陽の光が顔に当たって意識を覚醒させた。
「…………ぁ………」
瞳を開けると白い天井が映った。どうやら何処かのベッドで寝かされていたそうだ。
「……………………あれ、ここは……」
「ようやく目が覚めたのね」
「………………なんでここにいる風見幽香」
声だけで誰か分かった。
「ここが私の家だからでしょう?橙矢」
「は?お前の家?………なんで」
「そうねぇ………強いているなら」
とそこで言葉を中断させると橙矢の膝に頭を乗せて横になった。
「貴方との時間を作りたかった……というべきかしら」
そう言って手を橙矢の頬に添えた。
「…………悪い冗談は止めてくれ」
「あら、この事に至っては私は本気よ」
「え?」
「ふふっ、良い反応。……貴方は気付いてないかもしれないけどシヴァとかいう奴と対面してるときの橙矢の顔……少し惚れたわ」
「…………すまん。俺の耳がおかしいのかな」
「おかしくなんてないわ」
頬を赤く染めながら橙矢の頬を撫でる。
「………気になったんだがお前はいつから俺の事を名前で呼び始めた?」
「駄目かしら?」
「いや別に良いんだけど」
「だったら貴方も名前で呼んでくれない?」
「ゑ………」
「いいじゃない。呼んでくれないかしら」
幽香にしては珍しい上目使いで見てくる。
「う………。わ、分かった、かざ……幽香」
すると嬉しそうに微笑んだ。
「………喜んでもらえてなによりだ。なぁそれよりもあの後どうなったんだ?」
「あの後?」
「俺が倒れた後だ」
「知らないわ。私が起きた時には既にシヴァは消えていたから」
「あぁそう。……いやそうじゃなくてどうして俺がお前の家にいるかって話なんだが」
「そこなの?……霊夢達が起きる前に運んできたわ」
「…………それってかなりまずいんじゃ……」
「平気よ。霊夢達はちゃんと分かってるはず」
「いやそっちの方がまずいだろ」
「それに私は貴方を看病してあげてたのよ?」
「あ、あぁそれは感謝する……」
「けど服が無くてね………どうするの?」
「は?いや服なら着てたやつを………」
そこまで言うと幽香は少し気まずそうに目線を逸らした。
「あーそれがね……貴方は気にしてなかったかもしれないけど戦っている時に破れちゃったのよ。……原型が留まらない程に」
「……………………………マジか」
「……里にでも買いに行く?」
「俺が行ったらさすがにヤバイだろ」
「うーん……じゃあ私が買ってくるわよ」
「いやサイズ分かんねぇだろ」
「じゃあ計る?」
「止めてくれ」
本気でやりそうなので早めに止めさせておく。
「………じゃあどうしましょうか」
「とりあえず家に帰るよ。最低限の服はあるだろ」
「…………そう、貴方がそういうなら」
幽香が身体を起こして伸びた。
続くように橙矢もベッドから起きる。そして辛うじて残っている服に袖を通す。
「貴方が帰ったら……寝るとしましょう」
欠伸をしながら扉を開けた幽香を見て気付いた。
「おい幽香……お前まさか寝てないのか?」
「……えぇずっと貴方の看病してたからね」
「…………………どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「言ったでしょう?貴方に少し惚れたって」
「…………ありがとう」
「貴方からそんな言葉が出るなんてね」
「…………………」
「…………ふふ、貴方が元気になって嬉しいわ。また来て頂戴ね」
「………あぁ、気が向いたらな」
「その時はまた殺り合いましょう」
「……………ハッ、そういえばお前はそうやつだったな」
楽しそうに笑みを作ると幽香の頭を乱暴に撫でた。
「必ずまた来るよ」
「…………えぇ、待ってるわ」
外へ出ると昨日の紅い霧は消えており、晴天が広がっていた。
やっと着いた我が家の戸を開けて居間へ移動すると倒れ込む。
「あーやっと着いた。………寝よ」
「よぅ橙矢。先に上がらせてもらってるぞ」
橙矢の寝た先に妹紅が座り込んでいた。
「…………なんでいんだよ」
「えーと……そこに橙矢がいたから?」
「なんで疑問形なんだよ」
「そこに橙矢がいたから」
「………………あぁそう」
「あ、そうだ。これを渡しに来たんだ」
そう言って妹紅が傍らに置いてある布で包んであるものを座り込んだ橙矢の前に出す。
「なんだ?俺の討伐依頼か?」
「だとしたら真っ先に焼き消すよ。そうじゃなくて………あぁもう……!いいから見てみろよ」
「分かった分かったから。えぇと何々」
布を解いていくとまた布のような物が出てきた。……布というよりかは……服?
「……服か?」
「あぁ、そうだ。お前その……学生服だっけな?くらいしかなかっだろ?」
「確かにそうだけど………金は」
「いいってそんなの」
「でも……」
「私がいいって言ってるんだからいいんだよ。それより着てみてくれないか?」
「…………え?」
「いやえ、じゃなくて。あぁ着替えてる時私は見ないから安心してよ」
「いや出来ねぇよ」
「いいからいいから」
結局押し通されて着る羽目になった。
「………いいぞ」
「あいよー」
妹紅が振り返って橙矢の見る。すると口の端を吊り上げた。
「へー、中々似合ってるじゃないか」
橙矢が着ているのは一言で言うと和服だった。
「…………どうにかならないのかこれは」
「似合ってるから良いだろ」
「………まぁ確かにそうだけど……」
「いやー良いことしたなぁ。ま、それはいいとして。今まで何処で油売ってたんだ?」
「ん?…………幽香のところで世話になってた」
「花妖怪のところか……大丈夫だったのか?」
「あぁ、何もされなかったよ」
「急にいなくなったから驚いたぞ。あの時は」
「本当に悪い。まさか幽香に拉致られるとは思わなんだ」
「そういえばお前いつから花妖怪の事を名前で呼んでいるんだ?」
「ん?……いや今日からだけど」
「へーそうなのか」
何やら妹紅がジト目で見てくるが目線を逸らして回避する。
「そういえば橙矢、お前紅魔館へ行ったのか?」
「何だよ唐突に。……行ってないけど」
「だったら一緒に行こうぜ。そっちの予定が空いてるならな」
「誠に残念ながら空いてます」
「おい誠に残念ながらってどういう意味だよ」
「さぁ?それをどう捉えるかは貴方次第ですよ」
「おいエセ紳士」
「俺が紳士に見えるならお前の目にはゴミが溜まってるな」
「……………皮肉の言い合いは止そう」
「そうだな」
「お前の着替えも済んだ事だし早速行くとするか。吸血鬼姉妹も気になるんだろ?」
「…………あぁ」
橙矢の腕を引っ張る妹紅を一瞥してやれやれと苦笑いした。
『――――――あれ、ここ何処?』
無縁塚である一人の人間が流れ着いていた。
自らの欲求に負けて今回の話を書いてました。
ゆうかりんマジ天使。
いやだけど椛と天子が一番だ!
すみません次回からちゃんと書きます。
では次回までバイバイです!