魔法少女リリカルなのは~チートな主人公の頑張り物語~   作:てりー

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第三十六話

前回のあらすじ:華音に背中をおされました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「けんく~ん」

「ケンスケ~」

 

 

青く澄んだ空、淀みを吹き散らす清き風、そんな現実の素晴らしさの中に駆けてくる白と黒の少女、それに少しばかり遅れてユーノもやってくる

 

……ちょっと待て勢いが強くないか? このままじゃぶつかるーー

 

 

「お帰りなさい!!「ごふっ!?」……けん君?」

 

「あぁ、大丈夫、心配すんな

ただいま、なのは、フェイト」

 

 

なのはの頭突きが鳩尾に入った、俺だから平気だったけど普通の人なら意識を持っていかれてたぞ

 

そのまま抱きついて心配そうに見てくるなのはと左腕を無言で抱きしめているフェイト、俺の自由が右腕しかないんだが……まぁいいか

 

 

「お帰り、ケン」

 

「あぁ……ユーノただいま」

 

 

自由に動かせる右手で握手をする、想像だけど、ユーノはずっと俺が生きて帰ってくることを信じていてくれた気がする

 

 

「まったく……君は本当に心配をかけてくれるよ

報告だ、闇の書の闇、切り離された防衛プログラムはアルカンシェルによって完全消滅が確認された、このまま後片付けをするから君たちも手伝ってくれ

あと……お帰り剣介」

 

 

クロノが俺の帰りを待っていてくれたことにちょっと驚いた、しかし素直じゃないね、わざわざ照れくさそうに言うこと無いのに

 

 

「了解

ありがとう、ただいまクロノ」

 

「べ、別に君の帰りを待っていたわけじゃないぞ」

 

 

男のツンデレ気持ち悪いです

 

水面に浮かび上がりきらないほどの残骸、街は街で火柱が立った跡や地割れなど、ちょっとどころでなくマズい、この惨状を片付けるのは骨が折れるぞ

 

 

「お帰りな、けん君、家の子が迷惑かけたみたいで、ほんまにすまんかった」

 

 

はやてか、もう動けるようになったんだな

 

 

「ただいま、あと、リインフィースだっけ? あんなに素晴らしい夢を見させてくれてありがとう」

 

 

これは本心だ、夢でもなんでも華音にもう一度会えたというのは最高に嬉しい、その機会を与えてくれたリインフィースには感謝してもしたりないくらいだよ

 

そういえば、シャマルさんは大丈夫なのだろうか、確か『ゲイ・ボウ必滅の黄薔薇』の傷があるはずなんだけど

 

 

「あぁ、あの治らない傷ですよね、大丈夫ですよ、一度消滅してはやてちゃんに修復してもらったとき直してもらったので」

 

 

そう言って指を見せてくるシャマルさん、確かに傷跡がない、いくら不治の呪いでも、プログラム的に直すことが出来るということなのだろう

 

 

「そうなんや、それは……よかっ……た」

 

 

「「「「はやて(ちゃん)!?」」」」

 

 

いきなり倒れたはやてをシグナムが抱き止める

 

 

「艦長、重要参考人が倒れたので艦の医療設備を使わせていただきます」

 

【わかりました

エイミィ、よろしく頼むわね】

 

【はいはーい、わかりました】

 

 

こうして、片付けは他の局員(+リズとセラ)に任せて、俺たちはアースラに帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「じゃあ、その取り込まれた先では理想の夢を見たわけですね」

 

「そうです」

 

はやてを医務室に運んだ後、俺とフェイトは報告、クロノはお説教をされている、なんでも、俺を殺さないように一肌脱いでくれたのだとか、あとでお礼を言っておこう

 

 

「本当にあなたがたは……どこまで大人を心配させればいいのですか、特に剣介さん、あなたは一時いつ死んでもおかしくない状況になったのですからね」

 

 

俺は心臓が止まりそうになっていたみたいだ、本当にあとちょっとだったんだな

 

 

「はぁ、まぁいいわ、よく帰ってきてくれました、疲れたでしょう、これでも飲んで落ち着くといいわ」

 

 

