ルシがダンジョンに潜るのは間違っているだろうか   作:クヴェル

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*主人公の名前が酷すぎたため、変更いたしました。


2話

 あれから自分は場所を居間へと移し、ミアハ様から様々なことを教えてもらった。

 

この世界はヒューマンも含め、エルフやドワーフといった亜人が存在すること。

ここ、迷宮都市オラリオには『ダンジョン』と呼ばれる地下迷宮が存在し、そのダンジョンに潜り、生活を行っている冒険者がいること。

そして何より…、

 

「【神の眷属(ファミリア)】…ですか?」

 

教えてもらった話の中で一番重要であるのと同時に、最も驚いた話。

それこそが、『神様達』がただ娯楽のためだけや様々な理由から『天界』から自分たちが住むこの『下界』へと降り立ったこと。

その神達が下界の者たちに『神の恩恵(ファルナ)』と呼ばれるものを与える代わりに、【ファミリア】へと加わること。冒険者とは、『神の恩恵(ファルナ)』を与えられた者であることが必要らしい。

 

「まあ、私のようにその日その日を生きるのに精一杯な()もいるのだがな」

 

そう、自分が転生してから初めて出会ったのは人ではなく神であった。

 

「まさか、ミアハ様が神であったとは…」

 

「何、そんな大層なものでもないよ。現に今は私の元には一人しかいないのだからな」

 

どうやら、現在の【ミアハ・ファミリア】には眷属は1人しかいないらしく、その人物はナァーザと呼ばれ、自分が対面しているミアハ様の隣に座っている犬人族の女性だった。

 

「……それで、こいつをどうするんですか?」

 

「まあ待て、ナァーザ。それで、ユウよ。君はこれからどうするのかね?」

 

「それは……」

 

今、直面している問題は自分がこれから何をするのかということだった。

何の了承もなく身勝手に転生させられ、挙句にここで生活するための金も知識も無い身一つの自分は明日をも迎えられる自信はない。

この問題を解決する手段はあるにはあるが、賭けのようなものであり、例え成功したとしてもこれからこの身は現代日本で経験したことも無い危険なことが起こり続けるだろう。

だが、今はこれ以外に手段はないし、選ぶ暇もない。

 

そして、自分はミアハ様へと顔を下げ、懇願する。

 

「無礼を承知でお願いしたいことがあります。どうか、自分をミアハ様の【ファミリア】へと加えさせてください!」

 

「なっ!?」

 

ミアハ様から驚きの声があがる。しかし、今はそれを無視し、さらに言葉を紡ぐ。

 

「確かに自分は記憶を持たず、今まで何をしてきたのかも分からない信頼するには値しない人物だというのは重々承知です。しかし、これから生きていくにはこうするより他に道はありません。ダンジョンに潜らせるなり、店を手伝わせるなり、何でも馬車馬のごとくお使いください。どうか、どうか、自分を【ファミリア】へと加えさせてください!」

 

「いや、しかしだな…」

 

「…加えましょう。ミアハ様」

 

ミアハ様が返答に窮している中、あまりいい印象を持たれていないと思っていたナァーザさんから賛成の意を示してくれた。

 

「…店も儲かっていない今、誰かがダンジョンに潜って稼ぐしかない…」

 

「むう…」

 

あともうひと押しといったところか?

 

「お願いします、ミアハ様!決してご迷惑はおかけしません!」

 

今まで思案していたミアハ様が観念したかのように息を吐き、こう言った。

 

「…分かった。アックア、君を【ファミリア】へと加えよう」

 

「っ!ありがとうございます!!」

 

「となれば、君の背中にファルナを刻まなければならない。先にベッドへと行っておいてくれないか?」

 

「はい。分かりました」

 

そこで、自分は神の恩恵(ファルナ)を刻んでもらうべくベッドへと向かった。

しばらくすると、ミアハ様がナイフを持って現れた。

 

「それでは、服を脱ぎそこにうつ伏せになっておいてくれ」

 

「はい」

 

自分が服を脱ぎ、ベッドにうつぶせなったところでミアハ様が話しかけてきた。

 

「良かったのかね。記憶がないにも関わらず、他の神も探さずに私のファミリアに入ることを決めてしまったが…」

 

「良いんです。最初に助けてくださったのが神だったのですから、これも何かの運命でしょう」

 

「…そうか…。では、始めよう」

 

ミアハ様がそう言い、ナイフで自らの指に浅い傷をつけ、神血(イコル)を自分の背に垂らした。

神血をたらした場所を中心にして自分の体が熱くなるのを感じる。

 

 

 

―――――

 

 

