最深部の誓約者がダンジョンの最深部を目指すのは間違っているだろうか? 作:Faust.
「【ディメンション多重展開(マルチプル)】」
そう叫んだ僕は頭の中にマップを浮かべ敵の位置を探る。
より鮮明に、より鮮明にと魔力を込める。
僕だからわかる。
この魔法はMPの消費が多い。
しかし今のところこれを使うのが一番安全なのだ。と言い聞かせ
索敵に力を入れる。
すると角を曲がったところに敵を2体発見した。
「ベル、あの角を曲がったところに2体のモンスターがいる」
「ほんとに!?」
「ああ、本当だ。たたかうか?」
「うん!」
ベルは楽しそうだった。
「なら僕のいうことを聞いてくれ。今から角のところまで走っていく。そして着いたら気づかれる前に剣を刺せ。」
「分かった」
「そうか、ならいこう!」
「うん!」
こうして僕は人生初のモンスターとの戦闘に足を運ぶのだ。
「よし、いけ!ベル!」
「うん!」
角を曲がる前にベルはナイフを、僕は片手剣を構え、角を曲がる。
そして奇襲に成功した僕たちは難なくそのモンスターを討伐することができた。
「やったーーーっ!」
「よかったな、ベル」
「うん!カナミのおかげだよ」
「そうか、取り敢えず帰ろう?」
「そうしようか」
ダンジョンでのモンスター討伐を終えて、家に戻ってきたらヘスティアが気に食わぬ顔でこちらを見ていた。
「もう!君たちは馬鹿なのかい?」
心配してくれたらしい。
「でも、でも大丈夫でしたよ?神様」
「そういう問題じゃないんだよ…全く…」
「まぁいいじゃないですか、それよりモンスターと戦ったんでステータスの更新をお願いします。」
「分かったよ。二人ともこっちへ来て」
そう言ってヘスティアは僕の背中にまたがる。
「まずはカナミ君ね」
いつも思うけどこの間は暇だ。
動けないし、何も感じない。でも今日はなんか長いな。
「はい!終わったよ」
「なんか今日長くなかったですか?それにスキルの欄になんか書いてますし……」
「それは手が滑っただけだよ」
「そう…ですか」
そういいつつも僕はステータスを出す。
するとスキルの欄に新しいスキルが発現していた。
スキル1:次元の理を盗むもの
・早熟する
・次元魔法のスキル+2.00補正
・???
「な、なんだこれ?」
思わず僕は声をあげて驚く。
その声を聞いてベルとヘスティアは何だ何だと近づいてくる。
「どうしたの?カナミ」
「ベル…僕にスキルが発現した…」
「ウソ!?いいなぁー!どんなやつ?」
「カ、カナミ君?なんでわかったの?」
「あれ?言ってませんでした?僕はステータスが見えるんですよ」
「え!?なんだそれは!他人のもかい?」
「はい、見れますよ」
「カナミ君、それは周りに言わない方がいい…、あとスキルのことも、おそらくレアスキルだ」
「重々承知です。」
「カナミ!どんなの?」
「ああ、えーと」
僕は自分に発現したスキルについてベルに話した。
ベルは羨ましそうに聞いているが、ヘスティアに 首元を引っ張られそのままベッドにダイブした。
ベルのステータス更新も終わり、みんなで夕食を食べ、寝る準備に入る。
その時にベルは嬉しそうに
「明日もダンジョン行こうよ!」
と言ってきた。
断る理由はなかったのでOKの返事を出す。
そのまま意識は刈り取られ、深い眠りへと落ちた。
次の日の朝、朝日が窓から差し込み気持ちのいい朝を迎える。
ベルはもう起きているようだ。
僕は着替えて準備をして、ベルと合流する。
こうして僕はベルと1日ダンジョンに潜ることにした。
「今日は取り敢えず行けるところまで行こうか」
僕は提案する。
いつもはこんなにも無茶はしない。
だが今日は【ディメンション】がどこまで通用するか試してみたかったのだ。
ベルはその提案に快く承諾してくれた。
【ディメンション多重展開(マルチプル)】と僕は心の中で言う。
するといつものようにマップが頭の中に浮かび上がる。
そんなに広くはなかったのであまり魔力は消費しなかった。
次の回、また次の回と降りていく。
そして5階層まで潜り敵を見つけ、淡々と屠っていく。
