東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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さとりを描かせて頂きました。次回はまだ決めてません。


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ではではどうぞ。


第八十四話 村紗の想い

 

身体を揺さぶられていることに気付いた橙矢はいつの間にか地に着いていたことを確認すると目を開けた。

「あ、橙矢気が付いた?」

キャプテンの顔が目の前にあった。

「――――――――!!」

突き飛ばすと一気に距離を取った。

「ちょっと橙矢、その反応はないんじゃないかな」

村紗は帽子を深めに被ると橙矢に近付いていく。

辺りを見渡すと命蓮寺の中だった。

「…………どういうつもりだ?」

「どういうつもりもないよ。橙矢が道端に倒れていたからね。保護したんだよ」

「………………」

「それとも私の事を信用してないの?」

「……お前らはあいつを、新郷を狙ってるからな……悪いが信用もくそもねぇよ」

「……命蓮寺の事はどうでもいいの今は。私、村紗水蜜を信用しているかって事」

「……………一緒だろ」

心無くそう言うと村紗は足を止めて俯いた。

「……………信用してくれないの?」

「……悪いがそういう事だ」

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてなの!?」

 

 

 

 

 

 

急に村紗が大声をあげた。

「…………村紗?」

「どうして私の事が信じられないの!?こんなにも心配してるのに………!」

「…………………ッ」

「確かに星さん達は橙矢の事を敵と見た。けど私はまだ橙矢の事を信じてるんだよ!?橙矢は幻想郷を救おうとしている事だって!」

「…………止めろよ。そんな口だけの言葉」

「口だけじゃないよ!どうしたら信じてくれるの……?」

「………ふざけんな。第一になんでそこまで俺の……」

「肩を持つかって!?そんなの決まってる!

 

 

 

 

 

橙矢の事が好きだからだよ!!」

 

 

 

 

 

 

「………………………は?」

呆れて言葉が出なかった。

「聞こえなかったの!?私が橙矢の事が好きだから!だから信じてるんだよ!」

「………いやすまん。理解が追い付いてないんだが」

「そんな事どうでもいいの!それで、信用してくれるの!?」

村紗が顔をあげると目の縁に雫が溜まっていた。

「………ッ……。わ、分かった……信じるよ……」

すると村紗は嬉しそうな表情を作った。

「ほ、本当……?」

「………あぁ。悪かったな、疑って」

「………橙矢!」

急に村紗が抱き付いてきた。

「うわっ!何だよ急に!」

「んふふ~橙矢がやっと信じてくれた~」

「離れろっての………」

離れるどころか腕の力が強くなっていってる気がする。

「………まったく……世話の焼ける女の子だな……」

頭を撫でると村紗は橙矢の胸に顔を埋めた。

「……それより村紗。他の連中は?」

「今はいないよ。聖はスキマ妖怪に連れていかれてその他は里へ降りていったよ。私は留守番」

「………なるほど、不幸中の幸いだな」

村紗は橙矢から離れるとクルッと一回回った。

「そうだね……それより橙矢はこれからどうするつもりなの?」

「どうするつもり?」

「あの最近幻想郷に現れた神の事だよ。確か新郷神奈と天界に行ったんでしょ?どうせ橙矢の事だから追いかけると思ってね」

「…………よく分かってるじゃないか」

「けどどうやって行くつもりだい?」

「……………………」

「まだ考えてなかったみたいだね。……私が手伝ってあげようか?」

「………村紗が?」

「うん。どうやってやるかって話だよね。けど安心して。ちゃんと船があるから」

「船?……確かに村紗が着てるのは水兵服でいかにも船乗りって感じがするけど……」

「………付いてきて。今すぐにでも出航させてあげるよ」

そう言って命蓮寺の後ろへと歩んでいく村紗に付いていく。

 

 

 

 

