最近朝布団からなかなか出られない……。
これは冬の魔力にやれてるだけだ!そうだ!布団から出たら素晴らしい世界がすぐそこに――――
………とはいけず布団から出るのにかなりの勇気がいります…。
え、なにこの茶番。
邪仙と花妖怪は向日葵畑の中にある幽香の家の前で出された椅子に座っていた。
「邪仙、貴方さっき本来の目的とか言ってたけど……東雲をこっちに引き入れる事が目的じゃなかったの?」
「確かにそうでしたが東雲さんに断られちゃいましてね。だから先に他の協力者のところに行ってました。……そろそろ来るはずですけど」
「どれくらいいるの?」
「そうですね……3人は確定してます」
「たったそれだけ?」
「いえいえ、これだけ集められただけでも充分ですよ」
「………で、どうやって結界を壊すの?」
「何、簡単な話です。博麗の巫女を使えばいいんです。私の僵尸がいるでしょう?」
「………あぁなるほど」
考えを察したのかそれ以上の事は聞かなかった。
「へぇ、それは良いことを聞いたな」
「―――――――誰!?」
二人の背後から声が聞こえた。
振り返ると先程別れたはずの東雲橙矢がこちらに向かって歩きながら薄く笑っていた。
「悪いが企みは聞かせてもらったぞ。………馬鹿な奴だな、お前なんかに博麗大結界が壊せるわけないだろ。邪仙」
「…………ッ」
「何かしら、もしかして私と殺り合いに来てくれたのかしら?」
幽香も悠然と橙矢に向けて歩き出す。
「………いや、殺りに来た」
「あら、まだ根に持ってるのかしら?」
「当たり前だ……風見幽香ァ!」
一気に沈み込み、脚力を爆発させると懐へ潜り込む。
刀を引き抜いてその勢いで振り抜いた。
しかし手に伝わったのは肉を斬る感覚ではなく硬いものに弾かれた感覚だった。
舌打ちすると距離を離す。
「………………」
顔をあげると幽香の前に一人の橙矢と同じ………いや、見た目的には少し年齢は上、くらいの女性が橙色に輝く剣を握っていた。
「ふん、危なかったわね花妖怪。天人である私直々に助けてやったのよ。感謝なさい」
自身の事を天人と呼ぶ女性は偉そうに幽香を見た。
「……………………」
「助かります天子さん。その勢いでその人間を潰してください」
冷笑を浮かべた青娥が天人に向けて言うが天人は受け流した。
「はいはい分かってるわよ。………人間、あんたは運が良いわね。なんてったってこの総領の娘、比那名居天子様が相手してあげるんだからね」
「邪魔だ!」
刀を天子に向けて突き出す。それを剣で受け止める。
弾くと天子が剣を振りかぶり、叩き付ける。
刀を横にして防ぐがあることに気付く。
「普通の剣じゃないな………」
「……良く分かったわね。そうよ、この剣は緋想の剣と言ってね。理論上最強の剣よ」
見た目的には外の世界でいうビー〇サー〇ルだ。
「何でもありだなこの世界は……」
「ま、そういうことね!」
天子が腹を蹴り飛ばし、橙矢を飛ばすと距離を潰す。
「ッ容赦ねぇな!!」
「暴れるのも久し振りなのでね、少し手荒に行くわよ!」
薙いだ剣をしゃがんで避けると下から斬り上げる。
それを剣を返して受け止め、かちあげた。
「ッチィ!」
かけあげられたことをいいことに下から膝で顎を蹴りあげる。
天子の身体が浮き上がり、無防備状態になる。
刀の柄を引き寄せると一気に突き出す。
「甘いわ!」
刀身を横から蹴りつけられ、逸れる。
――――予想通り!
