温厚な龍が異世界からやって来るそうですよ?   作:イェス

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№6 ギフトゲーム

当初、氷草はサポーターとして参加予定だったが、耀の申し出により個別で出場することになった。

ゲームは参加者としてのものなので、同じ出身のメンバーが戦うこともあったが、氷草が耀と対峙したのは決勝枠を勝ち取るための予選決勝だった。

 

氷草が使うのは妹から貰った魔剣。

自在に蛇の形をとったり、剣となったりするものだ。

今、氷草は翼を、角を、尾を出している状態。

ドラゴンの人型のようなものだ。

鱗事態が鎧となり氷草を守っている。

ギフト名“破魔の魔剣”

持ち手の先端に無色透明な宝玉が埋め込まれており、所持者の持つ力により属性変化をする。

そして悪魔や悪霊eatにデフォルトで追加効果が発動するというチートアイテム。

 

「これで、終わり。」

 

耀が氷草の背後に回り、蹴りを氷草にいれようとする。

耀は自信の体を象に変幻させているが、幼龍といえども最強種。それくらいで潰れはしない。

むしろ潰れたら一大事だ。

それを踏まえて耀はその攻撃をしてきていた。

お互いを信頼しての攻撃を仕掛けていく。

耀の引っ掻きと氷草の剣がぶつかり火花を散らせる度に完成が上がる。

 

「残念だったね?その程度じゃ僕は終わらない。」

 

変幻自在の剣を氷草が振るえば、氷の礫が放たれた。

その礫が地面に当たるとその箇所が凍りついていく。そのうち会場が完全に凍りついた。

 

「どう?」

「へいき。ペンギンとも友達だから。」

 

氷草は氷の上をスケートのように滑り、加速する。

剣を氷につけると氷が動きだし進路を形成していく。

 

「でも、空なら関係ない。」

「はは、旋風による武空。悪くないね。でも、僕は翼を持つ。」

 

氷によるジャンプ台を使用し加速したまま空に羽ばたいていく。

そして剣を耀に向けて凪ぎ払う。

突きや刺しではなく凪ぎ払い。

 

「え?」

 

刃の当たらないように剣を構えて耀を叩き落とす。

ニヤリと氷草は笑い、上げないために追撃をしていく。

 

「おらぁ!!」

 

旋風を掻き消して耀を地面に叩きつけた。

氷草は舞い降り耀の首もとに剣を宛がう。

 

「終わりだ。」

「降参。」

 

ひときわ大きな完成が上がる。

 

「おうし。最後の出場者は“ノーネーム”の竜使氷草に決まった。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。ルールはもう一人の"主催者"にして、今回の祭典の主賓から説明を願おう。」

 

紹介されて出てきたのは真っ赤な髪に着飾った少女だった。

 

「御紹介に与りました、北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎えることができました。然したる事故もなく、信仰の協力下さった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様にはこの場を借りて御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましては御手持ちの招待状をご覧下さい。」

 

ギフトゲーム名"創造主達の決闘"

決勝参加コミュニティ

ゲームマスター

"サラマンドラ"

プレイヤー

"ウィル・オ・ウィスプ"

"ラッテンフェンガー"

"ノーネーム"

決勝ゲームルール

登録されたギフト保持者はお互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う。

ギフトを十全と扱うため、1人まで補佐が許される。

ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う事。

総当たり戦を行い勝ち星が多いコミュニティが優勝。

優勝者はゲームマスターと対峙。

授与される恩恵に関して

"階級支配者(フロアマスター)"の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します

"サウザンドアイズ"印

"サラマンドラ"印

 

・・

 

氷草が支店に行くと風呂に通された。

風呂には先客か居て、乱雑におかれた衣服から十六夜と判断し、そのまま入っていく。

 

「邪魔するよ。」

「おう…………あぁ、氷草か。」

「そうだよ。」

 

体を洗い、湯船につくと十六夜が近寄ってくる。

 

「ギフトゲームの本線に出るんだってな?」

「そうだよ。」

「優勝商品は何にする気だ?」

「はは、優勝前提なんだ。」

「だってお前はできるだろ?」

「まぁね。」

 

氷草はぐーと。伸びをして肩まで完全に湯に浸かる。

 

「十六夜はお供を連れるならなにがいいとおもう?」

「猫かな?」

 

湯から出て、女性陣と合流するやいなや、十六夜が評価を付けるように目を細めて、

 

「黒ウサギやお嬢様の薄い布の上からでもわかる二の腕から乳房にかけての豊かな発育は扇情的だが、相対的にスレンダーながらも健康的な素肌の春日部やレティシアの髪から滴る水が鎖骨のラインをスゥと流れ落ちる様は視線を自然に慎ましい胸の方へと誘導するのは確定的にあう。そう思わないか?氷草。オチビ様。」

