ルシがダンジョンに潜るのは間違っているだろうか   作:クヴェル

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6話

「はあぁっっ!!」

 

気合を込めた叫びと同時に敵―ウォーシャドウ―の腹部をショートソードで切り裂き走り抜ける。

その後素早く反転し、ショートソードから離した右手を敵に向け魔法名を叫ぶ。

 

「ルイン!」

 

右手から立て続けに3発の光の玉を放ち、光の玉と接触したウォーシャドウ3体が粉々となる。

魔法を放った後、すぐさまショートソードを握り直し、突進してきた1体のウォーシャドウの左からくる鋭い爪による横薙ぎの攻撃をショートソードの腹で受け止めた。

しかし、ウォーシャドウの右腕が引き絞られているのを見て、急いで体を左へと移動させる。

ウォーシャドウより繰り出される右腕の突きは脇腹を掠めたが、それを無視し、手首を返すことにより振り上げた形となった構えから、ショートソードを無防備な状態となったウォーシャドウへと振り下ろす。

 

「うらぁぁぁぁ!」

 

防御する間もなくウォーシャドウは両断された。残るは1体のみ、もうすぐで片がつく。

そんな一瞬の思考の間に、最後のウォーシャドウはこちらに攻撃できる間合いにまで踏み込んでいた。

 

「くぁっ」

 

ウォーシャドウの爪から繰り出される連撃を無理な姿勢のまま、ショートソードで防ぎながら後退する。しかし、無理な姿勢がたたり、防御できなかった一撃を胸に装備しているプレートへと貰い壁際へと吹っ飛ばされる。

地面を削りながら停止した後、直ちに起き上がり、武器を上段へと構える。

既に迫ってきているウォーシャドウへと踏み込むと同時に、その頭へと振り下ろす。

だが、必ず敵を切り伏せると確信していた一振りは

 

ガイィーーン

 

「何っ!?」

 

ウォーシャドウの両方の爪により防御され、嫌な音と共に刃が半ばから折れてしまった。

 

「くそっ!」

 

踏み込んだ勢いのまま、ウォーシャドウに身を当て吹き飛ばすことにより、間合いを離す。

折れてしまったショートソードの刃を下げながら右手で持ち、左手を腰にあて、半身逸らした形で構える。ウォーシャドウは体勢を立て直しており、こちらへ踏み込もうと隙を伺っている。

どちらも構えを崩さないまま数秒が経ち、痺れを切らしたのかついにウォーシャドウが攻めかかってきた。

ウォーシャドウは右手を振り上げるながらこちらへと向かってきている。

だが、それは予想通りだ。

 

「はっ!」

 

振り下ろしてきた右手をショートソードで抑えながら、自分の右側へと叩き下ろす。

体勢を崩したウォーシャドウの右腕をつかみ、ウォーシャドウへと密着する。

そしてそのまま、ショートソードをウォーシャドウの首へと当て、力の限りに振り切った。

 

 

 

―――自分が、迷宮都市オラリオに転生してから実に2ヶ月の時が過ぎようとしていた―――

 

 

 

「何と!武器が折れてしまったとな」

「ええ、その後もウォーシャドウが数体出て来て戦いましたから、回復薬(ポーション)を5個も使用してしまいました。…全く、今回はついてませんよ」

「まあそう言うな、命あっての物種なのだからな。…よし、【ステイタス】の更新が終わったぞ」

 

ミアハ様にそう言われ、自分は【ステイタス】が書かれた紙を受け取る。

 

ユウ・シミズ

lv. 1

力:F 320 → 342

耐久:G 210 → 275

器用:E 380 → 414

敏捷:F 296 → 316

魔力:F 283  → 321

《魔法》

 【ルイン】

  ・速攻魔法

【ウォータ】

  ・速攻魔法

【ウォータブロウ】

  ・速攻魔法

《スキル》

 【烙印(ルシ)

  ・早熟する

  ・魔法スロット増大

  ・使命を果たせ

 

