ルシがダンジョンに潜るのは間違っているだろうか   作:クヴェル

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4話

「…はいよ、3600ヴァリス…」

 

「…う~む」

 

 ダンジョンから命からがら出てこれた自分は今、『ギルド』で換金をしてもらったところだ。

魔石の大きさから、対した金額は期待できないものだと思っていたが、コボルト12体分の魔石だと貰えるのはこの程度か…。

まあ、この世界に転生させられて二日目であり、まだこの世界の通貨の価値が分かっていないが…。

 しかし、本当にあの自分を転生させたファルシを楽しませられなかったから死骸(シガイ)にされてしまうのだろうか。

手で烙印がある脇腹へと触れながら、ふとそう考えてしまった。

だが、休んだとはいえ、初めてダンジョンに潜り、モンスターを殺したばかりの疲弊している体では、不安になるようなことを考えても仕方ない。

取り敢えずは、一度ミアハ様達の所へと戻り、お金を置くついでにミアハ様に時間があれば【ステータス】の更新をしてもらおう。

 

 

 そして、太陽が真上へと昇る頃、神ミアハ様がいる施薬院『青の薬舗』に到着した。

 

「失礼します」

 

「……もう帰ってきたの?」

 

店の扉を開けると、店内には買い物客は誰もおらず、会計席にナァーザさんが座っていた。

 

「はい。取り敢えずは一度区切りにしようかと。…ああ、これはさっき換金してきた3600ヴァリスです」

 

「……おお!」

 

さっきまでとても眠そうな顔をしていたナァーザさんだが、換金した金額を目を開いて驚いていた。

 

「あの…、この金額はダンジョンに潜って初日にしてはいいほうでしょうか?」

 

「まあ、一人で初めて行ってきたにしてはわりと良い方だよ…」

 

その様にナァーザさんからお褒めの言葉を頂いたところで、奥からミアハ様が出てきた。

 

「おお、ユウよ、戻ってきたのか。して、首尾はどうだった?」

 

「一応、金額としては3600ヴァリス程でした」

 

「おお!、初日にしてはとても良く稼いできたではないか」

 

「はい、ありがとうございます。ミアハ様」

 

「む、硬いなユウよ。君はもう【ミアハ・ファミリア】の一員、つまり家族も同然なのだよ。そんな他人行儀にならずとも良いのだぞ?」

 

…他人行儀、か。確かにそうなのだろう。転生させられてまだ二日目だ。そう簡単に家族のように馴れ馴れしくするのはどうなのだろうか。

 

「…善処します、ミアハ様。ところで、この時間帯はいつもこう…、空いているのですか?」

 

「まあ…、そうだな。何故かいつも人が来ないのだ。知り合いの者には来てもらうためにポーションを渡しておるのだがな」

 

「……それのせいですよ、ミアハ様……」

 

自分が店の空き具合について聞くと、ミアハ様はまるで見当もつかないといったようにいうミアハ様に対し、ナァーザさんからツッコミが入った。

 ここ施薬院『青の薬舗』はポーション等のダンジョンに潜る冒険者に必要な回復アイテムを売っている場所である。本来なら需要が必ずある品を置いている店で閑古鳥が鳴くことそうそうないのだろうが、どうやらここは繁盛していないようだ。

そして、ミアハ様、ナァーザさんらとダンジョンに潜った際の話などをし、この様な状況なら、暇…では無いだろうが、時間をとってもらえそうだと思い、話を切り出した。

 

「ところで、時間がよければ、昼食ついでに【ステイタス】を更新してもらえませんか?」

 

「そうだな、少し待っておれ。さっきまで薬の調合をしておったところでな」

 

「いえ、お構いなく。終わったのなら呼んでください」

 

 その後、ミアハ様の薬の調合が終わり、皆で昼食を食べ終わった後に【ステイタス】更新を行うことになった。

 

 

――――

 

「むっ…、これは…」

 

私はつい先日、【ファミリア】の一員となったユウ・シミズの【ステイタス】の更新結果に驚愕していた。

 

ユウ・シミズ

lv. 1

力:I 20 → 80

耐久:I 16 → 40

器用:I 25 → 65

敏捷:I 20 → 48

魔力:I 0  → 1

《魔法》

 【ルイン】

  ・速攻魔法

《スキル》

 【烙印(ルシ)

  ・早熟する

  ・魔法スロット増大

  ・使命を果たせ

 

基本アビリティの上昇は《スキル》、【烙印】の影響と考えていいだろう。

そして、その《スキル》により魔法も発現した。

たった一度、たった一度ダンジョンに潜っただけで魔法が発現したのだ。

恐らく、これから先も魔法が発言するのだろう……。

 

「ミアハ様、どうしましたか?」

 

「何、中々面白い【ステイタス】となっておってな……」

 

 疑問の声を投げかけた自分に対してミアハ様はそう言って、【ステイタス】の書かれた紙を渡してきた。

その中でも一際目を引いたのは《魔法》の欄に書かれていることだった。

【ルイン】と言えば、FFに出てくる無属性の魔法であり、光球を投げつけるあの魔法で間違いはないだろう。

だが、魔法と言われても全く実感がない。本当に魔法なんて出せるものなのか?

 

「しかし、魔法の発現というのはこんなにも早いものなのですか?」

 

「流石にそんなことはないぞユウ。初めから発現している者や長い間ダンジョンに潜った末に発言する者はいるが、一度ダンジョンに潜っただけで発現する者はそうはいないぞ」

 

「やはりそうですか……」

 

「ユウよ、今日はもうダンジョンに潜らずナァーザより魔法に関する説明を受けたほうが良い」

 

「大丈夫なのですか?それでは商売ができないのでは……」

 

「よいのだ。今日はもう店を切り上げ、その魔法について考えよう」

 

……こういうお人好しな正確が、店が繁盛していない要因でもあるのだろうなと自分は思った。

 

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