東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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今回は何とか間に合いました。

頭が痛い……。




第四十五話 双極激突

 

「転覆〈撃沈アンカー〉」

 

 

降り下ろされた巨大な剣に巨大な錨が激突した。

「ッ!アンカー!?まさか……」

「やぁ橙矢。昨日ぶりだね」

フランと対峙するように橙矢の背後で村紗水蜜がズレた帽子を被り直した。

「お前なんで……」

「あれ、言わなかったっけ?橙矢に何かあったら助けに行くって」

「あー、そういえばそんな事言ってたな…」

「そういうことだよ。……ま、細かいことは後で話すからさ。……まずはこいつら蹴散らそうか」

錨をフランに突き付けた。

「………話すことなんざねぇだろ」

「邪魔をするなァ!」

フランがレーヴァテインを降り下ろすが錨によって阻まれる。

「悪いね吸血鬼さん……橙矢の前に私とも遊ぼうよ……!」

弾いて横から殴り付けた。

 

 

 

 

 

 

「命拾いしたわね東雲」

剣戟を橙矢と演じる幽香は村紗を一瞥してから呟く。

「あぁまったくだ……余計な事しやがって」

「素直じゃないわね。そういうのは礼を言っときなさいよ」

「お前に言われたくないな……!」

「こっちの台詞よ……!」

徐々に一撃一撃の威力が増していく。刀と傘が交わる度に衝撃波が生まれて、周囲を蹴散らす。

「埒が明かねぇな……!」

「良いじゃない……私は楽しいわよ!」

屈託の無い笑顔でそう言われて少し困惑する。

「………馬鹿野郎……。そんな笑顔で言われると……俺もそうなっちまうじゃねぇか……!」

橙矢も微かに笑みを浮かべる。

「それで良いのよ東雲。戦いは謂わば楽しむものなのよ!」

弾いて橙矢に標準を合わせた。

「ッ!」

傘の先端から圧縮されたマスタースパークを放つ。橙矢は身を屈めると避け、懐に潜り込んで刀を振り上げた。

首の皮一枚で回避すると腹を蹴りあげる。

「ゴハッ……!」

吹き飛び、木にぶつかって止まった。追撃をかけてきた幽香の拳を受け止めると投げ飛ばした。

 

 

 

 

天邪鬼を前にして布都は悪戦苦闘していた。

屠自古は魔理沙の方へと向かわせており、今更後悔した。

「サシで私に勝とうなんざ十年早いんだよ!」

「ハッ千年も生きてない小童が何をほざく!」

「長年生きたからなんだ!?今は力の強い方が偉いんだよ!」

布都から放たれる弾幕をひっくり返す。

「面倒じゃのうその能力……!」

「これが生まれながらの才能だ!諦めな!」

「諦めるわけなかろう!」

その時ひとつの人影が飛び出てきた。

「出てきなさい東雲ェ!」

天人だった。

「天人だと…!このタイミングで……!?」

一瞬だが布都の意識が天子へと向く。

「隙ありだァ!」

その隙をついて正邪が布都へと迫る。

「少し予想外だが……まぁ良い!」

回転しながら水と風を展開させて、正邪が目の前に迫ると同時に回転した勢いのまま放った。

風水は元々裂かれた傷口を深く抉る。

「ガァ……!?」

(こいつ……いつの間に風水を展開させていやがった!?)

混濁する正邪を布都は見下した。

「なんじゃ、さっきまでの威勢はどうした?」

「……!」

(回転してる最中に展開していたのか…。そしたら身体で展開しているところを見られずに撃てる……!)

天邪鬼が思考を働かせているうちに布都は天子へと向かっていく。

「あ、待ちやがれ!」

「天人、討たせてもらうぞ!」

「アァ?誰が私を討つってェ?」

布都の放った弾幕を全て緋想の剣で切り落とした。

「ッ!?」

「天人を討つなんざ……一生懸かっても早いわよ」

下から斬り上げ、布都を吹き飛ばした。

地に勢いよく激突し、クレーターを作る。

「う……ぁが………」

「………馬鹿ね。貴方と私の力の差は歴然だというのに」

布都の前まで来ると緋想の剣を真上に構えた。

「終わりよ。尸解仙」

「………………無念」

「――勝手に終わらせてんじゃねぇよ!」

横から根こそぎ抜き取られた木が飛んできて天子を吹き飛ばした。

「ッ!またこのパターン……!?」

木を投げつけた橙矢は布都を抱えると後ろへと跳ぶ。

「ッ馬鹿野郎!お前ごときが無理して天人の相手するんじゃねぇ!」

「ク……ッ」

少し苦悶の顔をすると橙矢の腕を振りほどく。

「我なら大丈夫だ、まだいける。それより……参ったの……。数では一人向こうの方が上じゃ」

 

「―――それなら私が加勢しようかしら」

 

不意に虚空にナイフが出てきて天子へと飛んでいく。

橙矢は一瞬混乱したがすぐにそのナイフが誰の物か検討がついた。

「ッ………咲夜さん」

「えぇ私よ」

目の前にメイド服を着た女性が現れた。

「久しいわね橙矢。元気にしていたかしら」

「あぁお陰さまで。………にしてもどうしてここに?」

「お嬢様の命でね。妹様を連れ戻してこいって」

「お嬢様がか………」

「そういうこと。さっさと片付けちゃいましょ」

指の間にナイフを挟むと同時に天子へと放つ。

「チィ!メイド風情が!」

緋想の剣を一薙ぎして弾くと咲夜に突撃していく。

「馬鹿だな………」

橙矢が誰となく呟くと天子の脇腹にナイフが突き刺さる。

「……………ッ!?」

任せておけると判断して幽香へと向かっていく。

「ったいわね!!」

「もう少し淑女らしくしてはどうかしら、天人」

天子が額に青筋を浮かべながら笑みを作ると地に緋想の剣を突き刺した。

「割れなさい!」

叫ぶと同時に地割れが咲夜に向けて起こった。

「なんて事を……ッ!」

慌てて宙に浮かんでナイフを投げつける。

「効かないってんでしょうが!」

刀からレーザーを放ち、ナイフを灰塵と化させる。

「あんたなんか相手にしてる暇は無いのよ!」

「奇遇ね、私もよ。幻象〈ルナクロック〉」

キン、と咲夜以外の時が止まる。

「悪いわね。けど、同情はしない」

天子の目の前に無数のナイフを投げ付ける。

振り返ると指をパチン、と鳴らす。次の瞬間天子にナイフが突き刺さった。

 

