緋弾のアリア~灰色の武偵~   作:ソニ

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今回でGWも終わりですが、リアルでは後少しでGWですね。
コロナもあるので、あんまり楽しめないかもしれませんが・・・


ちなみに5月5日はライカの誕生日らしいです。
別に本編で何かやるわけではありませんが・・・
前話に引き続き、あとがきオマケみたいな小話で楽しんで頂けたらと思います。

オチはないですが




第42弾です。




第42弾~5月5日~

───ウォルトベイホテル。

 

東京湾に面した円形の形をしたそのホテルは東京ウォルトランドのオフィシャルホテルである。

 

そのホテルの一室で、透は双眼鏡越しに窓の外を見ていた。

 

透の視線の先は葛西臨海公園。

 

先日の会話からキンジと白雪はウォルトランドの花火を葛西臨海公園で見る事を把握していた。

 

ここのホテルと葛西臨海公園は直接距離にして約1.7km。2km以上先でも鮮明に映るように改造し、暗視機能も付けた双眼鏡ならこの場からでも白雪の監視を行える。

 

間が悪い事に花火は終わってしまったようだが。

 

「それで、どうして私は呼ばれたのかしら」

 

明るい内装に似つかわしくない冷たく毒づいたような声。

 

いつもの黒いセーラー服を着た夾竹桃がベッド横のテーブルでマンガを描きながら尋ねてくる。

 

「若い男女がホテルで2人きり、何も起きないはずがなく・・・」

 

「起きるわけないだろ」

 

双眼鏡から目を離した透は、無表情のまま手を交差させて胸に当てている夾竹桃にツッコミを入れる。

 

「・・・ダメ元で訊くが、ジャンヌは今どこにいる」

 

再び双眼鏡に目を戻し、線香花火をするキンジと白雪を見張りながら、透は敵の所在確認を試みる。

 

「知らないわ。例え知っていたとしてもあなたに教えると思って?」

 

「まあ、そうだろうな」

 

嘘を言っている様子はない。夾竹桃はジャンヌがどこに潜伏しているかは本当に知らないのだろう。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

会話は10数秒で終了した。

 

「それだけ?」

 

用事があると呼び出された夾竹桃は、さすがにこれで終わりではないだろう、と思ってか一言投げ掛けてくるが、

 

「ああ」

 

透はあっさりと肯定する。

 

「・・・その質問1つする為だけに私は呼ばれた、ということ?」

 

夾竹桃は右手で頭に触れながら呆れたように呟いた。

 

「質問はついでだ。俺がお前を呼んだのは()()()()()()()()からだ」

 

「どういうことかしら?」

 

「俺が会長の見張りをしている事をジャンヌには極力感づかれたくない。学園島内ならまだしも、外で俺も会長もほぼ同じ居場所にいるとなるとバレる可能性は高い。だからお前と密会している事にすれば、多少はカモフラージュできるはずだ」

 

ジャンヌは白雪だけでなく、透やアリアの行動もある程度見張っているはず。

 

連休の間、アリアとバラバラに動いていたのはジャンヌの目を逸らさせる意味もあり、もし、今の行動を把握されていたとしても、誰かとホテルで密会という状況を作れば白雪の監視を目的とした動きではないと誤認させる事もできる。

 

透が敵対していた人物で、ジャンヌの仲間である夾竹桃が密会相手ならば、そちらの方が重要視され、なおのこと白雪が目的である可能性は低い、と思わせられるはず。

 

「その事を、私が密告すると思わないのかしら」

 

「前に他人の件には手を出さないって言っていただろ。それに俺にあんな依頼をしてきたんだ。俺が不利になることをわざわざ言うはずがない」

 

「思い込みね。私は『万が一にも捕まえたら』・・・そう言ったはずよ。星伽白雪を拐ってもらった方がジャンヌの身の安全としては確実なのよ」

 

「だが、お前は俺たちがジャンヌを逮捕する可能性の方が高いと思っている。だから『守って欲しい』なんて依頼をした。違うか?」

 

「・・・・・・」

 

透の追及に夾竹桃は何も答えない。

 

それは、透の言っている事は正しいと認めているようなものだ。

 

「それよりも()()()()()()()()()()をするって嘘じゃないよな?」

 

「・・・嘘かどうか見破るのはあなたの特技でしょ?」

 

そう、確かにあの時の夾竹桃の言葉からは嘘が感じられなかった。

 

しかし、それは裏を返せば正義と夾竹桃との間には何かしらの関係性があったということ。

 

透の知る正義は温和で争いを好まない人間であった。

 

歴史上滅亡したとされている平家の血を継ぐ者として、いつ『源氏』に狙われるか分からないと、一通りの武術や剣術には精通していたが、それはあくまで自分の身を守る為に身に付けていたもの。

 

透の武術や剣術のベースも正義から学んだものであるが、夾竹桃が好むような『毒』に関する事は正義の口から聞いたことはない。

 

それ故、分からないのだ。正義と夾竹桃との間を結びつけるものが。

 

───どん。

 

遠い、爆発音。

 

その音に透は、ハッ、と思い出したかのように2人に焦点を合わせる。

 

驚くように肩をすくめた白雪とそれを守るようなキンジ。

 