運ばれてきたのは緑色の悪魔だった、それはリンディ茶と呼ばれる管理局至上最悪の兵器だ、それを最初に見て思うことは色がおかしくないかということ、そして次に臭い(匂いじゃないぞ)をかいで後悔をする、最後に口に含むと、例外なく(生きていられることを)神様に感謝するそうだ

 

 

【ど、どうしようケンスケ】

 

 

フェイトから焦りの念話がくる、俺もどうすればいいのか考えている最中だ、リンディさんが好意を受け取らないわけにもいかないから、なおさらだ

 

 

【……フェイト、飲む振りはできるか?】

 

【う、うん、出来るけど……】

 

 

フェイトを守らなければいけないからな

 

俺はストローをだして、『インビジブル・エア風王結界』をかける、これでストローは見えなくなった、それをくわえて……自分の分とフェイトのぶんを飲んだ

 

 

 

 

「ケンスケ、本当に、本当にありがとう!!」

 

 

なんとか部屋をでてすぐにフェイトがお礼を言ってきた

 

 

「あぁ、だい……じょ……だ

あの河を渡ってしまっても構わんのだろう?」

 

「だめだよ!? それは渡ってはいけない河だよ、ケンスケ……ケンスケーーー!!」

 

 

七回口をすすいでも気持ち悪さが拭えないのならば、七の七乗倍すすぎなさい

 

ってのを教訓として覚えました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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SIDEリインフィース

 

 

「はやて、大丈夫かな」

 

 

私に名前をくれた主が目の前で寝ている、私の責任だ

 

 

「あぁ、主のリンカーコアは正常に機能している、遠からず足も動くようになるはずだ」

 

 

闇の書の闇が消えたことで主を蝕む悪しき魔力は消えた、リハビリなどは厳しいと思うが、私がいなくても頑張ってもらいたい

 

 

「おまえ一人だけ消える……本気か?」

 

「本気だ、これが最良の策になる」

 

 

闇の書は、もう致命的な部分まで破損が進んでしまっている、他の騎士たちはともかく、管理プログラムである私は相当のようで、このままでは防衛プログラムを勝手に再構築してしまう、そうなればあの戦いが繰り返されることになる、加えて今度も主が闇に打ち勝てる可能性は限りなく低い、そもそも一度でも打ち勝てたこと自体が奇跡に等しいのだ、次は確実に取り込まれてしまうだろう

 

解決策は二つあった、一つは主に押さえてもらう方法だが、これは先ほど言ったように無理だ

二つ目は壊れたプログラムを一度完全に初期化し、新たに正常な闇の書本来の機能をインストールする、これは一からプログラムを作るので時間がかかりすぎる、その間に防衛プログラムが再構築されるのは明白だ

 

本来ならば私が消滅するとともに他の騎士も消えるだろう、だが今の私は管理者権限を使うことが出来る、その権限でヴォルケンリッターを私から切り離せば、私一人が消えるだけですむ

 

私としては少し寂しいが、主が死んでしまうことに比べれば蚊に刺されたようなものだ

 

 

「主が知れば、止めるだろうな」

 

 

分かっている、だからこそ私は主に知らせず逝くつもりだ

 

さて、そのためには彼女たちの助けが必要になる、頼みにいこう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDEOUT

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「闇の書の完全封印だと?」

 

 

リインフォースに頼まれて食堂に集まったら驚くべき事を聞かされた、予想できないことではなかったが完全に失念していた、いくら防衛プログラムを切り離したとはいっても再構築されたら同じだ

 

 

「その儀式のために彼女たちの力を貸してほしい」

 

 

なんでも、儀式を確実に終わらせるためには魔導師が3人以上必要らしい、ヴォルケンリッターたちは残るので4人いるから条件は満たしているのだが、どうしてもなのはとフェイトに見送ってもらいたいそうだ

 

 

「できればお前にも頼みたかったのだがな、魔法が使えないのならば仕方がない、だから見ていてくれないか、私が逝く様を」

 

 

その程度ならいくらでも引き受ける

 

 

「……時間があればよかったんだけどね、そうすればプログラムを一から作るのは時間がかかるけど難しいことじゃないのに」

 

 

苦虫を噛み潰したような顔のエイミィさん、助けたかったんだろうな

 