 

 

 

 

布都がゆっくりと立ち上がり、天邪鬼を睨み付けた。

「お、まだやるかい仙人」

「……我は尸解仙だ」

「変わんねぇだろ!」

「大違いだ!」

怒号一喝一枚のカードを取り出した。

「ひっくり返せるものなら返してみろ……!熱龍〈火焔龍脈〉!」

カードから焔で生成された龍が正邪目掛けて突撃していく。

「どうせこれも弾幕のひとつなんだろう!?だったら望み通りひっくり返してやるよ!」

目の前に迫ると同時に能力を発動。龍の身体の一部はひっくり返るが残りの部位は正邪を巻き込む。

「………ッ!?」

「どうだ……効いたか……ッ!」

「まだだ……!」

巻き込んだ焔を返すと布都に弾幕を放つ。

「くそ……」

布都も弾を放って相殺させるがその中を正邪は突っ切ってきた。

「ッ!」

「終わりだ仙人……………!」

手を前に翳して弾を凝縮させる。

「喰らえ―――――」

「お前がな!」

突然の下から刀が翔んできて正邪の足に突き刺さり、強制的に攻撃を中断させられる。

「ウッ!?」

下を睨み付けると橙矢が今しがた投げつけた体勢をしていた。瞬間横から幽香が橙矢を蹴り飛ばした。

「ッ!早くやっちまえ物部!」

蹴りを腕で受け止めながら叫んだ。

「分かっておる!」

消えかかっていたカードが再び輝きを増す。

焔で生成された龍が三度正邪に迫る。

「うお……くっそ……野郎がァァァァァ!」

能力を使う暇も与えられずまともに龍の突撃を喰らい、意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

幽香の足を押し返して身を屈めると地を蹴って幽香に激突し、吹き飛ばした。

「得物はどうしたのよ」

着地した幽香が橙矢の空の右手を見て言う。

「どうしたって……ここにあるぞ」

上に手を翳すとそこに刀が落ちてきた。何処から……と上に目線を向けると天邪鬼を下した尸解仙がいた。

「…………なるほどね」

横に刀を振るうと橙矢の前方に斬痕が出来る。

「……嬉しい威嚇ね。それじゃ乗ろうかしら……!」

傘を地に叩き付けて煙幕を上げるとその中を突っ切って橙矢に突撃する。

「ッ!」

腕を強化させると下から振り上げた。すると地を抉り取り、風を巻き起こして幽香の侵入を阻む。

しかし、

「甘いわよ!」

傘を一閃。

それだけで風を、地をかき消した。

「マジかよ……!」

傘で殴られて顔面を地に着けた。

「ッァ!」

腕だけで身体を宙に浮かせると回転して弾き飛ばす。

「ハァッ……ハァッ…………」

肩で息をしながら刀を幽香に向けた。

「……そろそろ私達も終わらせた方が良いかしら」

倒れる天子と天邪鬼の方を一瞥すると傘を構える。

「最大出力マスター………」

「ッ!魔理沙!」

足を強化して邪仙と対峙している魔理沙の下へ跳ぶ。そして肩を掴むと振り向かせて幽香と向かい合わせた。

「橙矢!?何して――――」

「魔理沙、マスタースパークを放て!今すぐにだ!」

「えっ、ちょっ……」

とそこで前方に光を集束させている幽香を視界に捉えた。

「冗談だろ!?マスタースパーク!」

ミニ八卦炉を取り出してマスタースパークを放つと同時に幽香も放った。

「………考えは悪くないけど少し私を侮りすぎよ」

拮抗したのは僅か数秒。徐々に魔理沙が押し返されていく。

「………!おい橙矢!このままじゃ……!」

しかし橙矢は至極落ち着いた様子で青娥の攻撃を受け流していた。。

「あぁお前が押し負けることは想定済みだ…………咲夜さん」

「分かってるわ」

少し青娥と橙矢の距離が離れた瞬間間に咲夜が割って入る。

「……頼みますよ」

踵を返すと魔理沙の横に立ち、急に横からミニ八卦炉を掴んだ。これには魔理沙も目を見開く。

「ッ!何してんだ!」

「いいから集中してろ!」

「ッ…………………」

言われた通りに魔力を放つ事だけに集中する。

するとマスタースパークの威力が先程とは比べ物にならないくらいに跳ね上がった。

「ッ!橙矢これ…」

「忘れたか俺の能力を、〈触れたものを強化する程度の能力〉を。今のはミニ八卦炉自体を強化させた」

「そういう事か………!」

「そういう事だとっととやっちまえ……!」

「あぁ!」

「…………ッ!」

段々と威力が増していくマスタースパークに対抗するように幽香も威力を増していくが最早無意味だった。

「――――東雲ェ!!」

妖怪最強と言われた風見幽香の身体が宙に投げ飛ばされた。

 

 




今更ですが三章が長すぎると思うのは自分だけでしょうか………


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