自由なエリレさん。   作:灯火011

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軽巡棲姫(仮)を港湾棲姫の元へと連れてきたレ級。
早速、交流を行うようです。


20 姫と姫とよっぱ

「オッ、アリャアヲ級ノ偵察機ジャネーカ。

 港湾棲姫ノ言ッテタ要塞モモウ近イナ。」

 

レ級は軽巡棲姫を引きつれ進軍を続けていた。

途中、軽巡棲姫の怪我が悪化し

主機が止まる、舵が効かなくなるなどなどの

危機的状況に陥ったもののなんとか、

約5ノットで進軍を続けていた。

 

「申し訳ありません。レ級。

 島風の攻撃をまともにうけたばっかりに・・・」

 

軽巡棲姫は申し訳無さそうに、

表情をしかめつつ、レ級に声をかけていた。

レ級はそんな軽巡棲姫を見ながら、笑顔で言葉を返す。

 

「キニスンナー。神通。

 ッテイウカ、生マレタテデ精鋭ノ艦娘ヲ相手ニデキタラ

 モウソレハ、艦ノ姿ヲシタ鬼ダゼ。」

 

レ級は右手をひらひらとさせつつ、ゆっくりと神通へと近づく。

 

「ホラ、キッツインダロ?肩貸スゼ。

 モウ後10分グライダロウシ。」

 

「ありがとうございます。」

 

軽巡棲姫はレ級の肩を借り、ゆっくりと進軍を続けていく。

レ級と軽巡棲姫の頭上では、ヲ級の偵察機がぐるぐると旋回を続けていた。

 

 

ヲ級は、コロネハイカラ島の要塞を修復しつつ、

先ほど港湾棲姫の目の前で飛ばした、自身の艦載機と視界を同調させていた。

 

(さーて、さっきの2隻は艦娘か、深海棲艦か。

 まー、こんなところに来るのは深海棲艦しかいないでしょうねー。

 尾っぽみたいなのついてたし。多分レ級さんかなぁ。)

 

手先では要塞を直し、視界は艦載機、そして考察と

ヲ級は並行で様々な作業をこなせる船である。

事実、要塞の修復に至っては、港湾棲姫の相手をしながらも

9割方の修復が完了している。

あとの1割は外装程度だ。ヲ級にとっては片手間で出来る作業である。

 

「ヲッ。危ナイ危ナイ。絶縁スルノ忘レテタ。」

 

ヲ級は頭では別のことを考えながらも、確実に要塞を修復していく。

配線を引っ張りだし、器用に絶縁テープを巻く。

そして、通電を確認し、しっかりと配管を収めていく。

アブラまみれになりながらも確実に仕事をこなしていくツナギ姿のヲ級は、

整った顔と相まって、美人のメカニックのようである。

 

と、その時、ヲ級の艦載機と同調させていた視界が

先ほどの2隻の艦影の姿を、詳細に捉えていた。

 

「ヲー。ンナルホド。コレハ港湾棲姫様ノトコロノレ級サンデスネ。

 ・・・アレ?見慣レナイ深海棲艦ト一緒デスネ。

 ゲッ、シカモ人型ジャナイデスカ。」

 

ヲ級は眉間にしわを寄せると、要塞から首を出し

海を見ながらスキットルを傾けている港湾棲姫へと声をかけていた。

 

「港湾棲姫様。偵察機カラノ映像デ先ホドノ艦影ノ艦種ガワカリマシタ。

 艦娘デハナク、深海棲艦デスネ。」」

 

港湾棲姫は竹鶴で少し酔ったのか、赤くなった顔をヲ級へと向ける。

 

「ン、ワカッタ。ソレナラ、近ヅケサセテモ問題ナイワネ。

 デ、ヲ級。誰カハワカル?」

 

「エェ。一隻ハ、港湾棲姫様ノエリートレ級サンデスネ。

 タダ、モウ一隻ノ深海棲艦ニツイテハ、不明デス。」

 

「アラ、ヲ級ガ判ラナイナンテ。

 モシカシテ、ドロップシタ深海棲艦カシラ?」

 

「ンンー、チョイトマッテクダサイネ。」

 

