魔法少女リリカルなのは~チートな主人公の頑張り物語~ 作:てりー
前回のあらすじ:フェイトと戦います
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二人の身体から、抑えきれない気が立ち上る
それは、風のように辺りを吹き散らし、全ての邪魔を排除していく
この場にいられることが僥倖と言っても過言ではない
睨み合う、動き出しまで後少し
さぁ、刮目しろ
まばたきをするな
これこそ、今までの戦いでの頂上決戦
全てが決まる戦い
さあ
開幕だ
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始まった
まずは、フェイトが飛び上がって魔力弾を5個作り出す
「フォトンランサー」
それに対応して、なのはも魔力弾を5個形成する
「ディバインシューター」
「「ファイア(シュート)!!」」
飛び交う金と桃の魔力弾
それは、お互いを相殺せずに、真っ直ぐ貫くべき敵のもとへ飛んでいく
ただ、その能力の違いから、錐揉み状に回転して魔力弾を避けるなのはと、追ってくる魔力弾を防御するフェイトという形になる
戦闘というのは、一瞬の遅れが命取りになるもの
なのはは、フェイトが受け止める数瞬の隙に、さらに6個の魔力弾を形成して打ち出す
しかし、そこはフェイト、鎌状に変形させたバルディッシュで、なのはに近づきながら弾を撃ち落としていく
そうして間合いに入った瞬間に鎌を振り上げた
少し驚きを見せたなのはだったが、シールドでそれを受け止めると
ただ一つ、遠くから迂回させた魔力弾を背後から襲わせた
まるで、干将・莫耶のように戻ってくる魔力弾
間一髪のところで防御をしたフェイトだったが、なのはを見失う
ここで、冷静にいけよ
焦って接近戦などを……しかけやがった
「せえぇぇぇ!!」
気合いとともに、レイジングハートに魔力を纏わせて接近戦をする
だが、それは下策
考え得る限り最悪の手
素直に砲撃なりバインドなりをしておけばよかったのだが、これでむざむざフェイトの間合いに入ってしまった
そんななのはをフェイトが見逃すはずもなく、機動力を生かした攻めにでる
右、左、上、下
嵐のようなフェイトの攻撃を、一瞬の動きで回避するなのは
全てレイジングハートの指示だろうけど、成長したことを実感させてくれる
だが、それにも限界は来る
フェイトの鎌がなのはを捉え……ない
爆発音とともになのはが強制的に距離をとる
速効で魔力弾を作り、それを爆発させることで距離をとったのだ
至近距離からの爆風により、胸についているリボンはボロボロだが気にはしない
しかし、恐怖は終わっていなかった
距離をとった先には4個の魔力弾
それは、なのはの動きを止めるには十分な量だった
かろうじて防いではいるが、そちらに気をとられるなのは
フェイトはその間に、準備を整えた
全て防ぎ終わり、肩で息をするなのは
その周りに金色の魔法陣がいくつも出来上がる
あれは、まずい
「まずい、フェイトは本気だよ!!」
四肢をバインドで固定されたなのはは、何処にも逃げ場がなくなった
「なのは、今サポートを「やめねぇか!!」ケン!?」
この戦いに介入する馬鹿が何処にいる
これは、なのはのための戦い
フェイトのための戦い
二人だけで戦う美しき聖戦
これは、誰にも邪魔はできない、否、させない
固く握りしめた拳からは、生温かい朱き血がしたたり落ちていく
「アルカス、クルタス、エイギアス……」
あの呪文か
当たったら負けは確実だろう
俺には祈ることしか出来ないけど、頑張れなのは
「フォトンランサー、ファランクスシフト
打ち砕け、ファイア!!」
まるで城に向かって射かけられる弓矢の如く襲いかかる光の数々
打っているほうも魔力を使うらしく、苦悶の表情を浮かべるフェイト
それでも、最後の一撃として、魔力を濃縮させる
この煙が晴れたら放とうと用意した魔力弾
しかし、煙が晴れたとき、それが喰らうべき敵はいなかった
そこに居たのは、不屈の心を持ちし者
無事に避けたか、よかった
いや、喰らったのか?
なら凄いな、あれだけの魔力弾を喰らっても倒れないとは……正直見直した
「ディバイーン、バスター!!」
なのはの砲撃
フェイトも濃縮弾によって反撃を試みるが、いくら濃縮しようが銃弾は銃弾、砲弾に勝つことは出来ない
軽く消される濃縮弾
分かっていたというようにシールドを張るが、それを飲み込んでゆく
手袋が破れる
マントが破れる
それでも、防いだフェイトだったが、さらにバインドで固定される
あれは……俺に内緒でやっていた収束砲か
見ただけでわかる莫大な魔力
星の一つは軽く破壊できそうな収束砲
「受けてみて、これが私の全力全開!!