蹴られた方へ回転すると反対側から振り抜く。
しかし天子が剣を縦に構えて受け止めた――――瞬間橙矢が横から蹴り飛ばした。
「ッたいわね!」
突っ込んでくる橙矢に合わせて剣を横に振るうが前宙で避け、そのまま踵を落とした。
「ッ!」
天子は腕で受け止めるが次いで下から斬り上げられ、微かに切り傷がつく。
「しつこいわね!」
「それが人間だ!」
剣を振るわれるが剣を持つ手を蹴り飛ばして無効化させる。
天子は舌打ちして剣を持つ手を変えた。
「楽しくなってきたじゃない……!」
「こっちとしてはゴメンだな!」
刀と剣がぶつかり合い、共に弾く。
一秒のうちに何回も金属音が響くがやがて橙矢が押しきられる。
「っそが!」
足を強化させて地を蹴ると前に跳ぶ。
「え!?」
天子に突撃し、突き飛ばした。
「まだ……だァ!」
「ッ随分と物騒なこと……!」
剣を屈んで避け、首を横から蹴り抜いた。
ベキッと骨が折れる音が聞こえた。
「―――――」
首があらぬ方向に折れ、そのまま倒れた。
「…………一人は壊したぞ。次来い」
その時背中に斬られた痛みが奔る。
「ッ!?」
振り向くと首を折りながらも平然と天子が立っていた。
「お前………!」
「酷いわね。急に折るなんて…普通の人間ならこれで死んでるわ」
そう言って首を元の方向へ戻す。
「……………死なないのかよ」
「逆にあれ程度で殺せるとでも?」
「……!」
「ちょっと天人、何一人で楽しんでるのよ。代わりなさい。彼は私と殺し合いに来たのよ」
「何よ、地上の妖怪風情が私の遊びに横槍いれる気?」
「親の七光りで天人になった貴方に言われたくないわ」
「親の七光りですって?言ってくれるじゃない。あんたなんかこの緋想の剣と要石があればあんたに勝つことくらい訳ないわ」
「へぇ、一人前な事を言うわね。どういう教育を受けてきたのかしら、マゾが」
「黙りなさいサドが」
「………………」
「………………」
「お二人とも誰が敵か分かってらっしゃいます?」
青娥が恐る恐る聞くと同時に得物を目の前にいる奴に突き付ける。
「「こいつよ」」
「断じて違いますよ。まったく……喧嘩は良いですけどちゃんと協力してくださいよ」
「無理ね。こんな奴と協力なんてこっちから願い下げだわ」
「あら奇遇ね。私も同じ事を考えていたわ」
「…………じゃあせめて今は東雲さんを………ってあれ、いない?」
ため息をついて橙矢の方をみるとすでに姿を消していた。
「………馬鹿ねこういうのは……!」
「あだッ!?」
突如幽香が天子を横から蹴りつけた。
するとその背後に橙矢が迫っていた。
「チッ!気付かれたか!」
「少し単調過ぎるわよ」
振るう刀を避けると橙矢の額に傘の先端を当てる。
「ッ!」
頭を横に倒した瞬間頭があったところに光が奔る。
「何時見てもおっかないな……」
「余所見はしないようにね」
傘で殴られ、地を転がる。
「……ッ不意討ちたぁ……汚いな」
「さっきやってた奴が何をほざくのかしら。それより……」
ちょいちょいと背後を指差す。
それを確認する前に横に跳ぶ。
緋想の剣が通りすぎ、天子が舌打ちする。
「要石!」
直後橙矢の上から要石が落ちてきた。
「ッ!しま―――――」
避けることも出来ず橙矢を押し潰す。
「ふん、なんだ。初めからこうしとけば良かったわ」
「………ちょっと天人」
「あによ?」
「…………何でもないわよ」
呆れたように額に手を当てる。
「それよりどうするのよこれ。……もちろん貴方が処理してくれるのよね」
「は?何言ってるのよここはあんたのテリトリーなんだからあんたが片付けな―――ブッ!?」
文句を言う天子が横から飛んできた要石によって吹き飛ばされた。
「………いてぇなくそ天人さ……。覚悟は出来るんだろうな……?」
「嘘でしょ……あんた要石で潰された筈じゃ」
「あ?そんなもん持ち上げたに決まってるだろうが」
「嘘よ!人間ごときが持ち上げられるわけ」
「少し黙ってろ」
腹を蹴り飛ばす。
「邪魔するな。俺が用があるのは………」
そう言って幽香に刀を突き付ける。
「風見幽香、あんただけなんだからよ」
幽香は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ふふっ、ようやく私と殺り合う気になったかしら?」
「最初からそのつもりだ」
「あらあら嬉しいわね」
「勝手に喜んでろ。すぐに恐怖に変えてやるよ!」
一瞬で距離を詰めると地を蹴り、跳びながら回し蹴りを入れる、がそれは腕で受け止められる。
着地すると流れる動きで足を払う。
それを幽香は片足を上げて最小限の動きだけで回避し、上げた片足で橙矢を蹴り上げる。
「ッ!」
何とか踏みとどまり、地に強化した拳を叩き付け、その衝撃で幽香を吹き飛ばす。
「きったないわね……もう少し華やかに出来ないのかしら。花符〈幻想郷の開花〉」
「ッ!」
(このタイミングでスペル……!?)
まさかの不意討ちだ。
後ろへ全力で跳び、範囲外へ逃れる。
「そう来ると思ったわ」
距離を離した分だけ潰される。
これでは距離を空けるだけ時間が無駄だ。
地に足を着けて無理矢理急停止するとこちらに迫ってくる幽香目掛けて刀を振るう。
「チッ…………!」
傘で受け止めると先端に光が集まる。
「ここまで付き合ってくれた貴方に敬意を表するわ。そうね……名付けるなら、スペル…………」
言うや否や光が橙矢目掛けて飛んでくる。
それを横に跳んで避ける。
が、
「デュアルスパーク!」
(……!?ッ!まさか……!)
背後を見るともう一人幽香がいた。
「………そういうことか――――」
「チェックメイトよ」
もう一人の幽香が放った光の奔流が直撃し、身体がバラバラになるような衝撃が橙矢を襲った。