音はなおも連続して続いている。ホテルの中にいて透からは見えないが、ウォルトランドで花火が上がっているのだろう。

 

先ほど終わったと思っていたが、ただのインターバルだったらしい。

 

その後も咲き続ける花火を見上げるキンジと白雪。

 

透もそれに最後まで付き合い続けたが、結局問題は何も発生しなかった。

 

 

 

────この時は、そう思っていた。

 

 

 

 

 

連休が終わり、アドシアードが始まった。

 

アル=カタの演奏をするのは閉会式なので、本来なら自由行動ができるはずだったのだが、今現在、透は来場する人々の案内係をしていた。

 

どうやら教室で寝ている間に勝手に決められていたらしく、今朝になって透はその話を聞いた。

 

普通なら相手の嘘を疑ったり、聞いてないことにして、適当に逃れたりするところなのだが、話を聞く限り嘘を言ってない事が分かってしまったので引き受ける事になってしまった。

 

とはいえこの仕事、来場した人から聞かれた事に答えたり、道案内する程度のもの。

 

一ヶ所に留まる必要もない為、案内を終えた後はアドシアード準備委員会のテントをさりげなく見ては白雪がいることを確認。

 

一応、最低限の護衛もどきはできていた。

 

しかし、白雪にマトモなボディーガードがいないのも事実。

 

アリアは新宿に行くことになっており、キンジは講堂のゲートでモギリの仕事。レキも狙撃競技(スナイピング)の代表なので仕方ないのだが。

 

明日になればアリアはこっちに来れるし、透もたまに見には来ている。一応、他の生徒の目もある。

 

どうにか今日を乗り切りたいところではある。

 

しかし、そう簡単に事が運んでくれるはずもない。

 

「・・・?」

 

まず異変を感じたのは午後2時半過ぎである。

 

手が空いたタイミングでテントを見に行くと、白雪がいなかった。

 

すぐに他の委員会メンバーに確認してみると、お手洗いに行くと言って席を外したそうだ。

 

その後、すぐに来場者に捕まってしまい、案内を終えてすぐ戻ろうとしたが、また捕まり・・・しばらくそれを繰り返し、ようやく戻ってこれたのは4時半頃であった。

 

しかし、またしても白雪の姿はなかった。また偶然、席を外している可能性もなくはないが、テント内の慌てた様子を見る限りその線はなさそうである。

 

「会長はどこにいった」

 

透はテントに駆け寄り、近くにいた委員会の役員に声を掛ける。

 

「それが・・・星伽先輩、お昼過ぎにここを離れてから戻ってきてなくて・・・」

 

やはり白雪は透が確認した2時半の時点から、一度も戻ってきてないようだった。

 

「周囲の捜索と教務科(マスターズ)への報告は?」

 

「既にやってます」

 

「分かった。ここにいるメンバーはもう少し落ち着いて業務に当たってくれ。特に来場者にはこの事を悟られないようにだ」

 

「は、はい!」

 

透は簡潔に指示を伝えると、『案内係』と書かれた腕章を外して走りだした。

 

走りながら、キンジに電話を入れるが出ない。アリアにも電話を掛けてみるが出なかった。

 

(アリアはともかく・・・キンジは何をしてるんだ・・・!)

 

闇雲に捜しても意味がない。まずはキンジにこの事を知らせるべく、講堂方面へ向かおうとした時、携帯が震えた。

 

キンジかと思い、足を止めて携帯を開くと武偵高からの周知メールであった。

 

 

 

───『ケースD7』

 

 

 




~花火大会後~


あかり「透くん、送り迎えしてくれてありがとね!」

透「今日は俺もこっちの方に用があったからな。ついでだ」

志野「用っていったい何をなさっていたのですか?」

透「別にお前たちに話す程の事でもないさ」

麒麟「私たちに言えない用ですの? 怪しいですの・・・」

透(・・・まあ、夾竹桃に会っていた事も、この送迎をカモフラージュの為にやってる事もこいつらには言えないな)

ライカ「こら、麒麟。平川先輩困ってるだろ。平川先輩、すみません」

透「いや、気にするな。そう言えば、今日は火野の誕生日だったんだな。さっきあかりから聞いたんだが、悪いな。プレゼントの1つも用意してない」

ライカ「いえ、そんな・・・謝らないでください。平川先輩にはこれまでにもお世話になってるし、今だってわざわざ送迎までしてもらってますし」

透「・・・まあ、プレゼントになるか分からないが、お前のアサルトライフルの銃検代わりに通しておこうか? どうせ『整備中』のまま使ってるんだろ?」

ライカ「え、良いんですか?」

透「アサルトライフルは銃検通すの面倒だからな。お前みたいにごまかしながら使ってる奴も結構いるし、こんなことで良ければだがな」

ライカ「いえ、すごく助かります! 是非よろしくお願いします!」

麒麟「むぅ・・・平川様! 好感度をいくら上げてもライカお姉様は渡しませんのよ!」

ライカ「ばっ・・・麒麟! 何言ってんだ! すみません平川先輩。気にしないでください」

透「ん、別に何も気にしてないが」

ライカ「そ、そうですか。それなら、良かった・・・です」

透「?」
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