緋弾のアリア~灰色の武偵~   作:ソニ

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なんか初めに構想を練っていた時と大分違うものになってしまった・・・。



第10弾~再会~ です。


尾行者の正体と、透の関係とは・・・!?


第10弾~再会~

彼女たちとの出会いは7年程前の出来事であった。

 

ある週末に透、美沙の父・平正義(たいらまさよし)が会わせたい人がいると二人を連れ出した。

 

千葉県某所の人里離れた山から滅多に使わない車を走らせて着いた場所は茨城県の郊外、間宮(まみや)町という場所であった。

 

そこで、迎え入れてくれた女性こそが正義が会わせたい人物だった。

 

「初めまして。透くん、美沙ちゃん。間宮みすずです」

 

優しげな眼を縁取る長い睫毛に、ウェーブしたミディアムカットの髪、バレーボールでも入れているのではないかと疑ってしまう程の大きい胸。

 

手足も長く、ヘタな女優よりも優れたスタイルをしたみすずは二人の目線に合わせて、微笑んだ。

 

人見知りがちな美沙は透の後ろに隠れてしまい、透はその美貌に顔を少し赤くし、

 

「た、平透(たいらとおる)です・・・」

 

その顔を隠すように頭を深く下げた。

 

「あなたたちも挨拶しなさい」

 

みすずは隣に立っていた娘と思しき女の子二人の背中を押して、透たちの前に立たせた。

 

「間宮あかりです! よろしくね!」

 

まずは茶髪をショートツインテールに結った、あかりと名乗る女の子が元気ハツラツと挨拶をし、

 

「妹の間宮ののかです! よろしくお願いします」

 

と姉のあかりに続いて、子供とは思えない丁寧な言葉使いで頭を下げてきたののかは黒髪を姉よりさらに短めのショートツインテールをした女の子だった。

 

「平透です。よろしく」

 

ほら、美沙も。透は美沙にも挨拶させようと肩から手を取ろうとするが、美沙はそれを拒む。

 

「・・・じゃあ、その場で良いから」

 

透の肩を掴んだまま、顔と半身だけ出し、

 

「平・・・美沙です・・・」

 

と何とか挨拶を済ませた。

 

「あかり、ののか。二人と一緒に山で遊んできなさい。『アレ』は使っちゃダメよ」

 

子供たち同士の挨拶が終わったところで、みすずはみんなで遊んでくるよう促す。

 

「はい!」

 

あかりとののかは素直に元気良く返事した。

 

「はやくいこ!」

 

あかりは透の肩を掴んでいた美沙の手を引っ張り、走っていく。その後をののかが追いかける。

 

「おい、待ってよ! おいてくなよ!」

 

残された透も慌てて後を追った。

 

子供たちがいなくなったところでニコニコ顔だった二人の顔は一変。みすずは少し哀しげな顔に、正義は真面目な顔になる。

 

「まさか本当に子供たちを巻き込むなんて・・・」

 

「ウチの子たちは物覚えが良い。特に透はね」

 

「娘たちには誰かを守る時以外は使わないよう言い聞かせてあります」

 

「そうですか。でも、私としては今すぐそのような状況にしてあげてもよろしいんですよ?」

 

「あなたたち、本当に最低ですね」

 

「私はまだ優しい方ですよ。こうして猶予を与えているのですから。何年でも待ちますよ。あなた方が我々に賛同するか、息子たちが覚えてくるまでは──何年でもね」

 

 

 

 

 

まさかこんなところで再会することになるとは思ってもみなかった。

 

それが尾行者の正体を知った瞬間の透の感想であった。

 

「あかり」

 

2年前とほとんど変わらないその姿に自然と名前が出る。

 

「やっぱり透くんだー!」

 

まるで家族との再会だと言わんばかりの勢いであかりは透に飛び付いた。

 

 

──が、

 

 

その勢いで透の後頭部がガンッとコンクリートの壁にぶつかり、「ご、ごめん・・・」とあかりは慌てて謝った。

 

「・・・それよりもだ」

 

痛みに我慢しながら、あかりを引き剥がし本題へ入ろうとする。

 

「どうして俺を()けた。堂々と現れれば良いだろ」

 

知らない人物にストーキングされるのは当然として、知り合いに尾行されるというのはあまり気分の良いものではない。

 

「最初は本当に透くんなのかなって思ってたんだよ。 髪もグレーだし、近寄り難い雰囲気だったし」

 

武偵は仲間に自分の専門、もしくは自分が誰なのかを一目で識別させる為に髪を染めることがよくある。

 

透は1年次に元々黒色だった髪をグレーに染めていた。自分にぴったりの色だと思ったから。

 

