タイトルは適当です!
だって思いつかなかったんだもん!!
今回はルクス君が出陣する前までです。
では、どうぞ!
「ん…」
応接室のソファーでルクスは目覚めた。
その体には毛布がかかっており、開かれたカーテンの向こうは、東の空が白んでいた。明け方のようだ。
(仮眠のつもりだったけどなぁ)。
どうやらぐっすり眠ってしまったようだ。
(部屋に戻って、制服に着替えないと…)
そう思って体を起こそうとしたルクスは―――
「うわあっ!?」
自分の対面に腰かけていた少女に気づき、思わず叫んでしまった。
「まだ早朝よ。それに心外ね、人をお化けみたいに」
「す、すみません。びっくりしちゃって…」
「素直なのね、大丈夫気にしてないわ」
その少女――クルルシファーはいつもの涼しげな顔をしながらも、口元に笑みを作る。
その笑顔は普段の大人びた雰囲気と違い年相応の可愛らしさであった。
「そ、その…なんでクルルシファーさんが、ここに?」
「聞きたい?」
「…やめときます…」
ルクスの質問に帰ってきたのは、妖しげな微笑みだった。
その微笑みに何かを感じたルクスは理由を聞くのをあきらめた。
「安心して、あなたが期待していたような、いやらしいことは何もしていないわ」
「まだ何にも言っていないよ!!」
「期待に応えられなくてごめんなさい」
「だから何も思ってないって!!」
「なら、あなたの顔が赤く見えるのは私の錯覚ね」
「だ、誰だってそうなるよ!クルルシファーさんみたいなきれいな人が、寝起きに同じ部屋にいたら――」
「………」
ルクスの発言に一瞬きょとんとした顔を浮かべるも、すぐにクルルシファーは顔を窓の方に向ける。
その横顔は一枚の絵画のような魅力を持っていた。しかして、その顔にはほんのわずかな赤みがあった。
「言ってしまえば、簡単なことよ。時々寮を抜け出して過ごしているの。たまたま今日来たのがこの応接室で、そしたらあなたがここで寝ていた。それだけのことよ」
しばしの間の後、クルルシファーはそう述べた。
「嘘だと思う?」
「ううん、僕もたまにそういうことしたくなるし」
「それでも、不用心過ぎよ。私が帝国に恨みを持つ暗殺者だったら、とうの昔に殺されてるわよ」
「あ、はは……」
ルクスは苦笑を返すしかない。
どうもここに来てから、完全に油断しているようだ。
「クルルシファーさんも神装機竜を使えるんだね?」
話題の無かったルクスは彼女が腰に差している
「持っているだけなら、宝の持ち腐れよ。どうせ私はここでは戦えないし、その気もないから」
「その気がないって?」
「昔は大切な誰かのために、努力して、戦って――。《ファフニール》を手に入れた。けれど、ある時、私は全ての理由を失った」
「………」
ルクスは何も聞かない、大切なものを失うことを知っているから。
「そして、ただ一つ私に残っている真実。それを知るための鍵の一つが『黒き英雄』なの。だから私は――彼を追っている」
「………」
「ねえ、あなたに聞きたいことがあるの」
ドクン、それを聞いたルクスの息が止まる。
フラッシュバックする記憶はクーデターの時の記憶。
あの日。
撃ち落とされた無数の機竜。砕けた床を流れる夥しい血の流れ。自身の理想のため戦ったルクスを見下ろし嘲笑する、信頼していた兄である第一皇子フギル。
ルクスの信じた理想の決着はそこにはなかった。
ゴォオオン!
突如鳴り響いた鐘の音にルクスは現実に引き戻される。
「この音は…!?」
時刻を告げる音ではない、敵の襲来を告げる、警報だ。
「まさか――!?」 「…先に行くわ」
素早く動いたクルルシファーを追って、ルクスも廊下に出て自分の部屋に走る。
ルクスたち士官候補生は装衣を着て学園敷地内にある第四機竜格納庫に集まり、ライグリィ教官の話を聞いていた。
ライグリィの話はこうだ。
先の警報は
王都への救援要請もすでに出しているとも言っていた。
それを聞いた何人かの女生徒は、安どの息を漏らすが――
「随分と平和ボケしているわね。この学園のお嬢様たちは」
淡々と告げたクルルシファーはため息をつく。
ただでさえ、人材不足なのだ。すぐに王都の軍が動けるはずがない。それがクルルシファーのため息の理由だった。
「おい、ルクス。それじゃ、行ってくるぞ」
ポンと手をルクスの肩に置き、そう告げたのは装衣を着用したリーシャだった。
『
「気を付けてください」
「ああ、行ってくる」
「クルルシファーさんは『
リーシャたちが出ていったあと、周囲を見渡したルクスは壁を背に佇むクルルシファーを見つけ、そう尋ねた。
「私のような外国からの留学生の場合、校則で独自の戦闘基準が設けられているから、直接戦闘する義務はないのよ」
話によると、協力できるのは命の危険の少ない情報伝達や物資補給とその他の支援。本人が希望すれば出撃できるが、国から文句を言われるし、そのつもりもないらしい。
当然だ。他国の危機を救うために神装機竜とその使い手を失うなどもってのほかということだろう。それほど神装機竜は強大なのだ。
しかし、ルクスはわかっていた。クルルシファーが出ない分、リーシャたちが危険にさらされるということも、自分は『
「兄さん行っちゃダメですよ?」
ルクスは人だかりを離れると、アイリが目の前にやってくる。
「あの《ワイバーン》では、攻撃もできませんし、もう一本の剣も使えない。今の兄さんにやれることはありません。リーシャ様と『
「わかってる。わかってる、けど…」
ルクスは頷きつつも、言葉を濁す。
ルクスの中で何かが引っかかっていた。
数日前、リーシャとの決闘の際乱入した
そして、今回の
ルクスは格納庫内を歩きだす。
見つからない疑問と、答えを探すように。
「あれ…?フィルフィ?」
あてもなく格納庫内を歩いていたルクスは、都市の防衛のため残っている幼馴染みの姿を見つけた。
しかし、ぼうっとした様子はいつもと変わらないが、ルクスは妙な気配を感じ、声をかけた。
「………」
反応がない。まるで、ルクスの声など最初から聞こえていないように。
「音が、聞こえるよ」
「音?」
ルクスはフィルフィの呟きに問い返す。
「笛の音が、聞こえて、くる…。向こうから」
「………!?」
フィルフィの呟きにルクスの心臓が跳ねる。
『お前がロクに軍を倒せずにやられたら、俺が《笛》を使って、
フギルの言葉がよみがえる。
笛の音色。
リーシャの際の、不意を突いた幻神獣の襲撃。
三年生の『
三つの歯車がすべて嚙み合い、一つの答えが出る。
ドオンッ!
地鳴りのような振動が、格納庫を揺らす。
「…様子を見てくるよ。フィルフィ」
「うん。お願い、ルーちゃん――」
空っぽの表情で少女はつぶやく。
「助けに行って、私の代わりに」
「状況はどうだ、クルルシファー?」
「正直言ってよくありません。ライグリィ教官」
ルクスがライグリィのもとにたどり着くと様子見に向かっていたクルルシファーがちょうど帰還し、情報を伝えていた。
驚愕の情報を…。
いかがでしたでしょうか?
次回、ついにルクス君が出陣します!