温厚な龍が異世界からやって来るそうですよ?   作:イェス

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№14 交渉

アンダーウッド 貴賓室

 

熱中症で倒れたイェスとお供を返してきた氷草が真っ先に聞いた言葉はジンによるものだった。

 

「連盟旗を作りたいんです。」

「連盟旗。」

 

氷草の鮮血の瞳も連盟ににたものだったが、有料サーバーを提供する側とされる側のようなものなため、あまり良くわかってはいない。

あまりよくわかっていない氷草に、ンナンナフが説明をする。

 

「そういうことって決めていいの?」

「えぇ。構いません。我々は貴方に着いていきますから。」

「ならいいよ。参加する。」

「ありがとうございます。氷草さん。」

 

そこで氷草は連れてる面々を見て疑問に思った。

ジンはペストと白雪姫、以前氷草が倒した蛇神を連れていたからだ。

 

「これから“六本傷”の同盟締結の会談にいくんです。」

 

氷草は妹を送り届けるためにもとの世界に戻っていたのでその事を知らない。

疑問に思っていると、ジンは察して説明をしてくれる。

上の桁に上がるのには旗が不可欠なため、名前を変えずに作ることが出来る連盟旗が必要になったということだ。もうすでに“ウィル・オ・ウィスプ”とはやくそくしていてらしく、あとひとつのコミュニティーが必要らしい。

 

「へぇ。随分と蛇神様は嫌がってるみたいだけど?」

 

白雪姫は、“蛇神様”と呼ばれたことに驚いた。年下であるが、氷草の方が種族的にも上のはずだ、と。それを聞こうとしたが、ジンが話はじめたので疑問を引っ込めた。

 

「氷草さん、変わった角飾りを着けてますね。」

 

角以外の見た目は人間の姿をとっている氷草の頭には、変わった角飾りがつけられていた。

飾りというより、装着具に似ている。

 

「あぁ、もう少しで生え変わりそうだから。結構危ないんだよね。勝手に落ちるから。殺傷能力が高いし。」

「え、生え変わるんですか?その立派な角が?」

「生え変わるよ。神様の一部だったものだから下手なやつにわたるとヤバイし、刺さったら毒で死人が出るし。それに当たったら痛いから。」

 

サラのことを知ってるジンは、少し疑うように見ていた。

サラのことを知らないで、皆生え変わると思ってる氷草はその視線に疑問を感じていた。

 

「僕も会談に参加したいな。」

 

「へ?」

 

急に話が戻されて、ジンは気抜けた声がでてしまった。

 

「僕も会談に参加する。

同盟組むってんなら顔を見ておきたいしね。“ノーネーム”としても“鮮血の瞳”としても。

ンナンナフ、これをサラさんに。」

 

影のように佇んでいたンナンナフに氷草は荷物を預けると、半ば強引にジンとペストのジンは腕を掴んで場所を探しに行く。

 

「どこ?」

「深緑の間よ。」

 

ペストは諦めたのか、場所を教えて氷草の手から離れて移動し始める。

ジンはペストが諦めたにも関わらず、諦めていなかったが、人と龍の筋力差が例えなくても年齢的に氷草の方が筋力があるため、ヒョイっと持ち上げられてしまい、なす術なく運ばれていく。

深緑の間に行く途中で、案内してくれる人がいたので、素直についていき会議室で待つことになった。

まだ相手はいない。ジンを真ん中にジンの右にペスト、左に氷草が座ってる。

 

「はっ!」

 

氷草が何か重大なことに気がついたようにジンを見つめた。

 

「どうしたの?」

 

緊張しきってるジンの代わりにペストが氷草に話しかけた。

 

「もしかしたらジンは、メイドに挟まれたかったのかもしれない。」

「どうして?」

「人間ってそういうものでしょ?」

「……そうとは限らないわよ?」

「うん。なかには美少年や美青年を侍らせたい男もいるって言うし……はっ!」

 

なんともアホな会話に、ジンはやっと言葉を発した。

 

「違います。氷草さんは随分と人間を勘違いしてますね。」

「それもそうだけど、会談は気楽にいかなきゃ、足を掬われるらしいからね。」

「へ?」

「緊張してるのか、意気込んでるのかまでは読み取らないけど、石像になりそうな雰囲気だったよ?」

 

 

コンコンとノックがされ、三人は姿勢を正す。

木製のドアが開き、正装のキャロロが先導して“六本傷”の新しい頭首が現れた。

 

「……アンタがジン=ラッセル?」

「はい。貴方がガロロ=ガンダックのご子息、ポロロ=ガンダックですか?」

 

ジンと同い年ほど、それくらいだった。

 

(……子供?)

