東方空雲華【完結】   作:船長は活動停止

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最近リアルが忙しいのでイラストを載せる頻度が少なくなるかもしれません………。


ではではどうぞ。


第九十八話 操り人形

 

後退した橙矢はロキを見ると目を細めた。

「……………何のようだ道化師」

「酷い言われようだね東雲クン。キミが危なかったから助けに来たんじゃないか」

「………余計な手出しは結構だ」

つれないねぇ、とロキは苦笑いして目の前にいる藍を蹴り飛ばす。

「ッ!」

「やはり式神はこの程度か」

少し落胆した様子で藍に歩み寄る。

「待て」

そんなロキに待ったをかけた。

「?何かな東雲クン」

「………余計な手は出すなと言ったはずだ」

「………分かったよ。東雲クンがそう言うならね」

苦笑いといった、呆れたといった表情を作って両手を上げる。彼なりの手は出さない、という意味だろう。

「………ケドハッキリ言って今のボク達はかなり分が悪い。退くなら今の内だよ」

「………そんなの」

「知らないってかい?……分からず屋だねェ東雲クン」

「アンタに言われたくないな」

「軽口叩けるなら大丈夫そうだね。こんなところ早く抜け出して次のところへと行こう」

「………………あぁ」

「待て……!」

妹紅と藍が左右から挟撃してくる。

「いや、逃がさせてもらうよ」

ロキは橙矢の腕を掴むと上空へ逃げる。

「逃がすか!」

妹紅が焔を凝縮して威力の高い弾幕を放つ。

「弱い!」

ロキが手を翳すと焔は見えない壁によって遮られる。

「くそ……!」

撒き散らす焔の中を掻い潜り、ロキは腕を振るう。するとロキと橙矢の姿が段々と消えていく。

「何だ……!?」

「驚く程でもないだろ?」

口の端を吊り上げてロキが嘲笑う。

「こんなのただのトリックさ」

「橙矢を放せ!!」

「………まるでそれじゃあボクが東雲クンを拐っているように聞こえるじゃないか」

「何?」

「これは全て東雲クンが願っていた事なんだ。ボクはそれの手伝いをしただけ」

「な……………ッ!」

そうだよね?とロキが橙矢に問う。

「……今更なこと聞くんじゃねぇよ」

「橙矢!」

「ん、あぁ妹紅。悪いな少し黙っててくれ」

刀を振り下ろすと妹紅目掛けて斬撃を放った。

「させません!」

斬撃と妹紅の間に藍が割って入り、魔力の壁で防ぐ。

その隙にロキと橙矢は完璧に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とーちゃくっと」

まるで遊びに来たような言い方で橙矢の家の前に着地したロキは軽く身体を伸ばした。

「ひとまずこれで安心だね。大丈夫かい東雲クン?」

「………あぁ何とかな」

橙矢が無事な事を確認するとロキは微笑む。

「なら良かったよ。キミが死んだらこの計画は失敗どころかボクは間違いなくこの世界の敵だね☆」

楽しそうに言ってるが言ってる内容はかなり野蛮だ。

「ケド東雲クンとボクが組めば敵無しだよ。この幻想郷を破壊することだって可能だ」

「……………………そうだな」

生き生きと話すロキに対して橙矢は浮かない表情をしていた。

「どうしたんだい東雲クン?」

「え、あ、いや何でもない……」

「………まさかとは思うケド今更後悔した、なんて言わせないよ?」

「ッ!」

急に橙矢の顔が強ばった。

「…………………何を後悔することがあるんだい?」

「……それは―――」

「キミはこの幻想郷という世界とキミが元いた世界に裏切られた。それはキミの回りには敵しかいないということだ。それに知ってるかい?キミは今まで誰かに忘れられることが本当の絶望と言っていたな。………それは違う。本当の絶望は誰かに嫌われるということだよ。………即ちキミはまだ本当の絶望というものを知らないんだ」

「―――――――」

橙矢にしては珍しく驚愕に目を見開く。ロキはそれと反対に目を細めた。

「……………さて、キミは改めて世界の敵なんだ。……それに抵抗出来る力を持たなくてはいけない」

「……………やめろ」

「まずは何処から潰していこうか……近いところからだと……あぁいや、結局なら紅魔館辺りに行くか?」

「―――――冗談もほどほどにしとけよ!」

刀を引き抜いてロキに向けて突き出す。しかしロキは跳んで屋根に乗る。

「じゃあキミはどうしたんだい?」

「………俺は………」

「まさかこれで終わり、なんて言わないよね?」

屋根から下りたロキは橙矢に近付いて顔を覗き込む。

「キミの今の存在意義はこの幻想郷を壊すこと。それ以外にはない」

諭しではなく一方的な脅迫。

「キミは裏切られたんだ。そのせいで何を信じればいいのか信じてはいけないのか混乱しているんだ。ケド安心してよ。キミはボクを信じていればいい。ボクはキミを裏切ったりしない。……いいかい?」

詠うように橙矢の肩を掴んで続ける。

「世界に住む生物は皆いつもその世界に縋って生きている。ケドキミは縋るものがない。…………だけどもうひとつキミには残された道がある。それは神であるボクに縋ることさ」

「………お前……に?」

「そうさ。…………他の奴等なんか信用しなくたっていい。ただキミはボクだけを信頼していればいい」

「……………馬鹿言え。言っただろ。組んだのは互いに利用し合うだけだって」

「そうは言ったね。だけれどもボクはそれだけでは足りないな。………本当に壊すつもりだったこれ以上にないほどの組む相手だとは思わないかい?」

「……………」

「キミに拒否権はないよ東雲クン」

「…………」

ニヤリとロキは笑むと手に神力を込めた。

「ッ!」

「ほんとはこんなことしたくなかったんだけどな……仕方無いね」

「な、何を………!」

神力が送り込まれると橙矢に意識が遠退いていく。

「テメェ……!」

フラフラと後退しながらロキを睨み付ける。何が起きたか分からず刀を構える。

「そんな事しても無駄だよ東雲クン」

一瞬で後ろに回ると神力で生成された剣を橙矢の腹部を貫いた。

「――――――!」

大量の神力が送り込まれ、橙矢は意識を手放した。

「く………そ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐったりと倒れた橙矢を支えるとロキは橙矢の額に指を当てた。

「えぇと確かこうして……」

神力を少しずつ送り込んで脳に浸透させていく。

「……………」

すると橙矢の瞳から光が無くなっていく。

「……やっとボクのものになったね東雲クン☆」

希望に満ちた表情をして高らかに笑う。

「さぁ東雲クン。……いや、東雲橙矢。望みは叶えてあげたよ。あとはキミの手で幻想郷を壊すがいい」

「…………………」

橙矢はムクリと起き上がると感情の籠ってない瞳で虚空を見詰める。

「あとはキミの仕事だよ東雲橙矢。元気一杯に殺ってきな」

ロキの言葉にひとつ頷くと橙矢は少しだけ口を開いた。

「―――――――――………」

呟いた橙矢のすぐ近くに僅かにスキマが開いていた。

 




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では次回までバイバイです!
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