そして、ついにあのひと登場!!!!!!
「ルクスさん…」
リーズシャルテの猛攻を目にしてノクトはつぶやいた。
「あっちゃー。もう無理だよー!止めさせないと!」
「まさか、こんな戦いになってしまうとはな――」
呟くノクトの隣で慌てているのはティルファー、そして力のない声を出しているのはシャリスである。彼女らは学年こそ一つずつ違うが学園では
彼女たちは目の前の光景を見て後悔していた。
今思えば、あの騒ぎを大きくしてしまったのは自分たちだと。
もちろん
「すまない、ルクス君…」
このまま試合が続けば、どう考えてもルクスは負ける。なにせあのリーズシャルテが全力を出しているのだ。
それに《
「あなたが気に病む必要はないですよ、シャリス先輩。あの一件は兄さんの自業自得ですから。まったく、兄さんはほんとにお人好しで単純バカなんですから。そのせいでいつも余計な
不意に隣にいたルクスの妹アイリがシャリスに声をかけ、淡々とそう告げた。
するとシャリスは苦笑を浮かべた。
「意外と面白い子だな、君は…」
「でも、どうしようもない兄さんにも、一つだけ、私も認めるいいところがあるんですよ」
「ほう、それは―――」
アイリの言に興味深そうな顔を浮かべる
その顔を見てアイリはまるで自慢するかのようにリングを指さし告げた。そのとき、大きなどよめきが起こった―――
「一度決めたことは、必ずやり遂げて見せることです」
「く……!」
リーズシャルテの顔には焦燥がはっきり浮かんでいた。
無理もない、計十六基の《
すべて紙一重でかわしている。
一方的に攻撃を仕掛けながらもその攻撃を機竜の基本武装である、ブレード(半壊状態)、ブレスガン、ダガ―、ワイヤーテイルを巧みに使い分け防いでいる。
もちろん攻撃が全く当たっていないわけではないが、倒しきるイメージが浮かばない。
(これが、『最弱の無敗』たるゆえんか!)
リーズシャルテが本気を出して五分――いや、もう五分だ。模擬戦の時間はあと三分。
神装機竜の本気を汎用機竜で受ければ数十秒も持たないのが通常であるが、ルクスはそれを五分以上持っているのである。
神装機竜はその性能故に使用者の負担が大きい。リーズシャルテは感じていた、自分の体力は三分持たずに尽きることを、ルクスはそれでも残っているということも。
そしてそんな思考の隙をルクスは見逃さない。
ルクスが投げたダガーがリーズシャルテの目の前に迫っていた。
回避は――間に合わない!
「舐めるな!」
「……!?」
だが、リーズシャルテが
「いいだろう、『無敗の最弱』!お前の腕に敬意を表し、《ティアマト》の神装を拝ませてやる!」
(神装だって!?)
神装は神装機竜だけに秘められた特殊能力のことだ。
「神の名の下にひれ伏せ!《
次の瞬間ルクスは《ワイバーン》ごと地面に落とされた。地面に触れた足の装甲が地面に沈んだことからルクスは《
《
だが、いつの間にかルクスの周りは《
まぎれもない、詰みだ。
「終わりだ、没落王子!」
《
(神装まで使ってくるなんて!僕もやるしかない!)
ルクスがある覚悟を決めた瞬間―――
「ぐッ……!」
リーズシャルテが苦悶の声を漏らす。
それを見て、気づいた。今ルクスは動ける。つまり神装《
しかし、使い手の極度の疲労と負担により、そのリズムが崩れると機竜が想定外の行動――暴走が始まる。
神装機竜において一番危険なのは、この暴走だ。
決着を急がないとまずいと判断したルクスは推進力を最大にして、飛翔した。
「こんなことで…私が負けるかぁぁ!」
リーズシャルテはすかさず
「はぁッ!」
ルクスの鋭い斬撃が入る。間違いなくルクスの勝利である。
「そこまで!ルクス・アーカディアの勝ち!」
審判役の教官の声を聴いた観客席から大きな歓声が沸いた。
しかし、起きてはならないことが起きた。
ギィイイイイイエエエエェエェアァァァアエ!
