黒の魔剣   作:暁 煌

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再び立ち上がる

 

 

 

 

アキラとアティが手を取り合い、森を抜けてくる。

まるで、その森自体が二人の迷いその物だった様に、

森から出てきた二人は迷いを振り切ってすっきりとした、そして力強い笑顔を見せている。

 

しかしそんな二人を出迎えたのは仲間達の暖かい声ではなく、敵の剣士の威圧する様な声だった。

 

「捜して回る手間が省けたわ……。

 砕けたとはいえ、魔剣は魔剣。使い道もあろう。

 さあ、大人しくそれを渡して貰おうか。」

 

海賊船の前で、傲然と言い放つウィゼル。

その前には布に包まれたシャルトスの欠片を抱き締め、キッと相手を睨み返すウィルが居た。

 

傍らには唸り声を上げるテコと、冷ややかな瞳をしたミユも居る。

 

ウィルたちは崖下からシャルトスを拾い集めてきたらしく、

随分と草臥れた格好をしていたが、威勢だけは失っていなかった。

 

「貴方に渡す位だったら、捨てた方がマシだね!」

「そや、大体ヒトが苦労して集めたモンを横から掻っ攫おうやなんて、

 虫が良すぎるんやないか?」

 

今にも飛び掛る勢いで言い切ったウィルとミユに、

ウィゼルが無言のまま刀に手をかけようとした時、

小さな二人を背に隠す様にアティとアキラが割って入った。

 

「ウィルくん。どいてください。」

「ミユも、ご苦労様。」

「先生!!?兄さんも!?」

「アキラ!!」

「ほう……。」

 

突如として現れた二人に喜びの声を上げるウィルとミユ。

そして、二人の顔を見て感嘆の声を漏らすウィゼル。

 

アティは、ちらりと後ろを見遣り、微笑んで見せると屹然とウィゼルを見据える。

 

「これは、貴方達が好きにしていい物じゃ、ありません。」

 

言い放ち、ショートソードを手に取る。

何の変哲も無い、ただのショートソードを。

 

それに倣う様に、アキラも不敵に笑いながら刀に手をかける。

こちらも魔剣を喚び出すつもりはないようだ。

 

嘗められていると感じたのか、ウィゼルはぎろりと眼光を鋭くして問いかける。

 

「その様な剣で、俺を止められると思うておるのか?

 この我が居合いの技を。」

「それは、分かりません……。

 でも私は、もう気持ちを曲げたりしません!」

 

凄まじい威圧をかけてくるウィゼルを前に、アティは自分の気持ちを、決意を、言い切った。

 

凛々しい顔付きで、口元に笑みを浮かべてみせるその姿は、

まるで隣に立つ誰かの様で、当の本人は変な所が似てきたものだ、と苦笑する。

 

まあ、その事に若干一名の娘がむむっ、と眉を寄せていたが。

 

対してウィゼルは、ふっ、と笑い刀から手を離す。

 

「敗北を経て、漸く武器と心を重ねるに至ったか……。」

「え……?」

 

完全に戦闘態勢を解除したウィゼルに、アティは驚きの声を上げるが、

ウィゼルは全く気にする事もなく、更に笑みを深めた。

 

「面白い……。

 久しぶりに、見たいと思える素材に出会う事ができた。」

「―――何を、企んでいるんですか?」

 

突然の態度の変化に、ウィルが睨みを効かせる。

アキラとミユも隣で怪訝な顔をしてウィゼルを見やる。

しかし、老剣士はまるで気にした風も無く、平然と言い放った。

 

「その剣を修復してやっても良い。

 そう言っておるのだ。」

「「「!?」」」

「へぇ……。」

 

皆がウィゼルの申し出に驚く中、アキラだけが面白そうにウィゼルを眺める。

そこで当然、アティから疑問の声が上がる。

 

「で、でも!?貴方は無色の派閥の一員じゃ……?」

「使い手の意思を体現する最強の武器を、この手で作り上げる。

 俺が望むモノは、それのみだ。

 志を同じくして無色の徒になった訳では無い。」

 

アティの疑問に答えるウィゼルは憮然としており、不満を隠そうともしていない。

どうやら無色の派閥の者達と一緒にされるのは、お気に召さなかったらしい。

 

