アイドルマスターシンデレラガールズ 星々の王子様   作:逆刄刀

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これだけ遅くなったのは本当に申し訳ないと思ってます。反省もしています。でも改善できると約束は出来ません(土下座)


十一話 前日に夜更かしはいけません

「ただいまー」

 

 玄関を開けると緊張から解放されたせいか身体が一気に重くなる。やはり慣れないことが続くと、体に力が入ってしまうのだろう。

 それを少しでも吐き出そうと、榊は言葉を可能な限り伸ばした。

 

「おかえりー、遅かったわね」

 

 リビングから母の声が聞こえ、やっと普段の生活に戻ってきたのだと実感する。住み慣れた家にいると今日の出来事が夢のようにも感じた。だけど帰り道で借りた多数のCDが、それも現実なのだと教えてくれる。

 リビング入ると、ちょうど母が晩御飯をテーブルに並べている最中だった。近くのソファに荷物を置くと、キッチンで手を洗いながら、

 

「うん。寄り道してたら予定より遅くなっちゃった」

 

「そう。なんだかたくさん借りてきたみたいだけど……、あら珍しいわね、和巳がアイドルのCDを借りてくるなんて。今までそんな様子なかったのに」

 

 当たり前の反応なのに、榊は心臓が飛び出るような感覚を得た。

 

「え? ああ、クラスの間で流行っているみたいだから興味本位でね。それと、明日も出かけるから昼御飯はいらないよ」

 

「そうなの? 二日連続で出かけるなんて珍しいわね」

 

 ちょっとね、と言葉を濁す榊の表情は浮かない。

 母には明日のオーディションどころか、今日のことすら話していない。

 別に話したくないわけではない。母の性格なら、アイドルにも反対するどころか応援してくれる可能性の方が高い。

 だからこそ、榊はアイドルのことを母に話そうとしないのだ。その証拠に母は、

 

「でも良かったわ。中学の時はあまり外に出ようとしなかったから、高校でもそうなのかと心配してたけど、どうやらその必要もないようね」

 

 嬉しそうに話す母に空返事をする。

 もし明日が駄目だったたら、次を考えてない自分はきっと以前のような生活に戻るに決まってる。それを今言わないのは、ただ逃げているだけだろうか。

……部活もしないなら、バイトぐらいはしないとな。

 そう考え、榊は残りの食器をテーブルに運んだ。

 

 

 

「さてと、それじゃあやりますか」

 

 自室に戻った榊は伸びをしてからテーブル上のパソコンの電源を入れた。慣れた手つきで音楽プレイヤーを繋ぎ、袋の中からCDを一枚取り出す。

 

「それにしても、ある程度の枚数は覚悟していたけどまさかこれだけあるとは思わなかったな」

 

 袋の中には三十枚以上のCDが二段になって入っている。

 帰りに寄ったレンタル屋では346プロダクションの特別ブースが設けられていた。店員オススメのアイドルが写真付きで紹介されており、その中に楓や藍子の名があるのを見ると関係ないはずなのに胸が熱くなった。

 おかげで探す手間は省けた。しかし榊の中ではあっても十枚程度だと思っていたCDが何十枚もあるのは予想外だった。

 たまたま返却されたばかりだったかもしれないから幸運だったのかもしれない。だがその時の手持ちの金額的に借りられる枚数には限度があり、結局ユニットなどは除いてソロのCDだけを借りてきた。

 それでもこれだけの量となると全部のCDを音楽プレイヤーに入れるだけで相当の時間になる。明日のためにも早く寝たかったが、それは残念ながら諦めないといけないかもしれない。

 わざとらしくあくびをする榊は、しかしヘッドホンを通してパソコンから流れる曲に目を見開いた。

 

「あれ、この曲って……」

 

 聞き覚えのある声に、無造作に取っていたCDのジャケットを確認した。

 

「やっぱり、これ高垣さんの曲か……」

 

 作業を一旦中止して聞くことに集中する。ベッドに背中を預けて前奏からサビまでを聞いて思うことは一つ。

……上手いなあ……。

 榊はどこか心の中でアイドルの歌は歌手と比べると歌唱力も含めて全てが劣っていると考えていた。

 アイドルに必要なのはビジュアルや個性で、歌唱力なんて二の次だと思っていた。

 だけど楓のそれは違っていた。アイドルをやるならここまでの歌唱力を求められるのだろうか。

 曲に耳を傾けながらも、榊はバックから一枚の紙を取り出す。それはオーディションの要項であり、明日会場で何を行うかが細かく記されている。

 その中の一つである”歌唱力テスト”の項目に、榊は顔が歪むを自覚していた。

 正直歌に自信はない。というよりは自分の歌唱力がどのくらいのものかがわからない。

 友達とカラオケなんてここ数年は行ってない。一応音楽の成績は悪くないが、そんなものは参考にもならないだろう。

 

