|||´Д`)

ですから話が飛びすぎて分からないー、ってところがあればどんな些細な事でも構いません。言って下されば答えます。


あ、主人公のプロフとか書いてないや……(´Д`)


第三十一話 命蓮の姉

命蓮寺の中へと入ると外から見るより広かった。

「はぁ…以外と広いんだな」

寺の外側を沿うように縁側を歩きながら隣を歩く星に呟く。

「そうですか?……まぁ広いという点では分かりますが」

「寺っつーのはもっとこう……仏壇しか置いてないと思ったが」

「それは私も思いました。けど生活するのにそれだけでは無粋でしょう?」

「あー、まぁ確かにな」

「………さて、何処から話しましょうか」

「話す?何をだよ」

「この寺の僧侶についてですよ。一晩でも世話になるつもりでしょう?でしたら是非挨拶くらいは、と思いましてね」

「はぁ……まぁそれはしようと思ってたが。なんだ、急に会っちゃまずいのか?」

「いえ特には」

「なんだそりゃ」

「ただ事前に言っておいた方が衝撃が薄れると思いまして」

「刺激が少ない生活を送ってたところだ。ちょうどいい」

「……………そうですか」

諦めたようにため息をつくとあるひとつの襖の前で止まる。

「とりあえず今の時間うちでは夕食なので一緒にどうです?」

「いいのか?」

「えぇ、食材はいつも多めに作っていますが故、余る時が多いのですよ。ですから一人分くらい余裕です」

「いやその事言ってる訳じゃないんだが……。まぁいいか。せっかくだしご馳走になるよ」

「分かりました。では―――――」

勢いよく襖を開けた。

同時に橙矢は目を見開いた。

その部屋には人間なんて一人も……いや、一人は人間っぽい人はいた。後は全員星も含めて人間なんて一人もいなかった。

全員で一、二…………七人の女性または少女がいた。

さっきのキャプテン村紗や隣にいる星はもちろんなんだかよく分からないものを背中から生やした少女、ネズミ……だろう妖獣の少女、尼さんのような格好をした女性とその背後に控える雲で出来たような顔が妙にデカイジジイ、そしてその異常な妖怪、妖獣などを取りまとめている女性……は人間であろうか。特には妖怪……という点が見当たらない。

「あら星、遅かったわね。っとその隣の方が客かしら?」

人間であろう女性が橙矢の前に来ると軽く一礼する。

「ようこそいらっしゃいました。私はこの命蓮寺の僧侶をしてます聖白蓮と申します」

「どうも、俺は………あー、寅丸さんが知ってるならあんたらも知ってると思うが元退治屋の東雲橙矢だ。急で悪いがこの寺に一晩泊まらせてもらうことになっ……いや、なりました」

