魔法少女リリカルなのは~チートな主人公の頑張り物語~ 作:てりー
前回のあらすじ:なのはが蒐集されました
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SIDEシグナム
「ほな、お先にな」
「お休み~」
主とヴィータが眠りについた
私も時間まで身体を休めようかと思ったが、まずはシャマルと話をした
「ねぇ、シグナム、今日お風呂に入らなかったのって……」
ザフィーラといい、シャマルといい聡い
あの金髪の少女、テスタロッサにつけられた、腹の傷がまだ癒えていないのだ
だが、だからといって戦闘に支障が出ることはない
私はヴォルケンリッターのリーダー『烈火の将』シグナムなのだから
「あの子達強かったわね」
テスタロッサは、確かに強かった
パワーや耐久力はこちらの方が上だが、ことスピードに関しては私より速いだろう
あの一撃も澄んだ良い太刀筋だった、良い師に恵まれたのだろう、武器の差がなければ苦戦していたかもしれない
「シャマル、その傷はどうした?」
主には、少し包丁で切っただけと言っていたが、『風の癒し手』シャマルならば数分で治せる程度の傷が、中指の先にあった
「これは、あの男の子が投げてきた槍にかすっちゃったの、治癒魔法をかけても治らなくて……」
我らヴォルケンリッターは、元から治癒能力が備わっているが、それだけでなく治癒魔法をかけても治らないとは、あの黄色い槍の能力だろうか
戦闘に影響する傷でもないから大丈夫だとは思うが
しかし、あの少年、石神剣介とやらの力には恐れ入る
あの歳で、私やヴィータを上回るパワーを見せ、一対一ならば負け知らずのベルカの騎士相手に一対二でそれを上回る動きをみせたのだから
弱点はある、彼は仲間を守ろうとしすぎる傾向があるから、そこをついていけば良い
「そろそろ時間だ、シグナム」
ザフィーラに言われて時計を見ると、驚くほどの時間が経過していた
いつものビルの屋上に集合して、少し遅れてヴィータも来た
切り替えよう、我が主のために
「我らヴォルケンリッター、これより蒐集を開始する」
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今、俺の前にはなのはの寝顔がある
あの戦いの後、気を失ったなのはは時空管理局本局で治療を受けている最中だ
治療と言っても、検査の結果、怪我は大したことないらしい
ただ、魔力の源であるリンカーコア(魔術回路みたいなもの)が異様なほど小さくなっているので、その治療と言うわけだ
なのはの顔が少し歪んだので、髪をそっと撫でてやると、落ち着いた顔に戻った
「失礼するよ、少し検査をするね」
優しそうなおじさんが入ってきた、この人が主治医だ
特に、退出しなければいけない訳ではないのだが、なんとなく外に出た
フェイトは怪我の治療で、クロノはその付き添い
エイミィさんとリンディさんは仕事なので、特に話し相手がいないから飲み物売り場にでも行くか
俺は、なのはを守れなかった
何が一を守るだ
その大切な一すらも守りきれなかった自分に腹が立つ
異様にムシャクシャして、飲み物売り場の壁を蹴った
「こら!! そこの少年、公共物を蹴ってはダメだろう!!」
ヤベッ、怒られたか
見ると、ガッシリとした体躯で、立派に髭を蓄えたオッサンがいた
「……すいません」
謝ると、フンッと鼻を鳴らした、何か恐そうなオッサンだな
「して、何故そんなにイライラしているのかな?」
人の秘密にそんなズカズカ入られても困る
じゃあっ、と言って去ろうとしたが、ガシッと肩を掴まれた
「わしが話を聞いてやるんだ、少しは話していけ」
かなり強い力で(とは言っても、人間レベル)椅子に座らせられて、飲み物を渡された
何か、話さなければいけない雰囲気になってしまったな
その横にオッサンも座って、飲み物を飲んでいる
「俺は、守りたいやつがいたんだ、でも、守ることが出来なかった
だから、その償いのためにも、今度こそ守りきろうと思って守っていたやつがいる
でも、結局そいつも守り切れていないんだ」
これが、俺のギリギリの妥協点
そんなに多くの事を話すことは出来ない
でも、こんなショッパい話を、真面目な顔でオッサンは聞いてくれた
「名前はなんという?」
「石神剣介」
「状況が分からないからあまり言うことはできないが、石神、人間というものはな、失敗するものだ
よく、失敗しても二度と繰り返さなければいいというが、そんなことは出来ない
同じ失敗は、二度も三度もするものだ
だが、そうやって何度も、何度も失敗を繰り返して、最終的に目的を達成することが出来ればいいのではないかと、ワシはそう思っておる」