 

「あかん!!」

 

 

ドアが開いたかと思ったらはやてが飛び込んできた

 

 

「……ごめん、だけど、最期くらい話したほうがいいと思って」

 

 

ヴィータか、間違った判断じゃないよ、リインフォースも感謝してくれる、自分が知らない間にいなくなっていたっていうのが一番辛いもんだからな

 

 

「一人で消えるなんて許さへん、リインが辛いなら私が抑える、リインが苦しいなら私も耐える、一人で消えるなんて絶対にあかん」

 

 

フッと微笑んで、はやての車椅子の前で膝立ちになった

 

 

「いいのですよ、主はやて」

 

「いいことない、リインが消えるなんていいことなんて何でもあらへん」

 

「汚泥のような闇の中で長く生きました、しかし最後に美しく、気高く、誇らしい名前をいただいた、私はそれがあれば十分なのです」

 

 

ずっと嫌だった蒐集行為、何のためなのか、何を招くのか分かってしまっていても伝えるすべがなく、最終的には望まない破壊をもたらしてしまう、それはどれほどの苦痛だっただろうか

 

 

「私は名前だけですまそうなんか……リインと一緒に「ですから」リイン……」

 

「ですから、私は笑って逝きたいのです」

 

 

はやての気持ちが痛いほどによく分かる、あの時の俺と同じだ、華音に背中を押してもらうまではこれまで不幸だったのだから、これからは幸せな時を『一緒』に過ごしていこうと思っていた

 

 

「ダメや、絶対ダメや、暴走なんかさせへんって誓ったやないか!!ずっと一緒にいるって誓ったやないか!!」

 

「その約束はもう立派に守っていただきました」

 

 

ちょっと待て、リインフォースが消滅する理由はこのままだと防衛プログラムが再構築されるから、時間さえかければエイミィさんはリインフォースをまっさらな状態に戻すことが出来る……ならば

 

俺は外にでて久々に天使を呼び出した

 

 

【な~んで~すか~】

 

「単刀直入に聞く、宝具の譲渡は出来るのか?」

 

【そ~ですね~、簡易パスを繋げればできますよ~】

 

 

そうか、ならばたぶんこの計画は成功する、俺は簡易パスの繋げ方を聞いて部屋にもどった

 

部屋に戻るとはやてがリインフォースを抱きしめて泣いていた

 

 

「わかったよリイン「あぁ、ちょっと待て」けん君?」

 

「エイミィさん、時間があればリインフォースを、闇の書を元の夜天の魔導書にできるんですよね」

 

「えぇ、出来るけど……」

 

 

よし、ならいける

 

俺の計画は完全に思いつきだけど、たぶん大丈夫だ

 

 

「お前は何をするつもりなんだ?」

 

「喜べはやて、リイフォースが消滅せずにすむぞ」

 

 

半信半疑の表情だが、話を続ける

 

 

「要は、新たなプログラムが作られるまで暴走しなければいいんだろ

なら、俺に作戦がある」

 

 

その作戦とは至って簡単、俺とリインフォースで簡易のパスをつないだ後に『アヴァロン全て遠き理想郷』を譲渡する、そうすれば体細胞分裂を防ぐことすら出来る宝具だ、防衛プログラムが再構築されないようにするのも簡単なはず

 

 

「……そんなことが本当に出来るのか?」

 

 

出来る出来ないっていうのは本質と違う、やるかやらないかなんだ、はやては乗ってくれるだろうか

 

 

「ありがとうけん君、私、それに賭けてみる」

 

 

よし、なら早速開始するぞ

 

俺は口を斬って血をあふれさせる、リインフォースにも、自分の腕に傷をつけてもらった

 

 

「じゃあ、今から簡易のパスを繋げる

注意点としては、このパスは本当に簡易だから譲渡くらいしかできない、そして、やはり簡易だからマスターである俺のほうから魔力が移動することはないってのを理解してほしい」

 

「あぁ、わかった」

 

 

その言葉を始まりとして、そのままリインフォースの傷口にキスをして、自分の血と混ざり合わせる

 

変な感じだ、これまで何も感じなかったリインフォースが急に繋がっているように思える

 

