戦場のヴァルキュリア ✖️ おひげのホワイトドール ロランとガリアと月の蝶のおとぎ話   作:溶けない氷

6 / 8
ホワイトドールは人殺しの道具じゃないんですよ!


第5話 おひげと春の嵐

晴れない朝もやの中、僕たち義勇軍第7小隊は配置についた。

僕は今回ホワイトドールで川向こうの帝国の動きを観測していた。

渡った先に敵の部隊が哨戒してましたじゃ

奇襲の効果も薄れるからホワイトドールの対人生体センサーで

川向こうに人がいないかどうか調べさせてもらうよう提案したら

ウェルキンさんは思いの外喜んで受け入れてくれた。

無線封鎖してるから今は使えないけどイサラお嬢さんのエーデルワイスと

周波数を合わせたからいつでも連絡が取れるようになったから

偵察任務にはぴったりだって喜んでたんだ。

「ウェルキン少尉!

川向こうの上陸地点から500m以上、敵の歩哨が離れました!

これなら上陸した時には察知されません!

また敵兵の会話をを傍受しました

『一時間ごとの歩哨なんてやってられねぇよ・・・

これじゃ哨所に戻っても一服したら終わりだぜ。』

今までの観測結果と合わせて次の歩哨が哨所を出発し

上陸地点に回ってくるまでおよそ50分と推定されます!」

「了解!よし!これより第7小隊はヴァーゼル河を渡り

橋の制御室を奪取する!」

そういってウェルキン少尉は戦車のハッチを閉めエーデルワイスを河へと進める・・・・

僕はお嬢さんたちの幸運を祈るしかなかった・・・・

・・・・

それにしても大したものだな、ロラン君は・・・・

僕、ウェルキン・ギュンターは戦車の中、みんなには見せられない不安な顔を

見られないという一時の安心感の中そう思う。

相手の行動パターンを観察し

歩哨の交代のタイミングを読みきっての渡河指示は見事なものだ。

それにこの指先も霞む朝もやのなかであのホワイトドールは少なくとも500m先の人間の挙動を探知していたことになる・・・どう考えても並みじゃない。

アメリアで自警団にいたとは聞いていたが

僕ら以上に実戦慣れしている戦士のような気がするよ。

 

・・・・・

初めての渡河装備、それも実戦

正直不安材料だらけだったけど兄さんにはわからないなんて言えなかった。

でももう不安は感じない。

整備の人にも手伝ってもらったけど、正直ロランさんとホワイトドールの

助けがなければかなりの水漏れがあって当然だと思ってた。

でも彼らの助けがあって今のエーデルワイスは文字通り水も漏らさない

気密を実現している。

今なら出来る!ロランさんと兄さんの期待に応えてみせる!

・・・・

第7小隊が対岸に上陸したのをセンサーが捉える。

1、2、3・・・よし!全員いるな!

お嬢さんの戦車はどうかとしばらく不安になってたけどやがて大きな熱源反応が出たのを確認してほっとする。

ここから先はスピード勝負だ、僕は無線を予定通り最小出力

指向性最大にしてビーム状にするとウェルキン少尉に報告する。

「少尉、こちらはロラン!

現在、そちらの帝国軍にいまだ動きはありません。

動きがあり次第知らせます。」

「了解、引き続き偵察支援を頼む!」

ホワイトドールのセンサーならこの朝霞の中でも

対岸の建物の中で居眠りしたりタバコを一服している帝国兵の挙動すらわかる。

正確に敵味方双方の位置がわかる。

ガリア軍の上層部はまだ気づいてないけどこれは大変なことだ。

何しろ条件さえあえばこちらから一方的に

敵を攻撃することすら可能なのだから。

僕は改めてターンエーを戦争に使うことの危険性を感じた。

「直接戦闘に参加しなくてもこれだからな・・・」

僕はセンサーから流れ込む情報をウェルキン少尉に伝えていく。

「少尉、まもなく敵歩哨2名がそちらに近づきます。

やりすごすか、気づかれないうちに撃破してください。」

わかってる、実際やりすごすなんてできないし 

撃破っていうのはつまり殺すことだ。

戦争なんだってわかってても僕は自分の指示で生身の人が死ぬのは

嫌だった。

でもイサラお嬢さんや第7小隊のみんなが傷つくことなく戦争を終えるには

これしかないって納得するしかなかった。

 