スターライト……ブレイカー!!」
海をも断ち割るそれは、もはや冗談に近いレベル
宝具といっても過言ではない
フェイトは生きているのか?
海に墜ちていくのを見て駆けだす
「よっと、大丈夫か?」
海に墜ちる直前、何とかフェイトを助けることに成功した
そして、ここに頂上決戦は終結した
「フェイトちゃん大丈夫?」
なのはの問いかけに薄目を開けて大丈夫だよと答えるフェイト
いや、あれだけの砲撃を喰らったら大丈夫ではないだろう
「私の……勝ち……だよね」
信じられないような事なのだろう
その言葉に力はない
それでも、それは事実
「……みたいだね」
そして、バルディッシュから、争いの原点であるジュエルシードがはきだされる
あれ? 前にも同じようなことがあったよな
あの時と同じなら、皆が危ない!!
「すまん、フェイトを頼む」
なのはに預けて、バビロンから、ケルト神話における最強の槍兵であるディルムッド・オディナの赤き魔槍を取り出す
これが杞憂に越したことはないが、もし本当にやってきたらこれで止める他は無い
《きたよ!! 剣介君!!》
やっぱりか
エイミィさんの言ったとおりに、空が妖しく光る
雷鳴が轟く
来るなら来い
この槍にかけて、俺に負けはない!!
目標に向けて唸りを上げる雷撃
でも、届かせはしない
「『
真名解放したとたんに、気持ちが悪くなるような気が辺りを支配する
だが、これしきで引いてはいられない
「せやぁぁぁ!!」
気合いと共に上空へ突き出す
彼の騎士王の鎧でさえも打ち消したそれは、その効果を如何なく発揮して『魔』という分別の雷撃を切り裂いていく
それは小さい穴だったが、なのはとフェイトに届かなくするためには十分
だが、俺は気がつかなかった、もう一つの魔法に
「ジュエルシードが!?」
ユーノの叫び声で後ろを振り向くと、雷の中心部へ向かっていく9個のジュエルシード
くそっ、こっちはこっちで手一杯だ、止められない!!
そして、数秒後
雷撃が終わる頃には、とっくにジュエルシードは無くなっていた
試合には勝ったが、勝負には引き分けたか
悔しさを噛み締めながら、アースラへと戻った
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SIDEローデス
使えねぇな
結局、ロストロギアの確保は出来なかったじゃねぇか
これは、ガキのお遊びじゃねえんだ
宝具だっけか?
確かに、もの凄く強いけど、あいつらには欠けている物がある
それは、プロ意識だ
今から向かう、プレシア・テスタロッサ捕縛で、あいつらにプロ意識ってものを思い知らせてやる
「武装局員、転送ポートから出動
任務はプレシア・テスタロッサの身柄確保です」
よっしゃあ、血沸き肉踊るぜ
やってやらぁ!!
転送ポートから転送された先は、どこぞの王宮みたいな場所
「どうした、緊張してんのか?」
まだ、武装局員になって日が浅い後輩に話しかける
俺だって初めはブルったさ
でも、回数を重ねるたび、凶悪犯を捕縛していくたびに分かっていくことがある
それは、笑顔
それがどういう思いであろうと笑顔は美しい
そして、それを見るからこそ俺は頑張れる
突入すると、一人の女性が座っている
あれがプレシア・テスタロッサだろう
あの余裕が気にくわねぇ
更に奥まで進むと、ポッドがあった
あれは……人!?