(……丸眼鏡か。)

 

ペストと氷草は全く別のことを考えていた。

 

「こちらの二人は、右がコミュニティに仕える従者、ペスト。左は同士の竜使氷草です。」

「知ってる。病魔の化身と亜龍だろ?」

 

その言葉を聞いて氷草はムッとした。

招待しておいて、情報を知らなすぎる。

仮にも四桁の頭首、その純血の龍を亜龍と呼ぶなんて随分となめられている。

 

ヒュンっと尻尾が風を切り、氷草は慌てて尻尾を押さえる。

特に意識しないとすぐに、尻尾は感情を露にしてしまう。

 

(引っ込めよう。)

 

氷草が一人でもちゃもちゃしている間に随分と話は進んでいた。

 

「お兄さんがいるんですか?」

「いるとも。25番目の末っ子さ。キャロ姉以外はかなり離れているぞ。」

「25!すごい。」

「実力主義なのさ。そこの亜龍もわかるだろ?魔王イェスは妹、そうだろ?」

「うちのコミュニティはたまたま長を請け負ったのが僕だし、あのこはあのこで別組織を外に持ってる。君の言い方だと、あの子が溢れて自暴自棄になったと言ってるように聞こえるけど、もともとだよ。

それと、いつまでそんな侮辱的な言葉で呼ぶのかな?僕は雑種なんがじゃないよ。」

 

僕があの子だったら、きっと噛み殺してるね猫ちゃん。

と、にこりと笑って。

 

「随分と穏やかじゃないな。……しかもあれはニャルラトホテプをつれてきていた。お前も連れてこれるのか?」

「同盟に加入してくれたときに話すよ。」

 

ジンは一つ咳払いをする。

 

「……僕らの同士は一騎当千の実力者ですが、やはり消耗は激しくなるでしょう。なので同盟関係になったとき、戦闘面以外での支援をしてもらいたいのです。その代わり、対魔王に必ず駆けつけましょう。僕らは魔王討伐を掲げるコミュニティーです。出来る限り早く駆けつけます。」

 

ジンはまっすぐそう告げる。

 

「何が必要だ?」

「労働力としての人材を。」

「労働力?どれくらいだ?」

「少なくとも、200人程度は。」

 

なにも知らない氷草は、雰囲気的に知ってます。という雰囲気をだしてにこりと笑っている。

質問を受けた場合は全てジンに流す気だ。

 

「人材派遣はいいとして、目的が不明瞭なら派遣はできない。」

 

ジンはペストに鞄をとってもらうと、煌めく鉄塊と古い羊皮紙を取り出した。

 

(うぉ!めっちゃこれほしい!)

 

氷草はそれを明確に知らないが、西洋の竜のように財宝を集めたい等という本能が作用して、わからないけどとっても価値のあるものとだけは分かった。

 

「“金剛鉄(アダマンティウム)”の鉱脈。“星の恩恵(テラ・マテリアル)”が結集した領地の採掘が僕らの目的です。

これを“ウィル・オ・ウィスプ”に製錬、加工してもらい市場におろそうと考えています。彼らはブランドの一つになっていますしね。」

「…………。はぁ。そっちの要求を全面的に呑んでやるから一口噛ませやがれこのやろうっ!」

 

ドサッと背もたれに身を委ねたポロロ。ジンも少し方の力を抜いた。

二人の様子を見て、氷草は呟いた。

 

「今さらだけどら君ってガロロさんの息子さん?親父さんの体調どうだい?」

 

ポロロと氷草が数秒見つめ合う。

そして、ポロロは真剣な顔になった。

 

「はは、負けた理由が分かった。一番肝心な物を蔑ろにしていた。」

「へ?」

 

まっすぐ面々を見つめる。

 

「ジン=ラッセル。竜使氷草。及び従者の方。

この度は魔王から“六本傷”の同士を救ってくれて感謝します。このことはけして忘れません。」

 

そう、言い終わったあと、ドアを蹴破るものがいた。

 

「し、失礼します!こちらにジン=ラッセル様、竜使氷草様はいらっしゃるでしょうか!?」

「え?」

「僕とジンはいるよ。どうしたんだい?」

「至急広場まで来てください!我々では彼らを抑えられません!頭首であるジン様と氷草様から止めるように言ってください!」

 

ひきつった笑顔でポロロに笑いかける。

 

「ぼ、僕らの同士は、く、屈指の参加者(プレイヤー)なのさ。」

 

声は震えていた。

ジンは顔を真っ青にしている。

調和を司る神は、遠いい目をしてからため息をついた。

 

・・

 

広場に向かうまで、氷草は本来の姿と思うか 形をとっていた。

頭にジン乗せてちょっとだけ飛行する。

体長30mなので、すぐに耀達を見つけることができた。

 

《耀。何をしている?》

 

ゆっくりと神々しく降りていく。

険悪な雰囲気の耀を堂々たる雰囲気で飲み込んで話しかける。

 

「氷草、邪魔しないで。」

《耀、何があった?それを聞かねばならない。そちらの二翼の加盟する同盟に招かれている。その事を知ってて何をしようとしている?》

「……どちらの味方なの?」

《どちらも険悪なため、どちらの味方でもない。

どうしてそこまで怒っている?》

 

耀はなにも言わない。

その代わりにリリが声をだした。

 

「ゴミにまみれたなどど侮蔑の言葉を吐き捨てられ、同士に協力してくださった方々を蔑まれたからです。サラさんを愚かな女と。」

 

《聞くに、二翼の長と言うが、まさかその人が貴賓として呼んだものにそのようなことを?》

 

 

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