どうやら、早速訓練を受けているようです。
そして、おつまみと熱燗を作り終えたレ級。
早速、ドックを見つけたようです。
ジャージ姿で、頭の電探カチューシャすら外し、
ただの美人のお姉さんと化した金剛は、グラウンドで走り込みを行っていた。
金剛は、自身の訓練に付き従い、走り込みを続ける第六駆逐隊と、
阿武隈に激を飛ばす。
「暁ィ!あなた長女でショー!遅れずに、しっかりついてくるデース!
電、雷ィ!しっかり私に付いてくるのは評価できますが、
顎をあげてフォームを整えるデース!
響・・・は、皆とペース合わせるデース。
・・・阿武隈ァ!駆逐艦の響にペース負けてるデース!
何してるんデースカァ!」
息も絶え絶えの阿武隈と第六駆逐隊は、
金剛の激に全く反応できないでいた。
「ダー!皆とペース合わせるよ。金剛さん。」
阿武隈を超えるペースで、息を一つも上げず、
金剛をも追い抜かす勢いで走る響さんを除いてではあるが。
「響。良い心がけデース。
それにしても、他の皆様は返事無いデースねー!
私より遅いペースで走っているのに、
だんまりなんて、良い身分デースネー!」
金剛は眉間にしわを寄せながら、自身の後ろを
息も絶え絶えに走る暁、雷、電、そして阿武隈を睨みながら
言葉を続けていた。
「「「「了解ぃいい!」」」」
息も絶えだえに、阿武隈達は無理やり声を絞り出し
暁はペースを上げ、雷と電の2隻はフォームを正し
阿武隈は、顔を上げてペースを上げ始めていた。
「OK,OKデース。その調子デース。
さぁ、あと10キロ、20分で走り切りマースよ!
出来なければ、20キロ追加デース!
サァ!人間でも走りきれる楽なペースデース!」
「「「「ひぃっい!了解っ・・・!」」」」
まさかの追加オーダーに
思わず絶望の顔を浮かべる面々。
「フフフ、良い返事デース。
さぁ、ペース上げマースヨ?
戦艦である私に、軽巡と駆逐艦の皆さまの足が
追いつけないなんてことないですよネー!」
金剛は笑顔のまま、足に力を込め、走る速度を上げる。
「う、、っそぉ・・・。金剛さぁん・・・許してぇ・・・」
阿武隈は、涙目になりながら
なんとか金剛のペースに足を揃えていく。
暁、雷、電は、もう無駄口を叩く余裕すらないのか
ただただ涙目になりながら、フォームを崩しながらも
なんとか金剛に追いすがっていった。
「ダー。金剛さん。勝負。」
そして、響は只一言、そう言い放つと
金剛の尋常じゃないスピードに、涼しい顔で追いすがっていく。
「響ぃ!他の皆とペースを合わせろと言ったばかり・・・イエ。
まぁ、いいでショウ。私も久しぶりに全力で走りたかったんデス。
言ったからには、ふがいない結果は許しまセンよ?ふふふ。
そうデースね。私に勝てば間宮アイスと伊良湖モナカをプレゼントシマショウ!」
金剛は、笑顔でそう言いながら、更にスピードを上げていく。
短距離走と見間違うほどの金剛の全力疾走に、
阿武隈達は、ただただ絶望を覚えていた。
「・・・ダー。アイスと伊良子は貰ったよ。」
響もニヤリと笑みを浮かべると
美しいフォームそのままで、金剛の速度に合わせて
一気に加速していく。
「ははぁ!響ぃ!言ったデースねぇ!
