東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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無意識って恐い。

えーと八雲藍を描かせて頂きました。
何も考えずに描いてました。
次回は………レティを描こうと思ってます。


【挿絵表示】


ではではどうぞ。



第六十二話 自由の犠牲

 

「う……あぁぁ…!」

何とか立ち上がり、視線をあげた。

その先には同じように身体を持ち上げるフランの姿が。

意識が朦朧としてきて視界がブレる。

「……!」

自らを殴り付けて意識を無理矢理快復させた。

「アハハ……お兄様………楽しいね……!」

「そうだな……だけどそろそろ……切り上げようか」

「………うん。私も………同じ事を考えてた」

「そうか……それなら始めよう」

刀を真っ直ぐ構える。それに対抗するようにフランもレーヴァテインを構えた。

「行くよ………お兄様ァ!」

間合いを一歩で詰めた。それに合わせて刀の先をフランに向けて突き出した。

それはフランの頬を微かに裂いて血を巻き上げる。だがそれの代償にレーヴァテインで肉を深く抉りとられる。

「グ……ガッ!?」

「まだまだ行くよ!」

「ッ!」

振り下ろされるレーヴァテインを慌ててバック転して避けると続いて振り上げられ、それを横に跳んで避けた。

「上手い上手い!」

横に薙いだレーヴァテインを跳んで空中で横に一回転しながら避ける。

「これも避けるの……!?」

「回避力だけは幻想郷随一だ!」

「魔理沙や霊夢達の方が上手いよ!」

「あれは例外だろうが……!」

共に斬撃を浴びせながらも口を止まらせる気配は無い。

極めつけに刀とレーヴァテインが激突して再び二人を吹き飛ばす。

「ハァ………ハァ……!」

「うぐ……あぁ……」

力無い声をあげながらも立ち上がる。

「ウオォォオォ………!」

「アアアアァァァァァ……!」

共に得物を杖代わりにしながらヨロヨロと起き上がり、互いの獲物を睨み付ける。

「フランドオオオォォォォルッ!!」

「お兄様アアアアァァァァァ!!」

激突して鍔迫り合い、フランが体格差を生かして懐に潜り込む。それを一瞬で確認した橙矢は身体ごと回転させて吹き飛ばす。

「ぐぅ……!」

裂かれた箇所を押さえるが血が止まる気配はない。

「……………ッ」

「まだ倒れねぇのかよ……!」

「こんな傷……!」

するとフランはレーヴァテインの焔で傷口を焼く。

「うぐ……ァァ!」

「フラン!何して……」

「黙りなさい……。私はどうしても貴方に勝たなくちゃいけないのよ……!」

「自由になるためか?……本来の目的はどうしたよ。俺と戦うだけが目的じゃなかったのか?」

「確かに当初の目的はそうだったわ」

「…………だったら」

「私ね、気付いたの。お姉様はきっと私の事が嫌いなんだって。だから私は監禁されていたんだって。………だったらこの監獄、私自らの力で出てみせる!!」

レーヴァテインを薙いで空気を焦がす。

「……………自由?そんなもの何処へ行ったってあるはずないだろ。仮にもしお前が言ったことが現実になるとしよう。が、そんな自由所詮ただの自己満足。本当の自由なんて………ねぇよ」

全てを見抜くような瞳に射抜かれて身体が竦み上がった。

「ッ!貴方に何が分かるってのよ!!」

「全てだ」

即答だった。

「俺は今お前がなろうとしているものそのものだ。………誰からも嫌われて挙句の果てに忘れ去られて………俺の周りに人がいなくなった。そんなものの何処に自由があるっていうんだ!!」