「男が乳房に興味を持つのは仕方ないけど、一番見るべきは女性自身なのでは?」

「いうねぇ。」

 

十六夜が粛清され一行が貴賓室に来て、ひと騒ぎしたあと、白夜叉がひとつ咳払いをした。

 

「少し騒ぎ過ぎたかの。ま、衣装の話は横に置いてだな。実は明日から始まる決勝の審判を黒ウサギに依頼したいのだ。」

「あやや。それはまた唐突でございますね。何か理由でも?」

「うむ。おんしらが起こした騒ぎで"月の兎"が来ていると公になってしまっての。明日からのギフトゲームで見られるのではないかと期待が高まっているらしい。こうなると出さないわけにはいくまい。黒ウサギには正式に審判・進行役を依頼させて欲しい。もちろん報酬も用意しよう。」

 

黒ウサギが是を示し、その場は解散となる。

 

「あぁ、氷草。ラッテンフェンガーには気を付けておけ。」

「……?はい。」

 

・・

 

会場の割れるような歓声の中、"ノーネーム"一同は運営側の特別席に腰をかけていた。白夜叉と十六夜はスカートの中身を語り合い、黒ウサギは司会として場内に立って進行を行っていた。

 

 

{それでは入場していただきましょう!第1ゲームのプレイヤー・"ノーネーム"の竜使氷草と、"ウィル・オ・ウィスプ"の、アーシャ=イグニファトゥスです!}

 

氷草が通路から出ていく。

立派な角、翼や尾を揺らしながら。

オレンジの和服で袖なのどに植物の柄が縫われていて、袴の代わりにチノパンに似たズボンを履いている。

そんな氷草の目の前を火の玉が高速で横切った。

 

「わっ!」

 

驚いた氷草にたいして頭上から笑うこえがあった。

 

「あっはははははははは!聞いた、ジャック?“ノーネーム”の仮装男のアホな声を!ふふふ。さぁ、素敵に不適にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!」

「YSッFUFUFUUUUUUUUUuuuuuuuuu!!」

 

会場一帯が笑いに包まれるなか、大きな声援が氷草の耳に届く。

 

「氷草!そんなやつらやっちまえ!」

「そうです!氷草様!」

 

十六夜と鮮血の瞳の幹部、イナバだ。

その声援に答えるように氷草は笑顔で手を振る。

 

「ふふーん。ノーネームの癖に先に紹介されるとか生意気だっつうの。」

「そんなことで火の玉を浴びせるなんて、幼稚だね?それに仮装だなんて言うんだ。わからないほど弱小と見える。」

 

龍にしては温厚な氷草も、己の自慢な角や翼、尾を仮装と製造品と称されムカついていた。

 

{それでは第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。ギャラリーの皆様はどうかご静聴の程を。}

 

会場が静になり、白夜叉が一拍おく。

 

「うむ。協力感謝するぞ。私は何分、見ての通りのお子様体型なのでな。大きな声を出すのは苦手なのだ。さて、それではゲームの舞台についてだが………そうだの。招待状を見て欲しい、そこにナンバーは書いておらんか?。」

 

さまざまな反応を白夜叉は暖かく見つめる。

 

「ではそこに書かれているナンバーが、我々ホストの出身外門――――"サウザンドアイズ"の3334番となっている者はおらんかの?おるのであれば招待状を掲げ、コミュニティの名を叫んでおくれ。」

 

観客がざわめいた。

そのなかで木霊の少年が立ち上がり、招待状を掲げている。

 

「こ、ここにあります!"アンダーウッド"のコミュニティが3334番の招待状を持っています!」

 

歓声があがり、白夜叉が少年のまえに移動する。

 

「ふふ。おめでとう、"アンダーウッド"の樹霊の童よ。後に記念品でも届けさせてもらおうかの。よろしければ旗印を拝見してもよろしいかな?」

 

少年が旗印を見せると白夜叉はしばらく考えてにっこりと笑い、もとの場所に戻ってくる。

 

「今しがた、決勝の舞台は決定した。それでは皆のもの、御手を拝借。」

 

白夜叉が両手を前に出す。観客もそれに倣い両手を前に出す。パンと会場一致で柏手1つ。

 

その仕草一つで世界が一変した。

 

・・

 

氷草が目を開ければそこは、木々のなか。

否、木々の根の迷路のなかだった。

 

黒ウサギが現れて契約書類(ギアスロール)が読み上げられる。

 

ギフトゲーム名"アンダーウッドの迷路"

 