そして、あかりの知っていた透は当然黒髪で、初対面でも話しかけやすそうな雰囲気を持つ、今とはまるで正反対な印象だった。

 

「それで本当に俺か確かめる為に尾けてきたわけか」

 

「うん。でも、それだけじゃない」

 

「手短に頼む・・・」

 

切実な願いだ。あかりは昔から要領が良いとはあまり言えず、要点だけでなく一から十まで話すようなタイプだった。

 

頭が痛くて話を長々と聴くどころじゃない。

 

「透くんは、アリア先輩とどういう関係なの?」

 

憧れの存在であるアリア先輩。自分は戦ってやっと近付くことができたのに、透やキンジはアリアの方から追いかけている。

 

「どういうって、ただの主人とドレイだが」

 

「しゅじんとどれい・・・?」

 

透の返答にあかりは固まった。そして、頭はフル回転させて、必死に透の言ったことを理解しようとする。

 

(ド、ドド・・・ドレイって、なに・・・!? え? 人を人として扱わないアレ? それともアッチ系の!? アリア先輩ってそんな人だったの!?)

 

「尾けてたなら分かると思うが、もう一人の男、遠山キンジも一応ドレイだ」

 

さらに驚愕。

 

(二人も!? もしかして代わる代わる毎晩・・・)

 

想像力が豊かなあかりはちょっといけない方向に想像を膨らませてしまう。

 

「まあ、アイツは嫌がってるがな」

 

「それが普通の反応だよ! 透くんは嬉しいの!?」

 

勘違いしているとは知らずに、そのままの意味で受け止めてしまったあかりはようやく声に出してツッコミを入れる。

 

「え? 素直に嬉しいだろ」

 

強襲科(アサルト)Sランク、言わずと知れた神崎・H・アリアとパートナーとして組めるのは嬉しいことだ。

 

そういう意味で言ったつもりだったのだが、当然あかりには伝わっておらず、うっすら涙を浮かべていた。

 

(透くんがとんでもない変人になってたなんて・・・。それにアリア先輩も・・・)

 

あまりにもショッキングな事実(あくまで勘違い)に「う、うう・・・」と嗚咽の声が漏れ始め、

 

 

「うわあああぁぁぁん」

 

と泣きながらその場から走って逃げ出してしまった。

 

「・・・何だったんだ、いったい」

 

まだ微妙に痛む頭を抑えながら、透は帰路に就いた。

 

 

 

 

 

「アリアせんぱぁーい!」

 

戦姉妹(アミカ)契約時に貰ったカードキーで第一女子寮の707号室に帰ってきたあかりはリビングのソファーにいたアリアに泣きついた。

 

「・・・えっ? ど・・・どうしたの、何?」

 

帰って来て早々の泣きっぷりに好物のももまんを食べて、悦に入っていたアリアもうろたえてしまう。

 

「アリア先輩は・・・アリア先輩はぁ、私の憧れのアリア先輩ですよね!?」

 

「な、なんの話をしてるの? まずは落ち着いて話を聴かせなさい」

 

まるで母が子供を慰めるかのようにあかりの頭を撫でて、落ち着かせようとする。

 

あかりは涙を拭い、落ち着いたところで今日の出来事を話し始めた。

 

 

 

全てを聴き終えたアリアは、はぁ、とため息をつき、

 

「あかり、それはあんたの早とちりよ」

 

と呆れたように言った。

 

「え?」

 

「確かに『ドレイ』とは言ったけれど、それは『パートナー』って意味で言ったの」

 

「じゃ、じゃあ、アリア先輩と透くんは・・・」

 

「あんたが心配してるようなセンじゃないわ」

 

そのセリフにあかりは嬉しさと勘違いして変な方向に想像してしまった恥ずかしさが同時に込み上げて来た。

 

アリアはアリアであかりを諭す一方で別のことを考えていた。

 

(まさか、あかりと透が知り合いだったなんてね)

 

しかも先程の話を聴く限り、武偵高で知り合った仲ではなく幼少期からの仲だと言う。

 

(透のことも含めて、もう一度この娘のこと調査し直してもらう必要がありそうね)

 

アリアは前々からあかりが『何か』を隠していることに気付き、風魔陽菜(ふうまひな)という後輩にあかりの身辺調査をさせていた。

 

きっとあかりの隠していることと透と繋がりがあったことは何か関係があると直感は囁いている。

 

(あかり、あんたはいったい何を隠してるの?)

 

あかりの隠された過去の謎は一層深まるばかりであった。




死んだ親父を回想で出すという、自分でも予想外の展開でした。名前に反してブラックな一面を出してましたね。


親父と間宮一族の関係を上手くストーリーに絡ませていきたいと思います。


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