さすがに泊めてもらうところでいつも通りの態度で接するのはまずいだろう。そんなのただの礼儀知らずだ。いくら橙矢といえど弁えというものは知っている。

「それよりも聖、彼が貴方に少し話があるそうですよ。まぁそれは食事をとりながらでも良いでしょう。……それより早く。用意は出来ているか!」

星が人が変わったかのように素早く敷いてある座布団の上に座す。

「やっほー、出来ましたよぉ」

部屋の奥の襖を開けながら何やら獣耳のように垂れ下がった耳をした少女が皿を持ってきた。

「早く!早くするんだ!」

急かすように星が声を荒げる。

「ご主人。君は待つということを知らないのか。それに今は客人もいるんだ。はしたない真似は止さないか」

隣に座っていた鼠妖怪のナズーリンに宥められる。

「………すまない」

「見苦しいところを見せたね元退治屋。今のは見てなかったということにして夕餉といこうじゃないか。ほら私の横空いてるからそこに座りたまえ」

「あ、あぁ」

半ば強引に座らされる。すると向かい側に座っている白蓮が口を開く。

「東雲さん。貴方食は細い方?それとも太い方?」

「ん?……普通……です」

「そうですか……遠慮せずにいただいて下さいね」

「ありがとうございます」

「―――それで、何か私に話があるのでは?」

急な話の流れに橙矢は心の中で舌打ちした。

完全に話の主導権を握られた。

「えぇまぁ。…………それじゃ単刀直入に聞きます。あんたは、聖白蓮はかの僧侶命蓮の子孫か何かか?」

「…………………………」

橙矢が聞いた瞬間傍目から見ても分かるくらい白蓮の目が開かれる。

しかしそれも一瞬の間、すぐに元の表情に戻る。

「………………期待を裏切るようで悪いですけど私は命蓮の子孫、なんてものではありません」

「……つまり何も関係は無いと?」

「いえ……少し語弊がありましたね。まぁ率直に言うと私は命蓮の姉ですよ」

「………………………………………は?いや、おいおい、ちょっと待てよ。姉?おかしいだろ。だったらあんた今何歳だよ」

「一度私は眠りにつきましたからね」

「へぇ……永いこと封印されてたんだな……。命蓮は一緒じゃ……」

その時横から軽く小突かれた。

ナズーリンがチラ、とこちらを一瞥した。どうやら触れるな、という事らしい。

「……悪い、なんでもない」

「そうですか?」

不意に声が明るくなった白蓮に驚いて顔をあげる。

「……………!」

そして息が詰まった。

真っ直ぐ橙矢に向けられている瞳に橙矢が映ってないからだ。

この瞳には見覚えがある。いや、見覚えがあるなんて柔なものじゃない。なんせ元々橙矢が開いていた瞳とまったく同じだったのだから。

さすがにこの会話はまずかったかと後悔する。

(やっぱり馬鹿だな俺って………)

「如何しましたか東雲さん?」

「………………なんでもない」

ここで話を切り上げようと他の話題を考える。

「それよりここの寺はそうとう年期を積んでそうだが何年くらいになるんだ?」

「年期、ですか?……さて何時からだったでしょうね」

「なるほど、誰も知らない……か」

「でもどうしてそんな事を聞くのです?」

「ん?あぁ、ちょっと気になって」

「それよりもだ聖。せっかく元退治屋が客人なんだ、彼の武勇伝のひとつやふたつ、話してもらおうじゃないか」

急にナズーリンが会話に割り込んできた。が、橙矢としてはありがたい助け船だ。

白蓮は少し考える仕草をすると少しぎこちない笑みを浮かべた

「……………それもそうですね。東雲さん、頼めますか?」

「………えぇ、こんな捻くれた人物の話で良ければ」

視線だけでナズーリンに礼を言うと何から話そうか考えた。

 

 

 

 

 

 

 

