魔法少女リリカルなのは~チートな主人公の頑張り物語~ 作:てりー
前回のあらすじ:キレてフェイトを殺そうとしました
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「けん君……わたし、強くなりたい!!」
部屋で雑誌(卓球王国!!)を読んでいたら、いきなり入ってきて叫んだ
とりあえずノックもせずに入ってくるのは止めて欲しい
魔術の鍛錬してたら、命に関わるから
「で……何で?」
まぁ、たぶん昨日のことだろう
あの幼女にやられて気絶した後、目を覚ました時に本当に申し訳なさそうに皆に謝っていたからな
何か原因があるのか、生来の性格か、なのはには極端に他人に迷惑をかけないようにしようと頑張るところがある
「実はね、昨日あの子と戦った時に
木の怪物を封印したときみたいになんとかなるだろうっていう気持ちで戦ったの
そしたら何も出来なくて……けん君だけじゃなくて皆に迷惑かけて……
あともう一つ、たぶんこれが一番の理由、あの子、なんだか悲しい目をしてた
あれはたぶん孤独に慣れちゃった目
私はあの子の悲しみが分かるから、理解できるから……
その悲しみを一緒に背負ってあげたい……ううん、背負えなくてもいい、知るだけでもいい、支えてあげたい
でも、あの子と一緒の目線に立つためには力が足りないの」
だから強くなりたい……か
実は、なのはには幼女との事は話していない
ユーノに、あれは話さない方がいいと止められたからだ
心遣いは嬉しいけど、いつかはしゃべらなければいけないことだとは思う
「でも、あの子は知られたくないかもしれないよ」
言っちゃ悪いが、なのはの自己満足も多分に含まれている
「それでもいい、教えてくれなくてもいい
私は、あの子とお話をしてみたいの」
お話……か
まぁそこまで考えているなのはなら鍛えてもいいんじゃないかとは思う、でも
「それにしても、何で俺?体術を習いたいなら士郎さんに習えばいいし、魔法ならユーノに習えばいいじゃん」
教えたくないというわけではない
ただ餅は餅屋といった言葉がある通り、専門家が教えた方がいいと思ったのだ
「うん……そうだよね……でも、お父さんに心配かけられないし」
そっか、まだ士郎さん達には話していないんだもんな、そりゃ頼みにくいわ
「まぁ、いいか
いいよ、何の力になれるか分からないけど、俺でよければ力になるよ」
「ほんと!!」
「あぁ、ただ、魔法に関してはユーノと協力しながらだぞ」
「うん♪ありがと、けん君」
まさかそこまで喜ぶとは……ツインテールが犬のしっぽみたいにブンブンはねている
「え~と、ちょっとレイジングハートを持ってきてくれるか?」
持ってきてもらったレイジングハートと話をしていて分かったのだが、レイジングハートには録画機能がついていて、前回の戦闘も撮っているらしい
見せてもらうと、なのは視点ではなく、空中から地上から色々な視点で撮ってあるのでものすごくみやすい
「レイジングハートって凄いね~」
〔thank you my master〕
そうして見てみると、なのはの弱点というか戦いなれていない部分がいろいろと見えてきた
「じゃあ、今日はもう遅いから明日から特訓しよう
レイジングハートはちょっとこの場に残って練習メニューについて話し合おうか
あと、ユーノも借りるぞ」
その後俺は、ユーノとレイジングハートと話し合って練習方針を決めたのであった
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朝
さて、まずはなのはの反応が楽しみだなっと
朝飯食って、部屋で支度をしていたら
【ふぇぇぇ、どういうことなの~】
主語も何もあったもんじゃない念話がきた
まぁそりゃそうか、なにしろ今のなのはは、普段の80%の力しかでないからな
『運動・魔法能力の限定』
これは、文字通りなのはの運動・魔法能力を制限するもの
効果は、今まで余るほど持っていた魔力を制限することで少ない魔力で身体を動かすことになり、普段のままでは辛くなる
それにより魔力の運用効率を上げるというものらしい(レイジングハート談)
本来は徐々に制限していくのだが、今回は時間もないのでいきなり80%から始めた
レイジングハートをつけているときは基本的にこの状態
とレイジングハートが説明してくれているはず
やはり、かなり動きづらくなるみたいで
学校でもいつも以上に転んだりしていた
心配したアリサとすずかが俺に何をしているのか聞いてきたが、そこは口先の魔術師(そんな異名は持っていないが)のトークでごまかしたりしていた
家に帰ってくると、恭也さんも美由希さんもいなかったので、早速特訓開始
桃子さんに一声かけて(もちろん嘘の理由)裏山まで走っていくつもり……だったが
