黒と蒼の機竜使い   作:無勝の最弱

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今回は後日談的なものです。


……はい、何もありません。


どうぞ


Episode 9 戦いのあと

 

「ん、んん……っ、く」

 

小さな呻き声を出しながら、ルクスは瞼を開ける。

花や薬草、そしてアルコールのにおいから、ここが医療室であることを理解した。

 

「…ッ!?起きた!?よかった…!兄さん!」

「アイリ? う、っく…!」

「まだ起きてはダメです。あれだけ神装を使ったんですから」

 

まず目に入った妹の顔は喜色に満ちた笑顔。すぐに咳払いして、いつものすました顔になったが。

神装機竜の負担は大きい。事実、五年前のあの日、王都で『黒き英雄』と言われるきっかけとなったあの死闘の後、意識を失い、一週間生死のはざまをさまよっていたのだ。

 

「ごめん、アイリ」

「兄さんは――、大馬鹿です。五年前、私が目覚めない兄さんを毎日、どれだけ心配したか、わかってるんですか…?」」

 

ルクスの謝罪に、アイリはルクスの胸に顔を埋め、潤んだ声で言う。

 

「心配させてごめん。アイリ」

 

妹を落ち着かせるように、頭を撫でながら、再び謝罪の言葉をルクスは紡いだ。

 

 

 

「そういえば、みんなは無事なの?」

「……」

アイリがやっと落ち着いたのを見計らって、ルクスはリーシャをはじめとした、あの戦場にいた人たちについてアイリに聞く。

何が不満だったのか、アイリから最初に返ってきたのは、ジト目だった。

 

「それは、彼女たちに聞いてください。私はもう失礼しますね。それじゃ、兄さん。お大事に」

「うん、またね」

 

アイリはそのまま医療室を出ていく。

 

その後、入れ違いに三和音(トライアド)のシャリス、ティルファー、ノクトが入ってきて、見舞いの品をおいていった。

次に来たのはリーシャとフィルフィ。リーシャからは助けてくれた礼と「あとで、私の工房(アトリエ)に来い。場所は学園の端にある大きな一戸建てだ。すぐにわかる」という命令のようなものだった。僕、今の今まで寝てたんですけど…。

フィルフィは手に持ったドーナツをひとかじりして、「おかえり、ルーちゃん」と微笑みながら言った。そのドーナツは見舞い品じゃないんだ、ほんと甘いもの好きだな。

 

二人が部屋から出た後は『騎士団(シヴァレス)』のメンバーが訪れた。しかし、彼女たちはルクスの正体に気づいていないようだ。おそらくリーシャたちが気を使ってくれたんだろう。

 

次に入ってきたのは、クルルシファーだった。

 

「思ったより平気そうね」

「そんなことないですよ」

「あら、あんなに楽しんでたのに?」

「楽しんでませんよ!?」

「さて、私には何をしてくれるかしら?」

「何もしてないですってば!?」

「あなたをいじるのは、ほんとに楽しいわね」

 

僕はただ疲れただけですけど…。

 

「まあ、あなたとじっくり話をしたいのは、やまやまだけど――」

 

今までの顔とは違う、思案顔で告げた彼女にルクスはドキリとした。ルクスの正体を理解していると。

 

「それにしても、あなたは損な性格ね。わたしに協力を求めなければ、秘密を知られることもなかったのに」

「それしかないと、思ったからです」

 

彼女が口に出したことは違っていたが、事実である。

とはいえ、結果的にはルクスがすべて倒してしまったが、リーシャたちを守るために、そしてルクスが気兼ねなく戦うために実力者の協力が不可欠だったため、ルクスはその判断が間違っていなかったと思っている。

 

「それはそうとして、気を付けた方がいいわよ?あなたはどうも、強くて頭も切れる割には、いろいろと隙だらけだから」

「え―――?」

 

クルルシファーの悪戯っぽい声に、ルクスはドキリとする。

 

「冗談よ。でも話はいずれじっくり聞かせてもらうから」

「お、お手柔らかにお願いします…」

 

やはり、この人はいろいろな意味で手強い。

再びそう感じたルクスであった。

 

 

 

 

 

クルルシファーが去ったあと、ルクスはリーシャの言いつけ通り工房(アトリエ)に向かった。

 

「お、やっときたか。ほら、お前の機竜を直しておいたぞ」

 

ルクスの姿を認めるなり、リーシャは二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)を投げてきた。

 

「リーシャ様、投げないでくださいよ」

 

慌てて二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)を受け止めたルクスはリーシャに文句を言う。

しかし、違和感があった。

 

(あれ?二本?まさか――)

 

一つの可能性に思い至る。

 

「こいつは特別だからな。ほかの生徒に見せるわけにはいかないんだ」

 

そう言って、工房(アトリエ)の奥のガレージを開けるリーシャ

そこには――黒があった。

そう、ルクスの持つ神装機竜《バハムート》がそこに鎮座していた。

 

「今、昔の傷とかを修理中なんだ。神装機竜の修理は難しいけど、手伝いを呼べないんだよ。何せここにこれがあること自体、限られた人間しか知らな――」

「ちょっと学園長のところに行ってきます!!」

 

リーシャの言葉を最後まで聞くことなく、ルクスはレリィがいるであろう学園長室に走った。

 

 

 

「どういうことですか、レリィさん!」

 

バン、ノックもなしにルクスは学園長室の扉を開けると――

 

「正式入学おめでとう!ルクス君!」

「はい?」

 

突然沸きあがった拍手にルクスは固まる。

よく見ると、クルルシファーやフィルフィ、妹のアイリ、三和音(トライアド)の三人、学園長であるレリィ、そしてその他クラスメートたちが学園長室内にいた。

 

「ど、どういうこと?」

「お前はこの学園に正式に入学が決定したんだよ、ルクス・アーカディア」

 

後ろからかかった声の主はリーシャだった。

 

「ルクス、お前がここにいるのは本来許されないが、ここに居る私たちがお前の存在を認める。異論はないな!」

 

部屋の中にいる全員がリーシャの宣言に頷く。

 

こうして、ルクス・アーカディアは新王国で、初めて居場所をえた。

 

守るべき少女たちの王子として―――

 

 

 

 

 




つらいです…

原作のほとんどをパクっている身の上、早くオリストぶっこみたいです。


次回からは二巻の内容ですが、俺個人として嫌いなキャラが出てくるので、そいつのセリフは極力削るつもりです。

さあ、誰でしょうか。
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