東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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最近リアルが忙しくて書く暇が見当たらないです……。
くそ、これは誰の仕業だ!神か、閻魔か、天人か、妖怪か!?
はい、私犬走夜桜の所為ですね。

あー、書く時間を増やしたい……。


第四十三話 緋想の剣

 

魔理沙は橙矢を探すべく上空を飛んでいた。

だが一向に見付かる気配はなく、しょうがなく博麗神社へと戻ってきていた。

「まったく………橙矢は何処に行ったんだぜ」

襖を開けた―――瞬間中から霊夢が飛び出て魔理沙に掴みかかった。

「うわっ!何するんだよ霊夢!」

「魔理沙!あんた橙矢に何したの……!」

「は?何言ってるんだよ……見付からなかったって」

「……………そう」

(霊夢がこんなに取り乱すなんて……橙矢、何をしたんだよ……)

「霊夢、とりあえず何があったか教えてくれるか?」

落ち着かせるように柔らかい口調で言うと霊夢は小さくだが頷いた。

「橙矢が―――――」

瞬間神社の屋根が吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

遡ること十数分前――――

布都と屠自古、橙矢は家から神社へと向かっていた。

「………ったく、何で俺がこんな事……」

「仕方ないだろう。お主しか頼れる者がいないのだ」

「他にもいるだろうが俺より強い奴が」

「うむ、しかし生憎面識が無くてな……」

「は?だったら俺もだろうが」

「布都は退治屋である貴方に興味を持っていたのでそのついでですよ」

屠自古が駆ける橙矢と布都の間に割って入る。

「それはお主もだろうが屠自古」

「さぁ何の事やら」

「んな事どうでもいい。行くなら早く行くぞ」

足を強化させると速度を上げていく。

「フン、それなら我も……!」

布都は自身の〈風水を操る能力〉を使って橙矢に追い付く。

「東雲、我が背中を押してやる。早めに行って巫女を保護しろ!」

風が起こり、橙矢の背を押して更に加速する。

「んな事分かってる!」

目の前に迫る木を斬り倒し、着地して跳ぶ。

「我達もすぐに追い付く!それまでに頼むぞ!」

風から布都の声が伝わり、了解の意味を込めて手で風をかき消した。

「チッ、余計な事しやがって」

舌打ちして前方に位置する木を蹴り飛ばすと視界が開いた。

そこには――――

「東雲……さん……!?」

邪仙と花妖怪、僵尸がいた。

今回は……あのマゾはいないのか……?