更にウィゼルの独白は続く。

 

「オルドレイクの狂気。

 それを武器に込める為に、俺は行動を共にしてきた。

 しかし、同時に見たくなったのだ。

 狂気に立ち向かおうと足掻き続けるお前の意思が、それに勝てるのか否かを、な……。」

 

ぴたり、とアティを見据えて、ウィゼルは面白そうに笑う。

その物言いが気に入らなかったのか、その表情が気に入らなかったのか、

ウィルが皮肉る様に尋ねる。

 

「興味本位って事ですか?」

 

そう言ってウィゼルを睨み付けるウィルを見て、

唐突に教育的指導の使命感に燃えた訳でもないだろうが、

アキラがウィルの頭をぽんっと叩き、嗜める。

 

「こ~ら、ウィル。

 そんな言い方ばっかりしてると、ビジュみたいな大人になるぞ?」

「えぅ!?」

 

アキラの例えが余程嫌だったのか、奇声を上げるウィル。

 

傍で見ているとほのぼのする様なやり取りだったが、

ウィゼルはその漫才の様な掛け合いをする二人は無視する事にしたらしく、

アティとの話を続ける。

 

「信じるも、信じないも、お前の自由だ。

 だが、敢えて言おう。

 力無き意思では、意思無き力は止められはせぬ、と。」

「―――っ。」

「さあ、どうする?」

 

その言葉が確信を得て居るが故に返答に詰まるアティに、

ウィゼルはが急かす様に問いかけてくる。

 

数瞬、視線を彷徨わせたアティはどうするかを決めたらしく、

一度頷く様に頭を動かしたが、ふと隣に居るアキラに話を振ってきた。

 

「アキラさん……どう思いますか?」

「いいんじゃない?

 俺達にとってはメリット―――あ~、利点が多いし。

 あっちに有利になる事なんて、魔剣の構造が判る位だろうし。

 いや、キルスレスでそれも調べ終わってるか。

 となると、ホント魔剣を打つ練習ができる位じゃないか?」

 

随分あっさりと答えを返され、アティとウィルは軽く驚いていたが、

ミユは腕を組んでうんうんと頷き同意を示す。

対するウィゼルは、その内容に苦笑を浮かべた。

 

「ふん、随分と手厳しいな。」

「そりゃアンタには、随分とこっ酷くやられたからね。」

 

以前斬り結んだ時の事を言っているのか、アキラがにやりと笑って返せば、

ウィゼルも同じ笑みを返してくる。

 

「抜かせ。その後に辺り一帯薙ぎ払ったのは誰だ。」

「あははは。それを言われるとなぁ。」

 

恥ずかしげに頬を染め、頭の後ろを掻くアキラ。

まるで友達同士の様なその会話に、何か思う所があったのか、

アキラはふと手を顎に当てて考え込む。

 

「う~ん……、結構アンタは話せる人なんだ。

 それなら、一つアドバイス―――じゃない、助言しとこうかな?」

「助言?」

 

突然会話の流れを変えてきたアキラに、ウィゼルが怪訝な顔で聞き返す。

対するアキラは一歩ウィゼルへと踏み出した。

 

態とか、それとも無意識にか、それは判らないが、

しかし確実に、アキラはアティ達から表情が見えなくなる位置に立った。

 

そして、蒼と黒の瞳を凍て付かせ、口の端だけで笑みを浮かべると、

甘く優しく、怖気を誘う言葉を口した。

 

「ああ。とても役立つ助言を、な。

 ウィゼル・カリバーン―――引き際を、見誤るなよ?」

「ッ!!!」

 

ウィゼルは見た。

アレの瞳は『今すぐ全てを壊したい』と悲鳴を上げていた。

 

ウィゼルは聞いた。

アレの、相手を気遣う振りをした脅迫を。

 

「(俺は……思い違いをしていたのかもしれん。

 コレに比べれば、オルドレイクの狂気など、ただの子供の我侭だ。)」

 

ウィゼルの背には戦慄が走り、米神には冷たい汗が流れる。

恐怖が老剣士の体を絡め取り、手も足もぴくりとも動かない。

 

しかし、その恐怖を取り除くかの様に優しい女性の声が届いた。

 

「私は、貴方を信じます……。

 どうか、この剣の修復をお願いします。」

「先生っ!?」

 