私を抜かせることが出来るなら、抜かしてみるのデース!」
「ダー!金剛さん、絶対に奢らせてみせるよ!」
金剛と響は、軽口を叩きあうと、更に速度を上げ
抜きつ抜かれつの大接戦を繰り広げ始めていた。
気付けば、阿武隈達との差は、既にグラウンド半周ほどに開いていた。
呆気にとられる阿武隈達であったが
「なっ、、、んで、、響はあんなに元気なのよぉ!」
第六駆逐隊、暁型長女の叫びが、グラウンドに響いていた。
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一方その頃、ツマミと熱燗をドックに持ってきたレ級は
鎮守府の設備に、驚きを隠せないでいた。
「ゆ」とかかれた暖簾を潜れば、その先に広がる広い板の間。
棚には大きなざるが置かれ、ふかふかそうな椅子や扇風機、
そして何やら瓶に入っている飲み物のようなものが置かれた
ガラス張りの容器が鎮座していた。
「オォオ!艦娘ノドックッテコウナッテルノカァ!」
レ級は、自身の簡素な海水を利用したドックと、
全く違う光景に、驚きながら声を上げていた。
「イイナァ。コウイウノ。
アレ、デモ、提督殿ト姫様ハドコニイルンダロウ?」
ドックの脱衣所をキョロキョロと見渡すレ級であったが
提督も港湾棲姫はどこにもいない。
「アッレー?オッカシイナァ。
ドックニ居ルッテイッテタノニナァ」
ぼそぼそと一人呟きながら
更にドックの脱衣所を漁っていくレ級であったが
棚に置いてあるざるの中に、とあるものを見つけていた。
「・・・アッレー。コレハ姫様ノ艤装ト・・・
提督殿ノキテタ服ダナ」
脱衣所のザル、つまりは衣服入れの中に
提督と港湾棲姫の服を見つけたのである。
「シカモ。姫様爪モ外シテンジャン・・・。
ンンー?」
レ級も港湾棲姫と同じように、服のままドックに浸かる船である。
なぜ服が脱いであるのか、頭をフル回転させながら、呟いていた。
「ンンー・・・。デモ、ココデ脱イデアルッテコトハ。
2人トモ、裸デ入渠シテルッテコトナノ、カナ?」
このレ級は、酒好きではあるが、腐っても戦艦レ級である。
そこそこの状況把握と、回転する頭は持っていたようである。
そして、そこまで呟いた所で、ドックの奥の扉から
気分の良さそうな提督と姫の声が響いていた。
『レ級殿ー。来たか―?
服脱いでこっちに来いよー。
いい湯加減だぜー』
『レ級。艦娘ノドッグ、キモチイイデスヨ!
艤装モ外シテ扉ヲクグッテキテ。
アト、熱燗ハヤクー』
「オ。提督殿ト姫様、アノ扉ノ奥ニイルノカ」
レ級は状況を理解すると、一旦熱燗を脱衣所の椅子に置き
提督と港湾棲姫に言われた通り、服と艤装を外し
全て脱衣所の籠へと入れていった。
「オー。裸ニナルナンテメッタニナイカラナァ。
チョットサムイナ」
裸になったレ級は、呟きながら熱燗と御摘みの乗ったお盆を手に取り
ドック奥の扉へとゆっくりと歩みを進めていく。
途中、その姿が鏡に映り、一瞬、レ級は自分の裸体を
赤いその瞳に収めていた。
「オ。姿見カァ。
ンー・・・尻尾サエナケレバ、艦娘ミタイダナ、ワタシ。」
鏡に映ったレ級は、肌の色と尻尾こそ深海の船であったが
ショートカットで、少し笑みを浮かべるその姿は
見ようによっては、可愛い小柄な艦娘に見える。
「マッ。トリアエズ行キマスカー」
レ級は姿見から視線を外すと、風呂場への扉へと手をかけ
ゆっくりと横にスライドさせていく。
ガラガラ、と良い音を立てて、風呂場の扉が開いていく。
すると、レ級の目には
湯気の中、とろけそうな顔で、肩まで風呂に浸かる
提督と港湾棲姫の姿が映っていた。
「レ級、来たかー。
とりあえず熱燗こっちによこせー」
「レ級。キマシタネ。」
レ級の姿を確認した提督と港湾棲姫は
思い思いに口を開いていた。
そして、レ級は、言われたとおりに
提督に熱燗と御摘みが乗っているお盆を手渡すと
