東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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インフルエンザだけというべきかこの二日三日自分の部屋からろくに出してもらえずめっさ運動不足になりかけてます……。
待ってこれじゃあ治りかけ初日の通学時辛いじゃぁないか!畜生めぇ!

なんて茶番。
あ、でも運動不足になりかけは本当です。



ではではどうぞ。




第四十九話 鬼の四天王

ベキベキっと尤もらしい音を立てて建築物が崩れていく。日常でもよく見る光景を横目に二人の鬼は左右に別れて飛んだ。

「チッ!なんだってんだいあの吸血鬼!中々やるじゃないのさ!」

「勇義!私があいつを押さえる!」

萃香が霧状になり、姿を眩ますとフランは焔で生成された巨大な剣を構えた。

「禁忌〈レーヴァテイン〉!」

振り回すが霧状になった萃香に当たり判定などない。

「甘いね!」

背後に移ってから密度を大きくして身体を再生させると羽交い締めにする。

「ガァ……!?は、離せェ!」

「フランドール・スカーレット。なんでお前がここにいるか知らないがあまり暴れられると後々面倒だからね!少し眠ってもらうよ!勇義!」

「あいよ!」

懐に潜り込むと〈怪力乱神を持つ程度の能力〉を駆使し、拳を放った。

が、

「ッァ!?」

勇義が横から吹き飛ばされた。そのまま倒壊した建物に突っ込む。

「勇義!?」

「お前も邪魔ダヨ……!」

絞めている腕を掴むと鬼に匹敵する力で引き剥がされる。

「嘘……だろ…!?」

勇義同様下に投げられるが地に直撃する寸前に霧状になり、免れる。

再び密度を戻すと地に足を着けてフランを見上げた。

「禁忌〈フォーオブアカインド〉」

上空にはフランが四人いた。

「四体出すって……卑怯にも程があるだろ」

愚痴りながら勇義が自らを潰していた建物を蹴り飛ばした。

「まぁでも私達もついさっきまで同じようなことしてたから何も言えないよ」

「はは、言えてるね」

特に緊張感も無いまま構える鬼二人。

そんな二人にレーヴァテインを振り上げたフラン四体が襲い掛かる。

「一人二体ずつだね。勇義、何か不足はあるかい?」

「少し足りないくらいだけど……あぁいや、前言撤回。やはり充分だ!散るよ!」

「分かってるよ!」

同時に反対側へと駆け出す。するとフランは狙い通り二体ずつに分かれそれぞれを追う。

勇義はある程度離れたところで足を止めた。

「さてお嬢さんや。どういう了見で鬼に喧嘩を売るか知らないけど……些か私達の事を嘗めすぎてないか?たった四人ぽっちで私達二人を倒そうなんて」

「それこそこっちの台詞だよお姉さん!鬼だから何だってのさ!」

すると勇義はやれやれと言った様子で額に手を置いた。

「分かってないねぇ。吸血鬼風情が……。これは少しお灸を据えてやらないとね!」

レーヴァテインを振り上げるフランに対して突っ込む勇義。

降り下ろされたレーヴァテインを腕に付けられている枷で受け止めた。

「うわこれ質量半端じゃないな……!」

「そーれもう一発!」

もう一体のフランが弾幕を放ち、勇義を再び吹き飛ばした。

「もう慣れたんだよこの痛みは!」

宙で体勢を整えると弾幕を二体に向けて放つ。しかしそれはレーヴァテインによって打ち落とされた。

「面倒だねそのスペルは……」

ひとつの崩壊した建物を持ち上げると何時ぞやの人間みたく投げつけた。

「ッ!馬鹿が!」

レーヴァテインで切り裂き、灰塵とさせた。

その陰から勇義が出てきてフランに接近し、下からかち上げた。

「ッガァ!?」

消えていくフランの分身には目もくれずもう一体のフランへと狙いを移す。

瞬間、

「ギッ……ァ…!」

四肢があらぬ方向へぐちゃぐちゃに曲がった。

「まさ……か……!あんた……能力で……」

薄れゆく意識の中でフランが不気味な笑みを作っていた。

 

 

 

 

 