「カナミといるといつも奇襲に成功するから効率よく狩れるよ」
「ああ、できるだけ無駄な体力を使いたくないし、怪我もしたくないからな」
「そうだな」
こんな会話をしつつも6回層への階段を見つける。
そして六階層を超えて7回層に降りた時に、カナミは驚く。
マップが広い、敵が多い、その他諸々で色々と変わっていたのだ。
マップ全体にディメンションを広げ、探索する。
すると頭に浮かぶ1匹の影があった。
それを見たカナミは
倒せない
と感じた。
これは判断を下したのではなく、本能がそう告げていた。
「ベ、ベル逃げるぞ…」
「え?なんで?」
「やばい…やばいヤツがいる!」
「そんなに?でもまた奇襲すればいい話じゃん」
「いや、奇襲どうこうの話じゃない」
そうこうしてるあいだにもそのモンスターはこちらに近づいてくる。
ゆっくりとゆっくりと近づいてくる。
僕は額に冷や汗を浮かべた。
また、心臓の鼓動が早くなる。
同じことが起きないように僕は逃げようとする。
がしかしもう手遅れだった。
さっきまでこの鼓動のことで頭がいっぱいだったのでマップのことを忘れ、完全にディメンションを解いていた。
目の前にその怪物が姿を現す。
「ウォォオオアアアアアーーーっ!!」
この遠吠えでベルは完全に腰を抜かしていた。
僕は冷静になろうとするがなかなかなれない。
すると急に頭の中から雑念が消える。
目の前で白い文字が軌道を描く。
スキル【???】が暴走しました。
いくつかの感情と引換に精神を安定させます
こんな表示が目の前に浮かぶ。
クリアになった思考が最善の手を選択する。
逃げたらベルは死ぬ。かと言ってベルを担いで逃げるのは追いつかれる。………………そう考えたら残るは一つ、戦う!
そう決意を固めた僕はより大きな声で叫ぶ。
「【ディメンション多重展開(マルチプル)!!」
僕はディメンションをこの部屋つまり敵がいるこの部屋だけにかけた。
それも今までとは比べ物にならないほどに魔力を込める。
その声に反応し牛の怪獣「ミノタウロス」がこっちに突進してくる。
しかしミノタウロスは速すぎた。
カナミの小範囲高魔力のディメンションでも見きれなかった。
「ーーっ!」
剣をかするのが精一杯だった。
もっと、もっと、もっと、もっと、もっとーー!!
部屋にかけていたディメンションに人が2人反応した。
しかしカナミは気にしない。
いや気にする余裕が無い。ちょっとでも気を背けると斬られる。そんなきがしていた。
カナミは無意識のうちに部屋にかけていたディメンションをどんどんと狭めていき、それに反比例するかのように魔力をもっと注ぎ込む。
気がつくとこの戦っているミノタウロスと自分にしかディメンションはかけていなかった。
ミノタウロスの情報がさっきよりより多く入ってくる。
カナミはディメンションのイメージを変えていく。
先程のディメンションは索敵や散策に向いた能力だが今は戦闘中、敵の一挙一動を見逃さないように意識する。
するとディメンションが先程とは違う能力に変化する。
これはカナミにとっての嬉しい誤算だったのだ。
こうして出来上がったいつもと違うディメンションを使い敵を見る。
そこにはいつもとは違う世界が広がっていた。
モンスターの動きが1ミリ単位でわかるのだ。
カナミはミノタウロスの攻撃ラッシュを軽々と躱し、終わった瞬間にこっちの番とでもいいたさげに攻撃を開始する。
防御の姿勢をとろうが今のカナミには意味を成さない。
「ウォォオオアアアアア!ウオッ!ウォォオオアアアアアーーーっ!!」
ミノタウロスの断末魔が響く。
カナミは攻撃の手を緩めずに追撃する。
そしてカナミはミノタウロスの腹に剣を突き刺し、そのまま薙ぎ払う。
ミノタウロスが煙となって消えていき、カナミも意識を失った。
ベー「おいおい…レベル1ができる技じゃねぇぞ、やっぱお前は特別なのか?カナミ」
ティオナ「まさか前に助けたカナミがここまで強くなるなんてね」
アイズ「………」
カナミは薄れゆく意識の中に3人の人影を見た。
すいません!
なんか最後あっさり終わっちゃいました。
次回はダンジョンには行かないと思います。