・・・・

「全く、これじゃどっちが隊長かわからないな・・・」

僕は苦笑しながら呟く。

実際に戦争嫌いと聞いていたロラン君だが

その指示は的確で僕は小隊員に指示を出してとっくに位置がわかっている

敵を少し迂回して音も出させずに倒す。

熟練の特殊部隊員でもなかなかできない行動。

でも相手の位置や数、注意している方向がわかりきっているのなら話は別だ。

そうやって僕たちは当初の予想よりもはるかに早く橋の制御室の前の

帝国の陣地にたどり着いた。

敵に気付かれることもなく・・・新兵揃いだということを考えれば奇跡的だろう。

「敵の総数は歩兵30人。戦車5両。敵兵は全周囲を警戒しています。これでは今までのように迂回して奇襲はできません。」

「了解した。ではこれからは当初の予定通り強襲ということになるね。

イサラ、徹甲弾を装填。停車している戦車3両を連続撃破。

歩兵隊は指示のあった敵兵を一斉射撃で撃破後

突撃兵が制御室に突入し制御盤を確保。

対戦車兵は残りの戦車を撃破後は迫撃弾で制圧射撃を開始。

・・・一斉射撃まで後5・4・3・2・1・今!」

小隊員全員での一斉射撃。

エーデルワイスの82mmで柔らかい横腹をえぐられた中戦車の砲塔が派手に吹き飛ぶ。

警戒しつつもこちらに敵はこないと油断しきっていた敵兵は

一斉射撃で頭を撃ち抜かれるもの

心臓をえぐられるもの

腕を吹き飛ばされるものと一気に半数が戦闘不能になる。

接収した民家から敵の指揮官が慌てて飛び出してくる・・ロランの情報通りだ。全くホワイトドールの千里眼は恐ろしいね。

マリーナの正確な射撃が待ち受けているとも知らずに

無防備に飛び出してきた指揮官の脳髄が壁に派手にかかり

敵部隊はどうしようもない混乱に見舞われる。

予想された敵の反撃は最初の5秒で消し飛んだ。

後は橋を稼働させてガリア側の敵を袋の鼠にするだけ・・・

だったんだけど世の中万事うまくいくとは限らないんだよねぇ・・・

・・・・

「に、兄さん!燃料が!橋の稼働に必要なラグナイト燃料が抜かれています!」

イサラの悲痛な叫びが響く

「な、なんだって!」

燃料がない、僕はなんて間抜けだったんだろう。

ヴァーゼル橋は帝国に占領されてたんだ。

船が通ることなんて相手は考えてなかったろうし

戦時下で貴重な燃料を占領下からかき集めることくらい十分考えられたんだ。そうしているうちにもロラン君から報告が上がる。

「隊長!ガリア側の帝国軍に動きあり!戦車を中心とした部隊が反転!

そちらに向かっています!」

これは・・・まずいな、敵の動きが早い。

エーデルワイスや敵の車両から燃料を抜いて入れるにしても時間がかかる・・

下手すれば全滅だぞ・・・

今のうちに上陸地点まで戻って戦車を放棄してでも撤退すべきか・・・

するとロラン君から連絡が入る

「少尉!今からそちらに3分で向かいます!3分だけ持ちこたえてください!」

「3分?しかし君は対岸に・・・」

「すみません、正確な情報収集のため。

少尉が上陸した後にそちらに僕も上陸しました。

もうそちらに向かっています。」

そういうとホワイトドールが凄い速度でこちらに駆け抜けてくるのが見える。

3分よりずっと早いな!

「ホワイトドールを起重機の代わりにします!1分でいいので援護してください!」

「っ!わかった!総員!橋を渡る敵に集中射撃!1分持ち堪えろ!」

・・・・・

ホワイトドールを橋の帝国側の方に寄せると僕はスピーカーで叫ぶ

「橋のロックを解除したら皆さんは下がって!

ホワイトドールで橋を持ち上げます!」

そうやって橋を掴み、地面に踏んばって僕はホワイトドールで押しあげる

「あがれぇぇぇ!」

橋は何十トンもありそうな巨大なものだったけどホワイトドールのパワーで無理やり押し上げたんだ!

対岸から銃弾がかんかん当たるけどそんなものは御構い無しにあげきると

ロックがかかる。

こうやって”春の嵐作戦”は首の皮一枚で成功したんだ・・・

つ、つかれた・・・

 

 

次回予告

春の嵐作戦は成功した

約束通りみんなウェルキン少尉の

言うことを聞いてくれるってことになったんだけど

一致団結には未だ遠そうだ

そんな中活躍した第7小隊の取材にエレット記者がやってきた

なんだかフランを思い出すなぁ

僕はこの機会に他の第7小隊のメンバーについても知っておこうと思ったんだけど・・・

次回 おひげと新聞

第7小隊に優しい風が吹く

 

 

 




さていかがでしたでしょうか
今回のホワイトドールはセンサーを使っての偵察支援で
活躍しました
黒歴史時代のターンシリーズの攻撃力が連射ビームライフルすらコロニーレーザー以上という絶大なものだった以上
センサー距離も当然異常だったという仮定から来ました
見えない敵は撃てませんから
イメージとしてはCall of Duty black opsのブラックバード偵察支援です
黒歴史と黒繋がりです
オーダー的には
「ホワイトドールの偵察支援」
コスト2
戦場の全ての敵ユニットの配置がわかる
各敵ユニットへの最初の一撃が必ず奇襲に成る
こんな感じですね強力すぎます
橋を上げるという動作はモビルスーツが
ジオニック社の汎用機械から発展したため巨人に成ったらできるだろうなということをやらせてみました
感想待ってます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。