レーヴァテインを霧状になりながら避け続け、隙あらばすかさず弾を放つ。そんな攻防を繰り返しているうちにも均衡が崩れかかっていた。

「おいおい、ほんとにあんたフランドールなのかい!?ちょっと前に戦ったときよりも強くなってるじゃないか!」

「いつまでも同じ難易度だったらつまらないでしょ?」

「確かに言えてるけど……!」

レーヴァテインを紙一重で避けると一気に接近する。超至近距離で弾を直撃させるとそのフランは消えていなくなる。

「だったら……!」

もう一体の方へ注意を向ける。

「禁忌〈フォーオブアカインド〉」

さらに三体が増え、再び四体になる。

それだけでは終わらず――――

『禁忌〈フォーオブアカインド〉』

四体同時にそのスペル名を言う。

「ッ!ま、まさか……」

これにはさすがの萃香も焦らざるをえない。

何せ一体のフランがさらに四体に増えるスペルを四体同時に使ったのだ。その数――。

「十六体。いくら鬼の貴方でもこの数には勝てないでしょう?」

「……まずったね……。いやはや参った。あんたには消費というものが分からないのかい」

冷や汗を流しながらも強がりの笑みを浮かべた。

「消費?そんなもの戦いの中では関係ないわ。一々気にしていたら集中出来ないでしょう!」

八体がレーヴァテインを八方から振るう。

「ッ!」

密度を無くして霧状になると遥か上空。地上の地盤近くまで飛び上がった。

「アハッ、逃がさないよ!QED〈495年の波紋〉」

「いきなり大技か……!」

迫り来る弾幕を潜り抜けながらある一体に狙いを定める。

「こうなったら一体ずつやっていくしか……!」

「その考えは無いわ」

「!?」

背後を見ると一体のフランがレーヴァテインを振り上げていた。

(馬鹿な……いつスペルを使える時間があった!?いや違う、これは……弾幕で気を逸らさせた時に私の後ろに回り込ませたのか……!)

「残念、貴方にこの難易度はまだ早すぎたようね」

一気に降り下ろして萃香の身体を斬り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

数分後、いつも賑わっている旧地獄街道だが今は焦土と化していた。

「はぁ………やっぱりつまらないわ。やっぱりお兄様じゃないと……あれ、そういえばこの先に確か……」

自らの分身を消してレーヴァテインを霧散させるとフラフラと歩いていく。

―――――目指すは地霊殿。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――翌日、橙矢は紅魔館に訪れていた。

「………久し振りだな」

いつも通り寝ている中国はスルーして紅魔館に入る。

すると目の前に咲夜が現れた。

「誰ですか―――――ってあら、橙矢」

「どうも、咲夜さん」

軽く手を上げると咲夜は警戒を解いた。

「どうしたのよ。貴方がここに来るなんて」

「えぇ少し………」

「……大体想像がつくわ。……入って良いわよ。お嬢様と話をしに来たのでしょう?」

「ありがとうございます、それじゃ失礼します」

咲夜の横を通り過ぎて扉の前に行くと開けた。

すると目を見開いた。

一匹しかいなかった筈の妖精メイドがロビーだけでも十匹近くいた。

「………………これは」

「驚いた?」

後ろにいた咲夜が微笑して問う。

「咲夜さん………なんで妖精メイドが……」

「貴方は知らないと思うけど妖精っていうのはあらゆる万物の魂そのもの。つまりその万物があるかぎり妖精が死ぬことは無いわ。例え妖精の姿で死んでも万物が無事なら何度でも蘇る、妖精はそういう生き物なの」

「……………なんだよ、それ……」

「……ごめんなさいね、別に貴方に黙っていた訳ではないのだけれど」

「………無事だったのかよ……良かった」

「…………ッ」

橙矢の一言に息が詰まった。普通だったら橙矢と同じ境遇に立たされた人だったら間違いなく咲夜とかに対して何故早くに言わない、などと言うだろう。咲夜も怒鳴られるとばかり思っていた。しかしこの少年は違った。自身にあったことよりも妖精の生存を喜んだ。どれだけ橙矢が自身よりも他人の事を大切に思っていたか分かる。

「……っとすみません咲夜さん。無駄足取らせました……行きましょう」

何事も無かったかのように廊下を進んでいく。

「……………ほんと、何も変わってないわね貴方」

「そりゃあ変わらないでしょう同じ奴なんですから」

「…それもそうね」

「お嬢様の様子はどうなんですか?」

「様子?………元気がまるで無いわよ。血もあまり飲まなくなったし……。それほどフラン様の事が心配なのかもね」

「いやかも、じゃなくてそれですよね原因は」

「言葉の綾よ」

さいですか、と目線を上げるとレミリアの部屋の前まで来ていた。

咲夜がノックする。

「お嬢様、十六夜咲夜です。橙矢がお嬢様にお話があると」

「………橙矢?橙矢がいるの?」

何とも久し振りに聞いた声だ。ただ咲夜が言っていた通り元気が無いように聞こえる。

チラと咲夜がこちらを一瞥した。どうやら行け、という事らしい。

苦笑いすると観念したように扉を開けた。

少し離れたところにあるバルコニーでかつての主人が日傘の下で椅子に凭れていた。

そして橙矢の顔を見るとその表情を明るくした。

「レミリア様、お久し振りで―――」

「うー!橙矢ー!」

急にレミリアが物凄い勢いで胸に飛び込んできた。

「は―――――?」

勢いを止められず、廊下の壁に激突した。

 

 




前書きのところにろくに部屋から出してもらえず、と言ってましたがその分これが書けるから良いんですけど(´ω`)


次回までバイバイです!
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