何故か金髪の人がポッドに浮かんでいる
あのガキ達が戦っていたフェイトとかいうのに似てる、いや、そのものみたいだ
「私のアリシアに触らないで!!」
あのババアが来やがった
アリシアなんざしらねぇ
お前を逮捕するだ……け
意味が分からなかった
溢れ出る液体が赤い色をしていることも
こぼれでる臓腑が紫色をしていることも
「なん……だ……こりゃ」
周りを見ると、腕を千切られて悶絶する仲間
あるべきはずの顔が失われている仲間
足が無くなったあの新人
なぜ……なぜだ
デバイスをとり、プレシア・テスタロッサに向ける
「てめぇ、俺の仲間に……俺の家族に何しやがった!!」
声がかすれる
涙がこぼれる
もう立てない身体で這いつくばりながらにじり寄る
せめて一撃
仲間の無念をはらすため
美しい笑顔を見るため
「邪魔よ!!」
もう何も聞こえない
何も見えはしない
SIDEOUT
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「いけない、局員達の送還を!!」
俺たちが帰ってくると、そこには地獄絵図が広がっていた
溢れ出す血
飛び散る臓腑
ゴロゴロと転がっている四肢
「う……ゲェェ」
なのはが吐く
ユーノが吐く
俺も吐き気に襲われるが何とか保つ
早くこの場を去らないと
「……なに……あれ」
それは見せてはならないものだった
ポッドに浮かぶ人
フェイトとまるで同じな髪、顔、身体
なんだあれは?
「もう駄目ね、時間が無いわ
たった9個のロストロギアでは、アルハザードにはたどり着けないかも知れない」
アルハザード? なんだそれは?
憑かれたように語り出すプレシア・テスタロッサ
その言葉に呆然となって、なのは達を連れて行くのを忘れていた
「でも、もういいわ
終わりにする
この子を亡くしてからの暗鬱な時間を
この子の身代わり人形を、娘扱いするのも」
何を……言っている?
人形?
誰が?
フェイトがか?
「聞いていて、あなたの事よフェイト
せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは外見だけ
役立たずでちっとも使えない
私のお人形」
だから意味がわからない
誰か説明をしてくれ
「最初の事故の時にね、プレシアは、実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの
彼女が最後におこなっていた研究は、使い魔とは異なる
使い魔とは異なる、人造生命の生成、そして、死者蘇生の秘術
フェイトって名前は、当時、彼女の研究に付けられた開発コード
プロジェクト『F・A・T・E』」
そういうことか
やっと納得がいった
要するに、娘を亡くしたから変わりを造りましょ~
ってことだろ
「よく調べたわね
そうよ、その通り
だけど、駄目ね
ちっとも上手くいかない
作り物の命はしょせん作り物
失った者の代わりにはならないの
アリシアはもっと優しく笑ってくれた
アリシアは時々反抗するけれど、とてもよく言うことを聞いてくれた」
「やめて」
なのはの声
聞くに耐えなくなったのだろう
だが、俺の今の感情はなんだ?
喜びと……疑念?
「アリシアは、いつでも私に優しかった
フェイト、やっぱりあなたは、アリシアの偽物よ
私がアリシアを復活させる間の慰み物
だから、あなたはもういらないわ
何処へなりと、消えなさい!!」
なぜ、プレシア・テスタロッサは震えている?
なぜ、プレシア・テスタロッサの顔は歪んでいる?
なぜ、プレシア・テスタロッサは泣きそうになっている?
微妙な、本当に微妙な変化だけど
俺は気がついた
それでも、プレシアはやめない
「いいことを教えてあげるは
あなたを造りだしてからずっとね
私はあなたが
大嫌いだったのよ」
崩れ落ちるフェイト
こんな場ですまないけど、もう抑えきれない
もう駄目だ
「はっはっはっはっはっは!!
あー、はっはっはっはっはっは!!」
「けん君(ケン、剣介)!?」
「何が可笑しいの?」
「いやいや、何も可笑しくはないよプレシア・テスタロッサ
ただ、あんたの考えが俺には共感できすぎてな
嬉しいだけだ」
モニターのプレシア・テスタロッサから、近くのなのはまで
全ての人が驚きの目をむける
「どういうこと?」
「アリシアを救うためならば人を殺しても構わないというその傲慢さ!!
フェイトを簡単に切り捨てる非情さ!!
大切な一以外はどうなっても構わないというその考え方!!
全てが俺に合っている」
そう、本当に全て合っていた
恐いくらいに
何から何まで
「あなたは、分かっているみたいね
ならば、私と一緒に来ない?
楽しい旅になるわよ」
「はっはっは
それは楽しいな
是非ご一緒させていただこう「けん君!?」と言いたいが
残念だな、プレシア・テスタロッサ、貴女なら分かると思うが
今の俺にとっての大切な一はこいつらだ
なのはだ、ユーノだ、アルフだ、フェイトだ
だから、ついて行くことはできないな」
「そう、それは本当に残念だわ
一つだけ教えてちょうだい
あなたの名前は?」
「石神の剣介だ」
「石神剣介ね
覚えておくわ」
「「はーはっはっはっはっは」」
こうして、俺とプレシア・テスタロッサの会談は終わった