緋弾のアリア~灰色の武偵~   作:ソニ

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前話より、3ヶ月近く経ってるのに、内容は薄い…
申し訳ありません。


原作を進めつつ、寄り道しつつ、牛歩ですが確実に更新はしていこうと思っています。
こんな作者と作品ですが、お付き合い頂けると幸いです。


第14弾~特訓~

「トオルンと久々のデート嬉しいなぁ」

 

その日、透と理子は白金台に来ていた。

 

「・・・今日の目的ちゃんと分かってるのか?」

 

やたらとテンションの高い理子が腕を絡ませてくるので、透は本来の目的を忘れてないか念押しする。

 

「モチのロン! 後輩ちゃんたちの4対4(カルテット)の訓練でしょ?」

 

カルテット───それは、1年生は全員参加の4人対4人で戦う実戦テストである。

 

昨日、透はアリアから、あかり、志乃、ライカ、麒麟の4人に試験の対策を教えるよう頼まれていた。

 

透自身あまり気乗りはしなかったものの、断ってアリアの機嫌を損ねたくはなかったので、引き受けることにした。

 

とはいえ、一人で後輩4人を見るのも面倒だったので、昨年チームを組んだ理子を誘ってみたところ、理子も麒麟からお願いされていたようだ。

 

そのため、現在こうして2人で、今回合宿施設として提供された佐々木志乃の家へと訪れていた。

 

「分かってるならいい」

 

その白亜の豪邸を前にしたところで、透は腕にしがみつく理子を振りほどき、呼び鈴を押した。

 

大きな扉が開かれ、中から佐々木家に仕える双子のメイドが出迎えてくれる。

 

その二人に案内され、透と理子はオーディオルームへと入っていった。

 

中に入ると、既に作戦会議が行われていたようで、スクリーンに資料が投影され、志乃が進行をしていた。

 

「『毒の一撃(プワゾン)』・・・俺たちの時と同じだな」

 

「シンプルに見えて、結構奥が深いよねぇ」

 

志乃の話と投影された資料を見る限りでは、昨年と内容に違いはなさそうだ。

 

この競技は、それぞれの班に『蜂』と『蜘蛛』の描かれた攻撃フラッグが渡される。今回は、あかりたちが『蜂』の旗を持つようだ。

 

そして、双方が守るべきフラッグもあり、それには『目』が描かれている。

 

その『目』に誰かの攻撃フラッグで先にタッチしたチームの勝ちというルールである。

 

透と理子は小声で会話をしながら志乃の進行を見守る。

 

プロジェクタースクリーンのページが切り替わり、ほぼ正方形の地図が表示された。

 

「試験場は武偵高第11区全体で、区内に有るものは何を使ってもOKです。間宮班は南端、高千穂(たかちほ)班は北端からスタートします」

 

対戦相手は『高千穂麗(たかちほうらら)』。1年にして、強襲科(アサルト)Aランクとかなりの実力者のようだ。

 

そして、愛沢湯湯(あいざわゆゆ)夜夜(やや)という双子の姉妹に、諜報科(レザド)の風魔陽菜を加えたチームだ。

 

 

11区の地図を見ると、間宮班は公園の敷地内、高千穂班は工事現場の敷地内にそれぞれスタート地点があった。

 

「基本ルールは以上」

 

指示棒を下ろし、志乃は説明を終える。

 

「シンプルだねぇ」

 

「だなぁ」

 

ちょっと拍子抜けした感じのあかりに、ライカも同意した。

 

だが、麒麟だけはシリアスな表情を浮かべる。

 

「たしかにこの競技は一見シンプル・・・ですが、隠匿、強襲、逃げ足、チームワーク───いろんな能力が試されますわ」

 

目の旗を隠す。守る。持って逃げる。それを見つけ出す。攻める。旗を追いかける。

 

争奪戦には、守り手も攻め手もチームワークが要される。

 

もちろん、武器による攻撃もありなので、チームの戦闘力も問われる。

 

そこに気付いた麒麟を誉めるように、

 

「さっすがりんりん、あたしの教え子だぁー!」

 

理子が作戦会議に割って入っていった。

 

「理子お姉様!」

 

理子の姿を確認するや否や、麒麟は彼女に飛び付いた。

 

「あら、平川様もいらっしゃいましたの?」

 

隣の透には相変わらず冷めた目と冷めた態度を取り、

 

「ご紹介しますわ! 私の元戦姉(アミカ)探偵科(インケスタ)2年生、峰理子お姉様ですの!」

 

くるっと表情を変え、皆に理子を紹介した。

 

「毒の一撃かぁ。懐かしいなぁ」

 

理子は麒麟を体から離すと、スクリーンへと近付く。

 

「ふむふむ。敵はこの工事現場に陣取るだろうねぇ」

 

人差し指を唇にあてて地図を眺めつつ、理子があかりたちに背を向けて呟く。

 

「自分の身は自分で守るのが武偵。あたしは後輩を守らない戦姉」

 