ちょっと肩の荷が下りた気がした
結局、最終的に達成できればいい
これが、今の俺が欲しい言葉だったのかな
だから、素直になれた
「あの、名前は何ですか?」
「レジアス・ゲイズという」
「レジアスさん、ありが「レジアス中将、こんなところにいらっしゃったのですか!!」中将!?」
どんだけ偉いんだ、この人は
レジアスさんは、「見つかってしまったの」と呟いて、去っていった
なんだか、好感の持てる人だ
「やぁ、剣介」
ありゃ、クロノ、フェイトと一緒だったはずだけど
「フェイトは、先になのはの病室に行ったよ」
ふ~ん、そうだ、レジアスさんについて聞いてみるか
「レジアス中将か……どこでその名前を聞いたか分からないけど、一言で言えば豪腕で武闘派な人だよ、正義感も厚いけど、黒い噂も絶えないかな
管理局地上本部総司令で、入局30年のベテランだよ」
俺は、そんな人を相手にしてたのか、今更ながら恐ろしいことしていたな
でも、クロノの言う豪腕とかは思わなかったな、どっちが素なんだろう
クロノと共に、なのはの病室に向かって、そのドアを開けた
……何をしているんだろう
二人は、どんな経緯があったか分からないけど、抱き合っていた
「っと、お邪魔だったみたいだな、クロノ、外に出よう」
そう言って、後ずさりをすると、慌てた顔でフェイトが追いかけてきた
「違う、何を勘違いしてるか分からないけど、違うからね」
いや、まぁ、そこら辺は人それぞれだし、俺もクロノも何も言えないもの
クロノと俺は、顔を見合わせて、意志疎通をした
それから少し、フェイトを弄ったあと、病室に入った
「気分はどう? なのは」
寝ているなのはに問いかけると、元気だよと返ってきた
空元気なのは見え見えだったけど、それをする元気が出てきた事に安堵した
もう家に帰っても構わないらしいので、早く帰らせてやりたいが、この後フェイトの保護監察官と話をしなければいけない
面倒だが、頼まれたことなのでしょうがない
なのはを起こして、着替え……は出来ないのでフェイトにやってもらい、外にでる
そんな距離はないのだけれど、なのはを真ん中にして、俺とフェイトで手を繋いで歩いた
「失礼します」
それほど大きい部屋ではない
中央に備え付けられたらソファーに座ると、紅茶が出された
「君がフェイト君だね、私は保護監察官のギル・グレアム。とはいえ形だけだがね」
さっきのレジアスさんと一緒で髭を生やしていたが、雰囲気は別物で優しいオジサンといった感じ、第一印象がこれだけ良い人も珍しいな
その後は、グレアムさんの過去を聞いた
グレアムさんはイギリス人だったらしい、なのはと同じように倒れている局員を発見して介抱したところ、魔法の才能が発揮されてそのまま局入りしたというわけだ
地球人は基本的にリンカーコアがないが、例外的にある人は才能が飛び抜けているらしい、だからグレアムさんも将官クラスの地位を得たことがあるしね
そして、フェイトへの約束事
「友達や自分を信頼してくれる人のことは、決して裏切ってはいけない」
良い言葉だと思う、俺は守ることが出来なさそうな約束だけどな
「して、石神剣介君だったな」
おぉ、俺か、何だろう
「君は魔術を使えるらしいね」
そこら辺も調べたのかな
「君のような若い子で魔術を使えるのは珍しいよ、大体は、マヌエルさんやエッジ君が指導してきた40代くらいまでしか使えないからね」
エッジ・テスタロッサ……アリシアのお父さんか、フェイトは知らないだろうからここではスルーしておこう、グレアムさんも気を使ってくれているみたいだし
「君は、どんな魔術系統なのかね?」
「俺は、『偽』と『癒』ですね
グレアムさんも使えるんですか?」
「うむ、私もマヌエルさんに習ったよ
私は『氷』系統だね、魔術回路が20本ほどしかないから、大したことはないが」
へ~、グレアムさんも魔術を使えるのか
話には聞いていたけど、実際に使える人には出会っていないから嬉しいな
その後、魔術関連でちょっと盛り上がった後に、退出してデバイスルームに行った
バルディッシュはかなり破損しているから、レイジングハートは破損こそしていないものの点検も兼ねて、エイミィさんに預けてある
「なのは、フェイト、剣介!!」
アルフが尻尾を振りながら駆けてきた
ユーノも一緒だったようで、こっちに来た
「ユーノ(君)、アルフ(さん)」
二人とも、あの場ではしっかり挨拶も出来なかったからな
「久しぶりだね、なのは、ケン、元気……じゃぁないか」
ユーノも本当に久しぶりだ、前よりも少し身長が伸びたかな?