ヲ級はそう言うと、視界を完全に偵察機と同調させていた。

そして、ゆっくりと、レ級と軽巡棲姫を観察していく。

 

「ン。ヤッパリミタコトガナイデス。建造ノデータニモアリマセン。

 完全ニドロップシタ深海棲艦デスネ。ンー、容姿ハ・・・艦娘、神通ニ酷似デス。」

 

ヲ級の報告を受けて、港湾棲姫はめんどくさそうにため息をついていた。

そして、顔をぽりぽりとかきながら、口を開く。

 

「アラー。メンドクサイ。ドロップッテコトハ

 話通ジナイノカモシレナイワネ。」

 

「デモ姫様。レ級サント此方ニ来テイルッテコトハ、

 少ナクトモ話ハデキルノデハ?」

 

ヲ級は艦載機に視界を同調させたまま港湾棲姫ヘと言葉をかける。

そして、艦載機との同調を解くと、港湾棲姫の目を見ながら、

真剣な顔で、口を開いていた。

 

「トイイマスカ姫。アナタ、今回ノ作戦ナンモヤッテナイジャナデスカ。

 面倒クサガラナイデ、少シハ働イテクダサイ。

 ホラ、不明艦ノ対応グライハシテクダサイヨ。」

 

港湾棲姫はヲ級を見返すと、めんどくさそうに口を開く。

 

「・・・エー、ヲ級、ヤッテオイテクレナイ?。」

 

間髪入れず、ヲ級は港湾棲姫へと、眉間にしわを寄せながら顔を近づける。

 

「・・・ヤッテクダサイ。イイデスカ?

 コノ要塞、タダデ直シテルワケジャナインデス。

 港湾棲姫様トハイエ、コノママ何モシナイノデアレバ、

 艦娘ノ居ル海域マデ、追イ出シマスヨ?」

 

ヲ級の声色に、感情は全くこもっていなかった。

港湾棲姫は、冷や汗を浮かべると、反射的に口を開いていた。

 

「・・・ハイ。スイマセンデシタ。

 コノ港湾棲姫、働イテキマス。」

 

港湾棲姫はそう言うと、ヲ級から逃げるように、要塞から海へと飛び降りていた。

ヲ級はそんな港湾棲姫を見ながら、ため息を付きつつ、口を開く。

 

「ハァー。マッタク。港湾棲姫様ハ。

 ・・・ま、あののんびりさが、港湾棲姫様の魅力なんですけどねぇ・・・。

 さてさて、今のうちに要塞なおしちゃいますかぁ!」

 

ヲ級はそう言うと、腕まくりをして要塞の中へと姿を消す。

その姿は、どこぞの工廠に入り浸る艦娘にそっくりであった。

 

レ級、港湾棲姫、そして軽巡棲姫は、深夜の暗い海の上で

酒瓶を傾けながら要塞へと進軍していた。

 

「ナルホドネェ、神通、ネェ。

 ドコマデ記憶ガアルノカシラ?」

 

港湾棲姫は片手に竹鶴の瓶を持ちながら、軽巡棲姫へと話しかけていた。

軽巡棲姫はというと、ボウモアをちょうど口に付け、味を楽しんでいる。

 

「ふぅー。やっぱり英国のウィスキーの香りは最高です。

 いいですねぇ。竹鶴氏のウィスキーも良かったのですが・・・ううん。

 あぁ、でもあの余市蒸留所のウィスキー、せっかくこの姿になったわけですし?

 一度ぐらいは呑みたいです。あぁ、もう。なぜ私は艦娘じゃなくて深海棲艦に。」

 

軽巡棲姫は港湾棲姫の言葉が聞こえなかったのか

延々ウィスキーについて呟いていた。

港湾棲姫は、そんな軽巡棲姫を見ながら、レ級に耳打ちを行っていた。

 

「・・・ネェ、レ級。コノコ自由スギジャナイ?