そのセリフは、理子のムードになりつつあったこの部屋に少し緊張が走ったが、それは一瞬のことで、

 

「でも、鍛えてはあげるぞよ!」

 

笑顔で振り返りつつ、理子はかわいこぶりっこの仕草をし、ウインクをして見せるのだった。

 

 

 

 

 

広々とした開放感のある庭へと移動した一同は、早速、理子が考えた特訓を始めていた。

 

「志乃ちゃんは、対双子ちゃん特訓ね」

 

そう理子に言われた志乃は、剣道の防具を着ている。

 

対するは、双子メイドの宮本姉妹だった。理子は2人に木刀を2本ずつ持たせており、二刀流の打撃を次々と加えていく。

 

その双子メイドによる連打を、木刀一本で志乃が必死に捌く。

 

対戦相手の双子、愛沢姉妹を想定した訓練だ。

 

その後ろでは、透とライカが組手を行っている。

 

透はゴム製のナイフを片手に四方八方から攻撃をしかけており、ライカは布で目隠しをして、透の攻撃をボクシングのピーカブースタイルでひたすらガードし続けていた。

 

目隠しも防御体勢も当然、理子の指示である。

 

「一番強い子こそ、守備役。不利な状況になっても仲間を信じて、時間を稼ぐんだよ」

 

ナイフはゴム製なので、一撃一撃は軽いが、敢えてサンドバッグとなってそれをひたすら受け続けるのは熾烈な訓練だ。

 

これは、諜報科の風魔対策の訓練である。

 

「あっかりーん。頑張ってるー?」

 

「な、な、なんであたしだけこんなのなんですかー!」

 

健康器具の乗馬マシンになぜか跨がらされているあかりが不満を叫ぶ。

 

「いいからいいから。ただ戦うだけの武偵は、すぐやられちゃうぞー」

 

理子は軽い調子で笑っている。

 

「そ、そんな・・・きゃっ!」

 

バランスを崩したあかりは、べちゃっ、と顔面から落下してしまう。

 

「間宮様! 大丈夫ですの?」

 

理子の隣で様子を見ていた、麒麟が慌てて駆け寄るが、あかりは、大丈夫と言わんばかりに再び乗馬マシンに跨がった。

 

「そんじゃ、ここはトオルンに任せて、理子たちも行こっか」

 

「はいですの!」

 

麒麟は参謀役ということで、佐々木邸の一室を借りて、理子と一緒に作戦立案や自衛の訓練を行うことになった。

 

その場から麒麟がいなくなると知り、気が逸れたのか、

 

「火野」

 

透はライカの背後を容易く取ってしまい、2回、ナイフの側面で軽く首を叩いた。

 

「集中しろ」

 

「す、すみません」

 

首は防刃制服に守られていない露出している部分だ。

 

これが実戦だったら、やられていた。

 

「平川先輩、続きをお願いします!」

 

気を引き締め直したライカと透の訓練は再開された。

 

 

 

 

 

日もすっかり暮れ、本日の特訓も終えた透は佐々木邸を早々に後にしていた。

 

というのも、女子一同が汗と疲れを癒す為に、風呂に入ることとなったので、このまま居座っていては明らかに場違いであると感じたからである。

 

本当なら自室に帰って、ゆっくりとした時間を過ごすつもりだったのだが、

 

「・・・ここか」

 

人工浮島(メガフロート)の東京武偵高まではバス圏内にある埋立島──その島内にあるアパート『ハイツ勝どき』まで足を運んでいた。

 

なぜ、こんなところに来たのか。

 

 

────

 

 

「透くん、ちょっと待って」

 

帰り際、透はあかりに呼び止められていた。

 

呼び止めたあかりは何か話す訳でもなく、透の前で携帯をいじり始める。

 

少しの間、それを見守っていると、透の携帯に振動がした。

 

「はい、ののかのアドレスとうちの住所」

 

唐突過ぎて反応に困る。一体、何故このタイミングで妹のメアドと自宅の場所を教えてきたのか。

 

「ののかも透くんに会いたがってから」

 

透がその疑問をぶつける前にあかりの方から答えを述べる。

 

「だから、もし良かったら会いに行ってあげてくれないかな」

 

 

────

 

 

断る理由も特になく、透自身、久しぶりにののかの顔を見たいという気持ちが少なからずあったのだろう。

 

結果、現在に至り、間宮姉妹の部屋のドアの前に立っていた。

 

今日2回目だな、などとしょうもないことが頭の中に浮かびながら呼び鈴を押す。

 

「はーい」

 

ドアの向こうから懐かしい声が聞こえた。

 

ガチャッとドアを開けて来た少女は透の顔を見て、一瞬驚いた表情をするが、すぐに微笑みを浮かべた。

 

「久しぶりだね、お兄ちゃん」




もうそろそろ一気に原作を進めたいところですが、次回はののかとの絡み話の予定です。

またしても亀更新かなと思いますが、お楽しみにしていただければ光栄です。
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