「……保護より先にてめぇら潰した方が早いな……!」

刀を一気に引き抜いて幽香に斬りかかる。それを幽香は傘で受け止め、弾く。

空中で体勢を整えると着地する。

「あら東雲……」

「風見幽香……!こんなところで何していやがる……」

「………貴方が想像している事をしに行くところよ」

「―――――!」

再び距離を詰め、刀と傘がぶつかり合い、鍔迫り合う。

「…………邪仙、私は東雲と殺り合うわ。先に行ってなさい」

「――――見付けたぞ青娥!」

追い付いたのか布都と屠自古が橙矢の背後から飛び出て弾幕を放つ。

「ハハッ、無駄だ!」

ひとつの人影が弾幕の直線上に飛び出るとひっくり返した。

「ッ!跳ね返した!?」

返ってくる弾を避ける。

「〈何でもひっくり返す程度の能力〉……。厄介ですね……。ねぇ天邪鬼、鬼人正邪」

鬼人正邪、そう呼ばれた少女が口を歪める。

「あぁそうさ!私の能力は弾幕が戦いの主であるこの世界では圧倒的なアドバンテージを誇る!」

「だったら……東雲さん!」

屠自古が叫ぶときにはすでに橙矢は行動に移していた。

鍔迫り合いをしている途中で力を抜き、幽香のバランスが崩れた瞬間強化した足で蹴り抜く。続けて蹴った足を地に叩き付けて爆発的な跳躍力で正邪に迫った。

「チッ、天人!」

「分かってるわよ!」

橙矢の足元に影が出来る。

それを何か確認する前に横へ全力で跳んだ。

直後橙矢がいたところに巨大な要石が落ちてきた。その上には比那名居天子が。

「一番面倒な奴が来たな……」

「行くわよ!」

緋想の剣を上段に構えて要石から飛び降り、橙矢目掛けて降り下ろす。

敢えて紙一重で避けると腹を蹴りあげた。

「………ッ!」

刀を降り下ろすが緋想の剣によって阻まれる。

その時視界の端に幽香が見え、身の危険を察知して身体を屈めた。瞬間光の奔流が橙矢の頭を掠めた。

その光は勢いは衰えることなく神社の方へと飛んでいった。

少ししてから何かが崩れる音がしたが……恐らく神社の屋根でも吹き飛んだのだろう。

「相変わらずな威力だな……」

幽香から距離を取り、再び正邪へと向かう。

「ッこっちに来たか退治屋……!」

「お前が一番早く片付けれそうな気がするからな。それとお前の能力………何でもひっくり返す、だったっけ?なら……目に見えないものもひっくり返せるのか?」

「は?何言って………」

「威力そのものをひっくり返す事は出来るのかって話だよ!」

一気に刀を降り下ろす。

「ッ!」

慌ててひっくり返そうとしたが間に合わず深く肉を抉った。

「ガ……!?」

「残念でした天邪鬼………。どうだ、言ってみろよ。痛くねぇってな!本心とは逆の事を言うんだろ、アァ!?」

「ッ!どけ!」

腹を殴り付け、橙矢を吹き飛ばした。

「正邪さん下がって!次は……」

刹那、橙矢の周りの木々が内側から崩れていき、橙矢の視界を奪う。

その隙に青娥が正邪に肩を貸して神社の方へと向かっていく。

(なんだ……木が勝手に崩れた……?いや、内側から壊されたような……。待てよ……内側からの破壊?おいそれじゃあ奴等には………!)

しかし考える暇もなく倒れた木々の陰から右から天子が、左からは幽香が来る。

「――――!」

鞘を抜いて幽香の傘を防ぎ、刀で緋想の剣を受け止める。

「おい尸解仙と亡霊!邪仙を追え!俺はこいつらの相手をする………!」

弾いて蹴りで天子を、鞘で幽香の腹を叩き付けた。

「いやしかしお主だけではその二人の相手は―――」

ガァン!という音を立てて橙矢の拳が地に叩き付けられ、布都を黙らせる。

「はっきり言わねぇと分からねぇか尸解仙!邪魔なんだよ!」

「ッ!………チッ、呉々も気を付けてな!」

「相手が相手だからな……」

舌打ちしながらも神社へと向かっていく布都と屠自古には目もくれず刀を構える。

「さて、邪魔者もいなくなった事だし……」

目付きが一気に変わり、殺気を放った。

「少し頑張っちゃおうかな」

一瞬で天子との距離を詰めると下から刀の柄で顎をかちあげた。

「ッァ!……ッ!」

緋想の剣を振り抜き、橙矢が刀で防ぐが吹き飛ばす。

すぐ緋想の剣を地に突き刺した。

すると橙矢の足元の地が盛り上がり、橙矢を上空へ飛ばす。

「なんだこれ……!」

「スペル〈マスタースパーク〉」

不意に幽香がひとつのスペルの名を呼ぶ。

(マスタースパークだァ!?あの魔理沙が使ってる最大火力の――――)

しかし飛んできた光の奔流は魔理沙以上の威力だった。

「嘘だろ、いくらなんでも強すぎ――――」

強化した刀で何とか軌道を逸らそうとするが無意味だった。

しかしそこから身を捻り、直撃は逃れる。

地に転がりながら着くと目の前に緋想の剣が迫る。

さらに前に転がり、避ける。

立ち上がると後ろから蹴りあげた。

「邪魔者は場外願おうかな……!」

バランスを崩した天子の背中目掛けて刀を降り下ろす。刀が背中を裂く寸前天子が無理矢理回転して弾いた。

「ッハァッ!」

刀を緋想の剣に当てて軌道を逸らす。

すれ違う際背中を強く柄で殴打させて息をつまらせた。

「ガハッ……!?」

振り返り、刀を突き刺した。

「天人ともあろうものが情けないわね」

傘の先端が天子の後ろから突き出て刀の先端と激突し、そのまま鬩ぎ合う。

「私と力比べでもしようっての?……なら良いわ、乗ってあげようじゃない……!」

腕力にものを言わせて押し込むが中々押し返せない。

(おかしい……さっきはここで終わっていたのに……。まさか手加減でもしていたと言うの!?)

「ッゼァ!」

逆に押し込まれ、幽香の身体が揺らぐ。

「良いわ……良いわよ東雲!もっと私を楽しませて頂戴!」

さっきとはうって変わって楽しそうな表情になる。

「うるッせェ!」

揺らいだ幽香に追撃をかけるように強化した拳で脇腹を殴り付けた。後ろへと後退した幽香に替わるように天子が出てくる。

「お前の出る幕じゃねぇんだよ!」

左足を軸とした回し蹴りを入れるが相手も同じことを考えていたのか脚と脚が激突する。

「………ッ!」

「ッ…………」

どちらの足の骨も軋むが橙矢はそこから骨を強化させる。

僅かに押しきると天子の足ごと自らの足を地に叩き付けた。

(固定させる事には成功した。あとは……)

刀を地に水平に構えると首目掛けて突きだした。

首に真っ直ぐ突き刺さり、貫いた。

「ゴ………ッ!?」

後ろの木に刺さって宙ぶらりの状態になった。

「………まずは一人」

刀を横に裂いてから血を払うと幽香に刀先を向ける。

しかし幽香は警戒するどころか得物である傘も構えずただ笑みを浮かべていた。

「………何がおかしい?」

「いえ、なんでも。ただ……」

指で橙矢の背後を指す。

「……は?後ろ?………」

振り向くと先ほど殺したはずの天子が。

「な、お前―――――」

「死んだと思った?この私が!」

緋想の剣で袈裟斬りで裂かれた。

 

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