勘違いの番外物語   作:壬生咲夜

7 / 10
セリフが多く、時雨のは『』にしてあります。


その他番外及び新話
その身はきっと……


臨海学校のため、とある海岸へと訪れていたIS学園新入生一同。

初日は自由行動のため、各々で楽しく過ごしていたがその裏でひっそりと不穏な影が漂っていた。

そして、それは翌日の昼に爆発することとなった。

 

「あんたが私たちの下着を盗んだんでしょう!!」

『ハァ……盗ってねぇって言ってんだろうが』

「ウソよ! 状況証拠が物語っているんだから!!」

 

宿泊していた旅館にて下着が盗まれるという事件が勃発。

最初のうちは予め中に水着を着てきたから一着分忘れたのだろうと笑い話になっていた。

だが、被害者が増えるにつれて笑えなくなり、一体誰が盗んだのかと思いついたのが言峰時雨(唯一の男子)だった。

被害状況と言峰時雨の行動時間を調べた結果、アリバイが一切無いことが判明。

従業員への聞き込みから民家も街も近くには無いと犯人である可能性が濃厚となった。

 

穏健派の声を無視した過激派が尋問もとい犯人だと決めつけさせようとしているのだ。

 

『第一、そんなことして俺に何の足しになるんだよ』

「そんなの、売ってお金に変える為でしょう」

「私知ってる!! たしかそいつ借金抱えてるって」

「ウソ、信じられない…」

「ホント、男って最低ね」

「汚らわしい」

 

途中から時雨本人に対する罵倒が増え、それは止まることなくどんどんエスカレートしていった。

 

 

「外道!!」

「八極拳(笑)」

「女の子の顔を殴るとかホント最低」

『男女平等を心がけてるからな(笑)』

 

 

罵倒の嵐をはいはいと聞き流す時雨。

何を言い返してもムダだという経験則から適当に相手をすることにしたらしい。

 

だからと言って腹が立たないわけではない。

普段よりも速いペースで食事をとりさっさと出て行こうとしているのだろう。

 

そして食事を終え、今まさに食器を下げようとした時雨に一番言ってはならないこと(・・・・・・・・・・・・)を口にてしまった。

 

 

 

 

「麻婆ばっか食べてバカじゃないの?」

 

『………』

 

「味覚異常者」

「頭おかしんじゃないの?」

「違うわよ味覚がおかしいのよ」

「キチガイwww」

 

『………おい』

 

「何よ似非神父」

 

『今お前らは全世界の麻婆狂を敵に回した』

 

「だから何よ!!」

 

『……今の俺ならばきっと使えるだろう』

 

 

 

その麻婆は外道の辛さで出来ている(The Mabo is made of Death Sauce)

 

 

 

紅は豆板醤で、白は鬼壺豆腐

幾種もの辛味(スパイス)を混ぜ、なお不満

 

ただ一度も作るのを止めず

ただ一度も諦めない

 

麻婆の狂徒は厨房で

究極の辛さを求め続ける

 

故に、常識など既に無く

その身はきっと、

 

 

麻婆に染まっていた。

 

 

無限の麻婆地獄(アンリミテッド・マーボーワールド)!!

 

 

 

 

突如、食堂だった場所が切り替わる。

無機質な厨房で幾つものフライパンが独りでに動いてナニかを作り続けている。

そんな風景が彼女たちの眼に映った。

 

「な、何よこれ!?」

 

『ここは俺が生み出した心象風景の結界だ。ここには俺とお前らしかいない』

「な、何をするつもり!!」

『なに、そう身構えなくてもいい。ただ――、』

 

 

 

『無限に麻婆豆腐を食べてもらうだけだ』

 

 

「「「「………え?」」」」

 

彼の手には赤を通り越して紅へと至った麻婆豆腐がいつの間にかあった。

良く見れば、独りでに動いているフライパンが作っているのは麻婆豆腐で、次々と生産されているではないか。

 

「まさか」

「冗談、だよ…ね?」

 

彼女らの言葉に爽やかに微笑んで歩みだす時雨。

 

「ちょ、ちょっと…」

 

ただ一滴(1マイクログラム)も残すことを許さない』

 

「イヤ、来ないで」

 

ただ一滴(1ミクロン)の水を飲まさせやしない』

 

「謝るから…」

 

どうしてか身体は動かすことができず、コツコツとゆっくりと紅い悪魔(ディアブロ・ロッソ)が近づいてくる。

 

「ヒック…」

「ゴメンナサイ」

「許して」

 

泣いて詫びて許しを請う彼女たち。

だが、無情にも眼の前に紅く染まったレンゲが差し出された。

 

 

『さぁ、召し上がれ』

 

 

 

その日、彼女たちは麻婆に侵された。

 

 

 

【備考】

無限の麻婆地獄(アンリミテッド・マーボーワールド)!!

 

麻婆による麻婆の為の世界

常識の枠を超えた麻婆狂のみが使える固有結界(笑)

古今東西、ありとあらゆる麻婆が内蔵されている。

のではなく、あらゆる時代、世界に散らばる麻婆狂の魂がこの世界に留まっている。

故に普通の人には姿が視えず、ただ調理具が独りでに動いているようにしか見えない。

今まで彼らが編み出した最高傑作(デス・マーボー)を作り、食わされる。

時雨が言うとおり、ただ一滴(1マイクログラム)も残すことを許されず、ただ一滴(1ミクロン)も水を飲まさせてくれない。

ただ、麻婆狂が作る麻婆を永遠と食べ続ける。

そんな世界である。

 

 

 

【オマケ】

 

「金曜日だ~!!!」

「麻婆よ。麻婆を食べなきゃ」

「朝も麻婆、お昼も麻婆、オヤツも麻婆、夕飯も麻婆」

「フヒッ、麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆麻婆…」

 

『さぁ、外道麻婆おまちどうさま。今回はスパイスを少し多めにしてみたぞ』

 

「ワーイ、頂きま――ガフッ!?」

「辛い、辛いよぉ」

「でも、食べなきゃ終わらない…」

 

 

学園で麻婆の事を悪く言う人はいなくなった。

 

 

 

 

 

『フフ、世界が麻婆に染まればいいんだ。だって料理は愛情(麻婆)(麻婆)は世界を救うんだから』

 




という訳で、20万記念SS “その身はきっと……麻婆に染まっていた”でした。
もともとこれは食堂での暴動を書いているときに自分でもちょっとイラっとして報復しちゃると筆を進めてたら出来たものです。
シリアスやら世界観やらを打ち壊しなのでお蔵入りしようかと思いましたが、思いきってアンケートを取り、中途半端な状態から何とか形にして投稿しました。

詠唱はFateのパクリで、一度やってみたかったんです。

因みにアンケートの結果ですが

リリカル:3、3学年:8、麻婆:10、次話:3

となりました。
閉め切るギリギリで一気に5票ほど入ってビックリです。
アンケートに協力して下さった皆さん、ありがとうございました。
また、別の場所にて番外やIFを書いてほしいとのご意見も頂き、そちらも検討したいと思います。
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