ウィゼルが黙り込んだのを、会話が途切れたと判断したアティの声だった。

 

アティはアキラに倣う様に一歩前に進み出て、ぴたりとウィゼルと目を合わせて告げた。

その内容にウィルが驚くが、アティの意思は変わらない。

 

「この人の言う通りよ。

 気持ちだけで戦っても、勝てる保証は無い。

 負けたくないの。

 護りたいものがあって、信じたいものがある。

 それがはっきり解った今だから。

 もう、負けたくない。

 曖昧に笑って、自分を誤魔化したくない。」

 

その声を聞いて、やっと金縛りの様な状態から解放されたウィゼル。

そして、続けて語られたアティの想いを、じっと瞳を見詰めながら聞いて、

ふぅ……と安堵の息を吐く事ができた。

世界にあんな狂気が在ったとしても、光は失われないのだと。

 

それとともに、尚更アティの剣を鍛えてみたくなる。

 

「良い目だ……。

 ならば、この俺もその輝きに応えられるだけの腕を振るって見せようぞ。」

「お願いします。」

 

ウィゼルの力強い承諾に、アティもぺこりと頭を下げて応えた。

 

「せやけど、どうやって修復するんや?

 こない辺鄙な島やったら、鍛冶場も道具もあらへんやろ?」

「んん?そう言えばそうだな。

 これだけ盛り上げといて、『此処じゃ出来ないから一度島を出る』なんて言うなよ?」

 

漸く纏まった魔剣修復の話に、今まで黙って話を聞いていたミユが疑問を口にする。

それにアキラも同意して、ウィゼルを不安げに見る。

 

「心配するな、心当たりがある。ついて来い。」

 

そう言ってウィゼルは、アティ達に背を向けて歩き出す。

その後ろ姿はまるっきり無防備で、後ろから襲われる事など考えてもいない。

 

更に、アティ達が付いて来ているかも確かめず、すたすたと歩いて行く。

まるで楽しみにしていた遠足に向かう子供の様なウィゼル足取りに呆気に取られ、

次いで慌てて付いて行くアティ達。

 

そうして連れて行かれたのは、彼女達も良く知っているこの島唯一の店だった。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

「心当たりって……、まさか!?」

「久しいな、店主よ。」

「にゃははははっ。

 こりゃ、随分と懐かしい顔だわねぇ。」

 

連れて来られた場所にウィルが驚く中、ウィゼルとメイメイは極自然に挨拶を交わす。

 

「奥の工房を借りるぞ。」

「はいはい。どうぞごゆっくりぃ。」

 

更には、勝手知ったる何とやらの如く、すたすたと店の中に入り込むウィゼルと、

それを当然の様に受け止めるメイメイ。

 

「この二人、知り合いだったんだ……。」

「と言うか、本気で何者だよメイメイ……。」

「ウチは知らん。なーんも知らんでぇ。」

 

呆然とそのやり取りを眺めていたアティとアキラの横で、

ミユは大きな耳をぱたりと伏せてしゃがみ込み、口を両手で隠して、

見ざる言わざる聞かざるを実行していた。

どうやら、以前言われたメイメイの言い付けを守るつもりらしい。

 

数分ほどして工房の確認が終わったのか、ウィゼルが店先に戻って来る。

そしてアティの前に立つと、重々しく告げた。

 

「俺がこれから打つ剣は、今までの物とは似て異なる代物だ。

 遺跡の意思ではなく、お前の意思を核として、この剣は力を振るう。

 お前の心の強さがそのまま剣の力へと転じるのだ。」

「私の心の強さ……。」

 

噛み締める様にアティが呟けば、ウィゼルが一つ頷いて返し、説明を続ける。

 

「確かにお前は迷いを振り切ってのけた。

 しかし、それだけではまだ十分ではない。

 確たる物を捜せ。

 お前がこの剣へと籠めるべき物を。

 それが魂となって初めて、新たな剣は完成するだろう。

 俺はただ、その手伝いをするだけだ。」

「(剣の魂……籠めるべき物……。)

 私の中の、確たる物……。それは、きっと―――。」

 

確かめる様に何度も反芻するアティ。

そして前を見据えるその瞳には、眩いばかりの光があった。

 