――――数分後何もない空き地に着いた。

「おい村紗?ここ何もないけど………」

「大丈夫だよ橙矢。見てて」

村紗は唐突に錨を取り出した。そして地に思いっきり叩き付けた。

「村紗?一体何を……?」

「少し揺れるけど我慢してね」

すると地が裂けて代わりにひとつの船が出てきた。

「………船?」

「そう、さて早く乗ろうか。準備はもう万全だから」

村紗が飛び乗ると橙矢を促す。

「…………頼むよ」

足を強化させると村紗を横に着地した。

「オッケー!このキャプテン村紗に任せな!出航!」

村紗が声をあげると同時に船はゆっくりと動き始めた。

「っと……凄いなこれは」

「でしょ?これは聖輦船っていってね。魔界

や異世界なんかに行ける力を持ってる優れものなんだよ」

「これはお前の船なのか?」

「私のものって訳じゃないけどね。けど一応この船の船長だよ」

「それはそれは。にしてもいいのか?操縦しなくて」

「大丈夫大丈夫。この船自動で動いてくれるから」

「それじゃあ船長とか関係ないんじゃ……」

「それは禁句だよ」

「…………………はい」

「けれどこの船は私がいなければ動かない」

「はーなるほど。ようやくそれでお前が船長だって分かってきたわ」

「完全に馬鹿にしてるよねそれ」

「自覚してるならそうじゃないか?」

「突き落としてやろうか」

「すみませんやめてください」

もうすでにここは上空五十メートルを過ぎている。さすがの橙矢もここからダイブして無傷で済む確証が無い。

「……そんな事するわけないでしょ」

「そりゃどうも。寛大なお心に感謝しますよ」

「皮肉が出てきたって事は大分落ち着いてきたってことだね」

「いや皮肉なんて一言も言ってないんだが」

「言ってるよ」

「言ってない」

「自覚してないだけ」

「さいですか」

かったるそうに手をヒラヒラとさせて話を打ち切る。

「………あと数分で天界が見えてくるはずだよ」

「もうか………」

「待ちなよ村紗」

「ッ!」

聖輦船に三つの影が乗ってきた。

「ナズーリン、星さん……一輪……!」

「いい雰囲気のところ悪いね村紗。けどその男を天界に行かせるわけにはいかない。橙矢をこちらに渡してもらえるかい?」

「……………はいそうですかなんて言うとでも?」

「物分かりが悪い。私達はお願いをしているんじゃない。命令しているんだ」

「…………ッ」

「時間も無い事ですし。さっさと終わらせますよナズーリン、一輪」

村紗と橙矢に駆け出した、寸前で横から翔んできた槍に足を止めた。

「この槍………ぬえか!」

「大正解。封獣ぬえ様だよ!」

村紗の前に背中からよく分からないものを生やした少女が現れた。

「ぬえ………」

「村紗、あんただけ楽しもうったってそうはいかないよ。私も混ぜさせてもらう」

「そうは言ったってあんた状況分かってるの!?」

「分かってる上での発言だよ」

「………ぬえ。君も寝返るつもりかい?」

ナズーリンが不快そうに言うとぬえは口を三日月に歪めた。

「寝返る?馬鹿言っちゃいけない!私は元々そっちの味方でもない!誰も裏切っちゃいないよ!」

「屁理屈を………!」

「かと言っても私達二人だけじゃ辛いからね。助っ人を呼んでおいた」

「助っ人……?」

「………頼んだよ。犬走椛!」

「え………椛?」

「承りました」

上空から凛とした声が響き、ナズーリンの下に影が出来る。

「まさか……!」

後ろに跳ぶとナズーリンの目の前に刀身の太い剣が振り下ろされた。

「椛!?どうしてここに!」

「橙矢さん!ご無事で!」

椛が橙矢の姿を見付けると飛び付く。

「ゑ、おわッ!?」

押し倒されて馬乗りにされる。

「お、おい椛………」

「と、橙矢…………その犬……何?」

村紗がもの凄い笑顔で詰め寄ってくる。

「あぁいやその………あれだ、知り合いだ」

「知り合いだけでそんな事するわけ?」

「だったらお前だって知り合いなのに同じことしてたじゃないか」

「橙矢さん……それは聞き捨てなりませんね」

その時橙矢は自分で墓穴を掘ったような感じがした。

「ま、まぁ詳しい話は後でする。それよりも今は頼むぞ」

「……何か話を逸らされた気がするけど……まぁいいや。けどね橙矢。終わったら話してもらうからね」

「私もですよ橙矢さん」

村紗と椛に睨まれて苦笑いする。

「さて、橙矢をこの戦闘に巻き込みたくないし……悪いけど橙矢はここで降りてもらうよ。ぬえ」

「はいはーい」

ぬえが橙矢の背後に回ったかと思うと後ろから羽交い締めにされて船から離れさせられる。

「え、ちょっと待てよ……じょ、冗談だろ……?」

「やっちゃって」

「じゃあなモテ男」

意地悪そうな笑みを浮かべると橙矢から手を離した。

「ば……か………やろオオォォォォォ!!」

 

 

 




次回からは少し番外編へ移りたいと思います。

では次回までバイバイです!
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