Charlotte episode Grant 作:Purazuma
人間なら誰しも、一度は思った事があるのではないか?
退屈な日常を終わらせたい。
全能の力が欲しい。
なんでも出来るようになりたい。
ーーーーー俺はその願いが、一日で叶ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
俺は今年から高校一年生になる。
早いものだ、中学での三年間などあっという間に終わった。
普通に朝起きて、普通に勉強して、普通にご飯を食べて、普通に友達と談笑して、普通に帰宅する。
何の変哲もない普通の日常だ。
幸せといえばそれなりに幸せなのだろう。
俺は両親を小さい頃に事故で亡くした。なので孤児院でこの年まで育てられた。
しかし同じ園の友達も沢山いるし、家族みたいなもんだ。
でも、俺は退屈していた。
何か不思議な事は起きないだろうか、ふとそう思った。
世界には恵まれない人達も沢山いる…………その人達には悪いが、今の俺に今の生活は退屈、と感じていた。
「はぁ…………何か面白い事でも起きないかな…………」
ポツリ、と呟いた言葉が、まさか本当に起こるとは思わなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「あーおと♪」
「んん………?」
頬をつつかれて目が覚めた。横を見ればいつもの光景が広がっている。
「おはよ、蒼人。」
「ああ、おはよう、夢。」
彼女の名前は七海 夢(ななみ ゆめ)。
同じ孤児院で暮らす幼馴染だ。
肩にかかるかかからないか、といった長さの黒髪。大きくて美しい瞳。一般的に見ても可愛らしい見た目だ。
「早くご飯いこ、もうみんな行っちゃったよ?」
「ああ、悪い、すぐ行くから先に行っててくれ。」
「えー?いいよ、待ってるから。」
夢はそう言うと俺の腕にピトッとくっついてくる。
「あの………部屋にいられると着替えられないんですけど。」
「いいじゃん!どうせ将来夫婦になる仲なんだし〜♪」
「だーれがんな事決めた。ほら、先行ってろ。」
「しょうがないなぁ、では従ってあげよう!」
トテトテトテ、と小さな音をたてて夢が俺の部屋から出て行った。
俺は大きな欠伸をしながら体をのばした。
「ふぅ……ダメか…………」
俺は寝ていたベッドの枕の裏を見た。
そこには赤文字で「飽きた」と書かれている小さな紙があった。
いわゆる「異世界に行く方法」とやらを試してみたのだ。
だが失敗。
「ま、信じちゃいなかったけどさ………こう見事に何も無いと…………むなしい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「いってきます、おばちゃん。」
「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい。車には気をつけるんだよ。」
ニコニコしながら俺と夢を見送っているのはこの園の園長の奥さんだ。
年齢は50代〜60代あたりで、俺達の母親代わり。
園の中には「おかーさん」と呼ぶ者もいる。
「も、もう子供じゃないんだから………」
「あれー?いつも一人で起きれないで私に起こしてもらってる人は大人って言えるかなー?」
ズイっとニヤニヤしながら夢が顔を近づける。
「あいたっ。」
ピン、とおでこにデコピンしてやった。
「ちょっと!なにするの!」
「すまん、ムカついたんだ。」
その後もいつも通り、通学路を歩いて高校に向かった。
「あ。」
「?どうかしたの?」
「宿題忘れた…………」
「あらら、まだ時間あるし園に戻って取ってくれば?」
「そうするよ、先に行っててくれ夢。」
「おっけー!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「あったあった。」
さて、残り時間は15分、といった所か。
学校までの距離はそんなに遠くないので、十分に間に合う。
「走るのめんどくさいな……………」
いや、動くのがめんどくさい。
いっそこのまま学校をさぼっちまおうか。
「いや……夢には悪いか。」
仕方なくもう一度学校を目指した。
一回戻って時間がたったからか、周りには人がいなかった。
「一人で走るってのも………中々むなしいな。」
そして走りながらふと思った。
もし………空を飛ぶ能力が手に入ったら……………
ズキン
「いてっ………!?」
いきなり頭痛がして足を止める。
すぐに止んだが、なぜいきなり頭痛が起きたのかはさっぱりわからない。
「…………行くか。」
再び勢い良く地面を蹴ると……………
「なっ!?うわ………!うわわわわわわ!?」
ふわっと体が空中に浮かんだのだ。
「お、俺、空飛んで………!?」
どんどん上昇して行く。
体に少し力を入れると、空中で止まった。
「な、なんだこれ………」
た、高………!?
「じ、地面に降りないと…………」
地面に顔を向けて意識を集中させると、ゆっくりと下降していった。
「はぁ…………はぁ…………なんだったんだ…………?」
「ああ!!そうだ!!遅刻する!!!」
時計を見て焦った。
早く行かなきゃ………!
再び地面を蹴る。
くそ………!もっと速さが欲しい………!!
ズキン
「いっ…………!?て!!!うわあああああああああああ!?!?!?」
再び頭痛が起こったと思ったら、俺の走るスピードは急に上昇した。
「なんなんだよこれえええええええええ!?!?!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「能力は………''特殊能力の付与''。」
「な…………!?」
「ばかな!!そんな能力が存在すると!?」
「…………余りにも圧倒的です。すぐ確保に行きたいですが、しばらく監視してからにしましょう。」
主人公が超チートになってしまいました()