「―――その様子じゃ、どうやら捜し物はもう見付かってるようね。

 なら、会ってらっしゃいな。貴方が今、思い描いたその人に……。

 きっと、その人が貴方を導いてくれるわ。」

「はいっ!」

 

メイメイの予言めいた言葉に元気良く返事をし、アティは隣りへと視線を注いだ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

溢れんばかりの木漏れ日を受けた魔水晶が煌めきを返す中、

アティとアキラは静かに向き合っていた。

 

辺りに人影は無く、木の葉のさざめく音だけが響いている。

アティはそっと自分の胸に手を当てて、漸く実を結んだ自分の想いを語りだした。

 

「さっきウィゼルさんに言われて思った事があるんです。

 それをアキラさんに、聞いて欲しいんです。

 

 ……あの時―――シャルトスが砕けてしまった時、私は焦っていたんだと思います。

 オルドレイクやイスラ。

 言葉も理屈も通じない強大な力を持った敵を前にして、アキラさんは倒れて傍に居なくて……、

 正直、皆を護っていけるのか……怖くて、仕方なかった。

 

 だから、その不安を振り払う様に強引に、決着をつけてしまおうとしてしまいました。

 

 自分の気持ちに嘘を吐いても、勝てるなら構わないって……。

 結局、こんな事になっちゃいましたけど。」

 

自嘲する様に苦笑いを浮かべるアティは、今にも泣き出しそうに見える。

そんなアティに引き寄せられる様にアキラは一歩前に出て、

アティを護る様に、アティの心を護る様に、言葉を紡ぎだす。

 

「今までアティは、理屈じゃなく、その時の気持ちを大切にして進んできたんだろう?

 勝つ為だからって自分に嘘を吐いて、あのままイスラを倒してしまったら、

 アティがこれまでに積み上げてきた物が全部、無意味って事になる。」

 

目を見開き、真剣な面持ちで、アティはアキラの言葉に聞き入る。

自分の目指す物を、想い人が理解してくれている。

その事が嬉しくて、アティは両手で口元を押さえながらも、

瞳に涙を浮かぶのを堪える事ができなかった。

 

そんなアティを見て、アキラは涙を止める様にそっと頬に触れ、優しく微笑みかける。

 

「それはきっと、悲しい事だ。

 結局、最後には力が全てだと、認めてしまうみたいで。

 だから、アティには今のままでいて欲しい。

 皆の笑顔を護る為に頑張る、そのままのアティで。」

 

アキラの笑顔に、そしてアキラの手の温もりに優しさを感じ、

涙で頬を濡らしたまま、アティは綺麗な笑顔を浮かべる。

 

「ありがとうございます。

 私、自分が忘れていた物が何か、解った気がします!

 頑張りましょう。

 もう一度、皆が笑顔になれる様に。」

 

(やっと……、解った気がする……。

 私が、望んでいた物。

 本当に護りたかった物が、何だったのか、が。

 

 それは、正しい答えじゃないのかもしれない。

 独りよがりのワガママと、何も変わらないのかもしれない……。

 

 だけど、今、これだけは、はっきりと言い切れる。

 私の答えは、これしかないんだって!!

 笑われても、拒まれても、それでも……それが私なんだもの。)

 

アティは笑顔のまま、アキラの胸にそっと寄り添い、その鼓動に身を任せた。

そして、アティを包む様に優しくアキラの腕が背中に回される。

 

今、この時は、二人だけ。

この静かな世界に、互いだけを感じていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

やがてアティは真っ赤な顔でアキラの顔を下から見上げると、

あたふたしながら大きな声で宣言した。

 

「それで、ですね。あの!えっと……その、

 私―――私はっ!ずっと……貴方の、アキラさんの傍に居たいんです!」

 

赤い顔のまま、何とかそれだけ告げた後、アティは表情を隠すようにアキラの胸に額を当てる。

 

「……アキラさんの事が、好きだから。」

 

そして消え入るような声で、伝えられた想い。

アキラは無言で、アティの背中に回していた腕に力を込めて、抱き締めた。

 

まるで二人の間の隙間を無くそうとする様に、まるで一つになろうとする様に。

そして、アティの耳に囁く。

 

「好き、だけ?」

「え?」

 

