「眞佐斗先輩、どうするんですか?」
「櫻ノ會は第一校舎一階に居ると考えられる。まずはそこに向かう」
櫻ノ會…俺の両親が所属している新興宗教の派生政党だけど、正直馬鹿馬鹿しい。
普段は両親は居らず、いつも一人だ。だから祖母や祖父に育てられた。たまに両親が帰ってくると、俺に八つ当たりしてくる。半殺しにされたこともあった。
俺は両親が元々こんな人だったとは信じたくない。そもそも、祖母と祖父は元々は二人とも優しかったといっている。
…俺は許さない。両親をこんなにした宗教も、その派生政党も…
これは復讐だ。絶対に倒す。
「先輩、やるからには少なくとも半殺しにしませんとね…」
「え?ああ、うん」
絶対に倒す…俺の両親を狂わせたテメェ等は半殺しでも足りねぇよ…
『えー、只今より教室をランダムに爆破しようと思いますので、よろしくー』
「ッ!」
ふざけてんのか…!?このままだと、生徒の犠牲が増えるばかりじゃないか…!
…止める。絶対に…自分を犠牲にしてでも…
「…先輩、ごめんなさい」
「え、おい!待て!」
これ以上コイツ等の犠牲になる人を増やしてはいけない。誰も止められないなら、俺が止めてやる。
「とりあえず、武器になるものは…」
非常事態だ。他人のものも勝手に使わせてもらう。
とりあえず、筆箱からは鋏、コンパスとかが武器になるだろう。掃除のときに使う箒も使えそうだ。
「これだけあれば十分」
そう呟いて、二階にある1年B組を後にした。
階段をもの凄いスピードで駆け下りる。しかし、階段を全て下りたところで止まってしまった。
「動くな!」
警察ではない…ということは奴等か。
少し挑発してみるか。
「あ?テメェ等、教室を爆破させるとか言ってたけど、頭イカれてんのか?バーカ」
「テメェこそ頭逝ってるだろ」
なんだコイツ…ぶち殺すぞ…待て、このままコイツから情報を聞き出すことも可能…よし、そうしよう。
そう思ったときだ。
「餓鬼に何ができる。私達は大人だ。餓鬼が大人に勝てると思ってんのか、塵屑」
頭に血が昇ってきた…殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!
「死ねエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
俺はコイツを殺すことしか考えていなかった。箒を片手で振り回し、ソイツを殴り続けた。
「やめ…やめろ…」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」
ソイツは血を吐き、気絶した。こんくらいで十分か…足りない気がするけど。
『こちら、Aチー…お…答願う』
ノイズと混じってトランシーバーから声が聞こえた。俺はトランシーバーを踏み潰し、適当なところへ蹴り飛ばす。よし、急いで人質の居る場所を探し出して、早く救ってやらないと。人質達の精神状態にも限界があるだろう。限界が来る前に俺が救い出すんだ!
「先生達が人質になっているんだよな…だったら、職員室に居る可能性が高いな」
そう言った直後、後ろで爆発が起きて爆風によって体が押された。
職員室はすぐ近くにある。職員室に向かって走り、物凄い勢いで扉を開く。
「先生!」
━しかし、そこに人は誰一人居なかった。
「なっ…!?」
噓だ…なんで誰も居ない!?
まさか…ハメられた…?
『残念!人質はここではありません!それでは、さようなら~」
そんな放送が聞こえ、直後爆発が起きた。
自分はどこかに飛んで行き、どこかに叩き付けられた。
痛みが酷い。腹から出血している。クソ…動けねぇ…
「見事のハマってくれたねぇ。最高だよ、本当に」
気が付くと、目の前には背の高い男が立っていた。顔は見えない。
「テ…メェ…ふざ…け…ん…な…」
「君、県光太朗くんだよね?四強の一人だね」
「んだよ…そ…れ…」
四強…?何だソレ…聞いたこともねぇよ…
「県平八郎さんの子供でしょ?」
「なん…で…」
「とりあえず一人潰したな…言っておくと、俺等の目的はお前等だ。お前等を潰す、それが目的だ」
お前等…?話の展開が早すぎてわけわかんねぇぞ…
「名前を言っておこう。梅園巡だ」
そういうと、男は「次は徳大寺眞佐斗か~」と言って歩いていった。
思ったより傷が深い。出血を止めなければ。
「光太朗!大丈夫?」
「秀華先輩…」
「まったく、心配かけて!それより、さっき話していた男は…?」
「あ…!あいつの…狙い…は…眞佐斗…先輩…で…す」
「眞佐斗!?…って、光太朗、動いたら…!」
「大…丈夫…」
眞佐斗先輩を助けないと…!このままだと拙い…どうにか…どうにかしなきゃ…!
しかし、前に踏み込んだはずの足がぐにゃりと歪曲し、地面が迫ってきた。俺は地面に叩き付けられ、意識が薄くなっていった。