箱庭54545外門“煌焔の都”
竜使氷草、彼は比較的温厚であまり怒らない性格だ。
彼が怒ることは滅多にない。
気長な性格なはずだ。
が、今日ばかりは違った。
この都の象徴たる巨大ペンダントランプの上に、十六夜、飛鳥、耀が上っているからだ。
「おお!思った以上に絶景じゃねえか!」
「ええ。、炎とガラスの街だけあって、まるで地上の宝石箱だわ。」
「うん。“アンダーウッド”とは対照的な景観。」
氷草は、かなりキレていた。
イタズラでしたじゃ済まされない行為を行ってる三人に。
“サラマンドラ”の参謀マンドラと憲兵が青筋を立てて叫んでいるが、無視している三人を見て、もう我慢できなくなっていた。
「おい、あれは貴様の同士だろ!何とかしろ!っ!」
マンドラの隣に歩いて行った氷草に、マンドラが文句をいうが、ただならぬ雰囲気に顔がひきつった。
「大丈夫。僕が何とかするよ。」
氷草は翼を広げ、問題児三人のもとに飛んでいく。
「おお、氷草おm」
「あら、氷草あn」
「氷草m」
三人を死なないていどの威力で殴って黙らせる……事はなく首を締め上げていた。
「功績を自ら潰してどうする?」
「氷草っ!首入ってっ!」
十六夜が抵抗するが、氷草の手を外すことができないでいる。
「イタズラじゃ済まされないことしてんだぞ?
区別つかないお子ちゃま人間め。少し反省しろ。」
三人の意識を借りとり、十六夜をジンに、飛鳥と耀をペストに放り投げた。
・・
錬成工房街。
氷草により無理やり覚醒させられた飛鳥と十六夜は、黒ウサギと
氷草のお説教を聞きつつ、ジャックの元へと向かっていた。
「モニュメントに上るような幼稚で下品で学なしな知り合いなんていないんだ。そうなんだ。」
と氷草が言い出し、本格的に居なかった事にされそうになったところで、流石に十六夜たちが反省の色を見せた。
「今から行くところには、飛鳥さんのプレゼントがある場所なのですよ。氷草さんも品を頼んでいるので、一緒に取りに行くのです。」
「ん?なんか頼んだのか?」
「うん。ここらは降霊術とか、憑代とかのを扱ってるからね。」
はてと、飛鳥が小首を傾げる。
「憑代とかって、貴方の猫草みたいなの?」
「ん?あれは憑代とかじゃなくて、あれはあれとして、生み出したものさ。」
歩いていくと、神隠しが起こったらしく、十六夜が面白そう。ということで、抜けて、今は十六夜抜きの三人人で街を歩いている。ジンとペストは挨拶回りのため不在だ。
しばらく歩くと、一際大きな倉庫が見え、そこに“ウィル・オ・ウィスプ”のジャックが立っていた。
飛鳥のディーンの修理を頼んでいたのだ。
「プレゼントって、これの事から?」
「ヤホホホ!勿論そうですが、それだけじゃありませんよ!
同盟締結の条件が完了したからです。が、採掘許可がまだ下りたばかり。そこで“ノーネーム”の宝物庫にあった微量の鉄塊を使わせてもらい、飛鳥孃に二つのギフトを用意しました。十六夜殿や春日部孃、氷草様に承諾頂き、優先して作らせていただいたのですヨ。」
「そ、それじゃぁ、ギフトを三つも?でも、ディーンでも、手に余っているのに……。」
飛鳥にしては珍しく、遠慮した声音でそう呟いた。
それに氷草が答える。
「このまま魔王と戦い続けても死ぬだけだよ?」
「なっ。」
嫌味とかそんなものは感じられない、純粋で純真な、心から発せられた言葉に、飛鳥は頭の中が真っ白になった。
飛鳥自信、思い知っていたにも関わらず、やはり、同士から受けるストレートな言葉に来るものがあった。
「飛鳥孃。貴方達四人はそれぞれ異なった才能を持っています。
その中でも貴方の才能はとりわけ扱いが難しい稀有な才。遅咲きの桜なのです。」
「私が、遅咲きの桜?」
「そう。若い桜の蕾を開花させるため、貴方に贈る
暑い意思が、飛鳥に伝わる。
ジャックは預かっていたギフトカードを手渡す。
飛鳥はジャックの陽気な笑顔につられて頬を緩ませた。
「ありがとう。ジャック。全て大切に使わせてもらうわ。」
「ヤホホ、是非ともそうしてください!
では氷草様。氷草様に頼まれていたものですが、」
そのとき、工房の奥から聞こえる剣呑な足音と、聞いたことのある声が聞こえて、氷草と飛鳥はお互い顔を合わせた。
「はあああぁぁぁ!!?ディーンと“城塞”、そして“ 豊穣龍の角杖”を受けとるのがあの“名無し”どもだと!?一体どういうことだ!?僕は何も聞いていないぞ!」
「お、お待ちください!此処はジャック殿がお任せくださいと、」
「うるさい!あの二つを修理し、角杖を加工したのはこの僕だ!お前達は黙ってろ!!!」
「駄目です、ルイオス様!」
角杖を受け取った氷草はすぐさま飛び出してきたルイオスに殴りかかった。
ルイオスが吹き飛ぶが、氷草は首を傾げてジャックの方を向いた。
「
「ヤホホ、ルイオスがサービスとほざいてつけていましたが、やはりそうでしたか。今外します。」
氷草が頼んだのは、氷草の角の生え代わりで抜けた角とヒヒイロカネと呼ばれる金属を加工してもらうことだ。
豪華な文句だったが、ジャックは顔色?を変えずにエンチャントを外した。
「いっだ!ふざけんなよ!この亜龍が!それは純血種の」
「あぁ!なんなの!?僕はれっきとした純血種だよ!君みたいな愚図雑魚なんか敵わないようなね!」
そして、氷草はもう一度角杖でルイオスの後頭部を殴った。