「ユーノ君、本当に久しぶり、私は元気だったよ
前は助けに来てくれてありがとう。すっごく助かったよ」
申し訳なくも嬉しそうな顔のなのはに、全然と首を振るユーノ、やっぱりパートナーだな
そんなユーノとなのはを見て、アルフが近づいてきた
「いいのかい剣介?ユーノに取られちまうよ」
それは、なのはの事なのだろうか?
なのはは俺が護る対象というだけで恋愛の対象になっていない
俺が誰かを恋愛対象として好きになる事なんて『ありえない』だろう
「別に、俺には関係ない問題さ」
素直じゃないねぇ、とでも言いたげな視線だけれど別にどうでもいい
で、レイジングハートとバルディッシュは平気なのだろうか
「うん、レイジングハートはすぐにでも持ち帰ることが出来るよ、バルディッシュはちょっと厳しいね、自動修復はしているけれど内部機能が壊れているから部品の交換が必要なんだ
早く返してあげたいんだけれど……」
結構ひどい壊れ方だったからな、それ相応の時間が必要になるだろう
「なのはちゃんは持って帰るよね〔待ってください〕レイジングハート?」
エイミィさんが取りだそうとするとレイジングハートが拒否した
〔私は、帰りたくありません〕
えっと……どういうことだこれは?
マスターの下に帰るのを拒んだのか?
「なんでそんなこと言うの? これからも一緒に戦おうよ、レイジングハート」
悲しそうになのはが言う
エイミィさんや俺を含めて、その他の皆も困惑している
〔マスター、私はマスターを嫌いになった訳ではありません
ケンスケさんなら分かるでしょう〕
俺がか? ……あぁ、そういうことか、ならばしょうがないな
「わかったよ、レイジングハート
大丈夫だなのは、レイジングハートは絶対に帰ってくるから」
「何が分かったの、けん君!?
分かったなら、レイジングハートを説得してよ!?」
戸惑ってるな、冷静な判断が出来そうにない、一人になることを極度に恐れる所は治ってないか
まぁ、そんな簡単に人は変われないさ
「なぁ、なのは、今はレイジングハートを待っていてやろうよ
何をするのか具体的に分からないけど、それがなのはに出来る最善だと思うよ」
肩を掴んで、眼を見て優しく語りかける
そうすると、濁っていた眼が、ゆっくりといつもの透き通るような眼に戻った
「うん……わかったよ
レイジングハート、絶対に戻ってきてね」
〔当たり前です、あなたは私の誇りですから〕
「エイミィ、いるかい?」
ドアが開いて、クロノが入ってきた
「あぁ、なのは達もここにいたのか
ちょうどよかった、艦長から話があるから皆集まってくれ」
今回の事件についてだろうか、そういえば担当になるとかならないとか言っていたな
クロノについて集合場所に行くと、たくさんのクルーの人たちが待っていた
「来たわねクロノ
では、アースラメンバーは今回のロストロギア『闇の書』の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査を担当することになりました
ただ肝心のアースラが事情があってしばらく使えないです、そこで事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになりました
分轄として監督スタッフと捜査スタッフ一堂、司令部は、私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、以上三組に分かれて駐屯します」
「「「「はい!!」」」」
「ちなみに司令部は、なのはさんの保護も兼ねて、なのはさんのお家から目と鼻の先にあるマンションにしました~」
へ~、なかなか粋な計らいをしてくれるなリンディさんも
なのはとフェイトも喜んでいるし、俺も嬉しい
でも、あの近くに今すぐ入れるようなマンションなんて……あった
確かこないだ出来たばっかりの高層マンションがあったはずだ、あそこなら、徒歩でいける距離だしな
「ケンスケ、私……私」
嬉しそうだなぁフェイト、珍しく顔がにやけてるもん
そんなフェイトの頭をポンポンと撫でて席を立つ
なのはの部屋に行って、帰り支度を始めなきゃな、いくら着のみ着のままといっても少しは荷物がある
泊まりがけだったから、下着とか買っていたからそれを仕舞わないといけないだろう、バック持ってなかったし
なのはの部屋に入ってベッドの下から、着替え(使用済み)を取り出し
「にゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 何やってるのーーーー!!」
何って、なのはの着替えをバビロンに仕舞おうとしているだけだけど
なんでそんなに怒ってるんだ?