悪戯を思い付いた子供の様な無邪気な顔で尋ねてくるアキラに、アティは戸惑い、瞳を揺らす。

そんなアティが可愛くて堪らないという様に、アキラは更に囁く。

 

「俺はアティの事、愛してるよ。」

「~~っ!!///」

 

ボンッと顔から湯気が出る位に顔を赤く染め、アティはまたあたふたと慌て始める。

そのまましばらく、アキラの腕の中で恥ずかしさにじたばたと身悶えし、

「う~っ」と涙目のままアキラにしがみ付く。

 

「―――私も、愛してます。」

 

そして、アキラの胸に顔を隠したまま、アティも告白した。

 

アティの告白にアキラは満足そうな笑顔を見せると、

その手を背中から外し、アティの顎をついと持ち上げて、上を向かせる。

 

絡み合う二人の眼差し。

 

引き寄せられる様に、二人の唇は―――

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

「何ちゃって何ちゃって!!きゃ~~~っ!!!!///」

「ちょっ!?どうしたんですか、先生!!?」

「―――はっ!?」

 

魔剣の練成中に突然顔を赤くして暴れだしたアティに、ウィルが驚いて声をかける。

その声に目が覚めたのか、ピタッと動きを止めるアティ。

依然、その顔は赤いままだったか、きょろきょろと辺りを見回して、

自分が何処に居るのか思い出したらしく、恥ずかしそうに俯く。

 

「……しっかりしろ。今、最後の仕上げに取り掛かっている所だ。

 お前の想いを、お前自身が、新たな剣の命として吹き込むのだぞ。」

「す、すみません!大丈夫です!」

 

何処か呆れたようなウィゼルの叱責に、アティは表情を真剣な物に改め、

しっかりとした返事を返した。

その自信に溢れた瞳に、ウィゼルは再び作業を始める。

徐々に形を成しつつある魔剣を見詰めながら、アティは穏やかに笑う。

 

(……そう、大丈夫。

 だって、大事な想いは全部、ココにあるもの。)

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

集いの泉に、そうそうたる面々が揃っていた。

各里の護人たち、海賊一家、帝国軍の隊長。

 

彼らが無色の派閥に対する今後の事について話し合っている時、

船で留守番をしていたソノラが吉報を齎してくれた。

 

「そいつは本当か?」

「うん。メイメイさんが、さっき知らせに来てくれたんだよ。

 先生はもう大丈夫だって!」

 

カイルの思わずといった確認に、ソノラは満面の笑みで答える。

先程までの張り詰めていた空気が和らぎ、皆が安堵の笑みを浮かべる。

 

「そう……。それを聞いて安心したわ。」

「ウィルが……それにアキラが付いてるんだもん。

 これで元気にならないワケないって!」

 

スカーレルの呟きにもしっかりと返すソノラだが、

若干、その声にやっかみが混じっていたかもしれない。

 

しかし、過程はどうあれ、これで彼らの心配事は無くなったとも言える。

故に。

 

「なら……俺らのやる事は決まったな?」

「ああ……。」

 

カイルもアズリアも清々しい顔で仲間たちの顔を見渡し。

 

「遺跡を封印して、この島から争いの火種を消し去る事。」

「もう二度と、あの人が戦わなくても済むように……。」

「まずは手負いの無色をブッ潰して、それから遺跡を完全に封印、だな?」

「ええ。」

 

キュウマも、ファリエルも、ヤッファも、アルディラも、

同じ様に眩いばかりの決意に満ちた顔で頷き返す。

 

「口にする程簡単ではない事は承知の上ですけどね?」

「ふふっ、だからとて、ここに居る誰もが引く気など無いのであろう?」

「そうですとも!」

 

ヤードがいつになく不敵に笑って見せれば、ミスミが艶やかに笑って問いかける。

マルルゥですら、小さな体を精一杯使って好戦的な表情を見せている。

 

そこに集う皆が笑顔だった。

明るい未来を掴み取るのだと意気を上げていた。

誰一人として止まる事など考えていなかった。

 

故に、彼らは踏み出した。

戦場へと。

 

「よぉし―――そんじゃ、皆!気合入れて行こうぜ!!」

「「「「おう!!」」」」

 

 

 

 

 

 






(-ω-)/ やあ!どこからどこまでがアティの妄想だったかは皆次第だ!


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