 一度全部を聞き終えてから余韻に浸る気持ちを抑えて榊はマウスに手を伸ばす。

 楓の歌がリピート再生される中、榊はインターネットを開いて素早く文字を入力する。

 画面には検索結果が表示され、様々な項目の中から一番上をクリックする。

 すると今度は画面に西洋のお城が映し出される。そして光のイリュミネーションとともに美城プロダクションの文字が現れた。

 榊は美城プロダクションのホームページを開いていた。トップ画面には今月のイベント情報などが日単位で載っている。

 しかしそれらには目もくれず、右上にあるタレント紹介の文字をクリック。

 俳優や歌手など、複数の事業の中からお目当のアイドル部門をクリックすると、画面にはたくさんの名前と宣材写真が載せられていた。

 その中の一つである高垣楓の文字を選ぶと、拡大された写真とともに細かいプロフィールが出てくる。

 曲が移し終えるまでプロフィールなどを確認し、それが終わったらまた別の人の曲で同じ事をする。

 全部のCDの作業が終わる頃には、時計の短針は真上を指していた。

 

「ああ……、もうこんな時間か」

 

 まだ調べ物の途中だが、これ以上の夜更かしは明日に響いてしまう。

 もう寝よう、そう思い立ち上がると、視界にあるものが入った。

 

「……菜々さんのCD忘れてた」

 

 パソコンの電源は既に落としてある。それに寝ると決めたからにはもう何もしたくはない。

 だから仕方ないのだ、と部屋の明かりを消してベッドに潜る。枕に顔を埋めればすぐに眠れる。そう思っていたが、

 

「…………」

 

 疲れているはずなのに眠れない。その代わり脳裏を過るのは、嬉しそうにCDを差し出した菜々の笑顔と、

 

『ナナは、ナナはすごく嬉しいです!』

 

 別に聞かないと思ってるわけじゃない。明日やそれ以降だって聞くに決まってる。だから気にする必要なんてない。

 

「…………やろう」

 

 そっちの方が寝つきが良いのかもしれない。

 今度はあくびをしてからパソコンの電源を入れる。先程と同じようにCDを入れた後ヘッドホンを耳に当て、うとうとした状態で曲を再生する。

 

「菜々さんこれは……」

 

 出だしから度肝を抜かれた。

 眠気が吹き飛ぶほどにこの曲はすごいと直感した。

 楓のように歌唱力に長けてるわけではない。しかし菜々の曲にはそれにも勝るとも劣らないすごさがある。

……自己主張が激しい。

 個性は抜群。だがこれを自分が歌えるかと聞かれると答えはノーだ。

 ましてや菜々の年齢にもなって歌うなど罰ゲームといっても過言ではない。

 アイドルという仕事は本当に大変なんだと実感する。 

 それでも、聞いてるうちに榊の顔から笑みがこぼれる。

 

「ミンミンミン、ミンミンミンウーサミン……」

 

 そして自然とフレーズを口ずさんでいることに、榊はさらに笑みをこぼした。




十一話 前日に夜更かしはいけませんはいかがでしたか?正直これは前話に載せる予定だったので、量はかなり少なくなっています。
そして皆さんお久しぶりです。約二か月振りの更新となってしまいました。言い訳はしません、見事サボローにやられました。仕事が落ち着いてくると色々やりたい事が出てきてしまうのは何でしょうかね……。今後はサボローに打ち勝てるように努力していきますので、今回はおおめにみてください。

さて、暗い話はこの辺にして、この二か月の間にモバマスは大分動きがありましたね。
先ずは今更ですがヴァイスの二弾発売! 卯月はイラストにアニメ再現した能力は魅力的でしたね。凛は青のデッキなら入る確率の高いカードですね。そして未央は……、うん、私は好きですよ?ロマン溢れてますし、イラストも悪くないですからね。ただ早速未央のデッキを作りましたが、勝率はそこまでよくないですし、何より未央でフィニッシュが殆どないんですよね(だいたいみりあが決めてます。さすがお姉ちゃん)。ですが未央は好きなキャラなのでこれからも使いますよ。カードに限らずゲームに必要なのは勝つことより好きなキャラを使うことですから(負け惜しみ)
そして次に総選挙!卯月初のシンデレラガールおめでとう! 正直卯月はなるべくしてなった感じはありましが、楓さんの二位は流石の一言です。楓さんはクールで一番好きなキャラなので素直に嬉しいです。そして、前回シンデレラガールの順位に言葉を失うばかりでした。まあシンデレラガールになっただけマシか…。
そして最後に4thライブ、今回は近くの埼玉でやるので是非とも行きたいと思っています。CDは買えて2.3枚なので、1日か通し券のどっちで申し込むか悩みどころです。どっちが確率が高いんですかね。

さて、後書きなのに大分書いてしまいましたが、これだけは書きたいと思っていたので後悔はしていません。
次回の更新はいつになるか言えませんが、なるべくサボローと奮闘して早期の更新を目指したいと思いますので、これからも応援をよろしくお願いします。
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