 

「じゃあ、次に宝具を譲渡するな」

 

 

『アヴァロン全て遠き理想郷』を取り出してリインフォースに渡す、欲しいのは細胞の働きを止める効果だから、剣は渡さない

 

 

「あぁ、しっかりと受け取ったぞ……これでいいのか?」

 

 

やってみれば簡単なもんだ、ただ単に宝具を渡すだけだからな、俺としては絶対防御宝具がなくなってむちゃくちゃ痛いけどな

 

 

「なんかあっけねぇな、本当に大丈夫なのか?」

 

 

見た目に変化はない、だけど、これで再構築が起こらなくなるはずなのだが、どうだろうか

 

 

「……確かに、少しずつ起こっていた再構築の感覚がなくなった、すごいなこれは」

 

 

あくまで冷静だから喜びが伝わってこない……まぁそのぶんはやてが喜んでいるからいいけど

 

 

「えっと、ちょっといい? にわかには信じられないんだけど……リインフォースのこれからについて説明するね

これから本局に渡って休眠に入ってもらいます、それが五年か十年か二十年かわからないけど、絶対にプログラムを作り上げてみせるから、次に目覚めた時には完全復帰というわけだね」

 

 

どっちにしてもリインフォースとはやては離れ離れになることは確定していたのか、まぁそれでも消滅しちゃうよりは全然ましだな

 

 

「けん君、ほんまにありがとうな」

「感謝する……剣介」

 

 

お、名前で呼んでくれたか、俺としては大したことはやっていない、結局離れ離れになるしな

 

 

「ええの、リインフォースが助かるってわかっただけでええんや」

 

 

涙を流しながらありがとうを繰り返すはやてに居心地が悪くなって外にでた、ここまで感謝されるのは柄じゃないからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「紅茶をだそう、少し待っていてくれたまえ」

 

 

猫二匹に睨まれつつも、俺は優雅な一時を過ごしていた

 

 

「へぇ、地球の紅茶なんですね」

 

 

世界三代銘茶の一つでもあるダージリンティー、俺の大好きな紅茶だ

 

 

「私も故郷の星の味が恋しくてね、ついつい買ってしまうんだよ」

 

 

地球でいう日本とアメリカの食生活の違いみたいに星ごとの好みなんてものもあるんだろうか

 

 

「で……なんであなたがここにいるの?」

 

 

そう、ここは本来俺は入れない場所、闇の書事件に関わった犯罪者の部屋にいる

 

犯罪者の名前はギル・グレアム、俺は管理局員でないからまず部屋に入れる理由がないが、グレアム提督の罪が軽いこと、事件の功労者であること、クロノ執務官の口利き、これらの条件が合わさったので入室許可がもらえた

 

 

「まぁそういうなって

しかし、なんかスッキリしましたね」

 

 

前に来たときも整理整頓されていてスッキリとしていたが、今回は明らかに物がない、あるのは備え付けのソファーやテーブルだけだ

 

 

「ふむ、実は管理局を辞めるつもりでね、あれだけの事件をおこしたんだ、君たちにも迷惑をかけたな、本当にすまなかった」

 

 

深々と頭を下げるグレアムさん、リーゼ姉妹も同じように頭をさげた

 

 

「私たちもお父様の使い魔だしね、それに剣介君にはかなりの迷惑をかけたから」

 

 

さて、俺が来た理由、それは俺やなのは、フェイトに対する償いをしてもらうため、まぁ、なのはとフェイトはそんなもの無条件で許すだろうから俺一人で来たわけだが

 

 

「……そんなおっさん一人と猫二人が頭下げたくらいで俺が許すと思いますか?」

 

 

考えてもみろ、何度も何度も捜査妨害されて、あげくのはてには身体に電流を流された、そこまでされたのに、いくら提督とはいえ頭下げられたくらいで許せるわけがない

 

 

「あんたねぇ「いいんだよロッテ」……父様」

 

「君の言うことももっともだ、それで、何を私たちに要求するのかね? 私たちが出来ることならば何でもしよう」

 

 

さすがに物分かりがいいな、ここで反発でもされようもんならどうしようかと思ったよ

 

 