ミアハはアックアの背に神の恩恵(ファルナ)を刻んでいく中、あることを考えていた。

アックアは記憶が無いと言っていたが、おそらくそれは嘘だろう。

アックアはあまり取り乱した様子も無く、記憶をどうにか思い出そうとする思いもあるようには感じられない。

しかし、ここ迷宮都市オラリオや神が『下界』に下りたこと、その神が【神の眷属(ファミリア)】を作っていることを知らず、非常に驚いていた。この世界において、これらは多くのもの常識として知っているはずなのにだ。

こんなことから、ミアハは嘘をつかねばならない何かがあると感じ、いずれ理由を話してくれることを待つことにした。

 

思考にある程度の区切りをつけたところで、神の恩恵(ファルナ)を刻む儀式が終わったところで、

神聖文字(ヒエログリフ)で書かれたその【ステイタス】に目を見開いた。

 

ユウ・シミズ(清水・勇)

Lv 1

力:I 20

耐久:I 16

器用:I 25

敏捷:I 20

魔力:I 0

《魔法》

 【】

《スキル》

 【烙印(ルシ)

  ・早熟する

  ・魔法スロット増大

  ・使命を果たせ

 

基本アビリティ――『力』『耐久』『器用』『敏捷』『魔力』の諸項目――自体にはこれといって対したこともなく、神の恩恵

を貰った最初の【ステイタス】ではよくある数値だった。

しかし、問題はそこではない。

 

《スキル》

 【烙印(ルシ)

  ・早熟する

  ・魔法スロット増大

  ・使命を果たせ

 

初めて【ステイタス】を更新して《スキル》が最初から発言しているのはごく稀だ。しかも、多くの《スキル》は冒険者の間でも共通したもので発現するのがほとんどである。

だが、【烙印(ルシ)】などというスキルなど聞いたこともない。これは間違いなくレアスキルだろう。

この能力を鑑みるに、推測に過ぎないが、《魔法》を発現する可能性が高い。

本来、《魔法》は最低1個、最大3個までしか覚えられないと決まっている。

つまり、これから先、ユウは《魔法》を3個以上も覚える可能性がある。

そして最後の《スキル》に関する文の使命を果たせとはどういうことだろうか。

……いや、それよりもこの《スキル》がほかの神達にバレるのは非常にまずい。こんなことがバレたら娯楽に飢えた神達のことだ、きっとこの能力を知れば、自らの玩具にしようとするに違いない。

このスキルは他人に口外してはならないとしっかり言っておかなくては・・・

 

「…ミアハ様?」

 

「ああ、すまないな。もう終わったよ。今から【ステイタス】を書き写すから少し待っていてくれ」

 

 

 

―---

 

「…っな!?」

 

自分はミアハ様から貰った、【ステイタス】が書かれた紙を見て非常に驚いていた。

烙印(ルシ)】という《スキル》を見て連想したものは唯一つ。

とあるゲーム、『FFXIII』おいて、ライトニングらがコクーンから下界(パルス)へと落ちることとなった原因。

 

ルシの烙印

 

と、いうことは…

 

「おや?その脇腹にあるものは何かな?」

 

「えっ?」

 

ミアハ様が指摘した右脇腹を見ると、そこには特徴的な物体…。

ルシの烙印が刻まれていた。

自分は内心で歯噛みする。この烙印はおそらくあの()を聞いていたとき時に突如として発した痛みの時に押されたものだろう。

ルシの烙印は本来、FF13において、(ファルシ)から何らかの使命を押されるものだ。

あの()は最後に楽しませろ、そうのたまっていた。

恐らく、与えられた使命とはあの()を楽しませること。

そして、楽しませることができる手段など唯一つ。

 

―ダンジョンに潜ること

 

つまり、初めから方針など決まっていたようなものだ。もしも楽しませられなかったら死骸(シガイ)になってしまうのかもしれない。

くそっ!!どこまで死んだ人間を愚弄するだあの()は!!

 

「……どうした?」

 

「あっ、いえ。何でもないです」

 

「まあ、【ステイタス】を見ての通りだ、アックア、君には一つ《スキル》が発言している」

 

「はい…」

 

「冒険者は普通、身内のファミリアでない限りは自らの【ステイタス】を他人に教えることはない。そのなかでも君の《スキル》はレアスキルに該当するものだ。だから決して他の者に【ステイタス】を教えてはいけない。そこは留意していてくれ」

 

「はい、肝に命じておきます」

 

こうして、自分はあの()―取り敢えずはファルシとし―に対する怒りを感じながらも、無事に神の恩恵(ファルナ)を授かり、【ミアハ・ファミリア】へと加わることになった。

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