「ちょっと……けん…君……ま…って」
あちゃー、いつもより随分ゆっくり目に走ったけど駄目か
しょうがない、歩いていくか
さて、裏山について休憩をとった後、修行スタート
「今回、いつあのゴスロリ幼女と会うかもわからないから、今、必要な技を修得しなきゃならない
まずは、『小さい誘導弾の生成』
現在、なのはの持つ攻撃魔法はディバインバスターという直線的で高威力の砲撃魔法
これは、威力だけなら高いけど使い勝手が悪いし、あの幼女相手には心許ない
だから、自分で小さい誘導弾を作って操作できるようにする
これが出来るようになれば、攻撃の幅が大きくなるぞ」
この程度なら簡単に出来てしまうだろうというのが1匹と1デバイスの意見
それほどなのはの魔法に対する才能というものは素晴らしいらしい
確かにもう1個出来上がった
ただ制御は難しいようで、あっちこっちに飛んでいっている
「じゃあなのは、次にそれを今、作れるだけ作ってみな」
1…2…3……4……5…………6個が限界か上出来、上出来
「それを制御できるように特訓しよう、この的に全部あたるように」
弓道の的を出した
意外と小さいから厳しいと思う
1時間後
「う~、2個しか当たらないの」
額を汗で濡らしたなのはが悔しげにうなる
さっきユーノと話したところによると、初めて作った人が1時間で2個当たることなぞ聞いたことがないらしい
そこからも、なのはの才能が見え隠れする
「よし、じゃあ次にいこう
次は『既存の防御フィールド強化と広範囲のフィールド形成』
これは、今あるprotectionを強化することと、相手の範囲攻撃に対して、自分の2倍くらいの
フィールドを張れるといいな
まずは、でかいフィールドを張ってみてくれ」
すぐに張るなのは、フェイトとの戦いの時にできなかったのは、焦りやプレッシャーがあったのだろう
俺も砲丸投げ用の球に、uni.αゲルをつけた自作の球を取り出して、複製しておく
「よし、なのは、次はprotectionを張ってくれ
……よし、張れたな
しっかり受け止めろよ……行くぞぉ!!」
「ふぇぇぇぇ!!」
まずは軽く、段々と強く投げていく
もちろん安全は確保済み、なのはの前(protectionの後ろ)に、ユーノがフィールドを張っておいてくれている(なのはは知らない)
強度は昨日確かめたので問題ない
受け止めるたびに、玉のような汗が飛び散るなのは、相当に厳しいようだ
これをでかいフィールドでも繰り返す
「よし、このくらいでいいでしょ
最後、今日得た知識でも、今まで得た知識でもいい、攻撃したって構わない
何でもいいから10分間、俺から逃げ切ってみろ」
俺は、白と黒のコントラストが美しい一対の双剣をとりだす
黒い剣には赤い紋様が、まるで闇に爆ぜる炎のようについている
その双剣を持ち、なのはに襲いかかる
「レイジングハート!!」
〔protection〕
ビシィ!!
意外と堅い、もう少し力を入れるか?
いや、ここからどうするのか見てみよう
一旦下がって様子をみる
なのはは、下がりながら魔力弾を生成して撃ってきた
まだまだ狙いは甘いが、一日目とは思えないほどの精度、スピードに思わず嬉しくなる
それから5分、万策つきたようで、肩で息をしながらこちらを見ている
「まだまだ……ディバインシューター」
あの魔力弾が4個できた
そろそろ潮時だな
俺は白い剣をなのはの後ろに投げる
もちろんなのはは避けようとしない
「甘いぞ、なのは」
ギャイィン
後ろで鳴った激しい音に、なのはは驚いて振り返る
そこには、落ちていく白い剣と、ユーノのシールドがあった
もし危なくなったら、助けてくれと頼んでおいたのだ
「残念だったな、今ユーノがフィールドを張ってくれていなければ、串刺しになっていたぞ」
なのははビクビクしながらも驚きの表情をしている
「なんで、けん君の剣は戻ってきたの?
絶対投げ損ねたと思ったのに……」
種明かしだな
「この双剣は『干将・莫耶』といって、一対の双剣だ
この双剣には、互いに引き合う性質がある
だから、戻ってきたわけ
こうやって、いきなり自分が知らないことを相手がしてくる事はよくあるから、どんな時でも気は抜いてはだめだぞ」
「はい!!」
うん、いい返事
「じゃあ、今日の修行はこれでおしまい
明日は、更に連度を高めよう。特にディバインシューターの操作性だね
缶を落とさないように下から打つってのもいい練習かもな」
こうして、修行1日目は終わった
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SIDEフェイト
あの時の事を思い出すと、今でも恐い
慣れていたはずなのに
母さんが慣らしてくれたはずなのに
現実は厳しいな
首筋まで寄ってきた死
憤怒の目
こんな思いは嫌だ、もうたくさんだ
本当にそう?