勝利条件 

一プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

二,対戦プライヤーのギフトを破壊。

三,対戦プライヤーが勝利条件を満たせなくなった場合。

敗北条件

一,対戦プライヤーが勝利条件を一つ充した場合。

二,上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

審判権限(ジャッチマスター)の名において。以上が両者不可侵である事を、御旗の下に契ります。御二人とも、どうか誇りある戦いを。ここに、ゲームの開始を宣言します。」

 

黒ウサギの宣誓が終わる。それがゲーム開始のコールだった。

 

「黒ウサギ、質問。」

「はい?なんでしょうか?」

「時間制限はあるの?」

「いえ、ありません。」

「そう、ありがとう。」

 

氷草が使う武器は破魔の魔剣と氷草が新たに作り出した“猫草”

植物に命令を与えることができ、種子を作り出すことのできる猫だ。

戦闘能力は低いが、騎馬のように背に乗るのもよし、種子を撒き散らし、植物による拘束及び攻撃を加えるもよし。

神造なので耐久力がものすごい。

そんな猫草に氷草はある命を下した。

辺りに靄がかかり、そして晴れていく。

 

「貴方は……“ウィル・オ・ウィスプ”のリーダなのですか?」

「え?あ、そう見える?嬉しいんだけど残念なことにアーシャ様はちがうんだな。」

「ちなみに僕は信仰コミュニティーの鮮血の瞳の主神。伝承は生まれたばかりであまりないけれど、信仰力と見えざる功績があるからね。」

「え?!」

 

氷草は猫草に乗り、木々を把握し出口を目指せと命令をする。

それを防ごうと炎が飛んでくるが、氷草は破魔の魔剣で弾いた。

 

「ジャックさん。詳しいけど任せるよ。」

「わかりました。」

 

氷草が振り替えるが、ジャックの姿がなく、正面に姿を現した。

 

「猫草!そのままだ!」

 

破魔の魔剣を構えて斬りかかる。

 

「……破魔の効果つきですか。それかなり高位の。面白いですね。魔剣としての邪悪性を持ちながら神聖性をお持ちなんて。」

「はははははははははは!」

「どうかしました?」

「まさか本物とはね。ペテロにより烙印を押された不死の怪物。ねぇ?どうしてカボチャ頭じゃないんだ?もともとお前は株だろうに。」

 

猫草に乗りながら、攻撃を加えながら動いていく。

 

「やほほ。時の流れと言うものです。」

「ふははは、そうか。

ああ、この猫草は植物を操ることができるんだ。」

「ほう。そうですか。」

「猫草!」

 

氷草は猫草を使いアーシャとジャックを根で掴みかかる。

 

「なっ!」

 

アーシャのみを掴めたが、ジャックにより、根を焼かれてしまった。

 

「アーシャが行ってしまった以上、私を壊すしかありませんね。」

「はは、そうだね。でも、お前を倒すには不死が邪魔して壊せない。まぁ、取り除くことはできるけどさ。時間がないし。」

「では、降参ですか?」

「いや、違うね。」

「は?」

「草のなかには幻覚作用を引き起こすものもある。そう、先程の靄は大麻の種子を撒き散らしたもの。

それに君たちの炎が加わった。」

 

・・

 

観客も黒ウサギも始めに出てきた人物に注目していた。

出てきた瞬間から舞台だった樹木がガラスが割れるように消えていき、中に居たものが降りてくるのがわかった。

 

呆然とする観客達。

黒ウサギは何事もなかったかのように終了を宣言する。

 

{勝者、竜使氷草‼}

 

にっこりと笑った氷草はノーネームと、鮮血の瞳に大きく手を振る。

その氷草に猫草とジャックが近寄った。

 

「二つ、お聞きしても?」

「なに?」

「いつから幻覚を見せていたのですか?」

「ゲームが始まって最初に君が火を吐いたとこだよ。君が炎を吐けるとしって利用させてもらったのさ。」

「やほほ。うまく利用されたというわけですか。」

 

他のノーネームと鮮血のメンバーが降りてくる。

 

「氷草。やるじゃねえか。」

 

はいタッチした氷草と十六夜だが、ふと、上空から降る封書に気がついた。

 

氷草が封書を取り開封した。

 

ギフトゲーム"The PIED PIPER of HAMELIN"

 

プレイヤー一覧 

現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。

プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

太陽の運行者 ・星霊 白夜叉。

ホスト側 勝利条件

全プレイヤーの屈服・及び殺害。

プレイヤー側 勝利条件

ゲームマスターを打倒

偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

"グリムグリモワール・ハーメルン"印

 

 

静まり返るなか、どこぞの誰かが弾けるように叫んだ。

 

「魔王が……魔王が現れたぞオオオォォォォ――――――――!!!」

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