東方悟(さとり)物語   作:明太子醬油

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村の異変

 こいしへの衝撃的な告白から一週間経ったある日。変化は前触れもなくやってきた。

 村に人がいなくなっているのである。

 

 

 いつものようにお父さんは朝早くから村に行き、俺とさとりとこいしはお母さんが作ったお昼ご飯を食べてから村に遊びに行く。

 しかし、村に行ってみると村に誰もいなくなっていたのである。そう、入り口の近くにいる団子屋のおじさんもいない。

 ・・・まぁ、どっかにいるんだろうけどね。

 でも今までこんなことは一度もなかった。さとりも驚いているから、そうなのだろう。

 

「なんで誰もいないの〜?」

 

 純粋無垢のこいしが尋ねる。

 そういえばさとりは無口ロリになってしまった。

 いや、喋るんだけどね?純粋だった頃のさとりはどこにいったのやらのか・・・

 

「なんか失礼な事考えてない?」

 

「・・・」

 

 さとりよ・・・本当は俺のこころ読めるんじゃないですか?俺の顔そんなにわかりやすい?無表情貫いてきたつもりだったのだが・・・

 俺はできるだけ無表情を貫きながら知らんぷりをする。するとさとりがジト目で見てくる。

 ごめんなさい!俺が悪かったです!!だからこれ以上見ないで!!

 

「ねぇ〜なんで誰もいないの?」

 

「どっか違うところにいるんだよ。たぶん・・・」

 

 話題をそらすためにこいしの質問に答える。

 

「まぁ、後になったら元に戻ってるでしょうね」

 

 不思議に思いながらもいつもの遊び場に向かった。しかし、遊び場には誰もいなかった。

 いや、いた。一人だけポツンと立っている。こいしを好きになった少年だ。

 別にいつもなら何も感じなかっただろう。でも少年が一人だけいるという状況を見て何故か悪い予感がした。なんというか不自然だ。村に誰もいないのに何故彼はいる?

 さとりとこいしは何も感じていないようだが、とても嫌な予感がした。

 そしてその予感は命中することとなる。

 

「!!」

 

 俺は少年のこころを読んでカミナリに打たれたような衝撃を感じた。その後にさとりとこいしが驚愕する。

 何を驚くか?それはーー

 

 ーーーどうやら俺たちが妖怪なのがばれたらしい。

 

 いや、らしいじゃない。ばれたのだ。

 俺は詳しく知るために第三の目を集中させる。その時、少年は俺たちに気づいたようだ。そして、少年から俺たちへの感情が爆発する。それは、恐怖、畏怖、悲しみ、怒り、あらゆる負の感情が少年のこころから炸裂する。

 それでも俺は少年のこころに集中する。

 そもそも第三の目はこころを読むだけであって記憶を覗いたりはできない。しかし、ここで悟り妖怪というべきなのだろうか。・・・[心を読む程度の能力]この能力は悟り妖怪特有の能力である。といっても、能力持ちは稀であり、この能力を持っている悟り妖怪は極少数と言えるだろう。その能力のおかげである程度印象がある出来事の記憶を理解することができる。また、印象がある出来事といってもトラウマなどの負の感情を覗くのは出来なくはないが難しいそうだ。

 つまり、普通の悟り妖怪は相手の考えていることだけわかり、能力持ちの悟り妖怪はその上位版で記憶を読むことができるという感じだ。

 そして俺たちは後者だ。俺は少年のこころを覗くように第三の目を集中させた。

 

「!!」

 

 俺が何があったのか理解したと同時にこいしが動いた。こいしは虚ろな目をしながら、ゆっくりと少年に近づいていく。俺は慌てて止めようとしたが遅かった。

 

「嘘だよね?だって・・・ね?私たちずっと一緒に遊んで・・・ッ!」

 

 こいしの言葉が終わることはなかった。なぜなら少年が石を投げたからだ。それは的確にこいしを狙い、石はこいしの頭に当たった。

 

「うるさい!!俺たちを騙してたんだろ!?そんな妖怪の言葉なんて信じれるか!!」

 

 さとりは素早くこいしのところに移動して素早く逃げるように少年から距離を取る。「ことり!」とさとりに声をかけられるまで俺は何もせずただ、呆然としていた。

 分かっていたんだ。人間と妖怪は違うってことぐらいは。でも、もしかしたらって俺はこころの中で思っていたんだ。もしかしたら少年や村の子ども達だったら妖怪とばれても大丈夫じゃないかって。

 俺とさとりはこいしと共に走って村から逃げた。家に帰って報告するためである。

 俺は逃げてる途中、もし大人の人間に出会ったらと考えると俺は肝が冷やされていくのが分かった。だから、決して後ろを振り返らない。家に着くまでは安心できない。

 

 俺はふと隣にいたこいしを見る。こいしは目を紅潮させ、その大きな瞳からは大きな水滴がボロボロと落ちている。こいしの頭には石が当たったところかはら痛々しく血が滲んでいる。

 でも、きっとこいしが泣いている理由は頭の痛みではなく、精神的な痛みだろう。信じていた人に裏切られる。しかも、自分は何も悪いことはしていないのにだ。人間から言わせれば妖怪であること自体が悪なのかもしれないが・・・

 俺はこいしの嗚咽を聞きながら考える。

 人間とはここまで醜い生き物だったのか?

 そして俺の前世の生活を振り返りながら考えてみた。俺はあそこまで醜かったかと。確かに妬んだりしたこともたくさんあった。けれどもそれは違うような気がする・・・

 そして一つの答えにたどり着く。それはこの醜い人間を作っている時代や環境が悪いのだと。

 この時代が俺たちを拒んでいるのなら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なら、俺が作ってやるよ・・・さとりとこいし、そしてお母さんとお父さんが安心して暮らせる場所を!!)

 

 俺は逃げながらそう考えていた。

 

 

 




あれ?なんか俺の頭の中の話と違ってきてるんだけど?
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