「では要求します、俺の要求は

あなたがた三人が管理局に残ってもらうことです」

 

「え!?」

「……どういうこと?」

 

 

驚くロッテとあくまで冷静なアリア、グレアムさんは黙って俺の真意をうかがっている

 

 

「これでは言葉が足りなかったですね

管理局に残って新部隊を立ち上げてほしいのです」

 

 

これからなのはとフェイトは管理局に正式に入局するだろう、そうなると最初の方は一緒にいれるかもしれないが、あの二人の力だ、さっさと昇進して俺から離れるだろう、それなら俺が最初の方だけ一緒にいてもあまり意味がない、だからちょっと酷かもしれないが一気に独り立ちさせてしまうのもありだと思う

 

そのために必要になってくるのが、リンディさんよりも上の階級の人の言葉だ、リンディさんはなんだかんだいって優しいから俺となのは、フェイトが一緒の部隊になれるようにかけあってくれるはずだ、でもそれでは独り立ちさせることが出来ない、だからリンディさんより上の立場の人間が必要なのだ

 

いくらリンディさんでも、上司に「こいつは俺の部隊にいれる」って言われたら逆らえるとは思えない、俺が知っているリンディさんより階級が上の人はグレアムさんしか知らないしな

 

あとは俺が知り合いが部隊長のほうがやりやすいっていうこと、学校やらなんやらで融通がききやすい

 

 

「……何でもやるとは言ったが、それは管理局を辞めた範囲内のことだ、新部隊を立ち上げる気はないよ、そもそも今更私のような人間に手を貸す物好きはいない」

 

 

そうだろうか、グレアムさんの事をよく知っているわけではないがこの人は管理局の重要人物だ、それなりの功績をあげてきたのだろう、その人が、たかが捜査妨害と傷害罪程度で信頼を失うとは思わない、現にリンディさんやクロノなんかは尊敬してるって言っていた

 

 

「俺はなにもでかい部隊を造ってくれなんて言っていませんよ、最初は俺含めて5・6人程度の部隊でいいんですよ」

 

 

というか、大きな部隊は逆に困る

 

 

「そうか、君は育成部隊を造れと言っているんだね」

 

 

そう、俺はそれを造りたいと思った、アリアとロッテは現役で人に教えたりしているし、グレアムさんもクロノを教えたりしている、この三人に少人数で鍛えてもらえばかなりの効果が期待できる、それから卒業生の中から一人でも部隊に残れば、更に次回の新人が増えていく、捕らぬ狸の皮算用ではあるが試してみる価値はあるんじゃないかなと

 

 

「発想は面白い、でも、さっきも言ったとおり私は管理局に残る気はない、この案は別の知り合いにかけあってみようか?」

 

 

最悪それでもいいが、俺はグレアムさんの部隊に入ってみたい、せっかくグレアムさんは厳重注意+三年間の執行猶予でおさまったんだ、わざわざやめることはないし、このことからいっても管理局のグレアムさんに対しての期待度は高い

 

 

「では、はやてはいいんですか?」

 

 

ここからは情に訴えてみる、この人はそちら方面が弱点だろう

 

 

「はやて君はヴォルケンリッターや君たちがいる、彼女は大丈夫だ」

 

 

はやては今回の事件の被害者であり加害者だ、それによって保護観察が決定してる、それを知られるだけでもこれから同じ部隊員になるであろう人たちの受けはよくない、そうなったときやはり幹部層に知り合いがいるのは大きいだろう

 

 

「そうかもしれないが……私はこれでも不当な報酬や俗に言う賄賂などはしたことがない、今回私が今の地位のまま管理局に残ることになれば確実にそれらの行為を強要されるだろう」

 

 

まぁ、グレアムさんはやっていないだろうとは前から思っていた、この人はそういう人間ではないということは容易に想像できる、俺だってできればやってほしくないがしょうがないだろう

 

 

「そういうことだから、私の方からつながりのある幹部に話してみよ「待ってください!!」……なにかね?」

 

 

もう反射的だった、ここで俺が引いてしまえばすぐにでもグレアムさんは管理局を辞めるだろう、これほどの人が俺の近くにいるのに手放すなんてもったいない……いや、何も考えずにただこの人の造る部隊に入ってみたかっただけかもしれないな

 

 

「お願いします、俺のために部隊を造ってください!!」

 

 

なのはのためだ、はやてのためだとグダグダ言ってきたが、結局はすべて俺のためだ、俺がグレアムさんに師事したいがためにグレアムさんに頼んだんだ

 

 

「……父様、造ってあげようよ」

 

 

ロッテ、俺の味方をしてくれるというのか?