「・・・裸ニナッテ、ナニシテンスカ2人トモ。
我々、敵デショウニ。
マー。トリアエズ熱燗トツマミデス」
苦笑を浮かべ、提督を見据えながら、口を開いていた。
「固いこと言うなって。
お前らだって、別に今更、敵意あるわけじゃねーだろ。
何よりもさぁ。先に酒がのみてぇ、って
呉鎮守府に乗り込んできたお前が言っても説得力ねーからな?」
提督は、レ級の言葉に、お盆をうけとりつつも
苦笑を浮かべながら、言葉を返していた。
港湾棲姫も、言葉は発していなかったが
ウンウン、と首を縦に振りつつ、頷いていた。
「ソウイワレルト確カニソーナンダケド。」
レ級は、ぽりぽりと頭をかきながら小さく呟く。
「ッテイウカ、コノドックスゲーナ。
モノッスゴイ広シ、見タコトノナイモンイッパイアルシ」
「ははっ。姫様と同じ反応だな。
海水のドックを使ってたんじゃ、驚くのも無理は無いわな。」
提督はうんうん、と頷きながら、更に言葉を続ける。
「まぁ、レ級殿もさっさと体を洗って
湯船、というかドックに浸かると良いぜ」
「体ヲ洗ッテカラ、ナノカ?」
レ級は首をかしげながら、提督に訪ねていた。
重ねて言うが、レ級のドックは、海水を利用して
服を着たまま利用する簡易的なドックである。
服を脱いで、体を洗って、ゆっくりお湯につかると言う
人間や艦娘が行う常識は、レ級の頭に全く無いのである。
「そーだ。タオルと石鹸は貸してやるから
そこの洗い場で、頭の先からつま先まで
しっかり磨いてこい。」
提督は、頭に載せていたタオルをレ級に差し出し
洗い場の一つ、提督の石鹸が置いてある洗い場を
指さしていた。
「オオ・・?判ッタ。隅々マデ綺麗ニシテクル」
レ級は大人しくタオルを受け取り、洗い場に向かう。
その姿を確認した提督と港湾棲姫は
お盆に載っている熱燗を早速手に取り
お互いに御猪口に注ぎ合っていた。
「では姫様、まずは私からつがさせて頂きます。
っていうか、レ級殿は案外素直なんだなー。
戦場で出会うと鬼のようなのに。」
「アリガトウゴザイマス
エェ。スナオデ良イ子デスヨ。
戦闘狂ナノガ玉ニ瑕デス。
ソレデハ次ハ私ガ」
そして、お互いに並々に熱燗を御猪口に注ぎ終えると
「ま、なんかの縁、出会っちまったってことで」
「深海ト人類ノ平和ナ時ヲ祝ッテ」
「「乾杯」」
カチン、と軽く御猪口を合わせると
提督と港湾棲姫は、一気に熱燗を喉に叩き込む。
「っ・・・くぅー!」
「アァ・・・」
御猪口の中身を完全に呑みほすと、
熱燗となった鶴齢の、米のどっしりとした旨みが口の中を満たす。
そして、お互いにあたりめを口に放り込むと
烏賊の旨みと、塩っけが、口の中を満たしていた。
そして再度、お互いに御猪口に熱燗を注ぎ合い、
一気に口の中に流し込んでいた。
「「クフゥー」」
烏賊の旨みに、熱燗の米の旨みが絡みあい
口の中は御祭状態である。
思わず、提督と港湾棲姫は笑顔になりながら
同時に唸り声を上げていた。
「ふふ、風呂に熱燗、最高でしょう?姫様」
「エェ。熱イドックト、熱イオサケガ、
ココマデ合ウトハオモッテマイマセンデシタ」
「ははは。良い事です。
・・・ささ、姫様、まだまだ熱燗はありますから
どんどん行きましょう」
「ウン。提督殿モ。注ガセテ頂キマス」
満足そうな笑顔で、提督と港湾棲姫は
更に熱燗を堪能し続けようとしていた。
『オッホー!?御湯ダコレー!気持チイイー!』
その時、レ級の叫び声が、ドックの中に響いていた。
その声に、湯船につかる提督と港湾棲姫は
顔を見合せながら、お互いに口を開いていた。
「・・・レ級殿もいい反応をしますねぇ」
「フフフ。湯船ニ浸カッタタ時ノ反応ガ楽シミ」
シャカシャカと、レ級が髪を洗う音が響き始めたドックで
あたりめと、さつま揚げをツマミに、熱燗をかっくらう提督と港湾棲姫の
ゆったりとした時間が過ぎていくのであった。
妄想捗りました。次回、レ級さん、入渠熱燗予定。