 ワタシノ言葉、全然聞イテナイ。」

 

レ級も軽巡棲姫を見ながら、港湾棲姫へと耳打ちを返す。

 

「ウーン、サッキマデ神通ヘノ恨ミ凄カッタンデスケドネェ・・・。

 酒ハイッタカラカナァ。」

 

「ソレニシテモ、ヨ。

 シカモ、ドロップ艦ナノニ、普通ニ話セルシ、完全ナ人型ダシ。

 ・・・ソウネェ、仮デ名ヅケルナラ、【軽巡棲姫】カシラネェ。」

 

レ級と港湾棲姫は、未だ酒瓶を傾けてはぶつぶつと呟く軽巡棲姫を見ながら

深海棲艦の中での名称を決めていた。

いつまでも神通では、艦娘との区別がつかないのだ。

 

「マ、ソレハトモカクトシテ。

 レ級、軽巡棲姫ハ神通ヘノ恨ミ辛ミガ凄カッタノ?」

 

「エェ。最初ハ完全ニ艦娘ノ神通シカミテマセンデシタヨ。

 島風ニヨッテ大破サセラレタアトデモ、神通ニ執着シテイマシタ。」

 

レ級と港湾棲姫は、軽巡棲姫をもう一度ちらりと見る。

 

『あはっ!角だ!あれ、でもプレミアムって見たことがない・・?

 じゃあさっそく・・・。』

 

そこには、角瓶(プレミアム)を笑顔で煽っている軽巡棲姫がいた。

 

『ンー!おいしいっ!いいなぁ!お酒が美味しいっていいなぁ!』

 

しかも、酔っているのか、仮面を完全に取っ払っていた。

 

「・・・ワァ、姫ェ。ドウスルンデスカアレ。

 私以上ノヨッパジャナイデスカ。シカモ仮面トッテルシ。」

 

レ級は珍しく、呆気に取られていた。

自分よりも酒を呑む深海棲艦なんて、見たことが無かったのだ。

 

「ナルホドネェ。

 確かに、仮面ノ下ハ艦娘神通ソノママネ。

 タダ、私カラ見タラ、レ級モ軽巡棲姫モ同ジヨッパヨ。

 マ、害ガアルワケジャナイシ。

 トイウカ、軽巡棲姫ハ重傷デショウ?

 サッサト要塞デ修復シナイトマズイデショ。」

 

港湾棲姫はため息を付くと、レ級と軽巡棲姫へと声をかけていた。

 

「エー、ソレヲ姫様ガイイマス?

 呉デアンダケグデングデンニナッテタノニ。」

 

「ワタシハ敵ノ視察ヲシテタンデス。

 提督カラスキットルモモライマシタシ。」

 

「ハイハイ。姫様、アナタモヨッパデスヨ。」

 

レ級は呆れたような顔で、港湾棲姫へと口を開いていた。

港湾棲姫はしょんぼりとした顔で、スキットルをいじる。

 

「ムゥ、デモ、ホラ。

 少シハ上司トシテ見テホシイカナッテ。」

 

「無理デス。タコヤキトビールノ恨ミ、忘レテマセンシ。」

 

「ウッ・・・。ソウイワレルト。

 ゴメンナサイ。」

 

港湾棲姫はレ級へと素直に謝っていた。

未だにタコヤキとビールの呪縛のせいで

港湾棲姫はレ級へと頭が上がらないのである。

 

「マー、鳳翔ト金剛、アト提督トモ知リ合エタカライインダケド。

 ッテイウカ、神通!」

 

「んー!竹鶴も美味しいっ・・!

 は、はいっ!?なんでしょうか、レ級さん」

 

レ級はため息を付くと、軽巡棲姫へとゆっくりと口を開く。

 

「酒呑ミスギダカラナ?オマエ、重傷ナンダカラ。

 サッサト要塞イコウゼ。ナ?サケハアトカラデモノメルカラ。」

 

「あ、そういえば、そうでした。

 ついついお酒が美味しくて。」

 

軽巡棲姫は思い出したかのように、酒瓶を片手に、

肉が裂け白い骨が見えている自身の足を見つめていた。

 

「ダロォ?ソノ足ジャア沈ムゼ。

 酒ヲ楽シムニシロ、神通ヲ沈メルニシロ。

 マズハ船体ヲ直サネートナ。」

 

レ級はそんな軽巡棲姫を見ながら、酒瓶片手に、呟いていた。




短いですが、妄想捗りました。
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