 

 

「いやさ、迷惑をかけちゃったのは事実だし、このちびっ子に頭を下げられちゃうとね……」

 

「ロッテ、しかしだ「私も同じ意見ですよ父様」アリアまでもか」

 

「彼は私たちに名誉挽回のチャンスをくれているのですよ、引くことを知らない『不屈の指揮官』と呼ばれた父様がここで引いてどうするのですか」

 

 

アリアも俺の味方をしてくれている、なんで助けてくれるのか分からないけど、それに甘えよう

 

 

「ギル・グレアム提督、お願いいたします!!」

 

 

俺は地べたに膝と頭をつけて俺に出来る最良のお願いをした

 

グレアムさんは目を閉じ、眉間を人差し指と親指で挟んでいくばくか考えた、そして、顔をあげて

 

 

「わかった、君のお願いをきこう」

 

 

こうして俺はグレアムさんの管理局慰留に成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

あれから数日がたった、グレアムさんからは新部隊をミッド地上部隊で造ることになったという連絡が来た、部隊名は『管理局地上部隊小規模新人育成課』というなんとも微妙な名前だ、けっきょく闇の書事件自体は管理局によってもみ消されたが、それに関わった犯罪者身分の人が新部隊を造るとなると反発が大きい、それを少しでも減らすために本局とは離れた地上に小規模な部隊を造ることになったのだという

 

 

「けん君、考え事?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 

おっと、上の空だったな、なのはの話をまったく聞いていなかったよ

 

俺はいま、お正月の準備をするためになのはと買い出しに行っている、士郎さんと桃子さんは新年が近いからお正月ケーキを作るのに奮闘中、美由紀さんはそれを食べすぎたので裏山を走ってくると言い残してでていった、そのあとは俺と恭也さんの醜い押しつけあいのすえ、なのはの買い物につきあうという言い訳で恭也さんに押し勝ち逃げてきた、だって考えてみろよ、桃子さんの作るケーキは確かに比類無き絶品だ、それでも、次から次へと繰り出されるケーキを食べ続けて感想を言っていくのだ……ある意味拷問だよ

 

 

「けん君聞いてる?」

 

 

また聞き逃しちまった、しっかり聞こう

 

 

「すまんすまん、で、なに?」

 

「私のね、これから行きたい道の話なんだ」

 

 

そりゃあ、歩きながら話すことではないな、そこの公園のベンチにでも座りながら話そう

 

 

「それで、なのははどうするつもりなんだ?」

 

 

真冬の公園のベンチは鬼のように冷たいので、バビロンから毛布をだして二人でなるべく近寄って暖をとる

 

 

「あのね、私は管理局に入ろうと思うんだ

私はこれまで何もなかった、でも、魔法に出会ってたくさんの事が変わったんだ、だから私は色々ものをくれた魔法に恩返しをしたいんだ」

 

 

ちなみにいうと、なのはが魔法使いだってのは高町家にもアリサやすずかにもバラした、そのとき驚いて意味が分からないという反応をしたのがアリサだけってのがすごい、恭也さんや士郎さんはもちろんのこと、すずかでさえ、そういうこともあるだろうってすぐに納得していたからな

 

 

「なぁ、なのは、俺はお前が行きたい道をいけばいいと思う、決めるのはお前だしな、だから頑張れ」

 

 

ありきたりの応援しかできない自分に腹が立つ、俺は来年の春から地上部隊所属になる、なのはは訓練校で少し学んだ後本局所属となるので、家では一緒に過ごせるが、一緒に戦うことなんて無いだろう

 

 

「けん君はどうするつもりなのかな、私はけん君と一緒の部隊に入れたら嬉しいな」

 

 