「ちょっとはデリカシーってものを覚えてよーーーー!!」
……あぁ、そっか、着替えだもんな恥ずかしかったのか、俺はまっっったく気にしないけどな
涙目のなのはに部屋を追い出されてやることがなくなった、しょうがないから散歩をしていると、リンディさんとフェイトに会った
「剣介さんは、私とフェイトさんってお似合いだと思いますか?」
なんだろう、凄く誤解されそうな聞き方なんだけれど、たぶん、前に聞いたフェイトをリンディさんの養子にするっていう話についてなんだろうな
「俺がどうこう言える問題じゃないですけど、俺はお似合いだと思いますよフェイトもリンディさんの事好きでしょ」
「ーーーー!! そう……だけど」
じゃあ良いと思うけどな、俺は応援したい
そう伝えると、二人は去っていった
そろそろ、帰る時間だから、転送ポートに行くかな
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「本当に近いところだね!」
いや、そういう感想よりも、もっと言う事があるだろ
俺たちは、司令部となるマンションに来ているのだけれど、想像以上に豪華だ
たぶん、億ションレベルだと思う、だいたい、なのはの友達には大金持ちばっかだから感覚が狂っているのだろう
おっと、ユーノが肩に登ってきた
「そっか、ユーノもアルフもこっちではその姿って、アルフどうしたの?」
前みたいな大型犬(もはや狼)並みにでかい身体はやめてしまったのだろうか
「新形態、小犬フォームさ
この姿なら、フェイトの魔力消費も少なくて済むし、町を歩いても何の問題もないだろ」
「なのはの関係者に会うためには、この姿じゃないとね……」
お前等も大変なんだな
「剣介、友達だ」
お、もう来たのか
「こんにちは~」
「来たよ~」
つい一昨日にも会っているのに、すごい久しぶりな気がする……具体的にはピー話振りくらいな……
「何考えてるのよ、ケン」
相変わらず、こういうことには鋭いな
「あら、お友達?」
リンディさんか、ナイスタイミング
「「こんにちは~」」
「アリサさんとすずかさん……よね」
あれ、知ってるんだ、リンディさん
フェイトと一緒にビデオメールを見てたってことかな
さて、じゃあ約束通り翠屋に行きますか
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SIDEエイミィ
初めての地球だけれど、良い星だなぁ
文化的ではあるけれど、進化しすぎていないってのが嬉しいところだし、出来ればこのまま住んじゃいたいくらい
あれ、通信だ、誰からだろう
「本局メンテナンススタッフのマリーです」
マリーか、どうしんだろう、レイジングハートのことかな
「先輩から預かっているインテリジェントデバイス二機のことなんですけど、変なんです
部品交換と修理は終わったんですけど、必要な部品が足りないってずっと言ってて」
しっかりと発注したつもりなんだけどな、それにマリーなら、失敗しないだろうし
どんなものが必要って言ってるのか見せてもらおう
「今、データを送りますね」
眼を疑った
送られたデータを見ると、そこに書いてあったのはCVKー792
通称ベルカ式カートリッジシステム