それはありえない
だって母さんに頼まれたから
待っててね、今、集めるよ
SIDEOUT
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今日は、なのはが塾で恭也さんはデートだから修行も鍛錬もない(夜まで)
ってなわけでぶらぶらと散歩をしているわけですよ
お、あの大判焼きは旨そうだ
なのはに買っていってやるか
お金?宝石を換金してもらいました
だって宝石魔術は専門外だから持っていてもしょうがないんだもん
「おっちゃん、大判焼き2個」
「あいよ」
さて、そろそろ帰ろうかな
………あれは、
「そこの金髪幼女」
呼びかけると振り向いた
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SIDEフェイト
今日は天気がよかったから外にでてみた
この世界には魔法がない
でも明るい
でも暖かい
この世界に母さんを連れてきたら嬉しがるかな
たぶん嬉しがらないだろうな
そんなことを考えながら歩いていると、お店……なのだろうか
小さな移動式の車?を発見した
あれは、何だろう
「そこの金髪幼女」
恐怖がよみがえった
あの艶のある黒髪
中性的な顔立ち
そして何より、琥珀色に輝くその瞳
「あ……あ……」
歯の根が鳴る
瞳孔が開く
肺が押しつぶされる
逃げなきゃ
早く逃げなきゃ
どうして動かないの?
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
「よぉ」
その手が肩に置かれた時、私の意識は途絶えた
SIDEOUT
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「よぉ」
挨拶のつもりで肩に手をかけると
フラっと気絶した
……やっぱり恐かったんだな
本当にすまないことをした
また罪悪感がよみがえってきた
幼女をお姫様抱っこして、近くの公園まで連れて行き、ベンチに座る
近くで見たからこそ分かる
白くあどけない顔
スベスベした細い腕
サラサラの金の髪
やっぱりかなりの美人なのだろう
そうやって観察していると直ぐに起きた
起きあがって俺の顔を見た瞬間に暴れ出した
「やめて!!離してください!!」
殴られる顔、身体
「嫌だよ……死にたくない……」
ついには泣き出してしまった
殴られた身体は痛くない
でも心が痛い
自分のしてしまった事に怒りが沸く
「ごめん」
二の句がつげない
「ごめん……本当にごめん」
ただ壊れた人形みたいに謝る
言おうと思っていた謝罪の句はたくさんあった
でも吹っ飛んだ
カァー、カァー
どのくらいたったのだろう
真っ青だった空は赤く燃えている
下を見ると幼女が泣きやんでこっちを見ていた
「なんでそんなに謝るんですか」
「え?」
思わず聞き返す
「あの時のあなたの行為は間違っていなかった
なのに何故謝るんですか」
あの時のことがフラッシュバックしてきた
あの時感じていた違和感
何だったのだろうか気になっていた
……そうか
だから俺は違和感を感じていたんだ
謝りたかったんだ
「あの時、俺はなのはを守るという名目上で君を攻撃したと思っていた
でもそれは違ったんだ
あの時攻撃した理由
それは、守れなかった悔しさ、怒りを発散したかっただけ。だったんだ
そして、その時都合良くいた敵である君に襲いかかったんだ」
そう、それはただの八つ当たり
俺の理想とは程遠いもの
自分自身にまけた愚か者
それが違和感の正体
「だから謝りたかった
本当にごめん」
幼女は数回まばたきして微笑んだ
「いいですよ
私はあなたを許します
私には、あなたの後悔が痛いほど伝わってきた
あなたの反省が胸に届いた
だから、あなたを許します」
そう言った幼女がとても眩しかった
俺は許された喜びをただ、噛みしめていた
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「そういえば」
俺はとなりに座っている幼女に大判焼きを渡しながら話しかける
「なんですか?」
「名前聞いてなかったな、と思って」
いくらなんでも幼女なんて呼びたくない
「フェイト
フェイト・テスタロッサです」
「フェイト……運命か
何か似合ってる、いい名前だと思うな
俺は石神剣介
呼び方は何でも構わないよ」
ちょっと頬をそめて、嬉しそうな顔をしているフェイト
「似合ってる……か
嬉しいよケンスケ」
「また……次あったら敵同士だな」
ジュエルシードを集めている以上
またぶつかる事は必至だろう
「そうだね……ケンスケはどうしても引けない?」
「……そうだな、もう約束しちまった事だし、なのははフェイトとお話をしたがってる」
「なのはってあの白い子のことだね
お話……か……たぶん話し合って解決するような事じゃないと思う」
そっか、それだけ固い決意なんだ
「わかった
なのはにも覚悟はしとけって言っとくよ」
「うん、よろしく
じゃあねケンスケ、大判焼き美味しかった」
「あぁ、また今度」
そう言ってフェイトは去っていった
今回、分かったことがある
俺は精神面が弱い
これはただのカンだけど、それで将来ひどい目に会う気がする
そんな風に思う日だった