ちょっと……いや、かなり心が痛む、なのはは俺なんかを信頼してくれる人だ、そんななのはをあまり裏切りたくないけど、今グレアムさんの事をなのはに話すわけにはいかないから曖昧に頷くしかない

 

この微妙な空気を変えようと、違う話題を振ってきた

 

 

「そういえば、この公園って私たちが初めてあった場所だね」

 

 

そういえばそうだな、あの時はビックリした、助けたと思ったら泣き始めて、しかも泣き疲れて寝たからな

 

あれから一年半か早いもんだな

 

 

「私もけん君に出会ってからの一年半はとっても楽しかった、あっという間にすぎていった、だからね、私けん君の事を何も知らないんだ」

 

 

まぁ……話したことないからな、俺は転生者だってのを話すことに抵抗はない、俺にとってどうでもいいことだからだ、でも、そうなると過去の話をしなくてはならないだろう、俺は自分の過去を誰かに語る気はさらさらない

 

 

「けん君が闇の書さんに取り込まれて死んじゃいそうになったとき、なんで助けられないんだろうって悔しかった、いつもそばにいてくれた人がいなくなるって考えたら震えるほどに怖かった」

 

 

俯いて手を握りしめるなのはは本当に悔しそうだった、それもつかの間、顔をあげたなのはの眼はまっすぐ前を向いて俺をいぬく

 

 

「それでね、気づいたんだ、私はけん君の事を知りたいんだって私の……好きな人だから」

 

 

言葉がでない、顔を真っ赤にしながらもしっかりとこちらを見据えるなのはの強さに気圧される、なんて真っ直ぐな言葉なんだろう、だから俺はしっかりと返さなくてはならない、いつもみたいに曖昧にはぐらかしてはだめだ

 

 

「気持ちは嬉しいよ、なのは、俺もなのはの事は大好きだ……でも、俺にとっての好きと、なのはにとっての好きは違う、だから、付き合ったりすることは出来ない」

 

 

一瞬輝いた顔が暗くなっていく、申し訳なさでいっぱいになるけど、ここでごめんなどと言えば更に傷つけることになるから何も言えない

 

 

「そ……っか、そう……だよね、ごめんねけん君迷惑かけて」

 

 

その言葉になんて返せばいいのだろうか、俺は知らない

 

俺がロリコンじゃないから断ったわけじゃない、なのはの事は好きだ、でも、それは家族や友人としての好きであって恋人のそれではない、それに俺なんかといても幸せになれやしないだろう、俺がこの世界で頑張っていけているのは華音との約束のためだけだから

 

 

「あのさ、虫のいい話かもしれないけど、これからも今まで通り友達として接してほしい……いいかな」

 

 

正直、このまま縁が切れてしまっても仕方ないと思う、でも、問わずにはいられなかった

 

 

「……うん!! これからも、うんうん、けん君はずっと家族だよ!!」

 

 

無理に元気良く、無理に笑っているのは明らかだ、辛いはずのなのはが笑っているんなら俺も笑おう……元気よく、これからも未来をめざせるように

 

 

「じゃあ、帰ろうか、なのは」

 

「お買い物まだ終わってないよ~」

 

「おっと、忘れてたよ、ごめんごめん」

 

「いこっ、けん君」

 

 

みんなで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜が舞う季節、俺はミッドにいた

 

 

「これより、配属式を始める!!

アルベルト・クラフェルト 二等空士

石神剣介 二等陸士

キュルカス・クローバー 二等空士

サラミス・イーリアス 二等陸士

ティーダ・ランスター 一等空士

ルーオカ・キザンカ 二等空士

以上六名はこれより新人育成課に配属となる、訓練は厳しいと思うが君たちは才能のある者ばかりだ、ここで我々についてくれば技術のうえでは同年代のなかでも特に上のクラスになるだろう、しっかりと頑張ってほしい」

 

 

新しいリリカルでマジカルな時が始まる

 




ということで第一部最終話でした。
次回よりメインである『魔法少女リリカルなのは~チートな主人公が頑張っている物語~』の連載を始めます。
原作準拠の今作と違い、オリ主が入ることによって本格的に世界が変わってゆきます。ドシリアスな展開が多くなりますが、これからもよろしくお願いいたします。
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