東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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霊夢を描かせて頂きました。少し身体を小さく描いてしまいましたけど……大丈夫だよね。次回は純狐を描こうと思ってます。


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ではではどうぞ。


第六十四話 破壊の意図

耳に入った言葉に橙矢は目を見開いた。

「シヴァ………だと?」

「あぁそうだ。もっとも急にそう言われたって信じる方が無理だと思うがな。信じる信じないは貴様等に任せる」

「…………信じない方が無理だな」

「物分かりが早くて助かる」

「だがお前がお嬢様達を狙ったのは事実だ。……少しやり過ぎな気がするが」

「反抗するのは徹底的に潰すタイプでな」

ニヤリと笑みを浮かべるシヴァに刀を向けた。

「なんだ、まだ抵抗するのか?」

「生憎だがこの郷を破壊させるわけにはいかないんでな」

「うーぬ、貴様は元々外界の人間なんだろう?この郷を破壊すれば外界に帰れるのだぞ?」

「…………悪いがもうここに居場所を見付けたからな。帰るつもりはない」

「ふん、つまらないな」

「あんたに言われたくない」

「あのなぁ………、貴様は敬語というものを知らないのか?」

「俺が敬語を使うのは俺が本当に認めた……あぁいや、これじゃあ少し語弊が生じるな。俺の家族だけだ」

「………家族、か。ハッ、俺は貴様が外界にいるときから知ってた。……変わったな東雲橙矢」

「ッ!なんで俺の名前を……!」

「当然だ。外界で唯一人世界から弾かれた人間なんだ。知らない方がおかしい」

「……………あぁそう。なるほど、てっきり神にも忘れられたかと思ってたが……」

「忘れたさ。だから貴様はこの幻想郷に入った。そして幻想郷の東雲橙矢として俺達神の耳に入った。それと同時にどうして貴様がそこまで至ったのか、それを思い出した」

「………………」

「そこで俺達神群は乱れた秩序を正すため貴様を元の世界に戻す事にした。気付いているだろう?貴様が幻想郷に来てから様々に異変が次々と起こっている事を」

「………だから何だ」

「神群は貴様を助けるためにこの幻想郷を破壊し、そして東雲橙矢。貴様を元の世界に戻す」

「……助け?馬鹿言うなよ神様。俺はもう人間じゃないんだ」

「半分な。だがそれでも貴様は人間として生きていける。それを見越しての事だ」

「……………だからってこんなする必要あったのか?」

周りには倒れる幻想郷の実力者達。それを一瞥して刀を鞘に納めた。

「ん、何だ?諦めたのか?」

「まさか、俺の家族を傷付けた奴を許す訳ねぇだろ」

刀の柄に手を添えて体勢を低くする。

「やれやれ抜刀術か……。諦めが悪い奴だな」

呆れながら手を伸ばすとそこに神々しい剣が収まった。

「貴様のような分際でこれを使う羽目になるとはな……聖剣カリブルヌス」

「カリブルヌス……!?まさかアーサー王のカリブルヌスなのか!?」

 

 

カリブルヌス

その剣はかつてブリテン島の正統な王として君臨したアーサー王の手中に収まったと云われている聖剣。アヴァロンで鍛えられたその剣を手に入れた人は人間を逸した力を発揮すると言われている。

 

 

「待てよ……何でカリブルヌスなんだ?エクスカリバーじゃないのか?」

確かにそうだ。カリブルヌスは本来中世ラテン語で鋼という意味。エクスカリバーとそんな性能は………というかカリブルヌスとエクスカリバー、唯単に名前が違うだけなのだが。だがそれだけで格が違う。