「しかし、武器が折れたとなればどこかで買わねばならぬな」

「確か…、武器を売っている2大派閥はヘファイストス・ファミリアとゴブニュ・ファミリアでしたか?」

「ああ、そうであるな。しかし、今武器を買うのであれば恐らくヘファイストス・ファミリアの方が良いだろうな」

「それは、また何故?ヘファイストス・ファミリアの方が規模としては大きいとは思いますが」

「あそこはバベルの4階から8階にも店を出しておってな。その中でも8階にて武具を販売している者達は入団して間もない、まあ新人の者達でな。新人の者たちが作っている故に売っている武具も安い。そして何より、その者達と友誼を結んでおけば、共に成長することができ、相棒といえるものとなるからな」

「成程…。それではヘファイストス・ファミリアの店に行ってきます」

「ああ。それでは先に頼まれごとをしてはくれないか、ユウよ」

 

 

 

 「すみませ~ん、誰かいらっしゃいますか~?」

 

自分は今、タケミカヅチ・ファミリアのホーム前に立っている。自分が頼まれたこととは、回復薬(ポーション)の配達だ。訪問の挨拶をしてから数秒後、ホームの扉が開けられた。

 

「ん?誰だあんた」

 

そんな疑問の声をかけてきながら扉から出てきたのは長身の男性だった。

 

「自分はミアハ・ファミリア所属のユウ・シミズです。注文して頂いた商品をお届けに参りました」

「ああ、タケミカヅチ様が頼んでいたっていうやつか。俺はカシマ・桜花だ。ところであんた、その名前からして極東の人間なのか?」

「ええ、そうですね。まあ、それより先に商品の確認とその後に代金のお支払いをお願いします」

「おっと、そうだったな。待っててくれ」

 

初めは警戒していた男性―カシマ・桜花―だったが、こちらのファミリア所属先と訪問してきた内容を聞いてからは警戒を解き、代金を取りに行った。

その間に自分は持ってきた商品を並べ、確認しやすいようにしておく。

 

「すまねえな待たせちまって。それで商品ってのはそれか?」

「はい、こちらが商品の注文リストとなるので、こちらを見ながら確認をお願いします」

「ああ。……よし、タケミカヅチ様から言われていた通りの数だな」

「それでは、回復薬(ポーション)5個とサービスの回復薬(ポーション)1個で、合計1800ヴァリスになります。」

「はあっ!?何か安くねえか?」

「まあ、まとめ買いですからね。1個毎に買うよりは安いですよ。なので、買うのであればまとめ買いすることをお勧めします。それではカシマさん、代金のお支払いを」

「あ、ああ、そうだったな。ほら、これで丁度な筈だ」

 

どうも値段に驚いていたようだったカシマさんから、代金の催促をし、丁度の金額を受け取った。

 

「はい、1800ヴァリス丁度ですね。ありがとうございました」

「しかし、ミアハ様のところは確か眷属が1人だけだったと思ったが、いつ入ったんだ?」

 

ミアハ様とタケミカヅチ様はどちらも貧乏ファミリアということで、懇意にしているらしい。だから、自分のことについても話題に上がったことがあったのだろうと思っていたが、別にそんなこともなかったようだ。

 

「およそ2ヶ月程前ですね。午前中はずっとダンジョンに潜っていますから」

「ほお?今何層まで潜っているんだ?」

「6層ですね。しかし、今日戦闘中に武器が壊れまして、今から武器を買いに行こうかと」

「6階層!?それはまた随分と早いんだな。もしかしたら、何れ一緒にダンジョンに潜ることもあるかもな。まあ、今後ともよろしく頼むぜユウ」

 

そう言ったカシマさんが親睦を深めるための握手だろうか、手を伸ばしてくる。

 

「こちらこそよろしくお願いします、カシマさん」

 

取り敢えずはカシマさんと握手をし、ダンジョンについて様々な話をした。




何故かタケミカヅチ・ファミリア所属の方がミアハ・ファミリア以外の登場人物から初めて出てきましたが、次話ではオリキャラが登場しています。

※ポーション1個の値段は一般相場では約500ヴァリスほどと考えています。
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