人ならざる闖入者の叫びがこだました。
ここ
しかし、
「クッ…!」
女教官のライグリィは焦っていた。
彼女自身経験豊富な軍人であるが、観客席のように人が密集している場所で
下手に攻撃しようものなら、生徒たちに危険が及ぶ。
ギィイイイイイエエエエェエェアァァァアエ!
教官と生徒たちが息をのんだ。
刹那、
勝利の宣言を中空で聞いていたルクスである。
加速しガーゴイルに肉薄するルクス、そしてばらまかれた光弾に―――
「
しかしルクスは気づいていた《ワイバーン》では
そんな時、竜声(機竜同士を介した通信機能)が届いた。
『どうするのかしら?あなたの機体では撃破は難しいでしょう?』
『そうですね、せめて教官が救援に来るまでは時間を稼げればいいですけど、模擬戦のダメージからして難しいです。』
『そうね、王女様も今は動けないし、私が出るわ。私の機体なら撃破できるわ』
声の主はわからなかったが、気にしている暇はルクスにはなかった。だが、直感的に味方だと感じた。
『だけど、私も観客席に近いところにいるから攻撃するわけにもいかない――』
『わかりました、僕が隙を作ります。攻撃のタイミングは、僕が剣を振りかぶった直後です。』
『了解よ。』
竜声を切り、
「やれやれ、候補生らしく突発的な
アイリが混乱する生徒たちを鎮めながら帯剣している生徒に指示を出す教官たちを見ながら、ため息をつく。
「Yes, ですが、無理もないかと。
「確かにね。動揺し、恐怖している兵士は使い物にならないのさ、私の父が言ってたよ。」
「それより、ルクス君大丈夫かな。」
「『無敗の最弱』…。いかに防御に優れているとはいえ、
「敵はどうやら一体だけのようですね。」
「なら、負けませんよ。兄さんなら――」
その声には自信が満ちていた。
「ギィエアアァァァァアア!」
ガーゴイルは叫びをあげながらルクスに両腕の爪で猛攻をかける。
しかしルクスもブレードで一つ一つ完璧に防いでいるが、衝撃までは防ぎきれない。回避も最小しかできない、大きな距離を開ければ攻撃の対象を観客席に向けられるかもしれないからだ。
しかし、ここでルクスの本質とも呼べる能力が、不意に均衡を打ち破る。
突き出された合金の爪を弾き、その一瞬の隙に完璧なタイミングで、その胸にブレードを突き立てた。――ここに、ルクスのシナリオは完成した。
「ギッ…!」
今まで防戦一方であったルクスの反撃にガーゴイルが表情を変えた。
「…ギイィイィイイ!」
ガーゴイルはルクスを強敵と認めたのか唸るような咆哮を上げる。
警戒するルクスだが――――
『ルクス・アーカディア!増援が来た!包囲の準備をしてる!もう少し待ってくれ』
ライグリィ教官の竜声に一瞬気をそらす。その隙をガーゴイルは見逃さない。
ガーゴイル種は
故に……ルクスが観客席をかばいながら戦っていることに気づいた。
ガーゴイルが翼を広げ光弾の発射体制に移る。狙いは観客席。
ルクスがさせないと剣を振りかぶる。が――
ガーゴイルは体をルクスに向けた。
「……ッ!」
大ぶりの一撃を回避され、完全な隙をさらしたルクスに合金の爪の一撃が入る。
機竜のシステムがダウンし、ルクスは自由落下を始める。
だが、その瞬間―――
「防御の堅い相手が隙をさらしたら、全力を出してでも一撃で仕留めようとするのは当然よね?」
銃声が響く、最初に四発の銃声、一拍遅れて一発の計五回。
「ギッ……!?」
四発の銃撃はガーゴイルに命中し、その体を凍らせる。
そして一拍遅れてやってきた銃撃が凍った体を打ち砕く。
(なんとか、守れたかな…)
ルクスはその光景を見てから意識を手放した。
最後に―――
「馬鹿ね、小さな王子様」
自由落下していたルクスを受け止めた少女のつぶやきをルクスが聞き取れたかは知らないが―――
さあ、ついにクルルシファーさん登場です!
オリ展開に持っていったのですが、不自然だったかも…
次回は設定集です。