「まだこの剣は覚醒してなくてな。……あの駄王、俺達神群が使おうとした事を推定して自身が死ぬ寸前エクスカリバーの力を封印してカリブルヌスにしやがった」

「……神様の力で直せないのか?」

「あー無理無理。俺はそういうの苦手だし。俺が属している神群は戦闘専門だかんなー。かといって下の奴に頼むわけにもいかねぇし」

「………お前の事情なんか知るか」

「けどまぁ……この幻想郷を壊せるだけの威力は持ち合わせてるから安心しろ」

肩に凭れさせてある聖剣を軽々と真上に掲げる。

「馬鹿野郎……!それを聞いて余計安心出来なくなったわ!」

「まぁそういうことだ。大人しくやられろ!!」

「ッざけんな!」

振り下ろされるカリブルヌスの刀身に横から限界まで強化した刀を突き刺して止めた。

「お?よもや受け止められるとは」

「危ねぇな……!」

「だったら避けろ」

「後ろにいるだろうが馬鹿……!」

「知るか!!」

カリブルヌスを力任せに振り抜いて刀を抜き、橙矢を吹き飛ばした。

「ッ!?」

地に叩き付けられて息が詰まる。

「ゲホッ!?ガァ……!」

「あぁ既に俺と戦う前から死に体だったか」

「………だったら何だよ……!」

するとシヴァは興味が失せたようにカリブルヌスを霧散させて浮いた。

「今回は興が逸れた。……暇潰しに天界でも見に行くとする。東雲橙矢、精々外界に帰る準備をしておくんだな」

「待ちやがれ……!」

飛んでいくシヴァに手を伸ばすが当然の如く届かず、さらに視界がグラついく。

「………くそったれ………」

橙矢の視界が暗くなり、意識を手放して地に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

天界のさらに上空にある外から見れば分厚い雲の中に幻想郷の最高神である龍神が佇んでいた。

その間に竜宮の使いの永江依玖が入ってきた。

「……………何用だ」

「急な訪問お許しください龍神様。しかしそれ相応の事が地上でありまして……」

「……それ相応の事?吸血鬼が空を三度紅い霧で覆った事は知っているが」

「いえ、問題はそのあとです」

「後だと?」

「えぇ、なにせかの―――――」

その時依玖の背後から光の奔流が迸り、依玖と龍神を掠めて飛んでいった。

「ッ」

「だ、誰です!?」

「―――――俺だ」

ザ、と床を踏む音が聞こえて一人の男が侵入してきた。依玖は龍神の前で構える。

「おぉ誰かと思えば龍神か。随分とけっちーところに住んでいるんだな」

「誰だと聞いているんです!貴方見たところ天人ではありませんね!」

「五月蝿い」

ピシャリと言い放つと依玖は言葉を止めた。

目の前に剣の先が迫っていたのだから。

「………………!」

「龍神、俺の事は知っているよな?」

「………………シヴァ様、何の御用ですか」

「よしよし、覚えているようだな。もし忘れられてたら……泣いて幻想郷ぶち壊してたな」

「な――――」

あまりの唐突な発言に言葉を失った。

「アッハハハ!冗談に決まってるだろ!」

腹を抱えて笑うシヴァを羽衣をドリルのようにした依玖が睨み付ける。

「貴方!龍神様になんて口の聞き方を……!」

「止せ依玖!手を出すな!」

「龍神様……!?」

羽衣をシヴァの目の前で止めた依玖は驚愕していた。

下手すれば幻想郷を破壊する事が出来る龍神がこの男を恐れている。

「あぁそういえばここに来る途中俺に歯向かって来た奴がいたが……軽く捻っておいた」

「まさか………」

「総領娘様が……」

 

 

 

「誰が捻ったですって!?」

 

 

 

壁を裂いて緋想の剣を構えた比那名居天子がシヴァに迫る。

「やれやれ、まだやられ足りなかったか」

カリブルヌスを顕現させると緋想の剣を弾く。

「………!」

空中で体勢を整えると虚空を蹴って接近するとカリブルヌスをカチ上げる。

「おぅ、マジかよ」

「全人類の緋想天!!」

緋想の剣の先をシヴァに向けると橙色のレーザーが飛んでいく。

「小賢しい!!」

手を前に突き出すと光の奔流を放つ。

「偽造〈マスタースパーク〉」

相殺するとシヴァが天子目掛けて跳ぶ。

「白黒のスペル……!?」

「少し違う。唯単に真似しただけだ」

「真似しただけでそんな威力でないわよ!」

「そこはまぁ……俺の実力?」

「黙りなさい!!」

振り抜かれるカリブルヌスを受け止めるが吹き飛ばされて壁に激突する。

「カハ……ッ!」

「終わりだ天人!」

壁にめり込んだ天子にカリブルヌスの先端を向けた。

「ッ!まさか……!」

「貴様の技貰うぞ。偽式〈全人類の緋想天〉!!」

天子の〈全人類の緋想天〉とは違い、紅いレーザーが放たれる。

(まずい………ッ!)

「総領娘様!」

しかしそれは天子に当たることはなかった。

叫ぶ依玖の横を通って天子の前に現れた龍神が受け止めていた。

「この馬鹿者が……ッ!相手を考えろ!」

「お?龍神、部下思いだねぇ。涙がホロリと出そうだなァ!」

笑みを浮かべると出力を増した。

「ヌゥ……!」

「頑張るなァ」

「侮るなよ破壊神如きがアアアァァァァ!」

全ての力を使って弾き返した。

「うお、マジか……!」

自ら放った偽式〈全人類の緋想天〉を喰らって壁を破壊しながら龍神の間から吹っ飛ばされた。

「グォ………!」

龍神が倒れた。慌てて依玖が駆け寄り、安否を確認する。

「龍神様!無事ですか!?」

「……すまん依玖。……今のを弾くだけで力を使い果たした……」

「そんな……では!」

「………もう永くない……手短に話す。……私はもうすぐ命を落とす。そしたら……依玖、お主が龍神代理として天界をまとめてくれ……。次の龍神が生まれるまでな……」

「私が……?む、無理です……!」

「いいや、やるんだ」

龍の手が依玖の細い腕を掴んだ。

「お主は私が認めた竜宮の使いだ……。あとは……頼んだぞ」

そう言い遺すと龍神は光の粒子となって消えていく。

「龍神様!」

「…………………」

龍神が目をゆっくりと閉じて――――消えた。

「あ……あぁ………龍神様アアァァァ!!」

依玖の叫び声が天界に響き渡った。

 




お陰様でお気に入りが40件を越えました。
皆さんありがとうございます!

これからも頑張りますのでよろしくです。

では次回までバイバイです!
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