思った以上に連中の食いつきが凄すぎた所為で飯をあまり食えなかった。

配備された部屋で横になっていると襖に鼠の影が映った。

「何だ鼠妖怪」

「……すまないね。少し君と話がしたくてね。失礼してもいいかい?」

「別にいいが……。さっきの事か?」

「あぁそれもあるけど。それ以外にも用があってね」

「なら手短に頼む」

「それは君次第だよ」

失礼、と言って部屋に入って座り直した橙矢の向かい側に座った。

「………………」

「まずさっきはよくあの話を止めたね。心遣いに感謝するよ」

「……あんたが何もしなければ普通に口を滑らしてたけどな」

「それでもよく止めてくれたよ」

「あーわかったわかった。話を続けてくれ」

「それじゃあ、君、隠していたかもしれないけどその服の中の包帯。それは如何して巻いたんだい?あぁ間違っても怪我してるなんて言うんじゃないよ」

「…………隠してたつもりはなかったんだけどな」

「…聞いてた中ではそんな大怪我を負った話は無かったが」

「…………話したくなかったんだよ」

「そうか……。すまないね、古傷をぶり返すような真似をして」

「気にすんなよ。勝手に俺が傷付いただけだからな」

「ふむ、ではそうしておくよ。人にはひとつやふたつ思い出したくない事だってあるさ」

「……にしても鼠妖怪。俺に話があるって中々な物好きだな。大抵の奴なんざ俺と一言二言話しただけで嫌そうな顔して離れてくってのに」

「それは君もだろう?元退治屋」

「……人を職業名で呼ぶな」

「そっくりそのまま返すよ」

「…………はいはい、悪かったなええっと……ナズーリンだっけ?」

「あぁそうだ……ふふっそれにしても察しがいいことで。東雲橙矢」

「橙矢でいいよめんどくさい」

「それじゃあ橙矢。君、どうして退治屋になったんだい?」

「急になんだ」

「………君に、興味を持ったから。と言えば信じてくれるかな」

真顔で言われている為照れるもくそもないが。

「………それは告白と受け取っていいのか?」

「だとしたら君の頭は相当お目出度いな」

失笑という感じであしらわれた。

「ま、冗談はいいや。で、お前はこんな素晴らしいほどに性格が捻くれた人物に興味なんか持つんだ?」

「捻くれているからこそだよ。私は様々な人や妖怪を見てきているがこれほど真っ直ぐに捻くれた人物は始めてだ」

「ふーん………。俺が退治屋に何故なったか…、そうだな……里の連中が勝手に俺を退治屋にした。それだけだ」

「なるほど……つまり君は退治屋になった、ではなく退治屋として仕立てあげられた、という訳か」

「………まぁそういう事だ」

「いきなり無粋な事聞いてすまないね」

「気にすんな、それはもう終わった事だしな」

「……色々と話してくれてありがとう。お礼は後日考えておくよ」

するとナズーリンは立ち上がって襖へと歩いていく。

「いいよお礼なんて。俺はただ話しただけだからな」

「そうかい?なら止しておくよ。それじゃあいい夢を。あ、風呂は私含め全員入り終えたから後は好きに使うがいい」

そう言うと部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー!朝ですよー!」

山彦の声が寺中に響き渡り意識を覚醒させる。

そのあとドタドタと縁側を走る音がし、橙矢のいる部屋が開かれる。

「橙矢ー!起きろー!」

元気な声がすると同時に橙矢の腹に強力な衝撃が奔る。

「―――――!」

簡単な話、橙矢を起こしに来た村紗が腹にダイブした。それだけだ。

「………あれ?橙矢?おーい」

「……………死ぬわクソキャプテンがァ!」

頭を掴むと外に投げる。

が、体勢を整えると地に着地する。

「な、何するんだよ!」

「お前が訳わかんねぇ事するからだろうが!」

「起こしに来ただけだよ!」

「んな乱暴な起こし方あるか!」

「朝からうるさいな君達は…」

騒ぐ橙矢と村紗にナズーリンが欠伸をしながら割り込む。

「村紗、君はもう少し穏便な起こし方は出来ないのか?それと橙矢、怒る怒らないは別に咎めないが急に投げるのは止せ。怪我をするかもしれないだろ?」

「うー、ごめんなさい」

素直に謝る村紗と、

「…………チッ」

舌打ちしてそっぽを向く橙矢。

まるで左右対称な反応だった。

「まったく……。それより橙矢、朝食が出来たから早めに大広間に来てくれ。もちろん着替えてな」

「……………あぁ」

…………まったく最悪な起こされ方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終えた後、村紗に話があると寺の前に呼び出された。

大方今朝の事だろう。別にそれほど怒ってはいないしむしろ橙矢の方が悪いと今思っている。

寝起きが悪いのは昔からの悪い癖だ。それ故に学校ではどれほど知らず知らずの内に喧嘩を売っていたのだろう。

「あ、橙矢もう来てたんだ」

背後から村紗の声がして振り向く。

「……今朝の事は悪かったな。少しやり過ぎた」

相手から言わせるのも面倒なので先に言う。

村紗は驚いたように目を丸くした。

「へ……今なんて?」

「聞こえなかったかよ……悪かったって」

頭下げてんだろ、と言いながらもまったく下げていない橙矢。

それがおかしかったのか村紗が笑いだした。

「アッハハハ!」

「……何だよ、お前だった同じ事を言いに来たんじゃないのかよ」

「あー、まぁ確かにそれもあるね。……………けど」

ふ、と村紗に姿が消えると同時に背後に気配を感じた。

「あんたが本当に退治屋なのか、調べたくてね!!試させてもらうよ!!」

渾身の一撃が橙矢を襲った。

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