魔法少女リリカルなのは~チートな主人公の頑張り物語~ 作:てりー
AM6時35分
「おっし、今朝の仕上げ、シュートコントロールやろうか」
今日は、朝からなのはの練習につきあっている
最近のなのはは、少しオーバーワーク気味だから、止めて欲しいとレイジングハートに言われたので見ているのだが……確かに朝にしては飛ばしすぎだ
練習メニューは俺とレイジングハートで決めた、身体に負担をかけないレベルでの限界メニューだ
だから、それに加えた自主練をされると、身体に負担がかかる
その負担を取り除くために睡眠をすればいいのだが、なのはは真面目だから学校で寝ることはほとんど無い
だからどんどんと疲労が溜まっていく
今朝も、練習メニューの1.5倍くらいやろうとするから止めた
〔one hundred〕
空き缶を地面に落とさないように、誘導弾をコントロールするだけの練習だが、なかなかに難しいようで、最初のうちは十回もできていなかった
「ラスト!!」
掛け声とともに誘導弾が動いて、空き缶をゴミ箱に向けて放つなのは
ゴミ箱の枠にあたって地面に落ちるところを、バビロンから射出したナイフでなのはと同じように落とさないようにしてゴミ箱に入れた
「やっぱり、けん君は凄いな~
私はあんなに綺麗に入らないもん」
感嘆したように話すが、なのはだって惜しかったじゃないか
「さっきも言ったように、疲れてるから入らないんだよ
分かったら、激しい自主練はやるなよ」
まぁ、このミスも疲れのせいにするけどね
そんな感じで練習終了っと
さっさと帰って、朝ご飯食べよう
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朝ご飯の準備をしていると、恭也さんがリビングにきた
手には小さな小包を持っている
あの大きさなら、俺達の物かな?
「なのは、郵便が来てるぞ、フェイトちゃんだ」
やっぱりか
あの事件の後から、フェイトとはビデオメールで話をするようになった
ユーノがアースラに戻ってからは、俺達にとって魔法世界を思い出させてくれる物の一つだ
そう言えば、フェイトの裁判がそろそろ終わるらしい
最初の予想通り、判決無罪、数年間の保護観察に落ち着くことが濃厚らしい
そうなれば、地球に遊びに来ることも可能だから、楽しみだ
あとで、アリサやすずかと一緒にビデオを見よう
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夜
俺はなのはの部屋にいた
特に理由はなく、ただおしゃべりしているだけ
〔coution〕
警告!?
どういう事だ? 今、地球にいる人で俺となのはのことを知っている人はいないはず
だが、こうしてレイジングハートが警告している以上、何かしらの危険が迫っていることは確かなのだろう
ここで待ちかまえても戦いづらいだけなので、近くのビルの屋上にでも移動しよう
「で、何か心当たりはある?」
ちょっと離れた位置にあるビルの屋上まで移動してきた
「あるわけないよ」
そうだよな、俺もない
あれから誰にも魔法の事は知られていない
ということは、相手は偶々俺達を選んだという事なのだろうか
さて、そろそろ来るな
最初の攻撃は高速で飛来する鉄の球
バビロンから黒白の双剣を取り出して受け止める
「グゥ……!?」
一撃がかなり重い
最初の選択をミスったかな
あそこで受け止めずにそらしておけばよかったのだが、今はそんなこと考えている余裕はない
だが、手間取っている間に本体が到着した
「デートリヒ・シュラーク!!」
「けん君!?」
相手の攻撃をなのはがシールドで防いでくれるが、徐々にヒビが入っていく
「おぉぉぉ!!」
何とか鉄の球を押し返して、なのはを襲う赤い服の幼女の後ろに回る
狙うは首
このままならいける
「せやぁぁぁ!!」
もし、あと数瞬なのはが持ちこたえていたら、幼女は首無し死体になっていただろう
だが、俺の刃があたる、ほんの数瞬前になのはのシールドが破られた
その勢いで幼女の身体全体が前のめりになる
それによって、刃は首の皮一枚を斬ることしかできなかった
なのはがビルから落ちていくが、レイジングハートを起動すればいいだけなので心配はない
今は、この幼女を捕まえるほうが先だ
そう判断して、相手の脚や腕の腱を斬ろうとするが、相手も重いハンマーを巧みに操って防いでくる
【けん君避けて!!】
なのはからの念話が入ると同時に桃色の砲撃が迫ってきた
あの馬鹿やろうがーー
俺の持っている双剣に魔力を大量にぶち込んで、大きくする
【お前は俺を殺す気か!!】
俺はなんとか防いだが、幼女のほうは直撃こそしなかったものの、被っていた帽子ごと吹き飛ばされたようだ
だが、その帽子によほど思い入れがあったのか、すぐに立ち上がって憤怒の形相でこっちを見てくる
「許せねぇっ!!グラーフアイゼン、カートリッジロード!!」
掛け声とともに、ハンマーから、まるで散弾銃の薬莢を取り除くように丸い物が飛び出ていく
そして、いいなりハンマーのフォルムが変わった
ハンマーの先に尖った槍のようなものがついた
「ラケーテン……」
しかも、後ろはジェット噴射装置だと!?
その場でくるくる回り始めて遠心力をつけた後、なのはに向かって飛び出した
その時、この幼女の近くにいたのは俺
だから、俺に攻撃がくると思って、その準備をしていたので完全に遅れた
なのはも、ギリギリのところでシールドを張る
「ハンマー!!」
だが、普通の一撃すら防げなかったシールドが、明らかに強くなった攻撃を防げるはずもない
すぐに突破されて、なのはに直撃する
ところで追いついた
「ガアァァァァ!!」
元から虚をつかれた中での全力疾走
防ぐためにあるものは自分の身体のみ
左腕はなのはをしっかりと抱きしめていたが、右腕は犠牲にした
肩の、骨が砕かれる感触がする
筋繊維が削ぎ落とされていく
完全に腕一本なくなる前に吹き飛ばされた
たぶん、これが普通の人間だったら、とっくの昔に腕が無くなっているだろうし、意識も飛んでいる
だが、サーヴァント並みの耐久力があるから俺は助かった
激痛は走るけど、頭の中は冷静
近づいてくる窓ガラスになのはの身体をぶつけてはいけないので、なのはを抱きしめている左腕を強引に回して体制をかえる
そして、窓ガラスにぶつかり、床を滑って壁に激突した
もはや右腕の感覚はほとんどない
ここで時間があったのなら、『全て遠き理想郷
アヴァロン
』を取り出してすぐにでも治した
だが、あの幼女はそんなことすらも許してはくれないらしく、すぐに飛び込んできた
俺を庇うように、なのはが立つが、なのはだってかなりのダメージを負っているし、勝ち目は薄い
「やめろ……いいから、お前は逃げろ」
嫌だ、と涙でいっぱいになった眼で返される
もう、こうなったら手段は選べない
ギリギリの賭だけど、これしかない
もう少し近づいてこい、あと数歩
だが、それ以上近づくことはなかった
「ごめん、遅くなった」
俺の前に三つの人影
「……仲間か……」
一人は、なのはを庇うようにして、もう一人は金色の鎌を携えて幼女を牽制する
「友達だ」
そこには、俺たちの友達がいた