快復してきた妖力を全て解放する。

「俺は全力でお前の考えを全否定してやる。何がなんでもな。覚悟しろ」

殺気の篭った視線をフランにぶつけた。

「………………全力で私の考えを全否定?……ハハハハ!面白いわ。やっぱり貴方は面白いわお兄様!」

すると表情が一変して橙矢を睨み付けた。

「やれるものならやってみなさい!」

一瞬で橙矢の背後に回ると牙を首筋に突き立てた。

「グ………ガァッ……!?お前……!!」

身体ごと叩き付けるようにフランを地に叩き付けた。

「――――!」

痛みで牙を首から抜いた瞬間刀で斬り上げる。

「うぐ……!?」

「ッ………!」

後退すると腕を強化して斬撃を放つ。

「チィ……!禁忌〈レーヴァテイン〉!」

再びレーヴァテインを引き抜いて斬撃を弾き返す。

「マジかよ…!」

横に倒れるように跳んで避けた。

「甘いわ!そんな程度のもので私を止められると思った!?」

「止めなきゃいけないんだよ!!」

息を切らしながら叫んで強化した拳を地に叩き付けた。煙幕がフランの視界を覆う。

「チッ!小賢しい!」

翼を広げて一気に羽ばたく。

一瞬にして煙が晴れた。

しかしフランの視界に橙矢はいなかった、

「ッ!?何処に―――」

「こっちだ!」

右から声がしてそちらに顔を向け―――るよりも早く蹴り飛ばされた。

「ッ………中々卑怯な手を使ってくるわねお兄様!」

「よく言われるなその言葉!」

さらに刀を振り下ろして斬撃を飛ばすと自身も跳ぶ。

「口説いわ!」

弾き返すがそれを予想していた橙矢はスレスレで避け、速度を落とさずフランに迫る。

「あくまで接近戦なのね……!」

「俺は弾幕が撃てねぇからな!」

「それもそうね!」

レーヴァテインの出力を増させると斜めに斬り裂く。

「ッァ!」

それを紙一重で避けて大きく一歩を踏み出す。その衝撃がフランに伝わって僅かに上体が浮いた。そこから腹を殴りあげた。

「う………カァ………」

膝から崩れ落ちて地に伏せた。

「………ハァッ………ハァッ、ようやく大人しくなったか」

大きく息を吐いてそのまま後ろに倒れた。さすがに身体的にも精神的にも限界が来ていた。

「…………どうよフランドール。格下に敗けた気持ちは」

「…………格下?……何を言ってるのお兄様……」

「……は?」

「少なくとも………私はお兄様の事を格上だと……見ていたわ」

「えッ」

驚きの発言に身体を起こした。

「言ったでしょう?私はただお姉様を殺したいがために強くなる。そのためには強い奴と戦い、勝つ。それしか方法は見つからなかった……!」

自らを鼓舞するように身体を持ち上げる。

「だから私は敗けてられないの……!」

「………当初の目的はどうでもいいってか」

「うん。……って少し前だったら言ってた。けど今はお兄様と戦えて嬉しく思うわ…!」

「それはどうも」

「それじゃあ続きを始めようかお兄様!」

「……………もう充分だろ」

「………ふざけてるの?お兄様は私を殺したいほど憎いんじゃないの?」

「……確かに殺したいほど憎いさ。……けどそうすると………」

とそこで一旦言葉を句切って視線を上げる。そして口の端を吊り上げた。

「お前の後ろにいる奴が悲しむからな」

「え?」

振り返る寸前何者かが背後からフランを拘束した。

「ッ!しま……」

「フラン。もう止めなさい」

聞き慣れた声がフランの耳に届いた。

「―――お姉様……?」

「えぇ、妹にやられてついさっき目を覚ました不甲斐ない姉よ」

「お姉様も私を殺しに来たの……!?」

するとレミリアは大きくため息をついた。

「貴方ねぇ……さっきの橙矢の言葉聞いてなかったの?」

「さっき?」

「少しは視界を広げたらどうなのよ。……殺したら私悲しむって」

「ッ!」

「確かに合ってるわ。……悪かったわね、フラン。まさか貴方がそこまで思い悩んでるなんて気付きもしなかったわ」

「お姉様………」

レミリアは拘束していた手を放して前に回り、抱き締めた。

「ごめんなさいね。これから姉妹仲良くやっていきましょう」

「…………うん」

少し離れたところで胡座をかいて座っていた橙矢は出る幕は無いな、と立ち上がって踵を返した。

「東雲」

そんな彼に声をかける人物が一人。こんな霧の中でも傘をさしている妖怪、風見幽香だった。

「風見幽香…………霊夢達は?」

「今は里の人の救出にあたってるわ」

「…………で、俺になんか用なのか?」

「えぇ、そろそろ終わる頃だと思ってね」

「そりゃあご苦労なことで」

「どうも………にしてもお疲れ様。よく止めたわね。あの狂気の妹を」

「そう言うのは止めとけ。今はただの可愛い女の子だ」

「あら、私と同じね」

「あ?」

「は?」

「………すまん。ちょっと吐いてきていいか」

「気のせいかしら。今喧嘩売られたような気がしたわ」

「その腐った耳修理してこい。今の状態で売ったら瞬殺される自信はある」

「よく分かってるわね。………けど私こそ勝てる自信ないけど」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ」

「馬鹿言ってるのはどっちよ。吸血鬼に勝ったくせに」

「勝ってなんかいねぇ。ただ物分かりが良かっただけだ」

「………そう。ま、そういうことにしておくわ」

それよりも、と幽香は橙矢に歩み寄ると傷口を指でなぞった。

「ッ………何してんだよ」

「どれくらい傷が深いか気になってね」

口元に手を当てて笑う。

「………血が付くけどいいのか?」

「平気よ。私は貴方と同じ妖怪。それにその気になれば人も喰らう妖怪よ?血なんか気にしないわ。にしても貴方が妖怪になるなんてね………。どうなのよ人間から妖怪に変わった気分は」

「……反吐が出そうだ」

「……けど今は半妖に戻ったみたいね」

「そうなのか?」

「えぇ、貴方が夜叉になってるときだけ完全な妖怪になり、それ以外の時は半妖」

「なるほど………。ま、もう人間に戻れない事は確かだな」

ふと遠い目をした橙矢の頭を軽く小突いた。

「妖怪になろうがなかろうが貴方は貴方でしょう?気にする必要ないわ」

「……良いこと言ったつもりか?」

「えぇとても」

「それこそ反吐が出そうだ」

瞬間首を掴まれた。

「何か言ったかしら?」

「いいえ何も言ってませんからこの手を放してください幽香お姉様」

「………………しょうがないわね」

 

 

 

 

 

『なんだよ、もう終わったのか』

 

 

 

 

 

その一言と共に空から何かが飛翔してきた。




少しフラグ回
では次回までバイバイです!
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